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レース・イベント

4回目の「パラモトライダー体験走行会」
青木三兄弟の、三男・治親と長男・宣篤によって立ち上がった一般社団法人サイドスタンドプロジェクトが、初の女性参加者を迎えての4回目の「パラモトライダー体験走行会」を開催した。
■レポート・撮影:青山義明 ■協力:一般社団法人サイドスタンドプロジェクト https://ssp.ne.jp/






 

すでに毎月恒例となった、パラモトライダー体験走行会!?

 一般社団法人サイドスタンドプロジェクト(SSP)が9月16日(水)、4度目のパラモトライダー体験走行会を開催した。SSPのパラモトライダー体験走行会は、6月にその第一回目を開催。それ以後4か月連続での開催となった。さすがに8月に開催となった第3回の体験走行会よりも、気温も下がり、曇り空で過ごしやすい一日となったこの日、今回も2名の見学者を集め、多くのボランティアスタッフとともにパラモトライダー体験走行会が、前回と同じ千葉県にある袖ケ浦フォレストレースウェイで開催となった。
 

ボランティアスタッフも交じっての記念撮影。2名のライダーの夢を実現するのに、これだけ多くのスタッフが参加する。これらスタッフがいてようやくこの走行会は成り立っている、のである。

 
 青木宣篤、治親兄弟が立ち上げたこのSSPは、青木拓磨のライダー復帰計画を機に、障がいを負ってしまった元ライダーに「再びオートバイを運転する」“夢”と“希望”を応援する団体で、今回も初参加の2名が参加。そのうちの1名は女性。ついに初の女性パラモトライダーが誕生することとなった。そのため今回は女性サポートスタッフも配置しての開催となった。
 

前回に引き続いて、関係者用休憩スペースとして使用できるよう冷凍庫付きトラックをレンタルして会場に用意。今回は参加ライダーの着替えスペースとしても有効に活用された。
スタッフも少しずつ入れ替わりもあり、ステップ部のビンディングにブーツを装着する、そのやり方も各スタッフが他のスタッフから教わりながら、準備が進められていく。

 
 男性参加者は、渡邉友章さん。バイクでツーリング中に、クルマの飛び出しをよけきれずに転倒し、腰椎(L1)の圧迫骨折で車いす生活に。その事故は2019年8月ということだから、まだ事故からちょうど一年経ったといったところ。昨年の「青木拓磨ライドアゲイン」のプロジェクトを知っており、たまたまSSP開催のメールが上司から転送されてきて興味を持ち。前回の8月のパラモトライダー体験走行会の現場に足を運び、今回の参加につながったという。
 

今回初参加の渡邉さん。事故からわずか1年ということで、本人もライダー復帰はそう難しいことではないだろうと思っていた様子。しかし、これがなかなか大変であった。

 
 そして、女性初参加となった川口めぐみさんも、2016年末の友人とのバイクツーリング中に事故を起こしてしまい、肋骨の骨折や肺挫傷、そして胸椎(T12)を損傷し、腰から下がマヒ(不全麻痺)となってしまっている。川口さんは、なんと、公道でバイクが乗れなくなったので、サーキットを借りて自分で走行をしようと考えていたという。そのためのハンドシフトチェンジを調べ、バイク屋では装着の依頼を断わられたりと、ライダー復帰に模索をしている中でこのSSPの活動に行きついたという。そして8月の第3回の体験走行会時に来場。「すぐに乗れるものだと思っていた」とのことだったが、SSP専属の理学療法士との確認や、付き添いの同行者が必要だということで、出直し、今回改めて満を持しての参加となった。
 

今回パラモトライダー体験走行会初の女性参加者となった川口さんは九州から日帰りで参加。前回の見学も日帰りでやってきたツワモノでもある。

 
 前回この体験走行会初の転倒者が出たことから、今回のSSPでは新たに後輪部分に装着するタイプの補助輪を開発しバイクが傾かない状態で走行ができ、クラッチ操作を練習することができる車両を持ち込んだ。また前回まで使用していた補助輪付き車両も、補助輪を新型にし、強度、安定性、操作性の向上を図った。さらにこの補助輪付き車両には、スタッフが危険と判断した場合リモコンでオートバイを遠隔停止ができるように、万が一の為の緊急停止リモコンも用意した。
 

サーキット内のパドックで練習走行をするため新たに投入された車両。下の既存の補助輪車両よりももう少し補助輪が強くサポートするタイプとなった。

 

それぞれの車両にエンジンを止めることができるリモコンを用意。走行中はスタッフの一人がこれを持ち、いつでも車両を止められるように準備している。

 
 そして4回目となるパラモトライダー体験走行会がスタートした。これまで通り、まずは補助輪付きの車両で走行練習を行って、その後、全長2.4kmのミニサーキットを走行するというスケジュールなのだが、今回はその補助輪付き車両での練習時から、パラモトライダー2名ともが、うまくバランスが取れない、というところで苦戦。バイクに乗りたいけれどうまく運転できないと、様々な思いを交錯させながらも、午前中から何度も走行を重ねていく。
 

完全な平地ではないため補助輪をつけても体幹をコントロールできない方にとってはまっすぐ走るのは難しい。両名ともがここで大苦戦することなった。

 
 セッション終盤になって、拓磨選手から、頭を逆方向に振ってバランスを取れば大丈夫というアドバイスを受け、2名とものライディングが大きく変わり、バランスのとれた走りに変わった。しかし、残念ながら結局時間切れということで、本人のライドによる本コースでの走行は出来ないまま終了となってしまったが、代わりに、スタッフとしてこの体験走行会に参加している今野由寛選手のタンデムシートでコースを周回した。
 

参加者それぞれが症状が異なるのだが、下半身不随の青木拓磨の走行のコツは今回の参加者にはすんなりと理解できたようで、アドバイスひとつで一気に走行が変わっていった。

 
 参加した渡邉さんは「最初は1年前まで乗っていたんだからライダー復帰は簡単だろうとナメてました。いざ乗ってみると、自分の中のセンサーが無くなっていて自分が傾いているのかわからず、全然乗れなくてびっくりしました。なんでこんなにまっすく走れないのかって。以前は何も考えなくてもバランスを取っていたんだなぁって改めて確認できました。最後に拓磨選手にアドバイスを受けてバランスのとり方がわかり、そこから一気にレベルが上がりました。だいぶ自信が付いたので、次回こそサーキットのコースを走りたい」とコメントしてくれた。
 

残念ながらコース走行がかなわなかったパラモトライダー2名を載せ、国内トップライダーによるコースタンデム走行が突如実現した。

 
 そして川口さんは「まずは走れるんだってことに感動しました。サポートしていただいたスタッフの皆さんにはただただ感謝しかありません。朝から思ったようなライディングができなくてギャップがあって悔しくて落ち込んでいました。でも一日を終えて、ほんとにひと言『最高です』。本当に素敵な時間をありがとうございました。九州に戻ったら知り合いなどにこの活動を広く紹介して広めていけたらと思っています」と最後は無事にバイクを乗りこなして感無量といった感想を伝えてくれた。
 

 
 「無事に事故なく4回目のパラモトライダー体験走行会を終えることができた。SSPとしては、早くも次回の開催は10月になる(月に一回?)ということだけは現在決定済み。詳細な日程など、詳しくはSSPのホームページを参照のこと。さらに多くのパラモトライダーがここから生まれることを楽しみにしたい。
(レポート・撮影:青山義明)
 



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2020/09/25掲載