250と125の狭間で、忘れられた中間排気量
125ccクラスの車体に250cc並みのパワーを持ったエンジンを搭載すれば、軽くて速いパワーウエイトレシオに優れたスポーツモデルが比較的安価に出来るのではと、かつてはラインアップに加えられていた150〜200ccクラスのスポーツモデル。輸出仕様を国内でも販売して、ラインアップを増やすということもあった。中にはヤマハSDRのように、全く新規で開発されたニューモデルもあったにはあったが、やはりマイナーな中間排気量クラスという呪縛からか大ヒットには至らなかった。16回の長きに渡って連載した2Qカタログの最終回は、レーサーレプリカだけではなく、1960年代後半からの忘れ去られた2ストローク中間排気量スポーツモデルをフューチャー。
1967年2月 YAMAHA 180CS1-E
125ccクラスの手軽さと250ccクラスの性能を併せ持った、コンパクトでパワフルなスポーツ・ツーリングモデルというコンセプトで製作された中間排気量モデル。当時のフラッグシップモデル350R1をトレースしたスタイルで、フレームは他モデルからの流用ではなく専用設計のダイヤモンドタイプ。エンジンはヤマハ最小の2気筒であったAT90のエンジンから発展して開発された125cc2気筒のAS1(RD125のご先祖様)のピストンバルブがベースだが、ボア、ストローク共に拡大。新たにアルミシリンダーを採用し、クラス初のセルも標準装備するなどほぼ別物といえる内容に。11月にウインカーが大型化されるなどマイナーチェンジ。クラス最高峰の出力と走行性能によりゼロヨン16.5秒、最高速度は140km/hを誇った。
●エンジン:空冷2ストローク2気筒ピストンバルブ ●総排気量(内径×行程):180cc (50×46mm)●最高出力:21ps/8000rpm ●最大トルク:2.0kg-m/7000rpm ●全長×全幅×全高:1920×765×1070mm ●軸距離:1245mm ●乾燥重量:120kg ●タイヤ前・後:2.50-18・2.75-18 ●車体色:キャンディレッド、スーパーブラック ●発売当時価格:169000円
1969年1月 YAMAHA スポーツ180CS2-E
第15回東京モーターショーで発表された180CS1-Eの後継モデル。スペック的な変更はないが、5ポートの新エンジンで低中速域をパワーアップして、250のDS6と同じスタイリングでモデルチェンジ。メーターもヘッドライト一体式から一般的なセパレートタイプとなった。アップマフラー、アップハンドルを装着したスクランブラータイプCS2-Cも展示されたが、こちらは輸出のみで国内では販売されなかった。
●エンジン:空冷2ストローク2気筒ピストンバルブ ●総排気量(内径×行程):180cc (50×46mm) ●最高出力:21ps/7500rpm ●最大トルク:2.05kg-m/7000rpm ●全長×全幅×全高:1920×770×1005mm ●軸距離:1245mm ●乾燥重量:118kg ●タイヤ前・後:2.75-18・3.00-18 ●車体色:カリフォルニアオレンジ ●発売当時価格:169000円
1971年1月 YAMAHA スポーツCS200E
DX250が発表された1970年の第17回東京モ-ターショーでお披露目されたCS2-Eの後継車は、車名を一新。エンジンは195ccに排気量をアップ。デザインはタンクラバーが廃止されたが、基本的にはCS2-Eを継承。排気量アップによりパワーアップしたのは間違いないが、排気量差が少なくなったことにより皮肉にも250クラスとの差別化があいまいになってしまい、200ccロードモデルはこの後しばらく途絶えてしまう。
●エンジン:空冷2ストローク2気筒ピストンバルブ ●総排気量(内径×行程):195cc (52×46mm) ●最高出力:22ps/7500rpm ●最大トルク:2.17kg-m/7000rpm ●全長×全幅×全高:1905×780×1085mm ●軸距離:1245mm ●乾燥重量:116kg ●タイヤ前・後:2.75-18・3.00-18 ●車体色:マリンブルー ●発売当時価格:174000円
1987年7月15日 YAMAHA SDR(2TV)
シングルシートの一人乗りという割り切った構造と、美しい造形のトラスフレームに、YPVS、YEIS付の水冷クランクケースリードバルブ単気筒195ccエンジンを搭載したライトウエイトスポーツ。6月に発売が予告されると大きな反響を巻き起こした。インパクトは大きかったのだが……11月にシートがグレーとなったシャイニーブラックが追加された。軽量な車体とそこそこパワーのあるエンジンでキビキビと走る、ヤマハらしい美しくコンパクトな2ストロークスポーツの魅力を引き出すバイクであったが、使い勝手という点が支持されなかったようで、残念ながら短命に終わってしまった。
