一般社団法人サイドスタンドプロジェクト(SSP)の定期的な活動となるパラモトライダー体験走行会。2020年の6月から開催を始め、ほぼ毎月のように(冬季を除く)開催している。青木三兄弟の次男・拓磨と同様に、バイクの事故によって脊髄を損傷し、車いす生活を余儀なくされた元ライダーを再びバイクに乗せたいというこの活動は、障がいの内容も半身まひだけでなく、バイク経験も問わず、と対象をどんどんと広げて活動を展開している。
SSPでは、それぞれの障がいに合わせてバイクをカスタムしている。今回も、転倒を防止できるアウトリガーを装着したKTMデューク250と、ペダル操作ができなくてもバイクをコントロールできるハンドシフト装置を装着した大型車両MVアグスタ・ストラダーレ800とBMW F750 GSを持ち込んだ。また今回からSSPのサポーター企業にKTM JAPANが加わり1290スーパーデュークが提供され、さっそくSSPのハンドシフト仕様になって、他の車両と同じくこの会場に持ち込まれた。
走行中の操作に関わるバイクのカスタマイズでいかようにもなるが、低速時と発進や停止のタイミングで不安定になるバイクを支えるボランティアスタッフがカバーする。この方式でパラモトライダー体験走行会は行われている。
今回も半身まひと視覚障がいを持つ6名が参加。そのうち2名が初参加となった。今回は、筑波サーキット内にあるオートレース選手養成所の駐車場を使って走行練習が行われた。アウトリガーを装着し、リモコンで離れた場所からもエンジンを止めることができる小型バイクを使用し、バランス取りやブレーキの練習を重ねていく。視覚障がいを持つ参加者については、サインハウスのバイク用インカム「B+com」をライダーのヘルメットに装着し、周囲からスタッフが指示を出しながら走行をサポートする。
今回は初参加の2名を含む6名ということで、時間的には厳しかったものの、ボランティアスタッフの班分けで2名のライダーが同時に走行するなどして、無事に全員の走行を事故なく終えることができた。
最後に、このパラモトライダー体験走行会では最初の視覚障がい者としてバイクに乗り、袖ケ浦フォレストレースウェイやこのオートレース選手養成所のオーバルコースを初めて完走した、縫田政広さん(糖尿病の合併症による網膜症失明)が1月に呼吸器不全でお亡くなりになられたことがこの場で伝えられた。
ご自身がパラモトライダーとして参加されない時でも、会場に顔を出し、誰彼構わず、大きく元気な声で声をかけ、常にボランティアスタッフを気遣い、会場をいつも明るくしてくれた縫田さんの姿をもう見られないと思うと悲しくなってきてしまう。縫田さんの御冥福をお祈りしたい。
(文・写真:青山義明)
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