●HONDA CBR600RR 車両解説
2003年2月にCBR600F4iの後継モデルとして発売開始されたミドルクラスのスーパースポーツ、CBR600RR。時代はRC211V活躍の時代で、ミドルクラスCBRも「F」路線から「R」そして「RR」路線へと活躍の場を変えていくのは当然の成り行きだったといえる。
しかしこのスーパースポーツ、CBR600RRがそれまでに大幅な改良を受けたのはわずか3回。2005年1月と2007年5月、2013年3月だったが、「Innovative Wonder」をコンセプトに開発された、軽量・コンパクトな水冷4ストロークDOHCエンジンをはじめ、ユニット・プロリンクサスペンション、センター・アップ・エキゾーストシステムなど、デビュー当時の基本構成は連綿と引き継がれたといえる。
とはいえ、3回のビッグチェンジを経て確実に進化、熟成が行われてきたのも事実だ。2005年のビッグチェンジでは、メインフレームを中心に5.6kgの軽量化を達成。エンジン面でもインレットポートの形状変更や、マフラーとエキゾーストパイプの管長を見直し、中速域でのリニアなスロットルレスポンスを実現するなどの改良が行われた。
型式名も変わる本来の意味でのフルモデルチェンジが行われた2007年5月は、さらに約8kgもの大幅な軽量化が行われた。エンジンはクランクシャフト、カウンターシャフトの間隔を見直すことによって前後長で30.5mmも短縮するコンパクト化を実現。一気筒あたり2個のインジェクターを採用することでより緻密な燃料供給を実現、ツインキャタライザーの採用と合わせて平成19年国内排出ガス規制に適合させながらも、高い運動性能を両立させた。2009年2月には、コンバインドABSモデルが追加されている。2011年12月には、カラーリング変更のみで2012年モデルとなった。
2013年モデルとして3度目のビッグチェンジが行われたのは2013年3月。型式名こそ変わらなかったが、カウル類を中心にスタイリングが大幅に変更され、より優れた空力特性とシャープなデザインのフロントフェイスをはじめ、特徴的だった大胆なカットラインを採り入れたサイドカウルなどがより一般的な形状に変更された。メカニズム面では、流行のビッグ・ピストン・フロントフォークの採用、そしてCBR1000RR似の12本スポークのキャストホイールへの変更などもこの時のビッグチェンジのトピックスだろう。
またCBR600RRが新型となったのに合わせて、“Repsol Honda Team”のスポンサーステッカーを車両本体に同梱したレプソルカラーのスペシャルエディションも同時発売されている。
2020年9月、国内では空白の期間を置いて復活した(レーサーベースマシンとしては連綿と販売されてきていたが)背景には、兄貴分のCBR1000RR-Rが再び注目を集めているのと同様、市販車によるプロダクションレースへの関心の高まりや、日常でも高いポテンシャルのマシンによる走りを堪能したいというスポーツユーザーのリクエストに応えてくれた、というところだろう。
4代目となる新型CBR600RRは、市販車によるプロダクションレースのベースモデルとしての高いポテンシャルを日常においても楽しめるよう、ジャストサイズのスーパースポーツモデルとして再開発。従来モデルからの特徴である、高出力かつ扱いやすい出力特性と俊敏なハンドリングにさらに磨きを掛け、サーキット走行での優れた動力性能とワインディングなど公道での扱いやすさを高次元で両立させ、“操る喜び”をより追求している。
パワーユニットは、カムシャフトやクランクシャフトなどの材質変更による最高出力発生回転数の高回転化を図ったほか、インレットポートの形状変更やスロットルボア径の拡大、エキゾーストパイプ各部サイズの最適化と併せて、バルブタイミングの変更を図るなど吸排気効率を向上させ、89kWの最高出力を達成。また、ファンライディングをサポートする最新の電子制御技術を採用。スロットルグリップ操作に対してより緻密なスロットルバルブの制御を行う「スロットルバイワイヤシステム(TBW)」により、走行状況やライダーの好みに合わせて走行フィーリングを任意に選択できる「ライディングモード」を搭載。
スタイリング面では、サーキットでの運動性能を追求した空力性能と機能美を併せ持つ外観とし、前面ならびに側面投影面積の最適化とクラス最小のCD値により、防風性能の向上と俊敏なハンドリングの実現に寄与。また、効果的にダウンフォースを発生させるウイングレットを左右のフロントカウル前方側面に配し、コーナーへの進入時や加速旋回における安定感をより高めていた。
今回のマイナーチェンジでは、走行時にクラッチレバー操作が不要で素早いシフトアップ・シフトダウンの操作が可能な「クイックシフター」が標準装備されたほか、平成32年(令和2年)排出ガス規制に適合させ、環境に配慮したものとなっている。
★ホンダ ニュースリリースより (2023年12月22日)
スーパースポーツモデル「CBR600RR」の一部仕様を変更し発売
Hondaは、スーパースポーツモデル「CBR600RR」の一部仕様を変更し、Honda Dreamより2024年2月15日(木)に発売します。
CBR600RRは、シンプルでさまざまなシチュエーションにマッチするカラーリングとして「マットバリスティックブラックメタリック」を新たに設定したほか、よりレーシングイメージあふれるグラフィックデザインと配色に変更した「グランプリレッド」の全2色設定としています。
また、走行時にクラッチレバー操作が不要で素早いシフトアップ・シフトダウンの操作が可能※1な「クイックシフター」を標準装備したほか、平成32年(令和2年)排出ガス規制に適合させ、環境に配慮しています。
※1発進・停止を除く。クラッチ操作回数を低減することで、長距離走行時のライダーの負担を軽減させます
- ●販売計画台数(国内・年間)
- 1,500台
- メーカー希望小売価格(消費税10%込み)
- CBR600RR(グランプリレッド)
1,606,000円(消費税抜き本体価格 1,460,000円) - CBR600RR(マットバリスティックブラックメタリック)
1,573,000円(消費税抜き本体価格 1,430,000円) - ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません。
主要諸元
車名・型式 | ホンダ・8BL-PC40 | |
---|---|---|
CBR600RR | ||
発売日 | 2024年2月15日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.030×0.685×1.140 | |
軸距(m) | 1.375 | |
最低地上高(m)★ | 0.125 | |
シート高(m)★ | 0.820 | |
車両重量(kg) | 193 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※2 | 25.5(国交省届出値 定地燃費値※3 60km/h 2名乗車時) | |
18.5(WMTCモード値★ クラス3-2 1名乗車時)※4 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転半径(m) | 3.2 | |
エンジン型式 | PC40E | |
水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 599 | |
内径×行程(mm) | 67.0×42.5 | |
圧縮比★ | 12.2 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 89[121]/14,250 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 63[6.4]/11,500 | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置(PGM-DSFI) | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式★ | フルトランジスター式バッテリー点火 | |
潤滑油方式★ | 圧送飛沫併用式 | |
潤滑油容量(L) | – | |
燃料タンク容量(L) | 18 | |
クラッチ形式 | 湿式多板コイルスプリング式 | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
変速比 | 1速 | 2.615 |
2速 | 2.000 | |
3速 | 1.666 | |
4速 | 1.444 | |
5速 | 1.304 | |
6速 | 1.208 | |
変速比 | 2.111/2.625 | |
キャスター(度)★ | 24°06′ | |
トレール(mm)★ | 100 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17M/C58W |
後 | 180/55ZR17M/C73W | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ダブルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | 倒立テレスコピック式(ビッグ・ピストン・フロントフォーク) |
後 | スイングアーム式(ユニットプロリンク) | |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
■道路運送車両法による型式指定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元) ■製造事業者/本田技研工業株式会社
※2燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
※3定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
※4WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます