HONDA FORZA 車両解説
フォルツァ・シリーズは、2000年3月発売で初代フォルツァが登場し、後に250スクーターのベストセラーとなるフォルツァの歴史が始まっている。そして、2004年4月発売の2代目フォルツァ(PGM-FI新エンジン、Honda Sマチック搭載)、2006年3月/5月発売の2.5代目フォルツァ(マニュアル7速シフト、キックダウン機構、オートシフトモード等採用)、2007年12月発売の3代目フォルツァ(新設計の4バルブ単気筒エンジン採用)、2010年1月発売の3.5代目フォルツァ(S7モード追加)と続いており、第4代目は2013年7月発売の新型フォルツァ Si(シンプルでコンパクトな新型フレーム、低フリクションをさらに追及した新開発エンジン、フルフェイス2個収納可能なシート下トランクなど)と発展してきた。
この4代目フォルツァ Siでは、フレームからエンジンまで完全に一新、それまでの250スクーターのサイズや使い勝手というコンセプトまで見直されており、フォルツァシリーズの4代目というよりは、新たにスタートを切った新世代のフォルツァシリーズの始まり、初代といった方がふさわしいモデルだった。
その点で2018年7月に登場した新型フォルツァも5代目、というよりは、コンパクト化が図られた新世代のフォルツァ・シリーズの2代目ととらえた方がいいのかもしれない。それはともかく、現在のスクーター市場は125や150クラスの軽量・コンパクトなモデルが全盛を極めており、ヤマハのXMAXなどと共に250クラススクーターの復権がかかっているモデルといえよう。
6代目のフォルツァの特徴を一言で表せば、高い環境性能と優れた出力特性を実現した“eSP+”新設計エンジンの搭載だろう。車体周りでもフレームの一部を新設計し、ラジエター位置を燃料タンク後方から前方へ移動するなどによりエンジンの冷却効果のアップとフロントへの分担荷重を増加させ、車体の安定感や快適性を向上させるなどの変更が行われていたり、キープコンセプトながら各部のデザインをよりスポーティな形状への変更なども行われている。
★ホンダ ニュースリリースより (2021年3月09日)
軽二輪スクーター「フォルツァ」をモデルチェンジし発売
Hondaは、高い環境性能と優れた出力特性を実現した新設計エンジン「eSP+(イーエスピープラス)」※1を搭載し、フレームの一部を新設計するなどモデルチェンジを図った軽二輪スクーター「フォルツァ」を2021年3月25日(木)に発売します。
フォルツァは、2000年に初代モデルが発売されて以来、スタイリッシュな外観に、充実した装備や優れた利便性を兼ね備えたシティーコミューターとして幅広い層のお客様に支持されているモデルです。今回、フォルツァに搭載した新設計エンジンeSP+は、徹底したフリクション低減技術や、吸排気系を刷新するなど、より優れた出力特性と環境性能を高次元で両立させています。また、フレームの一部を新設計しラジエーター位置を燃料タンク後方から前方へ変更することで、エンジンの冷却効果とフロントへの分担荷重を増加させ、走行中の車体の安定感と快適性をさらに進化させました。さらに、電動式可動スクリーンの可動域の伸長※2による防風性能の向上や、別売りの純正アクセサリーに「トップボックス35Lスマートキーシステムタイプ」※3を新たに設定し、本機のスマートキーと連動させ解錠するなど、快適性と利便性をより追及しました。
※1 環境対応型スクーター用エンジン“eSP”に付加価値技術を採用することで、高い環境性能だけでなく、出力の向上と、フリクションの低減を実現し、高出力と優れた環境性能を併せ持つ新世代環境対応型スクーター用エンジンの総称です。eSPは、enhanced(強化された、価値を高める)Smart(洗練された、精密で高感度な)Power(動力、エンジン)の略です
※2 前モデルより可動域+40mm。全可動域180mm
※3 前モデルのHonda SMART Keyスマートキーシステムには非対応
- ●販売計画台数(国内・年間) 2,000台
- ●メーカー希望小売価格(消費税10%込み)
- 658,900円(消費税抜き本体価格 599,000円)
- ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません
- =新型フォルツァの主な特徴=
- ●高い環境性能と優れた出力特性を発揮する新設計エンジン「eSP+」
- エンジンは、新世代環境対応型スクーター用エンジンeSP+の249ccエンジンを搭載しています。eSP+は出力向上のために、4バルブ機構の採用や、ボア×ストロークの変更、クランクまわりの高剛性化、ピストンオイルジェットを採用しました。
吸気・排気ポートは完全新設計とし、吸気ポートは吸気効率の向上と燃焼効率タンブル流の強化を行い、排気ポートは湾曲した形状をより直線的な形状へ変更することで排気効率を向上させました。
また、エアクリーナーからインレットパイプまでを構成する各部品の吸気経路を拡大することで吸気効率を向上。マフラー内部の構造を3室から2室に変更することで、キャタライザーの配置やサイズを最適化し力強い走りと高い環境性能に寄与しています。
さらに、低燃費性能の進化のため、従来から採用されているフリクション低減技術に加えて、クランク室内の潤滑油などを吸引することで同室内における回転フリクションの低減に寄与するスカベンジポンプや、騒音や振動を抑制する油圧式カムチェーンテンショナーリフター、振動を低減させより快適な走行に寄与するバランサーシャフトを採用しています。 - ●走行中の安定感と快適性をより追求した車体・足まわり
- 車体は、各速度域における安定感と快適性をさらに進化させるため、フレームの一部を新設計としました。フレームの各部を構成するパイプ径や肉厚、材質と、これらの接合位置を見直しました。ラジエーターをフューエルタンクの前に配置したことで、効率的なエンジンの冷却を可能とするとともに、フロントへの分担荷重を増加させ、より安心感のある車体挙動に寄与しています。
