Facebookページ
Twitter
Youtube

レース・イベント






2020年にスタートした『パラモトライダー体験走行会』が6年目を迎え、その2025年最初の回が開催された。この『パラモトライダー体験走行会』は、2度のWGP(GP125)世界チャンピオンを獲得した青木治親が理事を務める一般社団法人サイドスタンドプロジェクト(SSP)が行っているもので、身体に機能障がいを持つ方を対象にバイクに乗る体験の機会を設けている。

 伝説のライダー兄弟として知られる青木三兄弟の次男・拓磨が事故で車いす生活を余儀なくされたのは1998年のこと。その拓磨を再びバイクに乗せるプロジェクトを成功裏に収め、これをもっと広く一般にも展開していくことを目指し創設されたSSPは、定期的にパラモトライダー体験走行会を開催し、障がいがあってもバイクに乗る夢を追い続けるすべての人々を後押ししている。

 昨年の3月以来の開催となったのが神奈川県平塚市にある平塚競輪場(ABEMA湘南バンク)での『パラモトライダー体験走行会』。2025年になって初の開催となる今回も50名ほどのボランティアスタッフが参加して開催された。前回は激しい降雨のため大テント下のステージ広場を使用しての走行会となったが、今回は天気にも恵まれ、場内にあるバスの転回場を使っての走行会となった。

#SSP-Hiratsuka
2025年2月12日(水)、神奈川県平塚市にある『平塚競輪場(ABEMA湘南バンク)』でSSP(サイドスタンドプロジェクト)による38回目の『パラモトライダー体験走行会』が開催された。

#SSP-Hiratsuka
WGP(世界ロードレース選手権)のGP125クラスで1995年、1996年と2年連続で世界チャンピオンを獲得した後、2004年にオートレース選手に転身した青木治親がSSPの代表を務める。
#SSP-Hiratsuka
青木三兄弟の長男・宣篤はSSPテクニカルアドバイザーを務め、今回は参加できなかったが次男の拓磨はSSP専属パラモトライダーとなる。

 バイクはもちろん、ヘルメットやプロテクターなどのライディングギアもSSPが用意する。ヘルメットにはサインハウスのインカム『B+COM』を装着し、スタッフと会話をしながら走行を行う。バイクが不安定になる発進と停止のタイミングでは、ボランティアスタッフがバイクを支えカバーする。今回は視覚障がいが2名、右下肢切断、左上肢麻痺という機能障がいを負った4名が参加したが、それぞれの障がいに合わせてバイクはカスタムを施されることになる。バイクは基本的には転倒を防止するアウトリガーを装着しているが、最初はエンジンをかけずに人力でバイクを押しながら、ブレーキやバランスのとり方などの走行の感覚を確認し、その後エンジンを掛けて実際の走行を行う。そしてバイクをしっかり扱うことができることが確認できると、今度は車両を傾けることができるアウトリガーに変更し、コーナリングの練習をしていくことになる。
 4名の参加者それぞれに40分ほどの走行時間を用意。今回の参加者はいずれも何度も体験走行会に顔を出している面々ということもあり、ステップアップを目指す内容となっており、直線での走行だけでなく、コーナリングなどを実際に行ってみたりして各自の課題に取り組むこととなった。

#SSP-Hiratsuka
#SSP-Hiratsuka
SSPは単にバイクを持ち込むだけではなく接地する角度に違いを設けたアウトリガーを複数用意してレベルに合わせて安全に走行できるようにしている。またバランスを取るための自転車を用意してもいる。

 今回は会場となった平塚競輪場からも、高木隆弘選手と安藤宜明選手という2名の現役選手がボランティアスタッフとして参加し、その脚力を活かして、バイクを押す担当として活躍してくれた。また体験走行会の締めくくりには平塚市公営事業部・木川大成部長も顔を見せ、今後も平塚競輪場での「パラモトライダー体験走行会」の開催協力の話をしてくれた。

#SSP-Hiratsuka
#SSP-Hiratsuka
平塚競輪場からは毎回競輪選手がボランティアに参加するなど非常に協力的にこのイベントを支えてくれている。体験走行会終了後には、ボランティアスタッフに向け競輪場のコース見学も行われた。

 一般社団法人サイドスタンドプロジェクト(SSP)は続く2025年4月21日(月)に神奈川県川崎市にある向ヶ丘自動車学校で『パラモトライダー体験走行会』が開催される予定。SSPでは、パラモトライダー体験を希望する障がいをお持ちの方、そしてこの活動を支えるボランティアスタッフも募集中だ。

#SSP-Hiratsuka
#SSP-Hiratsuka
各ライダーが走行を終えるたびに全員が拍手でパラモトライダーを迎え、会場には常に笑顔があふれている。今回も無事に事故なくパラモトライダー体験走行会は終了した。

#SSP-Hiratsuka
#SSP-Hiratsuka
網膜色素変性症による視覚狭窄の金子裕二さんは前回のファインモータースクール上尾での体験走行から2回連続での参加となった。それまではバイクに乗っていたものの視野狭窄が始まってからは降りてしまっていて、公道再デビューに向けての練習を兼ねた参加となっている。すでに直線での走行は問題ないこともわかっており、今回は場内でコーナリングの練習を積極的に行っていた。「だいぶ慣れてきました。今日は直線だけでなくカーブも走れたし、不安はなくなってきました。次はサーキットでの走行体験をしたいですね」と語ってくれた。

#SSP-Hiratsuka
#SSP-Hiratsuka
網膜色素変性症によるによる視覚障がいを持つ竹村雄一さんは6回目の参加。前回が9か月ぶり、そして今回が1年2か月ぶりと間隔が開いてしまいながらも定期的にバイクに乗ってきている。「今回は車両の傾きを実感しましたし、傾いた車両を戻すこともできました。目が見えていたときと同じ感覚が戻り、今日は大きな収穫がありました。次こそはステップアップして袖ヶ浦のコースを周回してみたいです」とコメントしてくれた。

#SSP-Hiratsuka
#SSP-Hiratsuka
右のひざ下から義足の東方政幸さんはこれまで2回参加を予定していながら持病の糖尿病による体調不良で体験走行を断念した経緯があるが、3回目の今回ようやく初めての体験走行が実現した。「ミッションのバイクは5〜6年ぶり。アウトリガーもあるので体重移動ができなくてハンドル操作が怖かったし、すごく緊張した。2週間後には60歳になるので、その良い記念になった。次はシフト操作もして走行したい」とコメントしてくれた。

#SSP-Hiratsuka
#SSP-Hiratsuka
小山博幸さんは、バイクの事故で頸の神経根引抜き損傷により肩から下の左腕が全く動かすことができず感覚もほとんどない状態。小山さんのため、左手は左ハンドルに手を置くような形で固定し、右手側にクラッチレバーを移植するカスタムを施しての乗車体験となった。体験走行会は前回のこの平塚競輪場での参加以来、11か月ぶり2回目。今回も奥様の遺影に見守られながらの走行となった。「約1年ぶりで緊張しましたし、最初はちょっと恐怖心もありました。まだまだ勉強ですね。走行としては、前半は良かったのですが、後半は疲れてきちゃったこともあってダメでした。もっとしっかり体力づくりをして次回に臨みたいと思います」と語ってくれた。

#SSP-Hiratsuka
今回も50名ほどのボランティアスタッフが集結し、4名のパラモトライダーの走りを支えることとなった。次回のパラモトライダー体験走行会は4月21日(月)、神奈川県にある向ヶ丘自動車学校で開催を予定している。


[『寒さも吹っ飛ぶパラモトライダー体験走行会』へ]

[『第3回 やるぜ! 箱根ツーリング』へ]

[『体験走行会はバイクイベントとジョイント』へ]

[『ついに4メーカーのバイクが勢揃い!SSP in 袖ケ浦フォレストレースウエイ』へ]

2025/03/24掲載