■試乗・文:ノア セレン ■撮影:渕本智信 ■ウエア協力:アライヘルメット https://www.arai.co.jp/jpn/top.html Alpinestars https://www.okada-ridemoto.com/brand/Alpinestars/
ここまで6回にわたりレポートしてきた2024外国車のピックアップだが、これは多くの外国車試乗車が用意されていたイベントでのこと。時間の制限内で乗れたのはこれまで取り上げてきた6台に限られたが、他社/他車も乗れこそはしなかったが、面白そうなモノを少しだけ紹介させていただきたい。
最も勢いのあるメーカーの一つ! Royal Enfield
350ccと650ccの新ユニットを中心に多くの機種展開をしてくれているロイヤルエンフィールド。この連載の第6回にはコンチネンタルGTとそのツッコミどころのない素晴らしさについてレポートしたばかりだが、他にも初の水冷モデルとなるヒマラヤン450なども試乗車として用意してくれていた。
しかし話題の新型車が次々と投入されてはいるものの、エンフィールドブランドで安定した人気を誇っているのは写真のメテオ350だそう。空冷2バルブの直立したシングルがクルーザースタイルの車体に搭載され、圧倒的足着き性や快適なタンデム性も追及。豊富なカラーラインナップも魅力で、とても良く売れているというのも納得だ。価格は71万600円~。
ロイヤルエンフィールドは待望の「ショットガン650」も発売間近。販売店の充実が課題ではあるようだが、モノの魅力は非常に高く今注目したいメーカーだ。
https://www.royalenfield.co.jp/
ビーストがさらに進化!常識を打ち破る KTM
KTMで話題なのは1290から1390へと進化したスーパーDUKEだろう。「1390 SUPER DUKE R EVO」とそのネーミングからしてスゴイ。熟成のVツインは190馬力を発生するに至り、対する車両重量は200kgに抑えているという、もはやVツインの常識やネイキッドモデルの常識を完全に打ち破る構成だ。それでいて電子制御サス等が充実しており、実は先代よりも肌触りは優しく、付き合いやすくもなっているというのは技術の進化を感じさせる。この会とは別の場所で試乗もできたが、1390はまさに「ビースト」感が極まっており、逆に890から990へと進化したDUKEはとても親しみやすく感じられた。
これのほか、業界内で名車と名高い890SMTや排気量アップした390DUKEを用意してくれたKTM。同社他ブランドではこれまた新作となったハスクバーナの401と250、GASGASのSM700、そしてさらにKTMファミリーに加わったMVアグスタブランドからはスーパーヴェローチェやブルターレも展示された。
https://www.ktm.com/ja-jp.html
様々な提案が楽しいPIAGGIO
ピアッジオといえばスクーターかと思いきや、ピアッジオグループはアプリリア、モトグッツィ、ベスパ(に加えてピアッジオブランドで3輪の「マイムーバ」も)とカテゴリー違いのモデルを多く展開している。
アプリリアは当連載第5回目にTUONO 660ファクトリーのレポートをしたし、モトグッツィブランドでは第1回目にV100マンデッロも試乗できた。TUONOの良さはとっくに知っていたが、マンデッロは想像を上回る総合的な魅力があり、ベタ惚れの試乗となったのだった。
写真はベスパブランドのGTV300。既にこのシリーズで300ccエンジンが載っているものは展開されていたのだが、それのスポーティバージョンとしてシングルシートカウルやメーターバイザー、フロントフェンダー上のヘッドライトなど個性を与えたものなのだが、これがスクーターらしからぬ機動力を見せてくれるのだ。速いだけでなく、この小径ホイールにもかかわらず操舵性もビシッとしていて高速道路走行も不安がないのはモノコックフレームを作ってきた歴史のおかげだろうか……。
ピアッジオグループには魅力的なスポーツモデルも数多いが、このGTV300もかなりスポーツマインドを刺激され、オススメしたい一台だ。
名門メーカー「Benelli」が復活。インペリアーレが人気!
新生ベネリは「スクランブラー」「ネイキッド」「ツーリング」「クラシック」と4カテゴリーにおいて合計8機種を展開中。最大排気量では500ccのアドベンチャーツアラーももっているが、注目はこの「インペリアーレ」だろう。374ccのバーチカルシングルエンジンを持ったクラシカルモデルだ。
「ありがたいことにファーストバイクとして選んで下さるお客さんも多いですし、例えばレブルなど250ccクラスでバイクライフをスタートした人が、高速道路も使った長距離ツーリングに慣れてきた頃に、ステップアップとしてインペリアーレに乗り換える方もいます。比較的若いユーザーが多く、また3割は女性ですね。堂々としたフロント19インチはとても素直で乗りやすいですし、燃費も良いんですよ」と語ってくれた。
エンジンをかけるとスットンスットンと味わいたっぷり。試乗するタイミングがなかったことが惜しまれる。
https://www.plotonline.com/benellimotorcycle/
Indian Motorcycleの純粋な空冷スポーツ「スポーツチーフ」
巨大なクルーザーから強烈なパフォーマンスを放つ水冷エンジン搭載のトラッカーまで、多くの引き出しを見せてくれるインディアン。「チーフ」シリーズはかつて純クルーザーだったが、2021年からはシリーズを一新し「チーフダークホース」「ボバーダークホース」「スーパーチーフ」を展開。それに加えてこの「スポーツチーフ」がデビューしたのだが、これは空冷エンジンながらかなりスポーツを意識したもので、車体は低重心としつつライダーの着座位置は高め、かつバンク角も十分にとるなど工夫されている。
