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試乗・解説






創業者3名の苗字から取ったbimotaのブランド名。当時も今もその強みは美であり個性であり走りだ。まもなく創業60年を迎えるイタリアのカロッツェリアは2019年からカワサキモータースと手を組み、現在も比類なきモーターサイクルを送り出している。Ninja系にも搭載される1043㏄水冷直列4気筒を搭載したKB4 RCに試乗した。
■試乗・文:松井 勉 ■撮影:渕本智信 
■協力:カワサキモータースジャパン
■ウエア協力:アライヘルメット https://www.arai.co.jp/jpn/top.html、SPIDI https://store.56-design.com/collections/spidi、Xpd https://store.56-design.com/collections/xpd

bimotaですから

 bimotaのKB4 RCはKB4からカウルをはずしたスポーツネイキッドモデルと簡単に説明ができる。これまでの概念で言えばフルカウル版のちょっとお手軽版と頭が自動的に分類することになるのだがKB4RCはちょっと違う。カウルを外すことで外観の見え様を整える必要があったのか、価格面ではKB4の437万円に対してKB4RCは473万円と+36万円(税込み)となっている。

 その造りはもちろんbimotaらしさしか詰まっていない。鋼管を使ったトレリスフレームを造り、彼らが理想とする位置にカワサキの水冷4気筒は搭載。これもハンドリングを求めた結果だろう、前輪とエンジンの空間にゆとりはなく、冷却を受け持つラジエターはクーリングファンなどとともにリアシートカウル内に収められている。

#bimota KB4

 熱交換器に風を導くべくエンジン両サイドを覆うようにF1のインダクションボックスを思わせる発想の導風口がボディーサイドでテールカウルまで続いている。その素材はカーボンであり角型のデザインが跨がったライダーの足と干渉する部分がある。市街地などをまっすぐ走る時にはこの角型ボックスが気になるのだが、ワインディングで走りを楽しむ時、その存在をスッカリ忘れることができる。bimotaと暮らす人生、楽しむことはスポーツでしょ、と言わんばかりだ。

#bimota KB4

 創業当時からほぼエンジンは量産メーカーから調達していたbimota。それだけにKB4RCでもシャーシの特徴がよくわかる。じつはカワサキとの協業で大きな利益と言えるのがここで、駆動系の完成度が高いだけにその部分、つまりbimotaらしさをじっくり味わえるのだ。
 KB4を含めこのKB4RCもリアに190/50ZR17というサイズからも想像できるように、スーパーバイク的な超絶バンク角でのグリップ走法という部分よりもお気に入りのワインディングで流すように攻めるスポーツを堪能するように設計者は意図したようだ。

 市街地から高速道路で山間部のワインディングまでは走る時はスポーツネイキッドとして、時にGTバイクのような安定感ある走りを見せる。それでいて、前後のタイヤ、サスペンションはスポーツ志向の強いものだから、細かな突き上げは車体に荷重がかかっていないとわりと正直にシートから伝わってくる。

#bimota KB4

 そもそも肉厚なシートではないので辛口評価とも言えるのだが、遠出を楽しむにはシートはあまり味方してくれない。
 ところがワインディングで道に合わせて左右に切り替えしながら走ると適度な手応えをもってリーンしつつ、路面を味わうような滑らかさを見せるサスペンションへと荷重が乗ると変化する足周りにより、充実の走行感を享受できるのだ。
 ブレーキングにしてもブレーキレバーのタッチから初期の制動力がかかりブロントタイヤが潰れながら路面を捉える様が忠実に伝わってくる印象だ。必要なだけシフトダウンをしてトレッド面の側方へと荷重を移しながら曲がる。

#bimota KB4

 短時間の出来事に味わいがあり走る充実を楽しめた。先述したとおり、ここにパワフルかつトルクフルながら神経質さがないカワサキのエンジンをそのまま搭載できたことこそこのKB4RCというパッケージの完成度をグッと上げているのだと思う。

 試乗開始直後の往路は特殊なバイクだなぁ、という斜め読みするような思いでアクセルを開けたが、試乗時間の後半、発着点に戻る時には特別なバイクへとKB4RCは変身、進化したかのような理解を得た。bimotaは間違いなくスポーツバイクだ。見た目や独特な技術を活かしたブランドであるのはもちろん、走る悦びをなによりも大切にしたカロッツェリアなんだ! と嬉しい気分で試乗を終えたのです。
(試乗・文:松井 勉、撮影:渕本智信)

#bimota KB4

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アルミ削り出しのスイングアーム。美しさを優先した造りやサスペンションユニットをスイングアーム部分に集約した構造など独自のスタイルをもっている。

#bimota KB4
アロウ製の2本出しサイレンサーエンド。その音は4気筒らしい迫力を持っている。消音の主体はエンジン下方後部にある排気コレクターボックスですでに行われている。
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燃料タンクもビモーター流の塗装を施されたもの。タンクキャップなどはカワサキ車と同様のもの。ハンドル周りのスイッチもカワサキ車から移植される。フロントフォークのトップブリッジをはじめ機能と美しさを兼ね備えた細部にbimotaらしさが投影される。細部を見ると473万円という価格も説得力を持つしむしろバーゲンにすら思えてくる。

#bimota KB4

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ラジエターをシートカウル内に納めフロントフォークを包むように口を開ける導風口からテールエンドまで走行風を運ぶ。このボックス形状の部分が市街地走行などでは膝などに干渉をするが、スポーツライディングや前傾姿勢で伏せると干渉しないようデザインされている。同日試乗をしたカワサキ車と比較して水温は数度高めに表示された。ヨーロッパ的な速度域で冷却も本領を発揮するのかもしれない。しかし、テールカウル内にあるラジエター、クーリングファンのステーなどカーボンで作られたパーツ個々の美しさは格別。

#bimota KB4
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スイングアームを外から挟み込むプレートとステップホルダーを兼ねたライダーにとって重要なコントロールパーツ周り。ステップ周辺だけを見ても美しく削り出されたパーツを用いる。ヒールプレートは薄いカーボン製の板ながらしっかりとした剛性も持つ。

#bimota KB4
ビモーターとの特別な時間を演出するライダーのコクピット周り。バーエンドミラーは視認性が良く、スイッチ周りの操作性もバツグン。シートが高めに感じるのはクリップオンハンドルが低めなのと、1Gでもそれほど沈まないハードなリアサスの設定によるものだろうか。それでもハンドリングはシャープ一辺倒ではないのがこのKB4RCとの距離感を縮めてくれるパッケージバランスである。
#bimota KB4
ホイールはOZレーシング製。フロントフォークはオーリンズ製。ラジアルマウントされるフロントブレーキキャリパーはブレンボ製と一流のパーツだけを組み合わせる。φ320mmのディスクプレートと組み合わせるそれは、コントロール性を重視したもの。下りヘアピンへのアプローチでも自身をもって操作ができた。もちろんピレリ ディアブロスーパーコルサ SPがもつ強大なグリップもその安心感に加担する。

#bimota KB4
メーターパネルはカワサキ車から移設されたものだが、キーをオンにした時のお出迎えはもちろんbimotaの文字である。
#bimota KB4
タンカラーのレザーを使ったライダー用シート。シートカウルとその下部のつなぎ目の精度、デザインなども注目点。スイングアームから伸びるインナーフェンダーとウインカー、ナンバープレートホルダーを兼ねたフェンダーの造形も素晴らしい。

#bimota KB4
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●bimota KB4 Specification主要諸元
■エンジン種類:水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ ■総排気量:1,043cm3 ■ボア×ストローク:77.0×56.0mm ■圧縮比:11.8 ■最高出力:104.5kW(142PS)/11,000rpm ■最大トルク:111N・m(11.3kgf・m)/8,000rpm ■全長×全幅×全高:2,040×773×1,060mm ■ホイールベース:1,390mm ■シート高:810mm[+/-8mm] ■車両重量:191kg ■燃料タンク容量:19.5L ■変速機形式: 常時噛合式6段リターン ■タイヤ(前・後):120/70ZR17・190/50ZR17 ■ブレーキ(前/後):油圧式ダブルディスク(ABS)/油圧式シングルディスク(ABS) ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):4,730,000円


[『bimota KB4 松井 勉 試乗インプレッション記事へ]

[『bimota KB4 濱矢文夫 試乗インプレッション記事』へ]

[bimotaのWEBサイトへ]

2025/06/16掲載