HONDA CBR250RR 車両解説
シングル250スポーツ、CBR250Rが国内で発売開始されたのは2010年10月。タイで生産されていたフルカウルを持つシングル250スポーツ、CBR250Rを日本国内へも導入。250クラスのフルカウルスポーツモデル隆盛の一翼を担うこととなった。
その後の国内4メーカーや、一部の海外メーカーもが入り乱れての250スポーツモデルの隆盛ぶりはご存知の通り。そして趨勢は本格的ロードスポーツのツインエンジンモデルと、シンプルで軽快なシングルシリンダーエンジンモデルへと二極化で拮抗が保たれたかと思いきや、このクラスに再び4気筒エンジンをもって制覇の名乗りを上げたモデルの登場で、またぞろ戦国時代の再燃がささやかれている。
それはともかく、2017年の5月に発売されたCBR250RRは、シングルシリンダーモデルで250クラスのロードスポーツ市場をけん引してきたCBR250Rから本格的なフルカウルロードスポーツの市場を受け継ぐべく登場した“本命”モデルだった。
CBR250RRは250ccクラスのスーパースポーツモデルとして、“RR”シリーズの思想「トータルコントロール~操る楽しみの最大化」を共通の背景としながら、「直感、体感、新世代“RR”」を開発コンセプトに、スタイリングデザイン、車体、パワーユニットのすべてが新設計されて登場した。
搭載されたツインエンジンは、低中回転域での力強さとスーパースポーツならではの高回転までシャープに吹けあがる特性を高次元で両立するとともに、高出力化を実現した。また、「CBR-RR」の名に恥じない「スロットル・バイ・ワイヤシステム」を、250ccクラスで初めて採用するなど、先進システムも積極的に取り入れたモデルだ。
車体は、剛性としなやかさを両立した新設計の鋼管トラス構造フレームを採用。足周りではフロントに倒立タイプのサスを、リアには左右非対称形状のアルミ製スイングアームと路面追従性に優れたプロリンクサスペンションが組み合わされている。CBR一族のDNAを象徴する低く構えたフロント周りから後方に向けて高く跳ね上がる先鋭的なデザインに、RRらしさを印象づけるLEDデュアルヘッドライト、LEDウインカー、LEDテールランプなども採用している。2018年4月には、このCBR250RR<ABS>に「パールグレアホワイト」という先鋭的なフォルムを際立たせるボディカラーを採用したモデルが追加販売されており、それまでのブラック、シルバー、レッドに加えて全4色のカラーバリエーションとなっっていた。
2020年の9月には、エンジンを中心としたモデルチェンジを受けており、低速域から高速域にわたる力強い出力特性としながら、パワーウエイトレシオの向上に合わせた、さらなる操りやすさを追求。スーパースポーツモデルとしてのトータルコントロール性能の進化を図ったという。
具体的には、新形状のピストンを採用。より高められた圧縮比に対応するため、ピストンリング溝に錫メッキ処理を追加したほか、浸炭処理により強度を高めた浸炭コンロッドも採用。フリクションロスを最小限に抑えるため、バランサーシャフト軸の小径化やバルブスプリング荷重の低減、エンジン内のポンピングロス低減につながるシリンダー下端への切り欠きを追加するなど最高回転数を高めながら、点火時期、吸気系部品の最適化やマフラー内部構造の変更などを施すことで、従来モデルに対し最高出力(30kW[41PS]/13,000rpm)と最大トルク(25N・m[2.5kg-m]/11,000rpm)の向上を実現している。
この出力特性の変更に伴い、スロットルグリップ操作に対してより緻密なスロットルバルブの制御を行うスロットルバイワイヤシステムでは、ライディングモードの各パラメーター設定値を最適化しライダーの好みに合った3種の出力特性を選択可能にした。また足まわりでは、フロントサスペンションのフリクション低減と減衰力の最適化を図り、市街地での扱いやすさをより高めながら、スポーツ走行での路面追従性を向上。また、新たに、クラッチレバーの操作荷重と、シフトダウンに伴う後輪ホッピングを軽減するアシストスリッパークラッチを標準装備として採用したほか、別売りの純正アクセサリーに、シフトアップ/シフトダウン時のより素早いシフトチェンジ操作を可能とする「クイックシフター」も設定。より操りやすく快適でスムーズな乗り味を実現している。また同時にカラーチェンジも行っている。
2022年1月には、カラーバリエーションの変更が行われ、シンプルなカラーリングで精悍なスタイリングを際立たせた「グラファイトブラック」を新たに採用 。継続色の「グランプリレッド (ストライプ) 」、 「マットガンパウダーブラックメタ リック」 、「パー ルグレアホワイト」 と合わせ全4色の設定としていた。
今回のモデルチェンジは、レイヤー構造の導入というトレンディなスタイルへの一新のみならず、エンジン面では仕様の細部の見直しによる出力の向上、平成32年(令和2年)排出ガス規制に適合も同時に行われている。また足周りでもショーワ(日立Astemo)製SFF-BP倒立フロントフォークが採用された。Hondaセレクタブル トルク コントロール、ハザードランプ、エマージェンシーストップシグナルの標準装備化も実施されている。
カラーリングは、スポーティーでレーシングイメージを印象づける「グランプリレッド」、シャープなスタイリングを強調し力強い印象の「マットバリスティックブラックメタリック」、上質感と洗練された印象のある「パールグレアホワイト」の全3色の設定としている。
★ホンダ ニュースリリースより (2023年1月13日)
軽二輪スーパースポーツモデル「CBR250RR」の外観を変更し装備を充実させ発売
Hondaは、軽二輪スーパースポーツモデル「CBR250RR」の外観を変更するとともに、装備を充実させ、2023年2月20日(月)に発売します。
●外観にレイヤー構造を採用。エッジの利いたよりシャープなスタイリングに変更
●エンジン仕様の細部を見直すことで最高出力を向上
●ショーワ(日立Astemo株式会社)製SFF-BP※1倒立フロントフォークを採用
●Hondaセレクタブル トルク コントロール※2、ハザードランプ、エマージェンシーストップシグナルを標準装備