「インディアンには水冷モデル含めてよりスポーティなラインナップもありますけど、走らせて一番面白いのはこれだと思いますよ! 空冷エンジンながらトリプルカム、倒立フォーク、ラジアルマウントキャリパー。バンク角も深いですからスポーツマインドで乗って下さい!」とスタッフさん。
インディアンのモデルはスタイリングこそ伝統的なものが多いが、乗り味はかなりモダンで気負わず乗れるのが魅力。クラシカルスタイルと現代的な付き合いやすさ、そして確かなパフォーマンスの共存が魅力的に思う。
https://www.indianmotorcycle.co.jp/
電動で一歩先を行くBMW
F800/900GSやR1300GS、R12など人気モデルもたくさん用意してくれていたBMWだが、注目してしまうのはやはり話題のCE-02。当連載2回目に後ろに写っているCE-04のレポートをしたが、こと電動についてはBMWは他社を圧倒していると感じさせる。Cエボリューションから数えて、今回のCE-02はBMWにとって3台めの電動バイク。既に蓄積されてきたノウハウが膨大なのだろう。
「充電はすっからかんから4時間で満充電になります。電源は普通の家庭用100vで大丈夫ですよ。満充電での走行距離は97kmとなっていますから、一日30キロ走るとして、2日に1回ぐらいの充電で十分ですね」とのこと。帰ってきたら電源に挿しておく、という使い方だろう。国産車では電動がまだまだ一般化しているとは言えないが、BMWの展開を見ていると本当にすぐそこにきていると感じる。
バギーパーク増加でKYMCOネームが浸透
我々バイク好きからすればキムコと言えばスクーターを得意とする会社、というイメージだろう。バイクの今のイチオシは「アローマ150」。車格は125ccでしかもほぼステップスルーながら、エンジンは150ccのため軽二輪枠で高速道路走行も可能。シート高は760mmと150ccクラスで最も低く、車両重量も128kgと軽量。クラシカルテイストのフィニッシュも上質ながら35万9700円というプライス。
「ルックスも親しみやすく、若いユーザーからも支持されていますが、実は40~60代の男性のお客様が多いんです。日本では今150ccクラスが人気ですけど、このようなミニマムで親しみやすいようなモデルが他に無いこともあって、より大きなクラスからのダウンサイジングに選んでいただくことも多いですね」とのこと。
なおキムコが得意とする四輪バギーの国内販売をスタートさせたのは5年前。コロナ禍の影響もあり全国にバギーパークが増えたといった背景もあり、90~150ccクラスの引き合いが多いそうだ。4輪バギーと言えばカワサキが展開するモデルもキムコのOEM。乗ってみると面白い乗り物なのだ!
トルクお化けをさらなるトルクバケモノへ Triumph
連載3回目でレポートしたデイトナ660の他に、トライアンフと言えば「スピード400」と「スクランブラー400」の新型2機種が注目されている。しかし現場で凄みを放っていたのは2458ccトリプルを縦置きする「ロケット3ストーム」だ。もともととんでもないトルクを持つロケット3をベースにトルクもパワーも向上させたというのだからすさまじい。
「とはいっても、もともとロケット3はトルクお化けですからね、トルクやパワーが上がってもあんまりわからない(笑)」とスタッフさんは笑うが、それにしてもこういったプレミアムバイクでも開発の手を止めずに、さらに「とんでもないもの」に磨きをかけていこうというトライアンフとは面白いメーカーではないか。
https://www.triumphmotorcycles.jp/
伝統から日常まで Harley-Davidson
重鎮、ハーレーは、ツーリングファミリーのストリートグライド、ロードグライドを用意。しかし個人的に注目したいのは写真のローライダーSTだった。今回とは別に試乗した時、この大きな存在感からは想像できないような軽やかなスポーツ性を持っていて、またカウルもとても良い仕事をしていたのに感激した。パニア装着で長距離を走るのはもちろん快適だろうが、思いのまま振り回せる感覚が素晴らしかったのだ。
今やスポーツスター系は水冷エンジンを搭載し、そしてパンアメリカというこれまた完成度の高いアドベンチャーモデルも展開するハーレー。加えて連載4回目にレポートしたXシリーズ(350&500)もあるため、ハーレーは今最も身近に感じられるタイミングではないだろうか。
https://www.harley-davidson.com/
スポーツだけではない! 現代DUCATIの選択肢
ドゥカティと言えばMoto GPでの活躍や先の鈴鹿8耐での健闘など極スポーツのイメージも強いだろうが、今回の試乗会に持ち込まれたのはスクランブラーシリーズ3機種とV4エンジンを搭載したディアベル、そしてモンスターだった。スーパースポーツ一辺倒ではないですよ、もっと親しみやすいモデルもありますよ、というメッセージに感じられ、試乗のチャンスがなかったのが悔やまれる。
写真はこの現場ではまだ展示のみだったハイパーモタード698モノ。シングルシリンダーエンジンとしては過去最高とされる77.5馬力を発し注目を集めている。
https://www.ducati.com/jp/ja/home
[『2024注目の外車、ちょっと味見Vol. 1 MOTO GUZZI V100 Mandelo試乗インプレッション記事』へ]
[『2024注目の外車、ちょっと味見Vol. 2 BMW CE 04試乗インプレッション記事』へ]
[『2024注目の外車、ちょっと味見Vol. 3 Triumph Daytona660試乗インプレッション記事』へ]
[『2024注目の外車、ちょっと味見Vol. 4 Harley-Davidson X500試乗インプレッション記事』へ]
[『2024注目の外車、ちょっと味見Vol. 5 aprilta TUONO660 Factory試乗インプレッション記事』へ]
[『2024 注目の外車、ちょっと味見Vol. 6 Royal Enfield Continental GT 650試乗インプレッション記事』へ]