すっかり春の祭典感がマシマシになった大阪&東京「モーターサイクルショー」。本邦初公開のニューモデルあり、実物を初めて見る、ってカスタムバイクあり、欲しかったウエアもヘルメットもあり──見るものテンコ盛り、欲しいもの全開の、モーターサイクルショーは今年も大漁祭りとなりました。盛沢山すぎてぜんぶはフォローできていないかもしれませんが、大漁祭り、ごらんください。まずは国産車編です。
■取材・文:中村浩史 ■撮影:森 浩輔
<Honda>
今回のホンダの、いやモーターサイクルショーの目玉となったのは、ついに市販前提(でしょう、きっと!)として発表されたCB1000Fコンセプト。CBR1000RR系の水冷並列4気筒エンジンを搭載するホーネット1000をベースに製作されたストリートスポーツで、このスタイリングはまごうことなく、ホンダの財産「F」。
2020年に公開された「CB-Fコンセプト」とは、似ていてもまるで違うスタイリングスタディで、今回は生産のこともコストのことも考えられた、充分に市販が期待できるものに見えました。CB1300SF系のファイナルエディション車と同じ空間に展示されていたということは、やはりこれが新世代CBなのでしょう。ホンダの並列4気筒を積むストリートスポーツはこうでなくっちゃ! でも、そう思わない人はホーネットをどうぞ!ということなんだと思います。
来春正式発表、来秋発売開始、ってセンでどうかなー^^
ブース入り口にデーンと鎮座していたレブル、のこれはEクラッチ車。クラッチレバーはあるものの、レバー操作なく発進、走行、停止まですべてが可能なEクラッチは、CB/CBR650で実用化されたけれど、こういった小排気量、キャリアが浅いライダーが乗りたいモデルにこそふさわしい!
CB/CBR650のEクラッチのカットエンジン。このシステムの素晴らしいところは、従来のノーマルクラッチを大改造せずに、アクチュエーターやモーターの追加でユニットを装備して実現できることで、もちろん価格もリーズナブル。レブルの場合はノーマル+5万円で発売していることです。
最新スポーツラインのホーネットの、これは並列2気筒を搭載したホーネット750。91PSというスゴすぎないパワー、200kgを切る軽量な車体、車両価格100万円アンダーのベーシックスポーツ。ベーシックと言ったって、じゅうぶん速い、俊敏なスポーツバイクです。
最新ホーネットの1000ccバージョンは、CBR1000RR系の並列4気筒を搭載。ホンダの最強エンジンをストリートでも味わえるスポーツバイクで、日本ではCB1000Fに人気をさらわれちゃいそうですが、特にヨーロッパではホーネット1000が超人気なんです。
2024年のミラノショーで公開された、世界初の電動過給機V型3気筒エンジンも日本初登場。ホンダがエンジンだけをショーで先行公開するなんてなかなか例がなく、このエンジンはどんなモデルに進化していくの? レース由来じゃない超絶スーパースポーツ? ストリートスポーツ?
<YAMAHA>
ヤマハブースの注目モデルは、昨年の全日本ロードレース・MFJグランプリで世界初公開されたYZF-R9。MT-09の並列3気筒エンジンを使用したスーパースポーツで、2025年からのワールドスーパースポーツ600にも参戦、デビューウィンも飾った世界注目株です。とはいえ、開発陣はR9を「がりがりのスーパースポーツ」として作ったわけではなく、MT-09の「モアスポーツバージョン」という立ち位置の、街乗りにも使えるスーパースポーツなんだそうです。
そのベースモデルを軸に、高性能化を求めていっても応えてくれる素性を持たせた仕様で、車体設計や前後サスペンションなどはYZF-R1なみのクオリティ、けれどセパハンとはいえリラックスできるポジション、ハイパワーだけれど低回転からトルクがあって、回さなくても走る「CP3」エンジンを採用しているのです。まだ国内発売日も価格も未定、早く乗りたい「キツすぎない」新世代スポーツをみんな待っていました!
ブース入り口に展示されていた「またがり可能」なXSR900アクセサリー装着車の「ワイズギアオリジナルスタイル」車。25年9月まで予約できる日本限定色セラミックアイボリーカラーに、ビキニカウルとシートカウル(パーツ2点で税込み11万6600円)を装着。まるでニューモデル!
こちらもXSR900の、昔風に言えば「ミッドナイトスペシャル」。ブラックメタリックXの純正カラーをベースに、純正アクセサリーをメインに装着したモデルで、ホイールやタンクエンブレムのゴールドに合わせて、メインフレームやスイングアームにもゴールドラインを入れているのが新しい!
スカイブルーのホイール色が人気のMT-07。マニュアルクラッチ車MT-07と、クラッチレバーレスのハンドシフトマニュアルorオートマチックミッション切り替え可能のMT-07AMTがラインアップされる。クラッチレバーレスということは、自動二輪大型AT限定免許で乗れる、ということです。
AMTはMT-09にも装備されます。カラーリングのラインアップのせいか、パイプフレームとツインスパーフレーム、2気筒と3気筒という大きな違いがありながらも、MT-07とMT-09の兄弟モデルっぽさがスゴい。写真は純正アクセサリーのアクラポビッチ製フルエキ装着車。
XSR900GPをはじめ、またがりモデルも用意されたヤマハブース。写真は人がまばらですが、これはメディア時間帯の写真で、一般公開後はものすごい人があふれていました。注目はXSR900GPとY-AMTのシステムで、係員に質問しているお客さんが多かったですね。
<SUZUKI>
スズキ注目は2024ミラノショーで復活したスーパーモタード、DR-Z4SMとデュアルパーパスのDR-Z45でした。まだ詳細は明らかになっていませんが、ユーロ5+をパスした新世代水冷DOHC単気筒とスズキの電子統合制御の組み合わせで、早くもモタードファンが盛り上がっています! ユーザーの声に応えて登場!っていうより、スズキ発信で新しい流行を作り出そうという気概が見えるがイイです。さらにGSX-8Rとストリートファイター6のコラボ車も人気沸騰で、ストファイのジュリのイメージが8Rに再現されていました!
そして大発表は、昨年の鈴鹿8耐でも話題を呼んだ、スズキのワークスレース活動「CNチャレンジ」の継続が発表されたことです。新しいレースの形を模索するとして、世界のレース情勢をリードするサステナブル燃料や再生可能パーツを使用したマシンでの鈴鹿8耐参戦に、スズキファンは喜び、世界のレース関係者は注目する、という波が起きはじめています。
こちらはデュアルパーパス仕様のDR-Z4S。すっきりとしたスタイリングで、オフロードバイク、っていうヘビーデューティさが感じられないきれいなスタイリングですね。とはいえ、アドベンチャーよりもオフロード志向で、400ccのオフロード車を待っているファンにはゾクゾクものです。
人気ゲーム「ストリートファイター」(®カプコン)の登場キャラクター、ジュリの世界観を表現したGSX-8R。カラーリングだけでこのイメージを作り出せるっていうのは、ベースとなった8Rのもつスタイリングポテンシャルがあるからでしょうか。8Rとはまるで違うバイクに見えます。
壇上に展示されていたのは2024年の鈴鹿8耐で注目を集めたGSX-R1000R「CNチャレンジ」号。あれ? 2024年モデル? と思ったらウィングレットが育っている25年モデルバージョンでした。この活動をきっかけにMotoGP活動再開までつながって欲しい──がファンの願いです。
2025年のCNチャレンジには、元スズキMotoGP開発ライダーの津田拓也選手がプロジェクトメンバーとしてカムバック。本人にとっては2年ぶりのスズキワークスなレース活動です。
注目度の高さは、この写真でお分かりだと思います。発表の時間帯になったら、スズキブースは身動きが取れないほどの大渋滞となりました。みんなスズキのレース活動を待っているんです。
<Kawasaki>
硬軟おりまぜて、さらに変化球も見せてバラエティに富んでいたのがカワサキ。ブース入り口のいちばん目立つところには、「RS」ではないZ900がでんと鎮座し、SUGOMIデザインをさらに推し進めたNewスタイリングを公開。その対面には1100cc化されたハイスピードツアラーNinja1100SXを展示し、この2モデルが世界戦略車なのだとわかりますね。
またがりモデルを揃えたフロアには、Z900RSやKLX230シェルパ/SMに加え、カワサキ初のEVモデルであるNinja e-1があり、さらにメグロK3&S1も注目を集めていました。
また、カワサキブランドでもあるbimotaもKB4RC、Tesi H2 TERA、KB998Riminiが日本初登場。特に、ワールドスーパーバイクにも参戦を始めた998Riminiには、日本のスーパースポーツにはないオーラと美しさがふんだんに詰まっていて、細部をのぞき込むファンがたくさんいたのが印象的でした。カワサキ-メグロ-bimotaのファミリー、存在感増してきました!
あまりにも高いZ900RS人気に対して、日本では注目度が高くないZ900は、実はヨーロッパのベストセラー。スタイリングの変更と同時に、エンジンの細部変更を行ない、クイックシフターやクルーズコントロールなどを装備。日本でもっと人気が出ていいモデルだと思います。
ツアラーNinja1000SXは排気量を拡大して1100ccへ。写真は純正アクセサリーのパニアケースつきで、並列4気筒スポーツの快適ツアラーってキャラクラ―が得意なカワサキらしい完成度。国内仕様エリミネーター400に採用されたドライブレコーダーを標準装備していました。
ミザノサーキット近くのビーチリゾートの名を冠したKB998Rimini。ZX-10RRのエンジンを使用した限定500台のスーパースポーツ。先にWSBK出場車が発表されて、ミラーやヘッドライトを装着した998Riminiが発表されるというレーサーレプリカ的生い立ちが今は新鮮。
ビモータまさかのアドベンチャー! エンジンは200psをマークするスーパーチャージャーで、TESIの名の通りハブセンターステアリングを採用。超強力エンジンにセンターハブステアの組み合わせのアドベンチャーってどんな乗り味なんだろう、というワクワクがビモータならではです。
ビモータ×カワサキの第一号車となったKB4のネイキッドバージョンが、このKB4RC。ネイキッドとはいえかなりのボリュームだけれど、車両重量はまさかの191kg!という実にビモータらしいロードスター。ちなみに日本での発売価格はKB4が398万円なのに対し、RCは430万円。超絶スーパースポーツ? ストリートスポーツ?
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