ホンダ グロム 車両解説
斬新で個性的なデザインのいわゆる“FUNバイク”として2013年6月に国内で発売開始されたグロム。その年の1月に「MSX125」としてタイで生産が開催され、同国内で発売されたモデルを日本市場へも導入したもので、国内の原付二種ブームに合わせて125ccクラスのラインナップを充実させるための戦略モデルでもあった。
グロムの開発コンセプトは、“ジャストサイズ&魅せるスペック”。スチール製のモノバックボーンを採用したシンプルでコンパクトな車体に、これまたシンプルな空冷4ストロークOHC、125cc単気筒を搭載。このエンジン、MSX125発表時の説明では「Wave125iなどに採用し、扱いやすさや燃費の良さで定評を得ている空冷4ストロークOHC単気筒125ccエンジン」とされていた。Wave125iとは、17インチホイールを履くいわゆる“タイカブ”だ。このエンジンをベースに4速マニュアルミッションと組み合わせたものだった。
スタイリングは、「コンパクトで親しみやすいサイズとしながら、ボリューム感と躍動感が強調され、遊び心にあふれたもの」とされていた。ちなみに、ホイールベース比でモンキー(旧)よりも約30cm長く、エイプ100とほぼ同サイズ。横型シリンダーエンジンに載せ替えたマッチョで筋肉質なエイプといったところ。また、車格に合わせてワイドサイズの前・後12インチタイヤや、倒立タイプのフロントフォーク、前・後ディスクブレーキなどの本格的な装備も採用していた。
ちなみにグロムの名称は北米仕様と共通で、grommet(留め具などの隠しフタ)を語源とし、アメリカではストリーム系の若者を指すスラングとして用いられている言葉なのだそうだ。ホンダのFUNバイクなので「ライノゥ」とか、「ヒッポ」みたいなお猿さん系の名前も期待されていたが。
2014年4月には、初のマイナーチェンジが行われ、車体各部のカラーリングの変更と、新色が導入された。ホイール、前・後のブレーキキャリパー、そしてサイドカバーガーニッシュにゴールドカラーを採用。車体色と同色を施したシートカウル、ヘッドライトステーが装備された。カラーは、新色の「パールヒマラヤズホワイト」、継続色の「アステロイドブラックメタリック」、「パールバレンタインレッド」という3色の設定となった。
2015年3月のマイナーチェンジもカラーとロゴマークの変更で、「パールバレンタインレッド」の代わりに「マリゴールドイエロー」の新色が採用された。サイドカバーとリアカウルをマットブラックに、サイドカバーの「GROM」のロゴの拡大なども行われている。
2016年6月に新型へ生まれ変わったグロムは、FUNバイク的デザインから離れ、スポーツモデル寄りのスタイリングが与えられたことが最大の変更点だった。マフラーもダウンタイプとなり、また同時に新設計のLEDヘッドランプ、ヒンジ式のタンクキャップ、そしてホンダの二輪車では初のフォールディング機能付き“リトラクタブルキー”の採用なども行われた。
2017年7月には、新型グロムとなって初のカラーチェンジが行われ、「マットアクシスグレーメタリック」という精悍なイメージの新色を設定、従来からの「パールバレンタインレッド」、「パールヒマラヤズホワイト」と合わせて3色の設定となっていた。
2020年3月ののカラーリング変更では、スポーティーな「ロスホワイト」と、精悍な「マットアクシスグレーメタリック」の2色のカラーバリエーションとなった。
今回3代目に生まれ変わったグロムだが、変わったのは主にエンジンと外観デザイン。空冷4ストローク単気筒SOHC、123ccエンジンをより高圧縮比としながら、低フリクション技術を随所に採用し、最高出力の向上と優れた環境性能を両立している。また、5速トランスミッションも採用、変速比を最適化しスポーティな走りに対応させている。
スタイリングは「“遊び心”にあふれ、塊感のあるスタイリング」(ホンダリリースより)に一新。サイドビューのアクセントとして、カウル取付けボルト周辺に円形のガーニッシュを採用するとともに、存在感あるデザインのLEDヘッドライトを採用。また、ホイールはスポークを5本タイプとすることでより軽快感を表現。そして、シンプルな構造で脱着が容易なカウルやサイドカバーなど、メンテナンスやカスタマイズにも配慮している。
★ホンダ ニュースリリースより (2021年3月9日)
原付二種スポーツモデル「グロム」のエンジンと外観を一新し発売
Hondaは、個性的なスタイリングと軽快な走りが魅力の原付二種スポーツモデル「グロム」のエンジンと外観を一新し、3月25日(木)に発売します。
今回、新開発の空冷・4 ストローク・OHC・単気筒123ccエンジンを搭載。より高圧縮比としながら、低フリクション技術を随所に採用し、最高出力の向上と優れた環境性能を両立しました。また、市街地走行からショートツーリングまでさまざまなシチュエーションに対応するため、変速比を最適化した5速トランスミッションを採用。スポーツモデルとしての操る楽しさを追求しました。
外観は、“遊び心”にあふれ、塊感のあるスタイリングに一新。サイドビューのアクセントとして、カウル取付けボルト周辺に円形のガーニッシュを採用するとともに、存在感あるデザインのLEDヘッドライトを採用しました。また、ホイールはスポークを5本タイプとすることでより軽快感を表現しています。そして、シンプルな構造で脱着が容易なカウルやサイドカバーなど、メンテナンスやカスタマイズにも配慮しました。
足まわりには、制動時の安心感に寄与する1チャンネルABSを標準装備しています。
デジタルメーターには、ギアポジションインジケーターとREVインジケーターを追加し、使い勝手をより高めています。
車体色は、イエローをアクセントとした個性的なフォースシルバーメタリックと、街中にも映える落ち着いた印象のマットガンパウダーブラックメタリックの全2色のカラーバリエーションとしています。
- ●販売計画台数(国内・年間)
- 2,500台
- ●メーカー希望小売価格(消費税10%込み)
- 385,000円(消費税抜き本体価格 350,000円)
- ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません
主要諸元
車名型式 | 2BJ-JC92 | |
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グロム | ||
発売日 | 2021年3月25日 | |
全長×全幅×全高(m) | 1.760×0.720×1.015 | |
軸距(m) | 1.200 | |
最低地上高(m)★ | 0.180 | |
シート高(m)★ | 0.761 | |
車両重量(kg) | 102 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※1 | 63.5(国交省届出値 定地燃費値※2 60km/h 2名乗車時) | |
68.5(WMTCモード値★ クラス1 1名乗車時)※3 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転半径(m) | 1.9 | |
エンジン型式 | JC92E | |
空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ | ||
総排気量(cm3) | 123 | |
内径×行程(mm) | 50.0×63.1 | |
圧縮比★ | 10.0 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 7.4[10]/7,250 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 11[1.1]/5,500 | |
燃料供給装置形式 | 電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)> | |
始動方式★ | セルフ式 | |
点火方式★ | フルトランジスター式バッテリー点火 | |
潤滑油方式 | 圧送飛沫併用式 | |
潤滑油容量(L) | – | |
燃料タンク容量(L) | 6.0 | |
クラッチ形式 | 湿式多板コイルスプリング | |
変速機形式 | 常時噛合式5段リターン | |
変速比 | 1速 | 2.846 |
2速 | 1.777 | |
3速 | 1.315 | |
4速 | 1.034 | |
5速 | 0.843 | |
変速比 | 3.040/2.533 | |
キャスター(度) | 25°00′ | |
トレール(mm) | 81 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70-12 51L |
後 | 130/70-12 56L | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式シングルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | スイングアーム式 | |
フレーム形式 | バックボーン |
■道路運送車両法による型式認定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)
■製造事業者/Thai Honda Manufacturing Co., Ltd. 製造国/タイ 輸入事業者/本田技研工業株式会社
※1 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
※2 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
※3 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます