YAMAHA JOG E 車両解説
電動二輪車の歴史はかなり古く、はっきりとした記録はないが1900年代にはすでに誕生したといわれている。国内でも終戦後の1950年代に試作的なモデルが登場している。広く知られる市販車としては1974年に発売された三輪スクーター、ダイハツハローBCあたりからだろうか。その後長いブランクを経て1993年にヤマテ工業がES600を発売するが、50ccスクーターが10万円台で購入できた時代に50万円近い価格と、低い航続力では勝負にならず短命に終わっている。
国内4メーカーとして初の量産電動スクーターは1994年にホンダからCUV ESが登場。しかし一般向けではなく公官庁向けのリース用だった。この頃から近未来の動力として一般にも認識されるようになり、モーターショーには毎回コンセプトモデルが発表された。
一般向けの量産電動スクーターとして最初のモデルは、2002年に11月ヤマハに発売したパッソル。爆発的に売れた初代パッソルを近未来的にしたような、ライトでファッショナブルなスタイルで、50ccスクーターよりやや高い20万円という価格で発売。当初は関東地区限定発売であったが、翌年から全国で発売され、二輪車としては初めて省エネ大賞・資源エネルギー庁長官賞を受賞している。2004年5月には脱着式のリチウムイオン電池を搭載した独特のデザインのコンパクトなEC-02と、モデルチェンジ版で大容量バッテリーを採用したパッソルLを発売した。2010年にはパッソルの後継モデルとなるEC-03を発売するも、電動二輪車が爆発的に広がることはなかった。しかし電動コミューターも「使える」と一般に認識されるようになっていく。
その後は50ccスクーター市場時代が、皮肉にもヤマハパスを始めとした電動自転車の大躍進により減退化していったが、2014年12月には新型モーターと新型リチウムイオン電池を、50ccスクータービーノモルフォの車体に搭載した新世代電動スクーターE-VINOを台湾で発売。2015年8月からは国内市場にも導入(国内ではE-Vino)、お笑い芸人がツーリングするテレビ番組も放映されて広くお茶の間に知れ渡った。2019年には台湾で新型のEC-05も発売されている。
そして今回、ヤマハ電動スクーターとしてはパッソル、EC-02、EC-03、E-Vinoに続く第5弾としてJOG Eの発売が発表された。交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック イー)」をヤマハとしては初めて採用。本体のみの発売でバッテリーはGachaco(ガチャコ)が提供するバッテリーシェアリングサービスを利用するため、まずはバッテリーステーションの多い東京都と大阪府で先行販売される。80年代快速スクーターとして若者の高い支持をJOGのネーミングどおり、ライト感覚のスポーティなデザインで、後輪ホイールにモーターを内蔵、航続距離は1充電あたりの走行距離53km。前後連動ブレーキ、LEDの灯火類、USB-Aの充電ソケットなどを装備。カラーはダークグレーとライトグレーの2色をラインアップ。
YAMAHA ニュースリリースより (2025年11月19日)
「エレクトリックコミューター「JOG E」(原付一種)地域限定先行発売 ~当社として国内初のバッテリーシェアサービス採用二輪車~
ヤマハ発動機販売株式会社は、電動スクーターの市販モデル「JOG E(ジョグ イー)」を2025年12 月22日に東京・大阪の地域限定で先行発売します。
「JOG E」は、動力用電源に交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック イー)」を当社として二輪車に初めて採用した原付一種クラスの電動スクーターです。今回は車体の みの販売のため、利用に際して「Gachaco(ガチャコ)※1」が提供するバッテリーシェアリングサービスの 契約が必要です(有償)。現在、Gachacoステーションが、東京都(42カ所)、埼玉県(2カ所)、大阪府 (7カ所)に設置されていることから、販売は東京都と大阪府のヤマハEV取扱店のうち、Gachaco取扱 店のみで行います※2。なお、2026年後半には、バッテリーと充電器をセットした、通常販売を予定して います。
「JOG E」の主な特徴は、1)ストップ&ゴーの多い街中での移動に適した走行性能、2)使いやすさを 考慮した装備の充実、3))これまでのヤマハスクーターで築いてきた普遍的なデザイン要素とEVとし ての先進性を組み合わせたスタイリングなどです。
ヤマハ発動機では、全社環境目標として 2050 年までに、スコープ 3.※3 のカテゴリー11「製品使用によ る排出量」におけるカーボンニュートラルを、マルチパスウェイの方針で削減することを掲げています。こ のたびの日本市場への「JOG E」投入は、この全社環境目標達成に向けた取り組みのひとつです。
- ※1 Gachacoは、電動バイク(EVバイク)のバッテリーを街中のステーションで「交換」できるサービスを提供する企業。ENEOSホールディングスと国内 大手バイクメーカー(本田技研工業、カワサキモータース、スズキ、ヤマハ発動機)が出資して設立
- ※2 「JOG E」販売店一覧は2025年12月5日公開予定
- ※3 事業所や工場、エネルギー購入を含む企業活動における排出(スコープ1.2.)以外での、製品使用や原材料調達を含むその他の排出
- 名称
- JOG E
- カラー
- ・ディグニファイドグレーメタリック (ダークグレー/新色)
- ・コンクリートグレー (ライトグレー/新色)
- 発売日
- 2025年12月25日
- メーカー希望小売価格
- 159,500円
- 本体価格 145,000円 消費税 14,500円
- ※メーカー希望小売価格(リサイクル費用含む)には、バッテリー、充電器、保険料、税金(除く消費税)、登録などに伴う諸費用は含まれていません。
- ※本モデルはデジタル化推進および、環境配慮の観点から紙のカタログを製作しておりません。製品情報は下記 Web サイトよりご確認ください。 ■製造事業者:本田技研工業株式会社 ■製造国:中国
- JOG E 製品サイト: https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/lineup/joge/
- 【企画について】
-
当社が 2002 年に量産初の電動二輪車「Passol(パッソル)」を国内限定発売して以降、環境保全機運の高まりやシェアリングサービスの定着などを背景に、新規参入モデルも増え、電動二輪車は日常 に根付いたモビリティとなっています。
今回の「JOG E」は、2025 年 11 月から 50cc 以下の原付バイクに新たな排出ガス規制が適用され ることを背景に、電動スクーターの新スタンダードモデルとして企画されました。ヤマハ発動機は、 2018 年 3 月からこれまで、本田技研工業株式会社から 50cc 原付スクーターの OEM 供給を受けてき ました。また両社は 2024 年 8 月、多くのニーズに応える電動二輪車を提供していくため、共通仕様の 交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」を動力用電源とする車両の OEM 供給について合 意。今回その第 1 号として「JOG E」を地域限定で先行発売します。
「JOG E」のような電動モデルを投入することで、環境規制をクリアしつつ、持続可能な社会の実現 に貢献するとともに、変化する市場ニーズを捉え新たな価値の創出を目指します。 - 【「JOG E」の主な特徴】
- 1)日常使いに適した走行性能と航続距離
- 後輪にコンパクトなインホイールモーターを採用しました。パワーコント ロールユニットがモーター出力を効率的に制御することで、1 充電あたり の走行距離 53km(30km/h 定地走行)を実現。ストップ&ゴーの多い街中 での移動に適した走行性能を備えています。また、「Gachaco」が提供する バッテリーシェアリングサービスを利用することで、充電にかかる待ち時 間なく利用可能です。
- 2)使いやすさを考慮した装備の充実
- 前後連動ブレーキシステム、LED を採用したランプ類、視認性に配慮し たフルデジタルメーター、Honda Mobile Power Pack e:を 1 個搭載し小物 の収納が可能なシート下スペース、USB Type-A 端子に対応した充電ソケ ットを備えた 500ml ペットボトルが収納できるフロントポケットなど、日常使 いに便利な装備を充実しています。
- 3)ヤマハスクーターで築いてきた普遍的なデザイン要素と EV の先進性を融合
- ライダーと JOG E の視覚的な一体感と、ハンドル操作に合わせてヘッド ランプが進む方向を照らしてくれる機能性、車体前から後ろへ流れるサイ ドラインなど、歴代のヤマハスクーターに共通する人機官能を意識した普 遍的なスタイリングと、リアのデカール等で表現されるグラフィカルなバー チカルラインのジオメトリックな組み合わせによる先進性を融合していま す。
- カラーリングは、“ダークグレー”と“ライトグレー”の 2 色です。“ダークグ レー”は、汎用性を考慮したブラックの車体色に、E-Vino や E01 から引き 継がれたシアンを差し色としてグラフィックに採用。ヤマハ EV スクーター の系譜を継承したカラーです。一方“ライトグレー”は、ソリッドなグレーで 素材感を演出。個性を主張しながらも、加飾を排したパッケージングで幅 広い層に受け入れられるカラーです。
主要諸元
| 車名型式 | ZAD-EY01 | |
|---|---|---|
| JOG E | ||
| 発売日 | 2025年12月22日 | |
| 全長×全幅×全高(mm) | 1,795×680×1,140 | |
| 軸間距離(mm) | 1,300 | |
| 最低地上高(mm) | 135 | |
| シート高(mm) | 740 | |
| 車両重量(kg) | 93(バッテリー装着) | |
| 乾燥重量(kg) | – | |
| 乗車定員(人) | 1 | |
| 燃費消費率(km/L)- | -(国交省届出 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)- | |
| -WMTCモード値 クラス3 サブクラス3-2 1名乗車時)- | ||
| 登坂能力(tanθ) | – | |
| 最小回転半径(m) | 2.0 | |
| エンジン型式 | EY01M | |
| 交流同期電動機 | ||
| 定格出力 | 0.58kW | |
| 内径×行程(mm) | -×- | |
| 圧縮比 | – | |
| 最高出力(kW[PS]/r/min) | 1.7(2.3)/540 | |
| 最大トルク(N・m[kgf・m]/r/min) | 90(9.2)/25 | |
| 燃料供給装置形式 | – | |
| 始動方式 | – | |
| 点火方式 | – | |
| 潤滑油方式 | – | |
| 潤滑油容量(L) | – | |
| 燃料タンク容量(L) | – | |
| クラッチ形式 | – | |
| 変速機形式 | – | |
| 変速比 | 1速 | – |
| 2速 | – | |
| 3速 | – | |
| 4速 | – | |
| 5速 | – | |
| 6速 | – | |
| 変速比 | – | |
| キャスター(度) | 27°00′ | |
| トレール(mm) | 77 | |
| タイヤサイズ | 前 | 90/90-12 44J(チューブレス) |
| 後 | 100/90-10 56J(チューブレス) | |
| ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ディスク |
| 後 | 機械式リーディング・トレーリング | |
| 懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
| 後 | スイングアーム | |
| フレーム形式 | アンダーボーン | |
※ 一充電走行距離は、定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状 態などの諸条件により異なります。一充電走行距離は、車速一定で走行した実測にもとづいた値です。