また、無段階で調整可能な電動式可動スクリーンの可動域を従来モデルより40mm伸長し、全可動域を180mmとすることで、防風性能をより向上させました。
足回りは、優れた走破性へ寄与するアルミ製大径ホイールとブレーキング時の安心感を高める前・後輪に作用するタイプのABS※4は継続採用としています。 - ●充実した先進装備と利便性の高い各種機能
- 新たな先進装備として、ハザードランプを高速点滅させることで、急ブレーキをいち早く後続車に伝えるエマージェンシーストップシグナルや、フロント左側のインナーボックス内に、携帯端末の充電などに便利な「USBソケット」※5を採用。別売りの純正アクセサリーにHonda SMART Key システムと連動させることで、より便利にトップボックスの解錠を可能とした「トップボックス35Lスマートキーシステムタイプ」を新たに設定しました。また、Honda セレクタブル トルク コントロール(HSTC)※6、Honda SMART Keyシステムは継続して標準装備としています。
- ●進化した走りのイメージにあわせた存在感のあるスタイリング
- スタイリングは、進化した走りのイメージにあわせて各部をデザインしました。スポーティーな形状へ一新したミラー部のウインカーや、ヘッドライト下部分に設けたスポイラー形状の造形。各所に配置されたエアインテークとエアアウトレットなどを、アグレッシブなラインのボディー面でまとめることで、力強くよりスタイリッシュなデザインとしています。
カラーリングは、スマートでモダンな雰囲気を表現したパールホライゾンホワイト、アグレッシブな印象のマットガンパウダーブラックメタリックとともに、新たに、力強さと個性を表現した「インディーグレーメタリック」を追加し、全3色の展開としています。※4 ABSはライダーのブレーキ操作を補助するシステムです。ABSを装備していない車両と同様に、コーナー等の手前では十分な減速が必要であり、無理な運転までは対応できません。ABS作動時は、キックバック(揺り戻し)によってシステム作動を知らせます
※5 裏表問わず挿入可能なTYPE-Cコネクタ
※6 前後輪の車輪速センサーとスロットルポジションセンサーからの信号をもとに、燃料噴射量制御を行うことでエンジントルクを制御し後輪のスリップを抑制します。また、HSTCはスリップをなくすためのシステムではありません。あくまでもライダーのアクセル操作を補助するシステムです。したがって、Honda セレクタブル トルク コントロールを装備していない車両と同様に無理な運転までは対応できません
主要諸元
車名型式 | ホンダ・2BK-MF15 | |
---|---|---|
フォルツァ | ||
発売日 | 2021年3月25日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.145×0.750×1.360 | |
軸距(m) | 1.510 | |
最低地上高(m)★ | 0.145 | |
シート高(m)★ | 0.780 | |
車両重量(kg) | 186 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※7 | 41.5(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 1名乗車時※8) | |
33.2(WMTCモード値 クラス2-2 1名乗車時※9)★ | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転小半径(m) | 2.4 | |
エンジン型式 | MF15E | |
水冷4ストローク単気筒OHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 249 | |
内径×行程(mm) | 67.0×70.7 | |
圧縮比★ | 10.2 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 17[23]/7,750 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 24[2.4]/6,250 | |
燃料供給装置形式 | 電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)> | |
始動方式★ | セルフ式 | |
点火方式★ | フルトランジスター式バッテリー点火 | |
潤滑油方式 | – | |
潤滑油容量(L) | – | |
燃料タンク容量(L) | 11 | |
クラッチ形式 | – | |
変速機形式 | 無段変速式(Vマチック) | |
キャスター(度) | – | |
トレール(mm) | – | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70-15M/C 56P |
後 | 140/70-14M/C 62P | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式シングルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | ユニットスイング式 | |
フレーム形式 | アンダーボーン |
■道路運送車両法による型式認定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)
■製造事業者/Thai Honda Manufacturing Co., Ltd. ■製造国/タイ ■輸入事業者/本田技研工業株式会社
※ 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
※8 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
※9 WMTCモード値は、発進、加速、停⽌などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます