第44回 =50年前はひと昔= 1974年に登場したスズキのニューモデル
1974年にスズキが販売したニューモデルを中心に、当時のカタログ(1973年も含みます)を交えて紹介させていただきます。
※カタログは個人所有につき、汚れなどはご了承ください
1974年10月に発行された総合カタログで、スズキのラインナップを見てまいりましょう。
【1974年10月 総合カタログ】
1974年10月発行 表紙 雄大な山岳ロードを走るのはGT750と思われます
モトクロス施設”スズキオートランド”が全国で24か所設営されています。日本メーカーで初めてモトクロス世界選手権でチャンピオンを獲得したスズキが、いかにモトクロスに力を入れていたのかが分かります。
26車種(タイプ設定を除く)の豊富なラインナップを完成させています。
では、人気のGTシリーズの総合カタログから各車種を紹介します。全車2ストロークエンジンです。
【1974年10月 GTシリーズ】
スズキのロードスポーツモデルは、従来は”T”シリーズとしていましたが、1971年に”GT”シリーズに名称を変え、250、350、500、750のラインナップとなりました。その後、1972年にラムエアーシステムのGT380が登場し、人気が高まりました。
1974年は、GT125とGT185を加え750まで6車種の豊富なバリエーションとしています。50ccのみGAの名称です。これは、1972年にヤマハがGT50を発売しましたので、同じ車名を使えないことから、GAにしたものと思われます。
スズキ自慢のラムエアーシステムは、125から550まで採用する徹底ぶりです。翌1975年には、GT100を発売し、GTシリーズが完成したのです。
スズキが誇るトレールモデル”ハスラー”のラインナップを総合カタログで紹介します。ハスラー、TMシリーズはすべて2ストローク単気筒エンジンです。
【1974年1月 ハスラー・TM総合カタログ】
スズキは、1970年から1972年まで、モトクロス世界選手権250ccクラスに於いて、3年連続でメーカー&ライダーチャンピオンを獲得し黄金時代を築きました。250ccは普及モデルの位置づけのTM250と、上級モデルRH250の2車種を用意。RH250は、軽量化を図り最高出力を向上させ、ワークスマシンと同じRHの名称が与えられました。
【バーディー50/70カタログ】
商用タイプの50L、70Lもラインナップ。レッグシールド内側には、カバン掛けがあります。現在のコンビニフックが50年以上前に採用されていたのです。
1974年のスズキは、2ストロークメーカーとして、ロードスポーツからオフロードまで充実したラインナップを誇りました。そして、輸出専用車として日本メーカー初のロータリーエンジンを搭載した二輪車、RE-5を発売しました。RE-5は、世界を巻き込んだオイルショックの影響もあり、約1年間の販売に留まりました。
1976年、スズキはオイルショックや世界的な排出ガス規制などにより、4ストロークエンジン搭載のGS400(DOHC 2気筒)とGS750(DOHC 4気筒)を開発し発売しました。
スズキが得意としてきた2ストロークエンジン技術は、オフロードと小排気量のビジネスモデルに、中・大型車には4ストロークエンジンという棲み分けが図られていきました。1970年代は、スズキにとって大きな変革が求められた時代になったのです。