●エンジン:水冷2ストローク単気筒クランクケースリードバルブ ●総排気量(内径×行程):195cc(66×57mm) ●最高出力:34ps/9000rpm ●最大トルク:2.8kg-m/8000rpm ●全長×全幅×全高:1945×680×1005mm ●軸距離: 1335mm ●乾燥重量:105kg ●タイヤ前・後:90/80-17・110/80-17 ●車体色:メルティンググリーン、アップルレッド ●発売当時価格:379000 円
1967年3月 SUZUKI T200
T21がT250と名称を改めた1967年、輸出モデルのT200を国内でも販売開始。
CCIを装備、フレームもパイプダブルクレードルと基本構成や装備などはT250の200cc版というスタンスで、スタイリングもよく似ている。クラス初の6速ミッションを採用したT20の後継車T21とは異なり、T200のミッションは5速で、最高速度は135km/h。
●エンジン:空冷2ストローク2気筒ピストンバルブ ●総排気量(内径×行程):196cc (50×50mm) ●最高出力:21ps/7500rpm ●最大トルク:2.09kg-m/7000rpm ●全長×全幅×全高:1925×765×1030mm ●軸距離:1255mm ●乾燥重量:132kg ●タイヤ前・後:2.75-18・2.75-18 ●車体色:- ●発売当時価格:165000円
1974年1月 SUZUKI GT185
GT125よりもやや大きめの車体に、ラムヘアヘッドを持った専用設計の184cc2気筒ピストンバルブエンジンを搭載した輸出用の中間排気量スポーツで、1974年から国内でも発売された。セルを標準装備している。毎年カラーの変更をおこない販売されたが,基本構造やスペックは1976年モデルまでほぼ変更はない。最終型の1977年モデルはメーターデザイン、ヘッドライト、テールランプなどが変更されている。1978年にはRGシリーズに編入され、ニューデザインのタンクやシートカウルでスタイリングが変更された。1980年代前半まで販売された(最後はキャンディウイローグリーンのみ)GTシリーズでは、後まで販売されたラムエアヘッド付のモデルでもあった。
1975年 GT185 キャンディタヒチオレンジ、マウイブルーメタリック
●エンジン:空冷2ストローク2気筒ピストンバルブ ●総排気量(内径×行程):184cc (49×49mm) ●最高出力:21ps/7500rpm ●最大トルク:2.1kg-m/6500rpm ●全長×全幅×全高:1950×770×1065mm●軸距離:1290mm ●乾燥重量:129kg ●タイヤ前・後:2.75-18・3.00-18 ●車体色:キャンディタヒチオレンジ、マウイブルーメタリック ●発売当時価格:210000円 ※諸元は1975年モデル
1976年 GT185 ジョイフルマルーンメタリック
1978年 RG185 キャンディーウイローグリーン
1978年 RG185 キャンディーフロリダブルー
●エンジン:空冷2ストローク2気筒ピストンバルブ ●総排気量(内径×行程):184cc (49×49mm) ●最高出力:21ps/7300rpm ●最大トルク:2.1kg-m/6000rpm ●全長×全幅×全高:1950×770×1065mm ●軸距離:1290mm ●乾燥重量:121kg ●タイヤ前・後:2.75-18・3.00-18 ●車体色:キャンディーフロリダブルー、キャンディーウイローグリーン ●発売当時価格:235000円 ※諸元は1978年モデル
1992年5月 SUZUKI RG200Γ
125クラスのコンパクトな車体に、パワフルなTS200R系の単気筒エンジンを搭載したライトウエイトスポーツ。やはり我が国で中間排気量は根付かないようで、SDRと同様、短命に終わってしまった。
●エンジン:水冷2ストローク単気筒クランクケースリードバルブ ●総排気量(内径×行程):195cc(66×57mm) ●最高出力:35ps/9000rpm ●最大トルク:2.9kg-m/8000rpm ●全長×全幅×全高:2000×720×1080mm ●軸距離:1355mm ●乾燥重量:125kg ●タイヤ前・後:100/80-17・130/70-17 ●車体色:ルージュレッドNo.2 ●発売当時価格:485000円
1992年5月 SUZUKI WOLF200
250のWOLFと同様の手法で製作されたRG200Γのネイキッドバージョン。スイングアームはガルアームタイプではなく、一般的な角アルミ材に変更されている。
●エンジン:水冷2ストローク単気筒クランクケースリードバルブ ●総排気量(内径×行程):195cc(66×57mm) ●最高出力:35ps/9000rpm ●最大トルク:2.9kg-m/8000rpm ●全長×全幅×全高:2000×720×1025mm ●軸距離:1355mm ●乾燥重量:118kg ●タイヤ前・後:100/80-17・120/80-17 ●車体色:スペースブラック、キャンディアンタレスレッド ●発売当時価格:429000円
[青春のQ2カタログその15 SUZUKI 水冷編-2| その16 中間排気編(最終回)]