高山さんのバイク承前啓後 第51回 ホンダ二輪車の読み方とは? その1
二輪車には、正しい読み方が分からない製品が多くあります。本やWEBを見ても読み方までは書かれていませんので、見る人それぞれで違っているかもしれません。メーカーの資料やカタログを見ても、読み方を書いているものはほとんどありません。これからは、AIによるナレーションも普及するはずですから、適切な読み方を共有していくことが必要になると思います。
特に、ホンダの二輪製品には独自の管理番号を車名に採用する時代がありましたので、読み方はひとつに絞ることはできないものもあります。以下は、諸先輩たちが語っていた内容を基に、広く定着している読み方を紹介させていただきます。これが正しい読み方に限定するものではないことを、あらかじめご了解ください。
【管理番号が車名になった製品】
ホンダの二輪車の製品名は、A型から始まり、B、C、Dと続きました。アルファベット順で進めますと、25車種程度で終わってしまいます。そこで、スーパーカブやCB750FOURの実質的な開発責任者を務めた原田義郎氏が考えたのが、管理番号でした。
50ccは100番台、125ccは90番台、250ccは70番台として、モデルチェンジやモデル追加すると、100は101、102となり、管理しやすくなるという方法です。最初に製品名に管理番号が採用されたのは、1957年の250ccモデルC70のようです。では、主な製品を紹介いたします。
=250ccクラス=
=125ccクラス=
=50ccクラス=
1960年前後のホンダでは、このような独自のシステムで製品名称が決められていましたが、お客さまからは分かりにくい面もありました。そのため、1966年頃からは排気量を製品名に付けることで統一されました。
CB72のモデルチェンジモデルは、CB250(シービー ニヒャクゴジュウ)になり、読み方で迷うこともなくなりました。CB92はCB125(シービー ヒャクニジュウゴ)に、そしてスーパーカブC100は、スーパーカブC50(シー ゴジュウ)へと進化しました。
一部のレースマニアは、250をツーフィフティ、125をワンツーファイブと読む人もいますが、日本では定着していないようです。
=ワークスマシン編=
各社ともに、車名に排気量を付ける場合は少ないようです。ホンダは、一般市販車に採用した管理番号を継承していますが、排気量毎に決められた番号はワークスマシン独特の仕組みとなっています。
- ・50ccクラス 110番台
- ・125ccクラス 140番台
- ・250ccクラス 160番台
- ・350ccクラス 170番台
- ・500ccクラス 180番台
ホンダのOBやレーシングライダーの方々は、数字をそのまま読むことが多かったのですが、RC142を「アールシー ヒャクヨンジュウニ」と読むOBもいらっしゃいました。どちらが正しい読み方なのかは、資料に残されていないようです。
憶測ですが、騒音に包まれた緊迫のレース現場では、確実に伝わるように呼んでいたのだと思います。その場で言いやすい、聞きやすい車名が、その時の正しい読み方だったのだと思います。
現在のMotoGPの参戦マシンRC213Vは、「アールシー ニイイチサンブイ」と読みます。2002年にスタートしたMotoGPクラス用に開発したワークスマシンは、RC211V「アールシー ニイイチイチブイ」でした。このマシンの211は管理番号ではなく、意味が込められていました。
RCは、1950年代から続くホンダのワークスマシンを意味しています。「211」は21世紀におけるグランプリマシンの一代目であり、末尾の「V」は、5気筒の5を示すギリシャ文字、そしてV型エンジンVICTORYの頭文字という三つの意味があります。
2007年は、レギュレーションの変更で排気量が800ccになりました。ホンダが開発したマシンは、二代目にあたりますからRC212V(ニイイチニイブイ)と名付けられました。エンジンは、V型5気筒からV型4気筒に一新されました。VはV型とVICTORYの二つの意味を持つことになりました。
その後、2012年に排気量が1000ccに変更され、三代目にあたるRC213Vに生まれ変わりました。エンジンは、4ストロークV型4気筒を継続しています。
二輪車のネーミングは、時代とともに変わってきました。現在は、電動化の進展で記号にEやeが付けられています。各社ともに、電動の新製品の資料には、読み方を明記してネーミングの浸透を図る努力が見られます。
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