HONDA CB650R/CBR650R 車両解説
2013年の東京モーターショーやモーターサイクルショーで「~ようこそ直列4気筒CBワールドへ~」のキャッチフレーズで“CB”ブランドのコーナー展開を行ったホンダ。やはりホンダ・ファンにとって「4気筒CB」は無くてはならない心のよりどころ。ということでその存在意義をもう一度しっかり見直そうというアピールだった。
その具体的な動きとなったのが、CB400SF/SBシリーズ、CB1300SF/SBシリーズのてこ入れであり、CB1100シリーズの熟成、新たなタイプ設定などに繋がってきている。そして、2014年4月「直列4気筒CBワールド」に新たに投入されたのが“ミドルクラスCB”、CB650F/CBR650Fシリーズだった。
完全にゼロから開発された水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブエンジンは、スロットルボディの取り付け角度や補機類の効率的なレイアウトなどにより、極力コンパクト化され、中身の方も吸排気バルブのオーバーラップ量を減らし、吸気系の設定などにより低・中回転域での力強さをより発揮できるセッティングにしているという。まさに昨今のライディングスタイルに合わせた新世代の直列4気筒エンジンのスタートとなった。
CB400Fourを彷彿させる美しいラインを描くエキゾーストパイプが目を惹くCB650Fに対して、CBR650Fはフルカウルスポーツ版で“オールラウンドフルカウルスポーツ”としてスポーツ走行はもちろん、長距離走行でのウインドプロテクション効果も発揮するカウルが採用された。CB650Fと同時開発の「直列4気筒CBワールド」エンジンは4,000回転以下の低速域でも力強いトルクがあり、扱いやすい特性を実現したエンジンによる新時代のCB感覚を強く意識したモデルだった。
2015年1月に、このフルカウル版のCBR650Fにホンダ伝統の“トリコロール”イメージのカラーを施した特別カラー仕様が設定されている。変更点はカラーのみでメカニズムや諸元等に変更無し。
また、2017年4月には、ヘッドライトカウルまわりを中心に車体デザインが刷新され、それと同時にエンジン、足周りの改良が行われた。エンジン面では動力性能のさらなる向上を目指して、より多くのエアを導入する吸気流路を新設し、エアファンネルの短縮化やマフラーの内部構造を3室から2室に変更するなどで、最高出力を5kw(7馬力)向上。同時に、低・中回転域でのトルク特性の向上と、高回転域の伸びを両立。加えて、トランスミッションの2速から5速の変速比をローレシオ化することで、力強い加速フィーリングを実現した。
足周りでは、ショーワ製の「デュアル ベンディング バルブ」を装着することで、しなやかで路面追従性に優れた上質な乗り心地を実現。リアは従来同様、路面状況やユーザーのライディングに合わせて調整可能な7段階プリロードアジャスターが採用された。ブレーキ周りでは、フロント、リアともに放熱効果に優れたウェーブディスクを装着し、フロントに320mm大型ダブルディスクと2ピストンキャリパー、リアに240mmディスクとシングルピストンキャリパーを組み合わせている。前・後輪のロックを回避するABSも標準装備された。
このマイナーチェンジを経て、2019年3月に初のフルモデルチェンジが行われた。エンジン面では、高回転域の出力の向上をメインに、アシストスリッパークラッチやHondaセレクタブルトルクコントロールの新採用など、車名の末尾が「R」へと発展したシリーズのよりスポーティな走りを実現する改良となった。
車体面では、フレームの構成部品や製法を変更するなどにより、よりしなやかさと剛性バランスの優れたスチール製ツインスパーフレームを採用。足回りでも新たに倒立フロントフォークや新設計のφ310mm、10ピンフローティングディスクシステム、ラジアルマウントキャリパーの採用などにより運動性能を高め「R」の名に恥じない走行性能を実現したとされていた。
ちなみにCBR650Rの開発キーワードは「エキサイティングな走りの堪能 直 4 Middle CBR R」だった。新デザインのコンパクトなフルカウルに全灯火器のLED化も行われた。
2021年1月には、カラー&グラフィックの変更と併せて、CB650R、CBR650Rともにシートカウルとリアフェンダーを、よりエッジの利いた形状に変更、シャープで躍動感のあるスタイリングとした。また、フルフラットデザインのメーターは、文字サイズを拡大させるとともにバックライトの照射角度を変更し、視認性をより高めている。
車体でも、優れた路面追従性と軽量化を両立させたSHOWA製SFF-BP(セパレート・ファンクション・フロントフォーク・ビッグピストン)を新たに採用。CB650Rでは、ハンドルの切れ角を前モデルに比べて増加することで、取り回しやすさの向上を目指している。また、別売りの純正アクセサリーには、携帯端末の充電などに便利な「USBソケット」が新たに設定された。
そして今回のモデルチェンジでは、CBR650Rのカラーリングに、洗練されたスポーティーな印象を引き立たせるという「パールグレアホワイト」を新たに採用。継続設定となる「グランプリレッド」「マットバリスティックブラックメタリック」も、フロントフォークアウターチューブ、シリンダーヘッドカバーおよびクランクケースカバー、リアサスペンションスプリング、リアフェンダーステーなど車体一部の配色を変更。全3色のカラーバリエーションとした。
CB650Rのカラーリングの方は、「マットジーンズブルーメタリック」「マットバリスティックブラックメタリック」を継続設定、全2色のカラーバリエーションとしている。「マットジーンズブルーメタリック」では、フロントフェンダー、シュラウド、リアサスペンションスプリング、リアフェンダーステーの配色を変更し、より上質感を追求。「マットバリスティックブラックメタリック」では、ハンドルパイプ、シュラウド、フロントフォークアウターチューブ、前後ホイール、シリンダーヘッドカバー及びクランクケースカバーなどをブラックに変更し、精悍な印象を際立たせている。
平成32年(令和2年)排出ガス規制に対応措置も同時に行われた。
★ホンダ ニュースリリースより (2023年1月13日)
「CBR650R」「CB650R」のカラーリング設定を変更し発売
