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レース・イベント






国内で販売されているブランドであっても、ドゥカティやKTMのブースは見られなかった東京モーターサイクルショー。そんなスキに、ハーレーとBMW、トライアンフが元気です! 今回、本誌取材班はプレスデーと一般公開日に会場へ突撃。3日間合わせての入場者数は、昨年より4%増の11万8812人。土曜日が雨だったにもかかわらず、いやぁ、よく入りました!

■取材・文:中村浩史 ■撮影:森 浩輔

 外国車ブランドにとってアジア=日本は重要だったり、それでも規模がそんなに大きくはないマーケットだったり。そのためか、すべての外国車ブランドが出揃ったわけではなかったけれど、ビッグブランドとスタートブランドがごちゃまぜに出展されていた感のある東京モーターサイクルショー。
 今や、外国車ブランドじゃなきゃ手に入らないようなカテゴリーは決して多くはなくて、もう「外国車」っていう特別な存在じゃない、あくまでも選択肢のひとつ。それでも、やっぱり個性に振り切っているキャラクターが、外国車らしさを感じさせるから、外国車は元気だな、って感じてしまうのだ。
 お客さんの多くの目当ては、やっぱりハーレーダビッドソンの2025年モデル。それにBMWが隠し玉を用意してくれたり、普段目にすることが国産モデルよりも少ない外国車を一度に目にできるって機会がモーターサイクルショーならでは。
「外国車」って垣根を取り払ったようなQJモーターのラインアップが人気でした!

#東京モーターサイクルショー外国車

■ハーレーダビッドソン https://www.harley-davidson.com/jp/ja/index.html

 出揃った2025年モデルを一度に見られるチャンスだった東京モーターサイクルショー。メーカーカスタムのスペシャルバージョンであるCVO(=カスタム・ビークル・オペレーションズ)以外はほぼ実際に跨がることができるモデルばかりとあって、会期中のハーレーブースはファンでぎっしり!
 Xシリーズ/グランドツーリング/クルーザー/アドベンチャー/スポーツ/トライクの6カテゴリーのうち、ハーレーファンの今回のお目当ては、ツーリングファミリーのニューモデル、ストリートグライド・ウルトラ。ビッグカウルのパニアケース&トップケース仕様の、ハーレーのひとつの顔は、ファンの注目が高かったようです。
 そして、マイナーチェンジが行なわれたスポーツスターにも熱視線。アップマフラーのスポーツスターSは、エンジン&マフラーまわりがブラックアウトされていました。
 アドベンチャーツアラーのパンアメリカには、従来の前19/後17インチから、よりオンロードを意識した1250STが登場。前後17インチを採用し、足着きもラクになったことを、またがりモデルがあると実感できるんですね。

#東京モーターサイクルショー外国車
メーカーカスタムのスペシャルバージョンであるCVOシリーズ。手前からCVOロードグライド(580万5800円~)、CVOストリートグライド(580万5800円~)、CVOロードグライドST(561万8800円~)。搭載されるエンジンはミルウォーキーエイトと呼ばれる1977cc。
#東京モーターサイクルショー外国車
アドベンチャーファミリーのパンアメリカは、手前の1250ST(価格258万6800円~)が新登場。オンロードメインの前後17インチホイールで、クイックシフターも装備。写真奥の1250スペシャル(279万5800円~)は前19/後17インチのワイヤースポークバージョン。

#東京モーターサイクルショー外国車
ロングシールド、トップケースを標準装備したストリートグライド・ウルトラ(440万8800円~)。タンデムで長距離を走ることに特化したような、ハーレーの顔たる1台。
#東京モーターサイクルショー外国車
2021年に全面刷新されて、水冷Vツイン車となって5年目となるスポーツスター。写真はシングルシーターのスポーツスターS(価格199万8800円~)で、ナイトスタースペシャル(188万8800円~)ともども、エンジン、マフラー周りがブラックとされ、リアサスペンションが改良され、ホイールトラベルが60%アップとなったそうです。

#東京モーターサイクルショー外国車
#東京モーターサイクルショー外国車
2023年にデビュー、確実に新しいファン層を広げ続けているX350(青写真:69万9800円)とX500(オレンジ写真:83万9800円)。2025年モデルは写真の350の青=コスミックブルーが追加され、さらに人気を呼びそう。実際にまたがりモデルへの順番待ちがいちばん長かったようでした。

#東京モーターサイクルショー外国車
クルーザーラインアップに属する、1923ccのミルウォーキーエイトのうち「ハイアウトプット」と呼ばれる114PSエンジンを搭載するローライダーS(300万800円)。兄弟モデルのローライダーSTはハーフカウル+パニアケースを標準装備する。

■BMW https://www.bmw-motorrad.jp/ja/home.html

 アドベンチャー王であるGSを軸に、並列4気筒スポーツのS、そのスポーツラインのM、フルカウル系ツーリングバイク、ネイキッドのロードスター、そしてスクーターに、ヘリテイジスポーツと、全方位のラインナップが完成した感のあるBMW。
 いま勢いがあるのは、1200cc/1800ccボクサーエンジンを使用したヘリテイジ系で、今回のショーではその一歩先にある「R20コンセプト」を出展。このヘリテイジ系に共通するのは、ナツカシ系スタイリングなのに、乗ればびっくりするくらい元気な走りを見せること。
 BMWラインアップの根底に流れているのは、やっぱり「スポーツラン」なのでした。

#東京モーターサイクルショー外国車
#東京モーターサイクルショー外国車
BMWの目玉は、本邦初公開の「R20コンセプト」。めずらしくピンクにペイントされたコンセプトモデルは、R18の1800cc空冷ボクサーエンジンを2000ccまでスープアップし、ロードスタースタイルに仕上げたモデルだ。この東京モーターサイクルショーのためにドイツ本国から運び込まれ、ステージ上でアンベールするほどの熱の入りようで、2024年5月に行なわれた、イタリアのクラシックカーイベントで公開し、反響が大きかったことから日本でも、となったようです。

#東京モーターサイクルショー外国車
2024年春に発表されたR12シリーズ。写真のR12nineT(価格:254万3000円~)が、古き良きボクサーのテイストと、現代版のスポーツバイクのパフォーマンスをもつモデルとして大人気です。1170ccの空冷ボクサーツインで95PSを発揮。このR12(価格:199万9000円)エンジンをべースに、G/S(近日公開)やR12S(価格:297万7000円)、そしてこのnineTが展開されています。
#東京モーターサイクルショー外国車
BMWのプレミアムスポーツラインが、「M」シリーズ。そのトップモデルがM1000RR(価格:430万円~)だ。ワールドスーパーバイク(WSBK)出場のホモロゲーションモデルで、2024年ワールドチャンピオンマシン。最高出力は6PSアップの218PSで、最高速度は314km/hと発表されている。ちょうどモーターサイクルショー会期中の第2戦ポルトガル大会のレース1/2&スプリントで優勝していました!

#東京モーターサイクルショー外国車
Mシリーズのスーパースポーツの遺伝子を持つストリートモデルがM1000R(写真左 価格:277万7000円~)、M1000XR(価格:333万6000円)だ。M1000Rは2025モデルとして発表されたもので、ネイキッドスポーツながら最高出力210PS、最高速度280km/hをマーク! 2024年からMファミリーに加わったXRはアドベンチャーモデルでありながら、最高出力201PS、最高速度275km/hを発表されています。

■ロイヤルエンフィールド https://www.royalenfield.co.jp

 2020年代を前にラインアップやモデルが刷新された新生ロイヤルエンフィールド。今回の東京モーターサイクルショーでは、最新モデルBEAR650を軸に、ニュークラシックシリーズを展示。これでエンフィールドは、スクランブラーなBEAR650をはじめ、ニュークラシック650やメテオのクルーザータイプ、ニュークラシック350やブレットのネオクラシックタイプ、カフェレーサータイプのコンチネンタルと幅広いラインアップを完成しつつあります。ニューGOANクラシックの注目度が高かった!

#東京モーターサイクルショー外国車
スクランブラーテイストで仕上げられたBEAR650(価格:99万円~)。エンジンは47PSを発揮する水冷並列2気筒650ccで、前19/後17インチホイールを採用。車名はカリフォルニア砂漠のビッグベア・ランから来たもので、写真のTwoFourNineは、60年のビッグベアランを当時最年少の16歳で制したエディ・マルダーのゼッケン「249」にちなんだものだそうです。
#東京モーターサイクルショー外国車
クラシックなフォルムにビビッドなカラーで注目度が高かったゴアン・クラシック350。350ccの空油冷単気筒エンジンを採用したクラシック350をベースとしたメーカーカスタムで、エイプバーとサドルシートを採用したボバースタイルのバリエーションだ。

#東京モーターサイクルショー外国車
クラシック650は、2024年のミラノショーで発表された日本初登場モデル。ショットガンやコンチネンタルと同系の650cc空冷並列2気筒エンジンを採用し、人気の350クラシックのようなスタイリングに仕上げている。この排気量カテゴリーで、ここまでクラシックなスタイリングのモデルは稀。日本でも人気が出そうな1台です。
#東京モーターサイクルショー外国車
わずか20PSを発揮する350ccの空冷単気筒エンジンを搭載する、エンフィールドの人気モデルが、このクラシック350(69万1000円~)。ヘリテイジ/シグナル/ダーク/クロームのバリエーションがあり、2025年モデルはLEDヘッドライトが採用され、ギアポジション表示つきメーター、USB充電ソケットも装備されている。

■トライアンフ https://www.triumphmotorcycles.jp

 Moto2世界選手権のエンジン供給メーカーであり、古き良き英国車の雰囲気を持つボンネビルをもつブランドという、幅広いレンジのモデルづくりで人気のトライアンフ。今回のショーでは、新型スピードトリプル1200RS、トライアンフ初と言っていいオフロードモデル、TF450のお披露目が行なわれました。
 ブースを訪れたファンにはしかし、スピードツイン900や、400ccシリーズのスピード400/スクランブラー400Xの人気が高かったのが印象的でした。トライアンフってブランドは、スーパースポーツはもちろん、ベーシックスポーツ人気が高いと再認識させられました。

#東京モーターサイクルショー外国車
トライアンフのモダンクラシックラインのロングセラーモデル、メインモデルといってもいいスピードツイン900(115万5000円~)。空冷エンジンに見える65PSを発揮する900ccの水冷並列2気筒エンジンを使用し、前18/後17インチホイールを採用。バーチカルツイン(直立2気筒)とはこのエンジンのことです!
#東京モーターサイクルショー外国車
普通二輪免許でも乗れることで人気上昇中のスクランブラー400X(手前 価格:81万9000円)、スピード400(価格:72万9000円)。40PSを発揮する400ccの水冷単気筒エンジンを搭載し、スタンダードなルックスでデビュー。両モデルの大きな違いはフロントホイール径で、リアホイールは17インチと同じながら、スピードが17インチ、スクランブラーXが19インチを採用。

#東京モーターサイクルショー外国車
ブースのセンターに展示されていたのは、スピードツイン1200RS(価格:222万9000円)、スピードツイン1200(価格:188万4000円)、スピードツイン900。1200ccの水冷並列2気筒は100PSオーバーを発揮し、見た目のクラシックさからは想像できないような俊足ぶり。
#東京モーターサイクルショー外国車
トライアンフ初のエンデューロモデルとして登場したのはTF250E(価格:115万6000円)とTF450E(129万6000円)。エンデューロ向けの新設計単気筒エンジンを搭載し、450では58.6PSを、250では42.3PSを発揮。日本ではまだまだなじみがない450ccオフロードモデルですが、アメリカとヨーロッパでは、話題沸騰! 写真の450RC(価格:139万9000円)は、このモデルの開発ライダーを務めたレジェンド、リッキー・カーマイケルにちなんだスペシャルです。

#東京モーターサイクルショー外国車
トライアンフモーターサイクルズジャパンが主催したデイトナ660カスタムコンテストの優勝マシンが、このトライアンフ横浜港北によるエースカフェレーサーカスタム。エースカフェは、イギリス・ロンドンの走り屋が集まるとされているカフェで、横浜港北ではきちんと許可を取ってタイアップ、限定受注生産で発売するんだそうです! 価格は149万6000円~。

■QJモーター https://qjmotor.co.jp

 ショー会場にかなりのスペースを取って18台もの多数展示を行なっていたのは、東京モーターサイクルショー初登場となる、85年に創業した中国メーカーであるQJモーター。ベネリやハーレー・ダビッドソンXシリーズにもエンジン供給していますね。
 ミニバイクのSRK、スポーツバイクのSRK-R、クルーザーのSRV、オフロードのCOV、そしてスクーターの5カテゴリーでのラインアップだ。日本での販売も2025年2月からスタートし、注目は日本でも数少ない400cc4気筒、SRK400RSだ。完成度次第ではNinja ZX4R/RRのライバル選択肢になりうるか?

#東京モーターサイクルショー外国車
QJモーターの最新モデルであるSRK400RS。最高出力77PSで車両重量176kgと軽量、ハイパワーに仕上がっていて、価格未定ながら日本のライバル機種の価格も意識しながら、夏ごろをめどに日本発売を予定している、ということでした。400ccって排気量選定の時点で日本市場を意識していることが分かりますね。

#東京モーターサイクルショー外国車
水冷Vツインエンジンを搭載するクルーザースタイルのSRV250A。ファットスタイルなボバー系といったフォルムだが、これシフトペダルがなく、左ハンドルスイッチに+/-ボタンがあることから、オートマチックミッション! 左レバーはリアブレーキ用のようで、日本導入にちょっと期待!
#東京モーターサイクルショー外国車
ベネリ・インペリアーレ400のQJモーターバージョンが、このSRC400。21PSを発揮する374ccの空冷単気筒を採用し、前後ディスクブレーキ、前19/後18インチホイールを採用。ヤマハSRなき今、このテイストが手に入る数少ないモデルです。

■PLOT https://www.plotonline.com/

 パーツメーカーやプロデューサーであるプロトも、実はベネリを中心とした輸入モデルの総発売元。以前から「ロードホッパー」発売元としても知られていましたが、今回のショーでは、イギリス・モートーンカスタムとプロトとの共同開発モデルも展示。まるでトライアンフ純正? と思えるほどの完成度に注目が集まっていました。

#東京モーターサイクルショー外国車
まるで純正コンプリートに見えるトライアンフ車群は、モートーンカスタムのパーツを組み込んだカスタムバイク。左はボンネビル・ボバー、ボンネビルT120で、いちばん奥は旧OHVツインを搭載する世代のトライアンフ。イギリスでは当たり前のパーツラインアップも、こうして日本で手に入れやすくしてくれているのがプロトなのです。

#東京モーターサイクルショー外国車
現在はQJモーター傘下にあるブランド、ベネリもプロトが総発売元として日本に紹介しています。ベネリはスクランブラー/ネイキッド/ツーリング/クラシックのカテゴリーでモデルラインアップし、写真はネイキッドカテゴリーの30PSを発揮する水冷DOHC4バルブ並列2気筒を搭載するTNT249S(74万8000円~)。
#東京モーターサイクルショー外国車
2020年にスタートした、プロトの電動スクーター事業。写真は中国ゴッチア社のモデルをベースとして完成度を高め、保安基準をパスした車両として型式認定を取得したPEV600。PEVはプロト・エレクトリック・ビークルの略で600は定格出力600W(=約0.8PS)の意味。型式認定を取得したということは、プロトが電動スクーターメーカーとして国に認められたということで、PEVは購入時に国の補助金も受けられるのです。


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2025/03/31掲載