7月31日、Honda HRCは『2025 FIM世界耐久選手権(EWC)第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第46回大会』に出場予定であったチャビ・ビエルゲが、手続き上の都合により同大会への参戦を見合わせることを発表した。そのため、高橋巧とヨハン・ザルコの2人で4連覇に挑むこととなる。
発表直後、HondaとYamahaの合同会見が予定通り行われた。Honda HRCからは高橋巧とヨハン・ザルコ、YAMAHA RACING TEAMからは中須賀克行、ジャック・ミラー、ロベルト・ロカテリが出席した。
高橋は「チャビ選手が参戦できなくなったことは残念ですが、これまでの8耐でも2人で戦った経験があるので大丈夫です。しっかり準備してきましたし、ザルコ選手の身体を見てもらえればわかると思いますが、問題ないと思います」と語ると、隣に座るザルコが力こぶを作って見せた。
ザルコは「代役で来てくれたチャビと、火曜日の走行では3人で良いテストができていたので残念です。せっかく日本に来てくれたのに…。戦略の変更を考えなければならないですが、巧はベテランですし、僕も経験があります。2人でベストを尽くします」と、勝利を目指す姿勢を示した。
中須賀は「6年ぶりの鈴鹿8耐参戦になりますが、鈴鹿8耐のレベルが上がっていることを実感していますし、HRCの強さも感じています。テスト時間の少ない中で自分たちも準備してきました。ジャックもロカテリもレベルの高い走りをしているので、金曜日・土曜日の走行でしっかり戦い、本番を迎えたい」と語った。
ミラーとロカテリは鈴鹿8耐に参戦できる喜びを語り、「暑さ対策は?」との問いかけに対し、ミラーは「体力的には、7月上旬のヤマハの鈴鹿8耐テストから何戦もMotoGPをこなしているし、フィジカルの問題はない」と自信を見せた。ロカテリも「暑いのは自分だけじゃなくて、みんなも一緒だから」と笑顔を見せた。
この鈴鹿8耐のために作られた特別チームであり、Hondaワークスマシン、Yamahaファクトリーマシンへの注目度は高く、この2チームがトップ争いに絡むことは必至。予選タイム、トップ10トライアル、そして決勝と、日本のエースライダー、MotoGPライダー同士のつばぜり合いが鈴鹿8耐を盛り上げることになるはずだ。
続いて、世界耐久(EWC)参戦チームの会見が行われた。YART – YAMAHAのマービン・フィリッツ、Kawasaki Webike Trickstarのマイク・デメリオ、BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMのマイケル・ファン・デル・マーク、YOSHIMURA SERT MOTULのグレッグ・ブラック、Dafy-Rac 41 Hondaのケビン・マンフレディが出席した。
年々、EWCのレベルは上がっており、火曜日のテスト走行でも、上位にEWC組が名を連ねる。EWCのシリーズ戦の中でも鈴鹿8耐は「日本のファクトリーマシンが走り、MotoGPライダーや、スーパーバイク世界選手権のトップライダーが参戦する特別な大会。そこで走れることは名誉なことであり、楽しみだ」とEWC組は語るが、フル参戦チームにとってはポイント獲得が最大のターゲットであり、それを踏まえた上で、チャンスがあれば上位を狙いたいと意欲を見せていた。
(文・写真:佐藤洋美)