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試乗・解説

250みたいな500だけれど やっぱり500の余裕あり HONDA Rebel500
3年連続ベストセラー目前のレブル250には
実は兄貴分がいた! ってもちろん500のことですが
エンジンの大きさ以外、ほとんど変わらないレブル兄弟は
一体ナニが違うんだろうか――。
■試乗・文:中村浩史 ■撮影:島村栄二  ■協力:ホンダモーターサイクルジャパン https://www.honda.co.jp/motor/




ライダーの身長は178cm。

パッと見、500だとは思えないんです

 2018年~19年のベストセラー、レブル。ずいぶん乗りました、走りました。とてもイイ! ベースとなったCBR250R(MC41)やCRF250Lとはまた違ったパワーフィーリングで、なんともよく走る、スタタタタッと快活に、歯切れよく。さらに見た目とは違って、アメリカン的な乗り味でないのも気に入っています。アメリカン的ハンドリングっていうのは、苦手な人はとっつきにくい、フロントタイヤが遠くにあって、直進安定性が強く、向きを変えようとするとパタンとハンドルが切れるあの感じ――それがレブルには感じられないのです。
 ちょいとその辺を走る、決してハイペースじゃないけれどロングランする、そういう用途にピッタリなモデルがレブルなのだ。これが人気の秘密なのだろう。レブルファンには、若いコや女子ライダー、さらにリターン組が多いのもうなづけます。
 

 
 そして、このレブルには500バージョンがある。スタイリングはまんまレブルで、違いは排気量が500ccってだけ、と言ってもいい。ルックスは、メインフレームに収まっているエンジンの大きさが違うこと。さらに、250は単気筒エンジンでエキパイが1本、500は並列ツインでエキパイが2本、ってところも判別点。真面目な話、パッと街中で見ても250だか500だかわからない。シャドウとシャドウ750やスティード400と600とか、ホンダは時々こういう「そっくりすぎる兄弟モデル」作りますね。
 

 
 走りは、倍の排気量があるぶん、もちろん別物。それでも、20psの差があっても、スペック上の違いである車両重量の20kg差はほぼ感じられません。押し引きでも取り回しでも、コンパクトなサイズと足着きのいいシート高で、170kgも190kgも同じ。重量差はエンジン回りに集中していますから、20kg重い部分が車体のほぼセンターにあることも、重量差を感じさせない要因なんでしょう。
 

 
 いざ走り出すと、さすがの500ccのトルク。250ccが軽快にスタタタタッと走り出すタイミングで、ドドドドッと押し出されるようにスタートします。低~中回転域で力づよく、高回転までスピードを伸ばして、高回転でパワーが伸びていくような印象はなし。とはいえトップ6速で100km/hあたりで走る時、当然のように250よりも回転は低めで、そのぶんのんびり快適にクルージングすることができる。余裕があるんですね。
 

 
 低速域からクルージングも、ハンドリングの印象は250と同じ。あまりアメリカンを感じさせないタイプです。面白いのは、押し引きや取り回しでまったく気にならなかった20kgの重量差が、ハンドリングでは感じられること。けれど、それは直進時にもコーナリング時にもいい方向に作用していて、250の軽快さを時に不安定さと感じることがあったんだけれど、この点を500の+20kgが見事にカバーしているんです。
 もちろん、これは好みもあるんだけれど、250の軽快さと俊敏性を取るか、500のどっしりさと安定性を取るか、ってこと。500のほうが、フロントタイヤがしっとり路面をトレースするし、それは言い換えると、250の方が軽快なハンドリング、ってことになる。これも個人の好みですね。
 

 
 それにしても、250と500、単気筒と2気筒という、バイクでいえば決して小さくない違いがあるっていうのに、レブルは250も500も同じフィーリングで乗れるのに驚きます。どちらもアメリカンすぎず、シート高が低く、ベタベタに足着きがいいロードスポーツ、ってこと。500の力強さやどっしりとした安定感はあくまでも枝葉で、乱暴な言い方をしてしまえばこの2台、びっくりするくらい同じバイクだと言っていいのかもしれない、と思う。

 その証拠に、いつも僕は乗り比べや比較対象を考えて、買うならどっちかな、って考えるんだけど、レブル250と500はうーん、250の身軽さがイイな!と思うんです。
(試乗・文:中村浩史)
 

 

前後16インチタイヤを採用し、ここでも足つきのよさを実現。ブレーキは片押し2ピストンキャリパーで効きに不足なし。130幅の90扁平フロントタイヤがレブルのハンドリングを生む。
250と同様、φ45mmの丸パイプを使用したシンプルなスイングアーム。チェーンプラー構造もシンプルで、リアのショートショックの存在感が際立つ。乗り心地のよさも印象的。

 

エンジンは海外仕様CBR500系(国内では400)のDOHC4バルブ並列2気筒。500らしいトルクはあるけれど決して荒々しくなく、パワーの出方も穏やか。低回転で250同様に扱いやすく、中回転域で気持ちよくクルージングしつつ、高回転がシャープに回る印象。

 

マフラーも250と同デザイン。アイドリングやスロットル開度が小さいときには静かすぎるかな、と思うサウンドなのに、開けていくと気持ちのいい、歯切れいいスタタタ音。
2020年モデルで初のマイナーチェンジを受け、ヘッドライト、ウィンカー、テールランプに、シャープな印象の強いLEDを採用。アクセサリーでビキニカウルが用意されている。

 

クルーザーというとファットなティアドロップタンクだけれど、レブルは独特なデザインを投入。今回の実走燃費は28km/Lをキープ。11Lタンクだから1タンク300kmを確保。
前後セパレートのシートは、アメリカンらしくシートポジションの低い乗車姿勢。リアシートを外すとテールまわりすっきり。オプションでバックレストやリアキャリアも用意されている。

 

径の太いインチバーは、プルバックしていないフラットに近い形状で、ライディングポジションは腰が低いやや前傾となる。丸一灯メーターは白バックライトのφ100mmと小型で、タコメーターなし、ギアポジションインジケーターや燃費表示を装備している。

 

リアサス付け根に外付けヘルメットホルダーを標準装備。リアシート外して中のフックに、なんて手間がないのがいい。ただし、位置がちょっと低すぎてやや使いにくいことがあった。
2020年モデル以降はテールランプ、ウィンカーもLEDに変更された。テールランプは横長の独特な形状、ウィンカーはハザーランプも標準装備している。

 

●Rebel500主要諸元
■エンジン種類:水冷4ストローク直列2気筒DOHC4バルブ ■総排気量: 471cc ■最高出力: 34kW(46PS)/8,500rpm ■最大トルク: 43N・m(4.4kgf・m)/6,500rpm ■全長×全幅×全高:2,205×820×1,090mm ■ホイールベース:1,490mm ■シート高:690mm ■車両重量: 190kg ■燃料タンク容量:11L ■変速機形式:常時噛合式6速リターン■フレーム形式:ダイヤモンド ■ブレーキ(前×後):油圧式ディスク × 油圧式ディスク ■タイヤ(前×後):130/90-16M/C 67H × 150/80-16M/C 71H ■メーカー希望小売価格:799,700(税込)

 



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2020/10/19掲載