■試乗・文・撮影:毛野ブースカ ■協力:スズキ https://www1.suzuki.co.jp/motor/
翌朝、朝風呂に入った後に朝食を食べてから出発。起きた時は曇りだったが、段々と晴れ間が見えてきている。想定よりも気温は低くなくツーリングにはちょうどいい予感。2日目は寸又峡温泉から接岨峡温泉を通って井川ダムを目指し、そこからいくつか日帰り温泉に入湯した後、国道362号線に戻って静岡市内に入り帰京するというスケジュールだ。まずは県道77号線を千頭方面に戻って県道388号線に入る。接岨峡温泉の前に向かったのは大井川鐵道井川線の奥大井湖上駅が見渡せる展望台。斜面に設けられた何段もの階段を登り、展望台から見渡した景色は絶景。青空と山々の紅葉、湖水のコントラストが実に美しい。奥大井レインボーブリッジを渡った先にある奥大井湖上駅からの景色も素晴らしい。
奥大井湖上駅を見渡した後は、井川ダムに行ってから接岨峡温泉に戻って昼食の予定で接岨峡温泉から市道閑蔵線に入ったところ、井川ダムに向かう市道閑蔵線が時間帯通行止めになっていることが判明。通行止め解除時間まで40分以上あり、さらにその後の解除時間に合わせると時間が無駄になってしまうので、接岨峡温泉に入湯するのは断念して、井川ダムから県道60号線に進んで国道362号線を目指すことにした。土日祝を除く期間内に市道閑蔵線を走行する予定の方は注意しよう。
ということで、一度接岨峡温泉に戻って接岨峡温泉駅を見学してから接岨峡温泉から山道を分け入った関の沢展望所で撮影。山道は落ち葉や小枝のようなもので覆われており慎重な運転が求められるが、Vストローム250は難なくクリア。解除時間に市道閑蔵線に戻り、無事井川ダムに到着。大井川がダムによってせき止められてできた井川湖は独特なエメラルドグリーンをしており、湖畔からは美しい景色が楽しめる。
急遽ルートを変更して、井川ダムから県道60号線と県道27号線を通って日帰り入浴施設「口坂本(くちさかもと)温泉浴場」を目指すことにした。井川ダムまでは比較的山道はキレイだったが、ここからはすれ違う車は少ないもののアップダウンとカーブが多く、道幅が狭いうえに道には落ち葉や岩が落ちていて、いかにも山道らしい道が続く。3~4速、時には1~2速で路面の状況を見ながら進むが、Vストローム250SXはコントロールを失うことなく進んでくれる。気が付くと下回りが落ち葉だらけになっていた。荒れた山道を人馬一体となってグイグイと突き進む。約1時間かけて「口坂本温泉浴場」に到着した。
市営「口坂本温泉浴場」は静岡県静岡市葵区口坂本にある日帰り入浴施設だ。入湯料はイマドキとしては安い300円。静岡市内から近い山間部にあるためか、平日にも関わらず多くのお客さんが訪れていた。泉質はナトリウム・炭酸水素塩泉で、昨日入湯した「もりのいずみ」と同じぬるめのぬるすべ系のお湯は肌を優しく潤ってくれる。ハードな山道を走って疲れた身体を癒してくれる。
「口坂本温泉浴場」を出ると時間は13時を過ぎていた。昼食の時間だが食事処がないので、もう一軒日帰り入浴施設に入り、静岡市内に戻ってから遅めの昼食&早めの夕食を摂ることにした。口坂本温泉から次に目指したのは「湯ノ島温泉浴場」だ。県道27号線を戻って県道60号線に入り、そのまま進んで国道362号線を目指す。県道60号線は国道362号線から井川ダムに向かう主要道路なのだが県道27号線以上にハードな箇所もあり、Vストローム250SXで良かったと思う瞬間が多かった。途中、絶景ポイントを発見して撮影して、口坂本温泉から1時間30分ほどかけて「湯ノ島温泉浴場」に到着した。
市営「湯ノ島温泉浴場」は静岡市葵区湯ノ島にある日帰り入浴施設だ。入湯料は600円。内湯のみだが、ここもぬるすべ系のナトリウム・炭酸水素塩泉で、疲れた身体をじっくり癒してくれる。ここオクシズ地域はこの系統の泉質のお湯が多いのだろう。接岨峡温泉に入湯できなかったのは残念だが、久しぶりに連湯した。
「湯ノ島温泉浴場」に入湯したところで15時を過ぎていた。日が落ち始めており、そろそろ写真を撮るのが厳しくなってきた。ここで奥静岡エリアの探索は終了。国道362号線に戻り、遅めの昼食&早めの夕食を東名高速道路静岡インターチェンジ近くにある「さわやか」静岡インター店で摂ることにした。
県道60号線を国道362号線に向かうにつれて人家と交通量が多くなり、市街地に戻ってきた。つい数時間前に走っていた険しい山道がウソのように整備されていて道が走りやすい。昨日走った道を戻り、16時過ぎに東名高速道路静岡インターチェンジ手前にある「さわやか」に到着。さわやかと言えば待ち時間が多い印象だが、今回は並ぶことなく席に座れて名物「げんこつハンバーグ」を食べて腹ごしらえ。お店を出てそのまま静岡インターチェンジから東名高速道路に乗り、自宅に到着したのが20時過ぎだった。
試乗車を返却するまで合計646㎞走行したところでフューエルメーターがエンプティに達した。給油したところ9.14リットルとなり、前回給油してから376㎞走行して燃費は41㎞/Lとなった。山道や高速道路での走行が多かったとはいえ期待以上の燃費を叩き出した。以前乗車したVストローム250は約37㎞/Lだったことを考えると、同等かそれ以上ということになる。燃料タンク容量から航続可能距離を単純に計算すると、12リットルのVストローム250SXは492㎞、17リットルのVストローム250は629㎞となり、Vストローム250のほうが圧倒的だ。
どちらも甲乙つけがたい魅力がある中で両車を選ぶのに迷うところだが、個人的にはスポーティーで高速道路が楽に走れて車両重量が軽いVストローム250SXに軍配が上がる。一方、Vストローム250の魅力は肩肘張らないゆとりのある走りと、燃料タンク容量が17リットル、純正オプションやサードパーティー製パーツの豊富さが魅力だろう。価格はVストローム250SXが591,800円、Vストローム250が668,000円でVストローム250SXほうが安い。購入を考えている方はぜひ両車とも試乗してみることをお薦めする。
Vストローム250SXはジクサー150同様、実用性とコストパフォーマンスという点では文句なく合格点であり、インド軍団侮りがたしという印象を強く受けた。まさにオールラウンダーといっても過言ではないVストローム250SX。いい世の中になったものだ。(了)
(試乗・文・撮影:毛野ブースカ)
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