●平成32年(令和2年)排出ガス規制に適合
今回、外観は、フロント部からサイドカウルにかけてレイヤー構造を採用し、エッジの利いたよりシャープなスタイリングに変更しました。エンジンは、平成32年(令和2年)排出ガス規制に適合させることで環境に配慮するとともに、ピストンリング、シリンダーヘッド、カムシャフト、吸気ポートなどエンジンの細部を見直すことにより、最高出力を向上させています。
足まわりは、フロントフォークに倒立式のショーワ(日立Astemo株式会社)製SFF-BP(セパレート・ファンクション・フロントフォーク・ビッグピストン)を新たに採用。優れた路面追従性による上質な乗り心地に貢献しています。
電装は、スリップしやすい路面での安心感に寄与するHondaセレクタブル トルク コントロールを新たに標準装備。また、新設定のハザードランプには、急制動時に高速点滅することでいち早く後続車に伝えるエマージェンシーストップシグナルを採用。装備をより充実させています。
カラーリングは、スポーティーでレーシングイメージを印象づける「グランプリレッド」、シャープなスタイリングを強調し力強い印象の「マットバリスティックブラックメタリック」、上質感と洗練された印象のある「パールグレアホワイト」の全3色を設定しています。
※1SFF-BPは日立Astemo株式会社の登録商標です
※2Honda セレクタブル トルク コントロールはスリップをなくすためのシステムではありません。あくまでもライダーのアクセル操作を補助するシステムです。したがって、Honda セレクタブル トルク コントロールを装備していない車両と同様に無理な運転までは対応できません
- ●販売計画台数(国内・年間)
- CBR250RR 4,500台
- ●メーカー希望小売価格(消費税10%込み)
- CBR250RR (グランプリレッド) 907,500円(消費税抜き本体価格 825,000円)
- CBR250RR (マットバリスティックブラkkックメタリック、パールグレアホワイト) 869,000円(消費税抜き本体価格 790,000円)
- ※価格(リサイクル費用を含む)には、保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません。
主要諸元
車名型式 | 8BK-MC51 | |
---|---|---|
CBR250RR | ||
発売日 | 2023年2月20日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.065×0.725×1.110 | |
軸距(m) | 1.390 | |
最低地上高(m)★ | 0.148 | |
シート高(m)★ | 0.790 | |
車両重量(kg) | 168 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※3 | 40.1(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)※4 | |
27.4(WMTCモード値 クラス3-2 1名乗車時)★※5 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転小半径(m) | 2.9 | |
エンジン型式 | MC51E | |
水冷4ストローク直列2気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 249 | |
内径×行程(mm) | 62.0×41.3 | |
圧縮比★ | 12.5 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 31[42]/13,500 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 25[2.5]/10,750 | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置[PGM-FI] | |
始動方式★ | セルフ式 | |
点火方式★ | フルトランジスタ式バッテリー点火 | |
潤滑油方式★ | 圧送飛沫併用式 | |
潤滑油容量(L) | – | |
燃料タンク容量(L) | 14 | |
クラッチ形式★ | 湿式多板コイルスプリング式 | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
変速比 | 1速 | 3.272 |
2速 | 2.285 | |
3速 | 1.772 | |
4速 | 1.428 | |
5速 | 1.208 | |
6速 | 1.041 | |
減速比1次/2次★ | 2.781/3.000 | |
キャスター(度)★ | 24°30′ | |
トレール(mm)★ | 92 | |
タイヤサイズ | 前 | 110/70R17M/C 54H |
後 | 140/70R17M/C 66H | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式シングルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式(倒立サス) |
後 | スイングアーム式(プロリンク) | |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
■道路運送車両法による型式認定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)
■製造事業者/本田技研工業株式会社
※3 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
※4 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
※5 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます