第45回 =50年前はひと昔= 1974年に登場したカワサキのニューモデル
1974年にカワサキが販売したニューモデルを中心に、当時のカタログ(1973年、1975年も含みます)を交えて紹介させていただきます。
※カタログは個人所有につき、汚れなどはご了承ください
1968年頃からオートバイのカタログ集めに没頭しましたが、山形県の片田舎には、カワサキを取り扱う販売店が近くにありませんでした。そのため、カタログの種類は少数になりますが、ご了承ください。では、1973年発行の総合カタログから当時のラインアップを見ましょう。
【1973年 総合カタログ】
【フラッグシップの RS(ロードスター)シリーズ】
1974年のカタログに、ロードスターシリーズがあります。カワサキと言えば、2ストローク3気筒のイメージが強いですが、ホンダのCB750FOURに対抗するために開発した4ストローク・DOHC・4気筒エンジンを搭載した750-RSが、国内ではカワサキ最大排気量を誇りました。そして、メグロから継承された伝統のバーチカルツインエンジンの650-RSが、独自の世界観を醸しています。
【400-RSが誕生】
1974年は、RSシリーズに400-RSが加わりました。カワサキにとっては、400ccクラス初の4ストロークエンジンです。
1970年代は、暴走族などの社会問題もあり、メーカーは安全対策に取り組む必要性に迫られました。交通安全の啓蒙と同時に、ゆったり走る事を推奨するようなスタイリングのマシンのラインナップは必須でした。
【2ストローク3気筒シリーズの変遷】
1975年2月に発行されたと思われる、SSシリーズのカタログを紹介いたします。
【KX誕生50周年とトレールモデル】
1973年、カワサキの市販モトクロッサーKX125とKX250がライムグリーンカラーで誕生しました。これを記念して、ホームページではスペシャルサイトを公開しています。歴史的なマシン紹介や、走行映像もあり楽しい内容となっています。
ぜひご覧ください
KX HISTORY
https://www.kawasaki-cp.khi.co.jp/KX50years/history/
カワサキはモトクロスに熱心なメーカーでしたが、公道走行用のトレールモデルに限ると、ヤマハのDTとスズキのハスラー、そしてホンダのエルシノアに押され気味の感じがありました。そして、この3社は積極的にオフロードコースを各地に設置していました。
当時のカワサキのトレールモデルを見ると、ロードスポーツに比べて魅力が少ない気がします。個人的には、KXと同じライムグリーンを採用したほうが、イメージを高められたと思います。
【意欲的なトライアルマシンが誕生】
カワサキは、著名なトライアルライダー、ドン・スミス氏と契約してトライアルマシンの開発を進めていました。1973年11月に神奈川県早戸川会場で開催された、MFJ第1回全日本選手権トライアルに、開発中のトライアルマシンを投入しました。ライダーはモトクロスチャンピオンにも輝いた山本隆氏です。この時の様子は、承前啓後第32回に記述しましたので、興味のある方はご覧ください。
この記念すべき大会では、山本隆氏は僅差でヤマハTY250に乗る木村治男氏に及ばず2位でした。
そして、翌年1974年にカワサキ初のトライアルマシンKT250(輸出車)が誕生したのです。1975年には国内でも市販され、4メーカーのトライアルマシンが勢ぞろいすることになりました。
1974年のカワサキは、750-RSを頂点に、ロードスポーツとオフロードスポーツともに、意欲的なモデルをラインナップしました。
時代は、先進技術を搭載した高性能化に進みつつありました。そのような背景から、伝統的なスタイルで人気の650-RSは、この年に発売されたモデルが最後になりました。歴史は繰り返されると言いますが、メグロから継承された650-RSの生産終了から25年後に、W650が誕生し新たな伝統をスタートさせました。W650はW800へと進化し、伝統的なスタイリングと鼓動感にあふれたバーチカルツインエンジンが幅広いファンを獲得したのです。
そして、2020年11月にメグロブランド復活が発表されました。いつの時代にも、伝統に裏付けられたベーシックなスタイリングで高性能なオートバイを好むファンは確実にいることを証明したのです