パッと見、500だとは思えないんです
2018年~19年のベストセラー、レブル。ずいぶん乗りました、走りました。とてもイイ! ベースとなったCBR250R(MC41)やCRF250Lとはまた違ったパワーフィーリングで、なんともよく走る、スタタタタッと快活に、歯切れよく。さらに見た目とは違って、アメリカン的な乗り味でないのも気に入っています。アメリカン的ハンドリングっていうのは、苦手な人はとっつきにくい、フロントタイヤが遠くにあって、直進安定性が強く、向きを変えようとするとパタンとハンドルが切れるあの感じ――それがレブルには感じられないのです。
ちょいとその辺を走る、決してハイペースじゃないけれどロングランする、そういう用途にピッタリなモデルがレブルなのだ。これが人気の秘密なのだろう。レブルファンには、若いコや女子ライダー、さらにリターン組が多いのもうなづけます。
そして、このレブルには500バージョンがある。スタイリングはまんまレブルで、違いは排気量が500ccってだけ、と言ってもいい。ルックスは、メインフレームに収まっているエンジンの大きさが違うこと。さらに、250は単気筒エンジンでエキパイが1本、500は並列ツインでエキパイが2本、ってところも判別点。真面目な話、パッと街中で見ても250だか500だかわからない。シャドウとシャドウ750やスティード400と600とか、ホンダは時々こういう「そっくりすぎる兄弟モデル」作りますね。
走りは、倍の排気量があるぶん、もちろん別物。それでも、20psの差があっても、スペック上の違いである車両重量の20kg差はほぼ感じられません。押し引きでも取り回しでも、コンパクトなサイズと足着きのいいシート高で、170kgも190kgも同じ。重量差はエンジン回りに集中していますから、20kg重い部分が車体のほぼセンターにあることも、重量差を感じさせない要因なんでしょう。
いざ走り出すと、さすがの500ccのトルク。250ccが軽快にスタタタタッと走り出すタイミングで、ドドドドッと押し出されるようにスタートします。低~中回転域で力づよく、高回転までスピードを伸ばして、高回転でパワーが伸びていくような印象はなし。とはいえトップ6速で100km/hあたりで走る時、当然のように250よりも回転は低めで、そのぶんのんびり快適にクルージングすることができる。余裕があるんですね。
低速域からクルージングも、ハンドリングの印象は250と同じ。あまりアメリカンを感じさせないタイプです。面白いのは、押し引きや取り回しでまったく気にならなかった20kgの重量差が、ハンドリングでは感じられること。けれど、それは直進時にもコーナリング時にもいい方向に作用していて、250の軽快さを時に不安定さと感じることがあったんだけれど、この点を500の+20kgが見事にカバーしているんです。
もちろん、これは好みもあるんだけれど、250の軽快さと俊敏性を取るか、500のどっしりさと安定性を取るか、ってこと。500のほうが、フロントタイヤがしっとり路面をトレースするし、それは言い換えると、250の方が軽快なハンドリング、ってことになる。これも個人の好みですね。
それにしても、250と500、単気筒と2気筒という、バイクでいえば決して小さくない違いがあるっていうのに、レブルは250も500も同じフィーリングで乗れるのに驚きます。どちらもアメリカンすぎず、シート高が低く、ベタベタに足着きがいいロードスポーツ、ってこと。500の力強さやどっしりとした安定感はあくまでも枝葉で、乱暴な言い方をしてしまえばこの2台、びっくりするくらい同じバイクだと言っていいのかもしれない、と思う。
その証拠に、いつも僕は乗り比べや比較対象を考えて、買うならどっちかな、って考えるんだけど、レブル250と500はうーん、250の身軽さがイイな!と思うんです。
(試乗・文:中村浩史)
■エンジン種類:水冷4ストローク直列2気筒DOHC4バルブ ■総排気量: 471cc ■最高出力: 34kW(46PS)/8,500rpm ■最大トルク: 43N・m(4.4kgf・m)/6,500rpm ■全長×全幅×全高:2,205×820×1,090mm ■ホイールベース:1,490mm ■シート高:690mm ■車両重量: 190kg ■燃料タンク容量:11L ■変速機形式:常時噛合式6速リターン■フレーム形式:ダイヤモンド ■ブレーキ(前×後):油圧式ディスク × 油圧式ディスク ■タイヤ(前×後):130/90-16M/C 67H × 150/80-16M/C 71H ■メーカー希望小売価格:799,700(税込)
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