高山さんのバイク承前啓後 第56回 美しき排気系「Honda編 Part2」
二輪車のデザインについて、こだわる点は人それぞれですが、私はエキゾーストパイプからマフラーまでの排気系の美しさに感動を覚えます。
では、私が惚れ惚れするホンダの美しき排気系Part1につづき、1981年以降のPart2を紹介いたします。
●1981年 CT110
スーパーカブシリーズの歴史で燦然と輝くアップマフラーのCT110。ホンダのトレッキングバイク第3弾として発売されました(第1弾はシルクロード、第2弾はイーハトーブ)。エキパイとマフラーガードは、見ているだけで幸せになります。販売は短期間で終わってしまいましたが、「ハンターカブ」の愛称で根強い人気がありました。多くのファンの熱い想いに応えたのが、現在のCT125・ハンターカブです。
●1982年 FT400/500
アメリカで人気の高いフラットトラックレーサーのイメージを反映したモデル。ビッグシングルエンジンと、2エキゾーストパイプからつながるマフラーは精悍なブラック仕上げ。日本にはなじみのなかったフラットトラックレースですが、アメリカンモータースポーツをいち早く紹介したモデルとして、記憶に留めておきたいと思います。
●1987年 VFR750R(RC30)
世界耐久選手権の常勝マシン「RVF750」の技術を反映したレプリカマシンとして登場。当時としては、148万円という高価格でしたが、人気は沸騰。現在も根強い人気がありメーカーの手によって完璧な整備を行う「RC30リフレッシュプラン」が実施されています。フルカウルのためにエキパイは見えませんが、ストリップにした状態では、職人技のようなエキパイの取り回しが確認できます。見た目の美しさというよりも、機能美そのものだと思います。
●1987年 ブロス プロダクト・ワン/ツー
挟角のVツインエンジンを搭載した大人向けのロードスポーツとして登場。650ccのワンと400ccのツーをラインナップしていました。後傾のシリンダーから、とぐろを巻いているようなエキパイの取り回しやショートタイプのマフラーが絶妙な味を出しています。
●1987年 V45マグナ
1982年、ホンダ初のV型4気筒エンジンを搭載したVF750マグナとVF750セイバーが発売されました。ここから、ホンダのV4戦略がスタートしました。V45マグナは、同系のV4エンジンを継承しながらスタイリングを一新。高く引き上げられた左右2本ずつのマフラーが強烈でした。アメリカンモデルとは一線を画す個性的なスタイリングに魅入られました。
●1994年 RVF
V型4気筒400ccのレーサーレプリカマシン。RC30と同じくフルカウルのために排気系は隠されていますが、ストリップの状態ではV4らしいエキパイの取り回しが確認できます。ワークスマシンのRVF400を再現するために、マフラーを騒音測定に不利な左側に配置するなど、開発陣の熱量が半端ないモデルでした。
●1995年 VRXロードスター
Vツインエンジン搭載の400ccロードスター。マフラーは、右側に2本出しという特異なレイアウトにすることで、個性的なスタイリングに寄与していました。販売面は好調とはいきませんでしたが、私がPRを担当した思い入れのある機種なので選定しました。今でも街中で見かけると視線が釘付けになります。
●1996年 ホーネット
DOHC・4バルブ4気筒・カムギアトレーンの高性能エンジンは、4into1のアップマフラーから直4サウンドを奏でます。極太のリアタイヤとアップマフラーは、ホーネットならではのリアビューを演出していました。
●1997年 ドリーム50
DOHC・4バルブ単気筒50ccのエンジンは、往年の市販レーサーCR110の再来と評され、マニアを中心に高い支持を得ました。ツインエキゾースト、ツインマフラーは、50ccとは思えない風格も感じられ、磨き甲斐がある排気系でした。
●1997年 CB400 FOUR
レトロモダンのスタイリングで登場しました。1974年のヨンフォアと同じ車名のため、勘違いされるときもありましたが、4本マフラーが奏でるサウンドは、カタログのコピーどおり”4発が、聞こえる”味わい深いものでした。登場する時代が早すぎたのか、魅力が浸透する前に販売終了になってしまった悲運のモデルです。
【オフロード編】
●1962年 ドリームCL72
本格的なスクランブラーとして誕生した250cc2気筒モデルです。スリムで後方まで伸びたアップマフラーは、眺めているだけでも充実感がありました。日本のスクランブラーモデルの先駆けとして、長く語り継がれていく名車です。
●1970年 ベンリイSL90
OHC単気筒の本格的なトレールモデル。エキゾーストは美しい曲線を描いて下方に伸び、その後急角度で引き上げられたマフラーは、そのデザインから”コブラマフラー”と呼ばれました。このマシンで青春時代を過ごしたライダーは多いと思います。
●1973年 バイアルスTL125
日本のトライアル普及のために開発されました。とにかくスリムな車体は、これまで見たことのない独特なスタイリングでした。排気系は、スタンディングでのライディングや転倒でのダメージを最小限にとどめるため、徹底してスリム化を図りました。機能最優先から生まれた機能美そのものです。
【番外編】
今年の大阪/東京モーターサイクルショーで公開された2台のコンセプトモデルです。エンジンのレイアウトは異なりますが、どちらも造形美に魅了されました。
●電動過給機付きV型3気筒エンジンコンセプト
2024年のミラノショーで世界初公開。大阪/東京モーターサイクルショーでも異彩を放っていました。エキゾーストサウンドにも大きな期待が寄せられています。
●CB1000Fコンセプト
東京モーターサイクルショーの開発者&アンバサダー(丸山浩さん、梅本まどかさん)のトークショーでは、厳しい排出ガス規制と騒音規制をクリアしながらも、スリムで美しいエキゾーストシステムに仕上げることができたエピソードが紹介されました。アンバサダーの丸山さんは、右斜め後方から見たアングルがお気に入りとのこと。発売に向けて最終段階に入ったCB1000Fコンセプトは、とても楽しみな1台です。
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