1998年にGPマシンのテスト中の事故によって脊髄を損傷し、車いす生活を余儀なくされた元WGPライダー 青木拓磨。現在でこそ4輪ドライバーとして各方面で活躍しているが、その青木三兄弟の次男を間近で見てきた三男・治親と長男・宣篤が立ち上げた一般社団法人サイドスタンドプロジェクト(SSP)は、現在パラモトライダー体験走行会を積極的に開催している。
このパラモトライダー体験走行会は、事故や生まれ持った障がいでバイクに乗れなくなってしまった方々に「バイクの楽しさをもう一度体験できる機会を!」ということで、多くの協賛スポンサーのサポートと、多くのボランティアスタッフの手によって、国内のサーキットや休校日の自動車教習所を会場として2020年から開催されているイベントである。
神奈川県川崎市にある向ヶ丘自動車学校で開催となった今回、参加するのは、視覚障がいを持つ3名(うち1名が初参加)と、脳性麻痺による下半身不随の障がい者2名(ともに初参加)の計5名となった。
SSPでは、毎回バランス確認のためのペダル無し自転車、アウトリガーを装着したKTMデューク250、そしてハンドシフト装置を装着した大型車両MVアグスタ・ストラダーレ800とBMW F750 GSを持ち込んでいる。今回はアウトリガー付きのデュークをメインに使用した。接地タイプ、補助輪が10cmほど浮いた仕様、補助輪が20cmほど浮いた仕様の3種類のアウトリガーを状況に応じて付け替えて走行をした。
教習所のコースの中の直線部分を使用し、まずエンジンをかける前にボランティアスタッフが押すバイクに乗って、バランス取りとブレーキを掛ける練習も含め、まっすぐに走らせること、止まれることを確認。その後実際にエンジンをかけて走行を始め、時間いっぱい走行を繰り返していく。デュークにはリモコンでエンジンを停止することができるような装置を組み込んでおり、状況に応じてスタッフが車両を止めることも可能となっている。
また、サインハウスが製造販売しているバイク用Bluetoothインカム「B+com」を付けたヘルメットを装着した参加者と、B+COMの店頭デモ用ヘッドセット(店頭デモ用のため非売品となる)を装着したスタッフと会話ができるようになっており、これで走行の指示をライダーに出す。
今回参加したのは、松﨑勇さん、田端有華さん。ともに脳性麻痺による下半身不随で、バイクには初めて乗ることとなった。また青木寛明さん、加藤直樹さん、竹村雄一さんの3名の視覚障がい者も参加。青木さんはこの体験走行会初参加だが、残りの2名はすでに走行を経験者だ。
SSPのこのパラモトライダー体験会、次回は、7月25日に筑波サーキットの養成所コースで開催の予定だ。
そしてすでにアナウンスされているが、9月11日(日)にはアネスト岩田ターンパイク箱根で、SSP初の公道でのパラモトライダー体験走行会を実施する。
この企画のタイトルは「やるぜ!! 箱根ターンパイク2022」となり、現在国内最大級のクラウドファンディングサイトCAMPFIRE(キャンプファイヤー)での支援の募集している( https://camp-fire.jp/projects/586211/activities )。走行できるパラモトライダーはすでにこのSSPの体験走行会に参加し、箱根ターンパイクの走行が可能と判断された参加者となる。現時点ではまだ詳細は明かされていないが、他イベントとの共催も模索されており、この9月の週末は箱根を目指すというのもアリだ。もちろんSSPではボランティアスタッフも募集中(特にこの箱根のイベントに際しては医療従事者のボランティア参加をお願いしたいという)。なんといってもターンパイク全線を借り切っているから。
(レポート・撮影:青山義明)
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