Hondaは、水冷・4ストローク・DOHC・直列4気筒・648cm3エンジンを搭載した、ロードスポーツモデル「CBR650R」「CB650R」のカラーリング設定を変更し、Honda Dreamより2月16日(木)に発売します。
●CBR650Rは、「パールグレアホワイト」のカラーリングを新たに採用。継続設定のカラーリングも車体一部の配色を変更
●CB650Rのカラーリングは、車体一部の配色を変更
●CBR650R、CB650Rともに、平成32年(令和2年)排出ガス規制に適合
今回、CBR650Rのカラーリングに、洗練されたスポーティーな印象を引き立たせる「パールグレアホワイト」を新たに採用しました。継続設定となる「グランプリレッド」「マットバリスティックブラックメタリック」も、フロントフォークアウターチューブ、シリンダーヘッドカバーおよびクランクケースカバー、リアサスペンションスプリング、リアフェンダーステーなど車体一部の配色を変更。全3色のカラーバリエーションとしています。
CB650Rのカラーリングは、「マットジーンズブルーメタリック」「マットバリスティックブラックメタリック」を継続設定しました。全2色のカラーバリエーションとしています。「マットジーンズブルーメタリック」では、フロントフェンダー、シュラウド、リアサスペンションスプリング、リアフェンダーステーの配色を変更し、より上質感を追求。「マットバリスティックブラックメタリック」では、ハンドルパイプ、シュラウド、フロントフォークアウターチューブ、前後ホイール、シリンダーヘッドカバー及びクランクケースカバーなどをブラックに変更し、精悍な印象を際立たせています。
- ●販売計画台数(国内・年間)
- シリーズ合計 2,300台
- ●メーカー希望小売価格(消費税10%込み)
- CBR650R(グランプリレッド)
1,111,000円(消費税抜き本体価格 1,010,000円) - CBR650R(パールグレアホワイト、マットバリスティックブラックメタリック)
1,078,000円(消費税抜き本体価格 980,000円) - CB650R(マットバリスティックブラックメタリック)
1,023,000円(消費税抜き本体価格 930,000円) - CB650R(マットジーンズブルーメタリック)
1,001,000円(消費税抜き本体価格 910,000円) - ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません。
主要諸元
車名型式 | 8BL-RH03 | |
---|---|---|
CB650R〈CBR650R〉 | ||
発売日 | 2023年2月16日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.120×0.780×1.075〈2.120×750×1,150〉 | |
軸距(m) | 1.450 | |
最低地上高(m)★ | 0.150〈0.130〉 | |
シート高(m)★ | 0.810 | |
車両重量(kg) | 203〈208〉 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※1 | 31.5(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)※2 | |
21.5(WMTCモード値 クラス3-2 1名乗車時)★※3 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転小半径(m) | 2.8〈3.0〉 | |
エンジン型式 | RH03E | |
水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 648 | |
内径×行程(mm) | 67.0×46.0 | |
圧縮比★ | 11.6 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 70[95]/12,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 64[6.4]/9,500 | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置[PGM-FI] | |
始動方式★ | セルフ式 | |
点火方式★ | フルトランジスタ式バッテリー点火 | |
潤滑油方式★ | 圧送飛沫併用式 | |
潤滑油容量(L) | – | |
燃料タンク容量(L) | 15 | |
クラッチ形式★ | 湿式多板コイルスプリング式 | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
変速比 | 1速 | 3.071 |
2速 | 2.352 | |
3速 | 1.888 | |
4速 | 1.560 | |
5速 | 1.370 | |
6速 | 1.214 | |
減速比1次★/2次 | 1.690×2.800 | |
キャスター(度)★ | 25°30′ | |
トレール(mm)★ | 101 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17M/C 58W |
後 | 180/55ZR17M/C 73W | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ダブルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | スイングアーム式 | |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
■道路運送車両法による型式指定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)
■製造事業者/本田技研工業株式会社
※1 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります※2 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
※3 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます