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試乗・解説






■試乗・文・撮影:毛野ブースカ ■協力:スズキ https://www1.suzuki.co.jp/motor/

 Vストローム250SXの特徴を把握したところでいよいよ実走検証だ。例年に比べて暖かい日が続いているとはいえ山間部は雪や凍結している地域があるので、それらの地域は避けたいところ。そこで、海沿いながら紅葉や山間の景色が楽しめる地域ということで、静岡市内からそれほど遠くはない静岡市の中山間地域=奥静岡エリア(通称オクシズ)に行くことにした。静岡市までは東京から約170㎞、一般道から山道、高速道路まで満遍なく走行できるので、走行フィーリングや燃費を確認するにはうってつけだ。

 出発当日、あれやこれやと荷物の積載方法に苦労しながらも何とか積載完了。ジクサー150と同様、今回も夜に出発して現地近く(静岡県沼津市)に前泊することにした。渋滞中の走行が多かったためか44㎞ほどしか走っていないのにフューエルメーターが1つ減っていた。平均燃費は27.7㎞/Lと表示されており、スペック上の燃費よりかなり悪い。数値が上昇することを祈ってアームズマガジン編集部を出発した。

#EICMA2024
アームズマガジン編集部を出発した時点での走行距離は約44㎞、渋滞の中を走行することが多かったので平均燃費は27.7㎞/Lとなっており、フューエルメーターが1つ減っていた。
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沼津市にあるホテルに前泊して1日目がスタート。この時点で約165㎞走行し、平均燃費は34.9㎞/L。フューエルメーターがグッと減った。

 都道317号線環状六号線(通称山手通り)を経て国道246号線に入り、首都高速3号線渋谷線池尻入口から首都高を通って東名高速道路に進む。スムーズな車の流れを利用してスロットルを開けると、6速7000回転で時速100kmに到達。ジェベル250XCやVストローム250に比べてレスポンスが良く、追い越しも楽にできる。車体はバタつくことなくホイールベースが長いことも相まって高速走行時の安定感は申し分ない。これなら長距離走行も楽そうだ。思っていたよりも車体の軽さがレスポンスの良さに好影響を及ぼしているようだ。途中激しい事故渋滞があったものの、予定通りにホテルに到着。ここまで合計約165㎞走行し、フューエルメーターは3つ減り、平均燃費は34.9㎞/Lとなった。沼津市から1日目の宿泊地まで150㎞ほどあるので、途中で給油しなくてはならない感じだ。

 翌朝、あらためてツーリング第1日目がスタート。天気は絵に描いたような快晴だ。1日目は沼津市から静岡市に移動して、以前から行きたかったタミヤ模型の歴史館・ショールームを見学。そこから国道362号線を通って川根本町に入り、宿泊地である寸又峡温泉に向かう。まずはホテルを出発して国道246号線から国道1号線に入る。途中通勤渋滞にはまるものの静岡市方面に進むにつれて渋滞は解消。休憩がてら東名高速道路由比パーキングエリアの近くにある絶景スポット「薩埵(さった)峠」に行ってみることにした。国道1号線から細い山道を走っていくと薩埵峠の展望台に到着。周辺が工事中のためか小さな展望台の駐車場を埋めるように工事車両やプレハブが建っており、バイクとのツーショットは難しかったが、遠くに富士山と海、東名高速道路が望める雄大な景色が楽しめた。

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2日間とも天気は快晴で気温も高かった。薩埵峠の展望台からは富士山と海、東名高速道路を見渡すことができた。
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1日目の午前中はタミヤ模型本社内にある歴史館・ショールームを見学した。同じ静岡県を代表する世界的メーカーどうし(?)でパチリ。見学に際してはWEBサイトからの事前予約が必要なので注意が必要だ。

 薩埵峠で絶景を堪能した後は、国道1号線(静清パイパス)に戻り、1日目の最初の目的地であるタミヤ模型本社内にある歴史館・ショールームに向かう。国道1号線から東静岡駅方面に向かう県道74号線に入り、10分ほど走ると県道74号線(SBS通り)沿いにあるタミヤ模型の本社に到着した。タミヤ模型は言わずと知れた世界的プラモデルメーカーである。小学生時代、プラモ少年だった私はタミヤ模型の戦車や車のプラモデルをよく作った。社会人になってからタミヤ模型の近くにあるツインメッセ静岡で開催される静岡ホビーショーは毎年取材に訪れているのだが、タミヤ模型とはご縁がなかった。今回、せっかくなので歴史館・ショールームを見学してみることにした。

 静かな館内にある歴史館は、子供の頃に手にした懐かしい製品から見たことがない貴重な製品までズラリと展示されており、思わず「懐かしい~」と声を出してしまった。実車展示コーナーにはプラモデルや写真でしか見たことがないF1マシンやモンスタービートルが置かれている。オリジナルグッズが販売されているタミヤショップが併設されており、お土産を買ったのは言うまでもない。なお、歴史館・ショールームの見学は事前予約制(無料)となっているので、訪問してみたい方は公式WEBサイトから申し込もう。

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歴史館のフロアには貴重なプラモデルがズラリと展示されている。実際に作った製品や、高くて買えなかった製品を見ると、毎日プラモデルを作っていた少年の頃を思い出す。
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WEBミスター・バイクの読者の方ならバイクのプラモデルが気になるのではないだろうか。思わず「このプラモデルあったよね!」と言ってしまう。

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個人的には戦車のプラモデルが大好きで、写真のプラモデルはすべて作った記憶がある。どれもよく作られており、これだけ完成作例が並んでいるのはスゴイ。
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実車展示コーナーには懐かしいロータスのF1や、有名なティレル(当時はタイレル)のシックスホイーラーが展示されている。個人的には奥にあるホンダ・ライフ ステップバンが気になる。

 タミヤ模型の歴史館・ショールームを堪能したところで、いよいよ宿泊地である寸又峡温泉に向かう。県道74号線から県道84号線、県道354号線を通って国道362号線に入る。ここからは川根本町を目指してひたすら走る。市街地から徐々に自然が多くなり、1時間ほど走って山間部に差し掛かったところにある「オクシズの駅 きよさわ里の駅」で昼食。名物の「猪焼肉定食」を食べて腹ごしらえ。ここまで約270㎞走ったところでフューエルメーターは2目盛りとなったので、この後のルートを考えて給油した。給油量は8.67リットルで燃費は30㎞/Lとなった。メーター上では平均燃費が35.8㎞/Lと表示されているが、前半の渋滞が大きく影響したようだ。

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国道362号線沿いにある「オクシズの駅 きよさわ里の駅」は一般的な道の駅よりもこじんまりしているが、地元の特産物が販売されている。
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昼食は「オクシズの駅 きよさわ里の駅」の名物である「猪焼肉定食」(1,200円)をチョイス。ボリュームがあり、タレと獣肉らしい味わいが絶妙にマッチして美味しい。

 お腹もバイクも満タンにしたので、再び国道362号線を走る。途中、車両の撮影を行い、1時間ほど走ったところにある「オクシズの駅 杉尾はなのき 展望休憩所」で一服。周囲の山々が見渡せるほど標高が上がり、気温も徐々に下がってきた。標高が上がるにつれて狭い箇所と坂が多くなり、3~4速で走る感じだったがもたつくことはなくキビキビと走る。車両重量とエンジンパワーのバランスが絶妙な印象を受ける。ワインディングでも安定しており不安感は感じない。普通ならそろそろお尻が痛くなる頃だが全然痛くない。自分のお尻とシート形状がマッチしているのだろうか。

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燃料ゲージが残り2目盛りになったので「オクシズの駅 きよさわ里の駅」の近くにあったガソリンスタンドで給油。これで2日目も安心して走行できる。
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「オクシズの駅 杉尾はなのき 展望休憩所」から撮影した山々はところどころ紅葉しており、晩秋から初冬の雰囲気を漂わせていた。

 そうこうしているうちに大井川鐵道井川線の千頭駅近くに差し掛かった。ここから県道77号線に入り寸又峡温泉を目指す。昼食を食べてから1時間30分ほど経過し、休憩と冷えた身体を温めるべく川根本町にある「もりのいずみ」に立ち寄ることにした。「もりのいずみ」は静岡県榛原郡川根本町奥泉にある日帰り入浴施設だ。入湯料は1000円。内風呂と露天風呂の他に数種類の湯船が用意されており、露天風呂のお湯は泡が多めの炭酸泉系。ややぬるめだが、ぬるすべで肌触りは気持ちいい。思いのほか冷えた身体が蘇り、ここまでの疲れが癒される。やっぱり温泉は最高だ。

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川根本町の静かな山間部にある日帰り入浴施設「もりのいずみ」で休憩。優しい肌触りぬるすべ系のお湯でここまでの疲れを癒した。
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寸又峡温泉に向かう途中で美しく紅葉している木々を偶然発見。Vストローム250SXのチャンピオンイエローと紅葉のコンビネーションはこの季節だけの特権だ。

「もりのいずみ」に入浴した後は、今宵の宿である寸又峡温泉にある「ペンション寸又峡」を目指す。15時を過ぎると日が落ち始めて気温がグッと下がってくる。途中紅葉の下で撮影を行なって寸又峡温泉に到着したのは16時ちょうど。今回は1泊2食付きなので早めに宿にチェックイン。夕食前に温泉に入ることに。山小屋風の小さなペンションの温泉は寸又峡温泉が引かれており、ややぬるめだったが硫黄臭のする、ぬるすべ系のお湯で肌触りはいい。温まった後は猪鍋料理を中心としたボリュームたっぷりの料理を堪能。平日なので宿泊者は私一人かと思っていたが、外国人観光客を含めて食堂の席が埋まるほどの盛況ぶりだった。この日は疲れていたのか早めに寝てしまった。(続く)
(試乗・文・撮影:毛野ブースカ)

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1日目の宿は寸又峡温泉内にある「ペンション寸又峡」。山小屋風の瀟洒な作りで、平日にもかかわらず宿泊者が多かった。もちろんお湯は寸又峡温泉である。
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夕飯の猪鍋は猪肉と野菜がたっぷり入った味噌仕立てでご飯がついついススム。デザートのみかんもこの地域で取れたものだ。

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2024/12/25掲載