ホンダ スーパーカブ110/クロスカブ110/クロスカブ110・くまモン バージョン 車両解説
“21世紀の原付二種スーパーカブ”として2009年6月に、スーパーカブ一族に加わったスーパーカブ110だったが、わずか3年でフルモデルチェンジが行われている。2009年に登場したスーパーカブ110では、いかに“スーパーカブ”らしいイメージを残すかが配慮されたキープコンセプトのボディスタイルを持って開発されていたのに対して、2012年3月発売のニューモデルでは、従来のスーパーカブのデザイン・イメージにとらわれることなく、「純粋にビジネスモデルとしてのユーティリティをアップトゥデート、突き詰めていったらこのスタイルになった」と説明されていたが、要は東南アジア系の新世代のカブデザインとの統一、変身といえた。
また2009年モデルは、国内モデルとして開発され、生産も国内の熊本製作所で行われていたのに対して、2012年のモデルは、中国の新大洲本田摩托有限公司で生産を行い、東南アジアなど海外市場を主なターゲットとしたグローバルモデルというバックグラウンドの違いもあった。
この2012年登場のスーパーカブ110をベースに、未だ人気の衰えることのない“ハンターカブ”(2020年6月にCT125・ハンターカブとして復活を遂げている)をイメージして“アウトドアテイスト”でまとめ上げたのがクロスカブだ。2013年6月発売で、黒をベースにイエローかレッドを配した専用カラーの他、フロントヘッドライトをメーターから独立させ、レッグシールド前方に追加したパイプのフレーム枠にマウント。サス自体もスーパーカブ110プロの仕様に変更。タイヤサイズも専用の17インチに、リブレーキ径をφ130mmに拡大するなどの変更も行なわれた。2014年12月には、「ボスグレーメタリック」というモノトーン系でまとめ上げたニューカラーが加わりそれまでの「パールコーンイエロー」、「ファイティングレッド」と合わせて、計3色のラインナップとなっていた。
2018年2月発売で、フルモデルチェンジされた新型クロスカブは、2017年の11月に発売開始された“原点回帰”を図ったNEWスーパーカブをベースにしたモデルで、オリジナルのハンターカブのスタイルを彷彿させるボディデザインに戻ったといえた。
レッグシールドに換えてステアリングヘッドからボディへと続くフレームカバーを採用、LEDヘッドライトを囲むパイプ製のヘッドライトガードやスリット入りのマフラーガードなどによりアウドドアー志向のボディスタイルを取り戻している。
また新型クロスカブ110のフルモデルチェンジと合わせて、新たに49㏄エンジンを搭載し、タイヤサイズも前後14インチ(110は前後17インチ)と小径化した弟分の、クロスカブ50もラインナップに加わっていた。
2019年7月には、クロスカブ50/110の本体がカラー設定を変更するのに合わせて、モンキーではおなじみ“くまモン”をイメージしたブラックとレッドのカラーリングを車体各部に取り入れた「くまモン バージョン」を50と110両車に設定したのも記憶に新しいだろう。2020年5月には110シリーズ本体のカラーチェンジに合わせてテールランプが新二輪車灯火基準に対応したものに、クロスカブもマイナーチェンジを受けている。
2021年7月には、クロスカブ110単独でのマイナーチェンジが行われ、ニューカラーの「ブコブルー」が採用され、販売台数も2,000台の限定となっていた。
今回のモデルチェンジのでは、最新の排出ガス規制、平成32年排出ガス規制に対応した新エンジンを搭載(ボア×ストローク値なども変更されている)、あらたに前輪ディスクブレーキを標準装備、フロントのみに作用するABSを採用、前後輪にキャストホイールとチューブレスタイヤを採用、メーター内にギアポジションや時計などを表示する機能を追加などが行われた。
★ホンダ ニュースリリースより (2022年3月28日)
「スーパーカブ110」「クロスカブ110」「クロスカブ 110・くまモン バージョン」をモデルチェンジし発売
Hondaは、「スーパーカブ110」「クロスカブ110」「クロスカブ 110・くまモン バージョン」に新エンジンを搭載するとともに、前輪ディスクブレーキを標準装備するなどモデルチェンジを図り、4月14日(木)に発売します。
●最新の排出ガス規制※1に対応した新エンジンを搭載
●前輪ディスクブレーキを標準装備
●フロントのみに作用するABS※2を採用
●前後輪にキャストホイールとチューブレスタイヤを採用
●メーター内にギアポジションや時計などを表示する機能を追加
今回、スーパーカブ110とクロスカブ110に、最大トルクと燃費性能の向上を図りながら最新の排出ガス規制に対応した新エンジンを搭載。足まわりには、制動時の安心感に寄与するABSを採用した前輪ディスクブレーキと、メンテナンスのしやすさをより考慮した前後キャストホイールおよびチューブレスタイヤを新たに採用。メーター内にはギアポジションや時計、平均燃費などを表示する機能を追加し、使い勝手をより高める変更を施しています。
※1 平成32年(令和2年)排出ガス規制
