Honda CB1000F 車両解説
コロナ禍で中止となった2020年のモーターサイクルショー。代わりにオンラインでおこなわれたHondaバーチャルモーターサイクルショーで初めて姿を現したCB-Fコンセプト。市販前提ではなく、あくまでも「CBの”守り抜くこと・変革すること”を徹底的に議論し、導き出した提案のひとつ」というコンセプトモデルであったが、CBシリーズの中でも人気の高いCB-Fをオマージュしたデザインは、カワサキZ900RSやスズキのカタナといったレジェンドモデルが、現代の姿になって人気を博していることもあって、市販化への期待が膨らんだ。
その願いが叶ったのは2025年春のモーターサイクルショー。CB-Fコンセプトを市販化に向けて煮詰めたコンセプトモデルが発表された。そして鈴鹿8耐ではデモンストレーション走行シーンが披露され、市販化に向けて大きな話題となっていたCB1000F。いよいよ市販が発表された。
エンジンはスーパースポーツ系の999cc水冷4ストロークDOHC4気筒をベースに、バルブタイミング、リフト量を変更したカムシャフトを採用。ミッションは1、2速をローレシオ化、トルクフルでも扱いやすく、市街地から高速巡航時まで幅広いライディングフィールを実現したという。フレームはシートレールを専用設計とし、タンデム時の居住性や積載性も考慮した。サスはフロントにSHOWA製SSF-BP倒立フォーク。リアは分離加圧式シングルチューブタイプ。ブレーキはフロントΦ310mmフローティングダブルディスク+NISSIN対向4ポッドラジアルマウントキャリパー、リアにΦ240mmシングルディスク+NISSIN1ポッドキャリパーを装着。ライディングモードは「SPORT」「STANDARD」「RAIN」に加え、ユーザー設定可能な2モードを備え、好みに合わせた特性が選択可能。5インチフルカラーTFT液晶メーターはスマホと連動したHonda RoadSyncも採用。ミニカウルや専用カラーステッチシートを採用したCB1000F SEもラインアップ。CB1000Fがイメージカラーともいえるウルフシルバーメタリック(ブルーストライプ)とウルフシルバーメタリック(グレーストライプ)、グラファイトブラックの3色を設定、2025年11月14日発売 1,397,000円。CB1000F SEはウルフシルバーメタリック(ブルーストライプ)を設定、2026年1月16日発売 1,595,000円。
★ホンダ ニュースリリースより (2025年10月10日)
大型ロードスポーツモデル「CB1000F」「CB1000F SE」を発売
Hondaは、水冷・4ストローク・DOHC・直列4気筒・999cm3エンジンを搭載した、大型ロードスポーツモデル「CB1000F」を11月14日(金)に、「CB1000F SE」を2026年1月16日(金)にHonda Dreamより発売します。。
- -スーパースポーツモデルのエンジンをベースに、幅広いシーンで扱いやすさ、快適さを目指したパワーユニット
- -市街地からツーリングまで、さまざまなシーンで軽快かつ安心感のある運動性能を追求した車体
- -CBの持つ歴史と先進性、力強さを表現したスタイリング
- -Honda RoadSync※1機能を搭載した5インチフルカラーTFT液晶メーターを標準装備
- -CB1000Fをベースに、ヘッドライトカウルや専用カラーステッチシートなどを装備したCB1000F SEをタイプ設定
CB1000Fは、Hondaを代表するプロダクトブランド「CB」のフラッグシップモデルとして、幅広いシーンでの操る楽しさや高揚感、さらには所有すること自体の満足感といったロードスポーツバイクの普遍的な価値を見つめなおし、Hondaスポーツバイクラインアップの「進化する基準」であるCBの最新の回答として具現化したモデルです。
CB1000F SEは、CB1000Fをベースに、トラディショナルなプロポーションをさらに引き立てるヘッドライトカウルの他、ラジエーターグリル、グリップヒーター、クイックシフター、専用カラーステッチシートを採用するなど、外観と装備の充実を図り、所有感のさらなる向上を目指した仕様としています。
- ●販売計画台数(国内・年間)
- シリーズ合計 5,000台
- ●メーカー希望小売価格(消費税8%込み)
- CB1000F
- 1,397,000円(消費税抜き本体価格 1,270,000円)
- CB1000F SE
- 1,595,000円(消費税抜き本体価格 1,450,000円)
- ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません
- ●主な特徴
- パワーユニット
- スーパースポーツモデルのエンジンをベースに、市街地で扱いやすいトルクフルな特性と、高速巡行時の落ち着いたライディングフィールを兼ね備えた、幅広いシーンで力強く軽快なファンライドを満喫できる動力性能を目指しました。
バルブタイミングおよびリフト量を最適化した新設計カムシャフトを採用し、低回転から高回転まで、谷のないスムーズな出力特性としています。また、左右2気筒ごとに異なるバルブタイミングとすることに加え、エアファンネルを新設計し、低中回転域でのトルクフルなセッティングにするとともに、鼓動感のある重厚な排気音を目指しました。
トランスミッションは1、2速をローレシオ化することで駆動力を高めるとともに、低速時の取り回しやすさに配慮しています。また、高速巡航時のエンジン回転をおさえるなど、気負わず扱いやすい変速比としています。 - 車体
- 歴代モデルCB750F(1979年)の、フューエルタンクからサイドカバーを経てリアカウルに繋がる伸びやかなラインと、スムーズに連続する一体的なデザインをモチーフにすることに加え、最新の性能を備えた大排気量直列4気筒エンジンの持つ力強さを、幅方向の抑揚として表現したデザインとしています。
フレームはより幅広い使い勝手を想定し、シートレールを専用設計とすることで、タンデムライディング時の居住性や、積載性に配慮しています。
サスペンションは、フロントに倒立式のSHOWA(Astemo株式会社)製SFF-BP(セパレート・ファンクション・フロントフォーク・ビッグピストン)を採用。伸び側、圧縮側の減衰力とプリロード調整機構を装備することで、ライダーの好みやシチュエーションに合わせた設定が可能です。リアに分離加圧式シングルチューブタイプのクッションユニットと専用リンクレシオを採用。素直なハンドリングと軽快性、乗り心地の良さに寄与しています。
ブレーキは、フロントにΦ310mmのフローティングダブルディスクと、NISSIN(Astemo株式会社)製対向4ポットラジアルマウントキャリパーを、リアにΦ240mmシングルディスクとNISSIN製1ポットキャリパーを採用。
また、6軸IMUを採用することで、より正確なピッチング、ロール、ヨーの車体姿勢検知を可能とし、スロットルバイワイヤシステム(TBW)や、コーナリングABSなどの制御技術の精度を高めることに寄与しています。 - その他の装備
- 豊富な情報を見やすく表示する5インチフルカラーTFT液晶メーターや、車両とスマートフォンを連携※1させることで、ハンドルのセレクトスイッチや別売りのヘッドセットでの音声入力が可能となり、音楽再生やナビゲーションなどアプリの操作ができるHonda RoadSyncを標準装備しています。また、市街地からワインディングまで幅広いシチュエーションや路面状況に合わせて好みの出力特性を選択できるライディングモード※2を搭載しています。加えて、Honda SMART Keyシステムを採用し、スマートキーを携帯して車両に接近することで、スマートキー自体を取り出すことなく、メインスイッチノブの解施錠が可能です。
- サステナブルマテリアルの適用
- Hondaは、環境負荷ゼロ社会の実現に向けて、2050年のサステナブルマテリアル率100%を目指し、資源採掘をできる限り削減することに取り組んでいます。CB1000Fでは、自動車や家電などの製造過程や成形過程において発生する余分な樹脂をリサイクル材としてリアフェンダーおよびシート底板に使用することにより、省資源化に寄与しています。
- カラーリング
- カラーリングは、1980年代に北米のレースシーンで活躍したCB750Fのカラーリングと、初代CB750Fのストライプをモチーフとしました。
CB1000Fは、ウルフシルバーメタリック(ブルーストライプ)、ウルフシルバーメタリック(グレーストライプ)、グラファイトブラックの3色設定。
CB1000F SEは、ウルフシルバーメタリック(ブルーストライプ)の1色設定としています。 - ※1 運転中のスマートフォン本体の操作はおやめください。Honda RoadSyncのご利用には専用アプリのインストールが必要です。アプリごとにそれぞれご利用いただけるコンテンツが異なります。Honda RoadSyncの機能に関する詳細および対応OSバージョン、対応アプリについては、Honda RoadSync関連ホームページ(https://global.honda/jp/tech/Honda_RoadSync/)またはスマートフォンアプリご案内ページ(https://global.honda/en/voice-control-system/ja-top.html)をご覧ください
- ※2 パワー(P)、エンジンブレーキ(EB)、HSTC/ウィリーコントロール(T)の制御レベルを組み合わせた、「STANDARD」「SPORT」「RAIN」に加え、任意の制御レベルを選択保存可能な「USER」の各モードを採用
- なお、CB1000F、CB1000F SEは2025年10月29日より開催される「Japan Mobility Show 2025(ジャパンモビリティショー)」(プレスデー:10月29日~30日、一般公開日:10月31日~11月9日)のHondaブースにて展示します。
主要諸元
車名型式 | 8BL-SC94 | |
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CB1000F〈CB1000F SE〉 | ||
発売日 | 2025年11月14日〈2026年1月16日〉 | |
全長×全幅×全高(mm) | 2,135×835×1,125〈1,170〉 | |
軸間距離(mm) | 1,455 | |
最低地上高(mm)★ | 135 | |
シート高(mm)★ | 795 | |
車両重量(kg) | 214〈217〉 | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※3 | 26.0(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 1名乗車時)※4 | |
17.9(WMTCモード値★ クラス3-2 1名乗車時)※5 | ||
最小回転半径(m) | 2.8 | |
エンジン型式 | SC94E | |
水冷 4ストローク DOHC4バルブ直列4気筒 | ||
総排気量(cm3) | 999 | |
内径×行程(mm) | 76.0×55.1 | |
圧縮比★ | 11.7 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 91[124]/9,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 103[10.5]/8,000 | |
燃料供給装置形式 | 電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)> | |
始動方式★ | セルフ式 | |
点火方式★ | フルトランジスター式バッテリー点火 | |
燃料タンク容量(L) | 16 | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17M/C (58W) |
後 | 180/55ZR17M/C (73W) | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ダブルディスク |
後 | 油圧式ディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式(倒立サス/ビック・ピストン・フロントフォーク) |
後 | スイングアーム式(プロリンク) | |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
■道路運送車両法による型式認定申請書数値(★の項目は Honda 公表諸元)■製造事業者/本田技研工業株式会社
※3 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
※4 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
※5 WMTC モード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます