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試乗・解説

ノアセレンがチョイス 2024注目の外車、ちょっと味見その② BMW CE 04
■試乗・文:ノア セレン ■撮影:渕本智信 ■協力:BMW Motorrad JAPAN https://www.bmw-motorrad.jp ■ウエア協力:アライヘルメット https://www.arai.co.jp/jpn/top.html、Alpinestars https://www.okada-ridemoto.com/brand/Alpinestars/




バイクも車も作っているメーカーは、ホンダとスズキとこのBMWの3社である。BMW関係者が「車も作っているからこそ、四輪の電動技術を転用できているのです」と語ってくれたのだが、なかでもBMWは電動二輪車という意味では一歩先を行っているだろう。

 

既に3機種目が控えている。

 BMWの最近のニュースと言えば、小型でアクティブな電動車「CE 02」の発売だろう。若々しいルックスやパルクールをイメージしたという機動性など、電動モビリティの新たな提案をしてくれていて日本への導入も楽しみである。
 BMWの最初の電動車はCエボリューションというスクーターだった。見た目は多少大柄だったもののスタイリングはエンジンスクーターと似ていて、そしておののくほど速かった。アクセルひとひねりで信号ダッシュは完全無敵。トラコンがなければちょっと怖いぐらいの動力性能を誇り、果たしてこんなに速いのに軽二輪枠でいいのかしら?? と思ったほどだ。
 そのCエボリューションから進化したのがこのCE 04。BMWとしては2機種目の電動車ということになる。
 

 

「電動アピール」に舵を切る

 電動車というのは「電動ですよ!」「近未来ですよ!」とアピールするのか、それともこれまでのエンジン車と同じスタイルとするのか、悩みどころなのだろう。Cエボリューションは後者だったわけだが、CE 04は完全に前者だ。ロー&ロングな車体やフローティングされたシート、カバードホイールにスポーティなタイヤなど「何か違う」感が一目でわかる。発売が予定されているCE 02も同様に電動アピールが為されている所を見ると、BMW的にはそれがトレンドのようだ。
 それでいてそれがゲテモノ感なく、素直に「ちょっとカッコイイ」と思えたところが良い。誰かが「他より一歩先を行ってしまうと理解してもらえない。他より半歩先行くぐらいがちょうどいい」と言っていたが、コレが好例に思う。奇抜すぎない、それでいて新しく、どこか異質……興味をひかれてしまうのだ。
 

 

見た目だけではなく、しっかりと進化

 スタイリングにまずは惹きつけられるが、その内容もだいぶ進化している。乗車姿勢こそスクーターではあるものの、CE 04ではモーターを車体に搭載し、後輪をベルト駆動にするなどスポーツバイク的な構成を取り入れたし、タイヤもスポーティなピレリ製を採用。
 車体構成も大幅に見直し、重量のあるバッテリーを車体底部に配置することで低重心化を追求。このおかげでホイールベースは1675mmと長めにもかかわらずかなりクイックな操作性を持っていて、深いバンク角と併せてスポーツバイク的な走りに応えてくれるのだ。
 もう一つアップデートされたのは回生ブレーキの設定だ。かつてはいくつかの回生ブレーキモードがあり回生ブレーキの効き方(エンブレの効き方)が選択できたのだが、CE 04ではそれが走行モードと連動するように改められ簡潔になった。Cエボリューションでもそれらの設定は慣れれば難しいものではなかったが、さらに電動が浸透するほどによりシンプルでわかりやすい設定を追求しているようだ。
 

 

一歩先を行ってさらに突き放す死角のなさ

 スペック的にはCエボリューション比で譲る部分もあるというが、走り始めると低重心化されたことや、スクーターよりスポーツバイク的な味付けになったことにより、しっかりと進化したと感じさせる。ハンドリングはとても軽やかであり、深いバンク角も楽しめるし、アクセルを大きく開けた時の強烈な加速は健在。ワインディングでエンジン車を驚かせるペースも十分可能なはずだ。
 加えて他社に対して大きく優位にいると感じるのは航続距離や充電時間。電動車はどうしてもこれらがネックとなりがちだが、CE 04は満充電でおおよそ130kmの航続距離を確保。しかも一般的な充電でも3時間、急速充電設備を備えれば80分ほどで充電できてしまうのだから、走りだけではなく電動車を現実的に使うという意味でも他社に先行する性能を見せているといえる。先代に当たるCエボリューションは白バイに採用されたほどなのだから、BMWの電動車は完全に業界をリードしていると言えるだろう。
 ただ、残された課題は価格である。このCE 04は206万4000円~というプライスタグ。輸入車ゆえに日本の補助金制度が適応できないなどの都合もあるというが、これだけ素晴らしい乗り物なのだから、なんとかもう少し手の出しやすい価格になってほしいと思わせられた。
(試乗・文:ノア セレン、撮影:渕本智信)
 

ライダーの身長は185cm。写真の上でクリックすると両足着き時の状態が見られます。

 

車重があることもあってブレーキはダブルディスク。低重心でリアブレーキも良く効くこと、ピレリのロッソスクーターというスポーティなタイヤのおかげもあり、かなり強烈な減速も可能。ハンドリングも軽快だ。
Cエボリューションはあくまでスクーターだったが、CE 04はモーターを車体に載せ後輪はベルトで駆動。電動車でチェーン駆動はチェーンのシャラシャラ音が気になることがあるのに対しベルトは静かで上質だ。センタースタンドの位置も絶妙なようで、重量車ながらとても軽い力でスタンドを立てることができた。

 

本体からフローティングしているシートも特徴的。バッテリーに熱がこもらないため、という目的もあるのではないかと推測する。スクーターではなくなったことでラゲッジスペース消失を心配したが、実はシート下のボディ部分にトランクスペースがあるのだった。日本仕様はこの段付き&ヒーター付きシートが標準装備。
横長のTFTメーターは近未来感もあり、また回生システムの表示もわかりやすく電費走行も意識しやすい。カラーでの表示がとても鮮明なのは近年のBMW車に共通すること。スタイリングこそ個性的だが、こういったライダーに接する部分においては例え電動でも直感的に理解できるのはありがたい。

 

かなりロー&ロングという印象で、前作のCエボリューションに比べるとスクーター感はなくなり新世代スポーツとも言えるようなスタイリングに。足着きは良好、バンク角も深くスポーティに走らせることもできる。231kgという車両重量に加えモーターのフリクションがあるため押し歩きはとても重たいが、微速で進めるモード(及びバックも)があるため、取り回しはそれを使えば苦はない。ハンドル切れ角が大きいのもありがたい要素だ。

 

BMW CE 04 主要諸元
■原動機種類:電動モーター ■最高出力:31kW(42PS)/4,900rpm ■最大トルク:62N・m(6.3kgf・m)/0-4,900rpm ■全長×全幅×全高:2,285×855×1,150mm ■軸間距離:1,675mm ■シート高:800mm ■車両重量:231kg ■タイヤ(前・後):120/70R15・160/60R15 ■ブレーキ(前/後):油圧式ダブルディスク/油圧式ディスク ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):2,064,000円~


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[『2024注目の外車、ちょっと味見Vol. 3 Triumph Daytona660試乗インプレッション記事』へ]





2024/05/22掲載