※2 ABSはライダーのブレーキ操作を補助するシステムです。ABSを装備していない車両同様に、コーナーなどの手前では十分な減速が必要であり、無理な運転までは対応できません。ABS作動時は、キックバック(揺り戻し)によってシステム作動を知らせます
- スーパーカブ110のカラーバリエーション
- ・グリントウェーブブルーメタリック
- ・パールフラッシュイエロー
- ・バージンベージュ
- ・タスマニアグリーンメタリック
- ・クラシカルホワイト
- クロスカブ110のカラーバリエーション
- ・マットアーマードグリーンメタリック
- ・パールディープマッドグレー
- ・プコブルー
- クロスカブ110・くまモン バージョンのカラーバリエーション
- ・グラファイトブラック
- ●発売日
- ●メーカー希望小売価格(消費税10%込み)
- スーパーカブ110 302,500円(消費税抜き本体価格 275,000円)
- クロスカブ110 363,000円(消費税抜き本体価格 330,000円)
- クロスカブ110・くまモンバージョン 374,000円(消費税抜き本体価格 340,000円)
- ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません
- ●販売計画台数(国内・年間)
- スーパーカブ110 合計7,000台
- クロスカブ110/クロスカブ110・くまモンバージョン シリーズ合計9,000台
2022年4月14日
主要諸元
車名型式 | 8BJ-JA59〈8BJ-JA60〉 | |
---|---|---|
スーパーカブ110〈クロスカブ110〉 | ||
発売日 | 2022年4月14日 | |
全長×全幅×全高(m) | 1.860×705×1,040〈1.935×795×1.090〉 | |
軸距(m) | 1,205〈1.230〉 | |
最低地上高(m)★ | 0.138〈0.163〉 | |
シート高(m)★ | 0.738〈0.784〉 | |
車両重量(kg) | 101〈107〉 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※3 国交省届出値 | 68.0(定地燃費値 60km/h定地走行テスト値2名乗車時)※4 | |
67.9(WMTCモード値 クラス1 1名乗車時)★※5 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転半径(m) | 1.9〈2.0〉 | |
エンジン型式 | JA59E | |
空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ | ||
総排気量(cm3) | 109 | |
内径×行程(mm) | 47.0×63.1 | |
圧縮比★ | 10.0 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 5.9[8.0]/7,500 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 8.8[0.90]/5,500 | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置(PGM-FI) | |
始動方式★ | セルフ式(キック式併設) | |
点火方式★ | フルトランジスター式バッテリー点火 | |
潤滑油方式★ | 圧送飛沫併用式 | |
潤滑油容量(L) | – | |
燃料タンク容量(L) | 4.1 | |
クラッチ形式★ | 湿式多板ダイヤフラムスプリング | |
変速機形式 | 常時噛合式4段リターン※6 | |
変速比 | 1速 | 3.142 |
2速 | 1.833 | |
3速 | 1.333 | |
4速 | 1.071 | |
変速比 | 3.421/2.500〈2.642〉 | |
キャスター(度)★ | 26°30′〈27°00′〉 | |
トレール(mm)★ | 73〈78〉 | |
タイヤサイズ | 前 | 70/90-17M/C38P〈80/90-17M/C44P〉 |
後 | 80/90-17M/C50P〈80/90-17M/C44P〉 | |
ブレーキ形式 | 前 | 機械式リーディング・トレーリング |
後 | 油圧式シングルディスク(ABS) | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | スイングアーム式 | |
フレーム形式 | バックボーン |
■道路運送車両法による型式認定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)
■製造事業者/本田技研工業株式会社
※3 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
※4 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
※5 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます
※6 走行中はリターン式で、停車時のみロータリー式になるチェンジ機構です