Facebookページ
Twitter
Youtube

Q2

250と125の狭間で、忘れられた中間排気量 

125ccクラスの車体に250cc並みのパワーを持ったエンジンを搭載すれば、軽くて速いパワーウエイトレシオに優れたスポーツモデルが比較的安価に出来るのではと、かつてはラインアップに加えられていた150〜200ccクラスのスポーツモデル。輸出仕様を国内でも販売して、ラインアップを増やすということもあった。中にはヤマハSDRのように、全く新規で開発されたニューモデルもあったにはあったが、やはりマイナーな中間排気量クラスという呪縛からか大ヒットには至らなかった。16回の長きに渡って連載した2Qカタログの最終回は、レーサーレプリカだけではなく、1960年代後半からの忘れ去られた2ストローク中間排気量スポーツモデルをフューチャー。

1967年2月 YAMAHA 180CS1-E

125ccクラスの手軽さと250ccクラスの性能を併せ持った、コンパクトでパワフルなスポーツ・ツーリングモデルというコンセプトで製作された中間排気量モデル。当時のフラッグシップモデル350R1をトレースしたスタイルで、フレームは他モデルからの流用ではなく専用設計のダイヤモンドタイプ。エンジンはヤマハ最小の2気筒であったAT90のエンジンから発展して開発された125cc2気筒のAS1(RD125のご先祖様)のピストンバルブがベースだが、ボア、ストローク共に拡大。新たにアルミシリンダーを採用し、クラス初のセルも標準装備するなどほぼ別物といえる内容に。11月にウインカーが大型化されるなどマイナーチェンジ。クラス最高峰の出力と走行性能によりゼロヨン16.5秒、最高速度は140km/hを誇った。

YAMAHA 180CS1-E
●エンジン:空冷2ストローク2気筒ピストンバルブ ●総排気量(内径×行程):180cc (50×46mm)●最高出力:21ps/8000rpm ●最大トルク:2.0kg-m/7000rpm ●全長×全幅×全高:1920×765×1070mm ●軸距離:1245mm ●乾燥重量:120kg ●タイヤ前・後:2.50-18・2.75-18 ●車体色:キャンディレッド、スーパーブラック ●発売当時価格:169000円

1969年1月 YAMAHA スポーツ180CS2-E

第15回東京モーターショーで発表された180CS1-Eの後継モデル。スペック的な変更はないが、5ポートの新エンジンで低中速域をパワーアップして、250のDS6と同じスタイリングでモデルチェンジ。メーターもヘッドライト一体式から一般的なセパレートタイプとなった。アップマフラー、アップハンドルを装着したスクランブラータイプCS2-Cも展示されたが、こちらは輸出のみで国内では販売されなかった。

YAMAHA 180CS1-E
●エンジン:空冷2ストローク2気筒ピストンバルブ ●総排気量(内径×行程):180cc (50×46mm) ●最高出力:21ps/7500rpm ●最大トルク:2.05kg-m/7000rpm ●全長×全幅×全高:1920×770×1005mm ●軸距離:1245mm ●乾燥重量:118kg ●タイヤ前・後:2.75-18・3.00-18 ●車体色:カリフォルニアオレンジ ●発売当時価格:169000円

1971年1月 YAMAHA スポーツCS200E

DX250が発表された1970年の第17回東京モ-ターショーでお披露目されたCS2-Eの後継車は、車名を一新。エンジンは195ccに排気量をアップ。デザインはタンクラバーが廃止されたが、基本的にはCS2-Eを継承。排気量アップによりパワーアップしたのは間違いないが、排気量差が少なくなったことにより皮肉にも250クラスとの差別化があいまいになってしまい、200ccロードモデルはこの後しばらく途絶えてしまう。

YAMAHA 180CS1-E
●エンジン:空冷2ストローク2気筒ピストンバルブ ●総排気量(内径×行程):195cc (52×46mm) ●最高出力:22ps/7500rpm ●最大トルク:2.17kg-m/7000rpm ●全長×全幅×全高:1905×780×1085mm ●軸距離:1245mm ●乾燥重量:116kg ●タイヤ前・後:2.75-18・3.00-18 ●車体色:マリンブルー ●発売当時価格:174000円

1987年7月15日 YAMAHA SDR(2TV)

シングルシートの一人乗りという割り切った構造と、美しい造形のトラスフレームに、YPVS、YEIS付の水冷クランクケースリードバルブ単気筒195ccエンジンを搭載したライトウエイトスポーツ。6月に発売が予告されると大きな反響を巻き起こした。インパクトは大きかったのだが……11月にシートがグレーとなったシャイニーブラックが追加された。軽量な車体とそこそこパワーのあるエンジンでキビキビと走る、ヤマハらしい美しくコンパクトな2ストロークスポーツの魅力を引き出すバイクであったが、使い勝手という点が支持されなかったようで、残念ながら短命に終わってしまった。

SDR アップルレッド
SDR メルティンググリーン
SDR メルティンググリーン

SDR シャイニーブラック
SDR シャイニーブラック

●エンジン:水冷2ストローク単気筒クランクケースリードバルブ ●総排気量(内径×行程):195cc(66×57mm) ●最高出力:34ps/9000rpm ●最大トルク:2.8kg-m/8000rpm ●全長×全幅×全高:1945×680×1005mm ●軸距離: 1335mm ●乾燥重量:105kg ●タイヤ前・後:90/80-17・110/80-17 ●車体色:メルティンググリーン、アップルレッド ●発売当時価格:379000 円





1967年3月 SUZUKI T200

T21がT250と名称を改めた1967年、輸出モデルのT200を国内でも販売開始。
CCIを装備、フレームもパイプダブルクレードルと基本構成や装備などはT250の200cc版というスタンスで、スタイリングもよく似ている。クラス初の6速ミッションを採用したT20の後継車T21とは異なり、T200のミッションは5速で、最高速度は135km/h。

T200
T200
●エンジン:空冷2ストローク2気筒ピストンバルブ ●総排気量(内径×行程):196cc (50×50mm) ●最高出力:21ps/7500rpm ●最大トルク:2.09kg-m/7000rpm ●全長×全幅×全高:1925×765×1030mm ●軸距離:1255mm ●乾燥重量:132kg ●タイヤ前・後:2.75-18・2.75-18 ●車体色:- ●発売当時価格:165000円 

1974年1月 SUZUKI GT185

GT125よりもやや大きめの車体に、ラムヘアヘッドを持った専用設計の184cc2気筒ピストンバルブエンジンを搭載した輸出用の中間排気量スポーツで、1974年から国内でも発売された。セルを標準装備している。毎年カラーの変更をおこない販売されたが,基本構造やスペックは1976年モデルまでほぼ変更はない。最終型の1977年モデルはメーターデザイン、ヘッドライト、テールランプなどが変更されている。1978年にはRGシリーズに編入され、ニューデザインのタンクやシートカウルでスタイリングが変更された。1980年代前半まで販売された(最後はキャンディウイローグリーンのみ)GTシリーズでは、後まで販売されたラムエアヘッド付のモデルでもあった。

1974年 GT185 ブライトメタリックブルー
1974年 GT185 ブライトメタリックブルー

1975年 GT185 キャンディタヒチオレンジ、マウイブルーメタリック
1975年 GT185 キャンディタヒチオレンジ、マウイブルーメタリック

●エンジン:空冷2ストローク2気筒ピストンバルブ ●総排気量(内径×行程):184cc (49×49mm) ●最高出力:21ps/7500rpm ●最大トルク:2.1kg-m/6500rpm ●全長×全幅×全高:1950×770×1065mm●軸距離:1290mm ●乾燥重量:129kg ●タイヤ前・後:2.75-18・3.00-18 ●車体色:キャンディタヒチオレンジ、マウイブルーメタリック ●発売当時価格:210000円 ※諸元は1975年モデル

1976年 GT185 ジョイフルマルーンメタリック
1976年 GT185 ジョイフルマルーンメタリック

1976年 GT185 マウイブルーメタリック
1976年 GT185 マウイブルーメタリック

1977年 GT185 キャンディーローズ
1977年 GT185 キャンディーローズ

1977年 GT185 マウイブルーメタリック
1977年 GT185 マウイブルーメタリック

1978年 RG185 キャンディウイローグリーン
1978年 RG185 キャンディーウイローグリーン

1978年 RG185 キャンディーフロリダブルー
1978年 RG185 キャンディーフロリダブルー

●エンジン:空冷2ストローク2気筒ピストンバルブ ●総排気量(内径×行程):184cc (49×49mm) ●最高出力:21ps/7300rpm ●最大トルク:2.1kg-m/6000rpm ●全長×全幅×全高:1950×770×1065mm ●軸距離:1290mm ●乾燥重量:121kg ●タイヤ前・後:2.75-18・3.00-18 ●車体色:キャンディーフロリダブルー、キャンディーウイローグリーン ●発売当時価格:235000円 ※諸元は1978年モデル

1992年5月 SUZUKI RG200Γ

125クラスのコンパクトな車体に、パワフルなTS200R系の単気筒エンジンを搭載したライトウエイトスポーツ。やはり我が国で中間排気量は根付かないようで、SDRと同様、短命に終わってしまった。

RG200Γ ルージュレッド No.2
●エンジン:水冷2ストローク単気筒クランクケースリードバルブ ●総排気量(内径×行程):195cc(66×57mm) ●最高出力:35ps/9000rpm ●最大トルク:2.9kg-m/8000rpm ●全長×全幅×全高:2000×720×1080mm ●軸距離:1355mm ●乾燥重量:125kg ●タイヤ前・後:100/80-17・130/70-17 ●車体色:ルージュレッドNo.2 ●発売当時価格:485000円

1992年5月 SUZUKI WOLF200

250のWOLFと同様の手法で製作されたRG200Γのネイキッドバージョン。スイングアームはガルアームタイプではなく、一般的な角アルミ材に変更されている。

WOLF200 スペースブラック
WOLF200 スペースブラック

WOLF200 キャンディアンタレスレッド
WOLF200 キャンディアンタレスレッド

●エンジン:水冷2ストローク単気筒クランクケースリードバルブ ●総排気量(内径×行程):195cc(66×57mm) ●最高出力:35ps/9000rpm ●最大トルク:2.9kg-m/8000rpm ●全長×全幅×全高:2000×720×1025mm ●軸距離:1355mm ●乾燥重量:118kg ●タイヤ前・後:100/80-17・120/80-17 ●車体色:スペースブラック、キャンディアンタレスレッド ●発売当時価格:429000円



[青春のQ2カタログその15 SUZUKI 水冷編-2| その16 中間排気編(最終回)]





2020/10/16掲載