Facebookページ
Twitter
Youtube

試乗・解説






■試乗・文・撮影:毛野ブースカ ■協力:スズキ https://www1.suzuki.co.jp/motor/

 翌朝、朝風呂に入った後に朝食を食べてから出発。起きた時は曇りだったが、段々と晴れ間が見えてきている。想定よりも気温は低くなくツーリングにはちょうどいい予感。2日目は寸又峡温泉から接岨峡温泉を通って井川ダムを目指し、そこからいくつか日帰り温泉に入湯した後、国道362号線に戻って静岡市内に入り帰京するというスケジュールだ。まずは県道77号線を千頭方面に戻って県道388号線に入る。接岨峡温泉の前に向かったのは大井川鐵道井川線の奥大井湖上駅が見渡せる展望台。斜面に設けられた何段もの階段を登り、展望台から見渡した景色は絶景。青空と山々の紅葉、湖水のコントラストが実に美しい。奥大井レインボーブリッジを渡った先にある奥大井湖上駅からの景色も素晴らしい。

#EICMA2024
ペンション寸又峡までの走行距離は約311㎞、平均燃費は35.9㎞/L。フューエルメーターは減っていないので、出発までの燃費はよほど悪かったのだろう。
#EICMA2024
接岨峡温泉に向かう途中にある長島ダムの対面には大井川鐵道井川線の線路が見える。大井川鐵道井川線は90パーミルという日本一の急こう配を登るために日本で唯一のアプト式の列車が走っている。特にアプトいちしろ駅と長島ダム駅間は日本で最も急こう配な区間だという。

#EICMA2024
大井川鐵道井川線の奥大井湖上駅は鉄橋の途中にあり、まるで接岨湖に浮かんでいるように見える。展望台から見えるこの季節の景色は絶景だ。
#EICMA2024
鉄橋を徒歩で渡ったところにある奥大井湖上駅は恋愛のパワースポットとして知られており、この日も多くの観光客が訪れていた。

 奥大井湖上駅を見渡した後は、井川ダムに行ってから接岨峡温泉に戻って昼食の予定で接岨峡温泉から市道閑蔵線に入ったところ、井川ダムに向かう市道閑蔵線が時間帯通行止めになっていることが判明。通行止め解除時間まで40分以上あり、さらにその後の解除時間に合わせると時間が無駄になってしまうので、接岨峡温泉に入湯するのは断念して、井川ダムから県道60号線に進んで国道362号線を目指すことにした。土日祝を除く期間内に市道閑蔵線を走行する予定の方は注意しよう。

#EICMA2024
井川ダムに向かう市道閑蔵線は時間帯通行止めが実施されていた。このせいでツーリングのルート変更を余儀なくされた。今後この道を通る予定の方は参考にしてほしい。
#EICMA2024
接岨峡温泉駅では大井川鐵道井川線のアプト式電気機関車が出発前の点検を行っていた。なかなか機関部を見る機会はないので、思わずジッと見てしまった。

 ということで、一度接岨峡温泉に戻って接岨峡温泉駅を見学してから接岨峡温泉から山道を分け入った関の沢展望所で撮影。山道は落ち葉や小枝のようなもので覆われており慎重な運転が求められるが、Vストローム250は難なくクリア。解除時間に市道閑蔵線に戻り、無事井川ダムに到着。大井川がダムによってせき止められてできた井川湖は独特なエメラルドグリーンをしており、湖畔からは美しい景色が楽しめる。

#EICMA2024
関の沢展望所から見た景色。絶景の奥のほうにある白い鉄橋は、日本一の高さを誇る大井川鐵道井川線の鉄道橋「関の沢橋梁」だ。こんな素敵な場所を走る大井川鐵道井川線に乗ってみたい。
#EICMA2024
ようやく井川ダムに到着して井川湖を望む場所からパチリ。奥大井湖上駅のある接岨湖もそうだが、ここも湖水がエメラルドグリーンで周囲の山々の色合いと相まって何とも言えない美しさを醸し出している。

 急遽ルートを変更して、井川ダムから県道60号線と県道27号線を通って日帰り入浴施設「口坂本(くちさかもと)温泉浴場」を目指すことにした。井川ダムまでは比較的山道はキレイだったが、ここからはすれ違う車は少ないもののアップダウンとカーブが多く、道幅が狭いうえに道には落ち葉や岩が落ちていて、いかにも山道らしい道が続く。3~4速、時には1~2速で路面の状況を見ながら進むが、Vストローム250SXはコントロールを失うことなく進んでくれる。気が付くと下回りが落ち葉だらけになっていた。荒れた山道を人馬一体となってグイグイと突き進む。約1時間かけて「口坂本温泉浴場」に到着した。

#EICMA2024
県道60号線を少し登ったところから井川湖を見たところ。ここから県道27号線に入り、アップダウンを繰り返して口坂本温泉に向かう。
#EICMA2024
県道27号線沿いにある日帰り入浴施設「口坂本温泉浴場」。山間部にも関わらず多くの方が訪れている人気の温泉だ。お湯はもちろん入湯料300円というのも魅力。。

 市営「口坂本温泉浴場」は静岡県静岡市葵区口坂本にある日帰り入浴施設だ。入湯料はイマドキとしては安い300円。静岡市内から近い山間部にあるためか、平日にも関わらず多くのお客さんが訪れていた。泉質はナトリウム・炭酸水素塩泉で、昨日入湯した「もりのいずみ」と同じぬるめのぬるすべ系のお湯は肌を優しく潤ってくれる。ハードな山道を走って疲れた身体を癒してくれる。

#EICMA2024
県道27号線から県道60号線に戻り、湯ノ島温泉浴場に向かう途中にあった富士見峠でパチリ。下回りにはすでに落ち葉がいっぱい付着している。
#EICMA2024
県道60号線を走っていたら急に景色が広がったところがあり思わず撮ってしまった。今までとは違う景色で、連なる山々の間に見えるのは南アルプス連峰だろうか。とにかく晴れていて、神様がご褒美をくれたみたいだ。

 「口坂本温泉浴場」を出ると時間は13時を過ぎていた。昼食の時間だが食事処がないので、もう一軒日帰り入浴施設に入り、静岡市内に戻ってから遅めの昼食&早めの夕食を摂ることにした。口坂本温泉から次に目指したのは「湯ノ島温泉浴場」だ。県道27号線を戻って県道60号線に入り、そのまま進んで国道362号線を目指す。県道60号線は国道362号線から井川ダムに向かう主要道路なのだが県道27号線以上にハードな箇所もあり、Vストローム250SXで良かったと思う瞬間が多かった。途中、絶景ポイントを発見して撮影して、口坂本温泉から1時間30分ほどかけて「湯ノ島温泉浴場」に到着した。

#EICMA2024
県道60号線や県道27号線は道が狭いうえに落ち葉や小枝、落石している箇所が多くて終始気が抜けなかった。特に湧水が染みた落ち葉が重なった場所は慎重を要した。
#EICMA2024
最後に立ち寄ったのが日帰り入浴施設「湯ノ島温泉浴場」。ぬるすべ系のお湯で疲れを取ってから国道362号線に戻った。ここまで来ると道も走りやすくなった。

 市営「湯ノ島温泉浴場」は静岡市葵区湯ノ島にある日帰り入浴施設だ。入湯料は600円。内湯のみだが、ここもぬるすべ系のナトリウム・炭酸水素塩泉で、疲れた身体をじっくり癒してくれる。ここオクシズ地域はこの系統の泉質のお湯が多いのだろう。接岨峡温泉に入湯できなかったのは残念だが、久しぶりに連湯した。

 「湯ノ島温泉浴場」に入湯したところで15時を過ぎていた。日が落ち始めており、そろそろ写真を撮るのが厳しくなってきた。ここで奥静岡エリアの探索は終了。国道362号線に戻り、遅めの昼食&早めの夕食を東名高速道路静岡インターチェンジ近くにある「さわやか」静岡インター店で摂ることにした。

#EICMA2024
「湯ノ島温泉浴場」に入ったところで走行距離は約407㎞、平均燃費は36.8㎞/Lだった。寸又峡温泉から90㎞は走っているのにフューエルメーターが1目盛りしか減っていないのに驚き。
#EICMA2024
遅めの昼食&早めの夕食に立ち寄った「さわやか」静岡インター店。毎年5月に開催されている静岡ホビーショーの帰りに立ち寄ることが多く、時間が中途半端だったせいもあり並ばずに食べることができた。

 県道60号線を国道362号線に向かうにつれて人家と交通量が多くなり、市街地に戻ってきた。つい数時間前に走っていた険しい山道がウソのように整備されていて道が走りやすい。昨日走った道を戻り、16時過ぎに東名高速道路静岡インターチェンジ手前にある「さわやか」に到着。さわやかと言えば待ち時間が多い印象だが、今回は並ぶことなく席に座れて名物「げんこつハンバーグ」を食べて腹ごしらえ。お店を出てそのまま静岡インターチェンジから東名高速道路に乗り、自宅に到着したのが20時過ぎだった。

#EICMA2024
さわやかに来るといつも食べている名物「げんこつハンバーグ」。さわやかは美味しいだけではなく店員さんの接客応対も魅力。これを食べて腹を満たしてから東京に戻った。
#EICMA2024
東京に戻ったところで走行距離は約615㎞、平均燃費は39.7㎞/Lと今回のツーリングで最もいい数値を叩き出した。フューエルメーターは残り2目盛りあり、もう少し走れそうだ。

 試乗車を返却するまで合計646㎞走行したところでフューエルメーターがエンプティに達した。給油したところ9.14リットルとなり、前回給油してから376㎞走行して燃費は41㎞/Lとなった。山道や高速道路での走行が多かったとはいえ期待以上の燃費を叩き出した。以前乗車したVストローム250は約37㎞/Lだったことを考えると、同等かそれ以上ということになる。燃料タンク容量から航続可能距離を単純に計算すると、12リットルのVストローム250SXは492㎞、17リットルのVストローム250は629㎞となり、Vストローム250のほうが圧倒的だ。

 どちらも甲乙つけがたい魅力がある中で両車を選ぶのに迷うところだが、個人的にはスポーティーで高速道路が楽に走れて車両重量が軽いVストローム250SXに軍配が上がる。一方、Vストローム250の魅力は肩肘張らないゆとりのある走りと、燃料タンク容量が17リットル、純正オプションやサードパーティー製パーツの豊富さが魅力だろう。価格はVストローム250SXが591,800円、Vストローム250が668,000円でVストローム250SXほうが安い。購入を考えている方はぜひ両車とも試乗してみることをお薦めする。

 Vストローム250SXはジクサー150同様、実用性とコストパフォーマンスという点では文句なく合格点であり、インド軍団侮りがたしという印象を強く受けた。まさにオールラウンダーといっても過言ではないVストローム250SX。いい世の中になったものだ。(了)
(試乗・文・撮影:毛野ブースカ)

#EICMA2024
最終的には646.7㎞走行し、平均燃費は38.9㎞/L、実際の給油量から換算したところ41㎞/Lとなかなかの数値となった。
#EICMA2024
600㎞以上に及んだ実走でジクサー150と同様、インド軍団の実力をまざまざと見せつけられた。Vストローム250の人気の陰に隠れがちだが、Vストローム250SXの魅力は捨てがたいものがある。気になっている方はぜひ試乗してみてほしい。

[『Vストロームシリーズの末っ子を実走検証 中編』』へ]

[新車詳報へ]

[スズキのWEBサイトへ]

2025/01/08掲載