2020年にスタートした『パラモトライダー体験走行会』が6年目を迎え、その2025年最初の回が開催された。この『パラモトライダー体験走行会』は、2度のWGP(GP125)世界チャンピオンを獲得した青木治親が理事を務める一般社団法人サイドスタンドプロジェクト(SSP)が行っているもので、身体に機能障がいを持つ方を対象にバイクに乗る体験の機会を設けている。
伝説のライダー兄弟として知られる青木三兄弟の次男・拓磨が事故で車いす生活を余儀なくされたのは1998年のこと。その拓磨を再びバイクに乗せるプロジェクトを成功裏に収め、これをもっと広く一般にも展開していくことを目指し創設されたSSPは、定期的にパラモトライダー体験走行会を開催し、障がいがあってもバイクに乗る夢を追い続けるすべての人々を後押ししている。
昨年の3月以来の開催となったのが神奈川県平塚市にある平塚競輪場(ABEMA湘南バンク)での『パラモトライダー体験走行会』。2025年になって初の開催となる今回も50名ほどのボランティアスタッフが参加して開催された。前回は激しい降雨のため大テント下のステージ広場を使用しての走行会となったが、今回は天気にも恵まれ、場内にあるバスの転回場を使っての走行会となった。
バイクはもちろん、ヘルメットやプロテクターなどのライディングギアもSSPが用意する。ヘルメットにはサインハウスのインカム『B+COM』を装着し、スタッフと会話をしながら走行を行う。バイクが不安定になる発進と停止のタイミングでは、ボランティアスタッフがバイクを支えカバーする。今回は視覚障がいが2名、右下肢切断、左上肢麻痺という機能障がいを負った4名が参加したが、それぞれの障がいに合わせてバイクはカスタムを施されることになる。バイクは基本的には転倒を防止するアウトリガーを装着しているが、最初はエンジンをかけずに人力でバイクを押しながら、ブレーキやバランスのとり方などの走行の感覚を確認し、その後エンジンを掛けて実際の走行を行う。そしてバイクをしっかり扱うことができることが確認できると、今度は車両を傾けることができるアウトリガーに変更し、コーナリングの練習をしていくことになる。
4名の参加者それぞれに40分ほどの走行時間を用意。今回の参加者はいずれも何度も体験走行会に顔を出している面々ということもあり、ステップアップを目指す内容となっており、直線での走行だけでなく、コーナリングなどを実際に行ってみたりして各自の課題に取り組むこととなった。
今回は会場となった平塚競輪場からも、高木隆弘選手と安藤宜明選手という2名の現役選手がボランティアスタッフとして参加し、その脚力を活かして、バイクを押す担当として活躍してくれた。また体験走行会の締めくくりには平塚市公営事業部・木川大成部長も顔を見せ、今後も平塚競輪場での「パラモトライダー体験走行会」の開催協力の話をしてくれた。
一般社団法人サイドスタンドプロジェクト(SSP)は続く2025年4月21日(月)に神奈川県川崎市にある向ヶ丘自動車学校で『パラモトライダー体験走行会』が開催される予定。SSPでは、パラモトライダー体験を希望する障がいをお持ちの方、そしてこの活動を支えるボランティアスタッフも募集中だ。