2021年にFIM(国際モーターサイクリズム連盟)と「MotoGP™世界選手権」の商業権を持つDORNAスポーツによって新設された「FIM MiniGP World Seies(ミニGPワールドシリーズ)」は、10歳から14歳までのヤングライダーを対象とし、マシン・競技・ルールなどのレギュレーションを統一。世界中のライダーに平等なプラットフォームを提供しようと始まった。2021年度は海外のみでの開催だったが、2022年は日本でもスタートした。
ワンメイクレースと競技車両はFIM MiniGP国際規則により規定されたOHVALE(オバーレ) GP-0 160指定車両とし、主催者にて点検、整備されたレンタル車両とする。
年間5戦(10レース開催)で戦う。年間ランキング優勝者には、バルセロナで開催が予定されている『MiniGP World Final』に参加する権利が与えられ『MiniGP World Final』勝者には次のステップとなる『Road to MotoGP』のプログラム選考会参加または、直接の参戦が提供される。
2022年日本チャンピオンの池上聖竜はファイナル参戦し3位となる。2023年チャンピオンの富樫虎太郎はファイナル2位となった。今季は「1位を狙うしかない」とMiniGPジャパンシリーズを主催する中込正輝氏(P-UP World社長)は、開幕戦で明確な目標設定をした。
2024年のMiniGPジャパンシリーズでタイトルを獲得した知識隼和とランキング2位の国立和玖は勝利を目指して合宿を行いファイナルへと向かった。今年はスペイン東部を襲った洪水により、開催地をバレンシアのサーキット・リカルド・トルモからモーターランド・アラゴンに急きょ変更されたが、予定通り世界各国で開催された大会を勝ち抜いてきたヤングライダーたちが集結した。ふたりが参戦する『160cc』は21の国と地域から41人がエントリーした。
レース1とレース2でポールポジションから6.3秒差と4.6秒差で2位以下を引き離した国立が連続優勝。周回数が8ラップから10ラップ、ポイントが2倍となるスーパーファイナルレースは0.671秒差の4位に入り、トータルの結果で国立がファイナル1位となり日本人ライダーのチャンピオンが誕生した。
総合2位はダニエル・プトルティ(イタリア)、総合3位はディエゴ・ゴンザレス(ベネズエラ)となった。知識は2番グリッドから3位、5位、8位に入り総合6位となった。
大会終了後、参加者たちは『MotoGP™』の最終戦となる『Motul Solidarity Grand Prix of Barcelona / Gran Premio Motul Solidario de Barcelona(モチュール・ソリダリティ・グランプリ・オブ・バルセロナ)』を観戦して帰国した。
中込氏は「開催地が変更になり、天気も不順な中でふたりは頑張ってくれました。正直、天気に助けられたという状況もあり、実力での結果とは思っていません。だからこそ、今後も努力して行きたい」と語った。それでも、有言実行、世界1の称号を手に入れたことは、称賛を集める結果に他ならない。
2024年の健闘を称え、2025年の体制発表を兼ねた「MiniGP JAPAN及びTN45祝勝会.忘年会」が開催された。国立と知識の挨拶では、ファイナルレースを思い出して知識が悔しさから涙する姿に集まった関係者に励まされる場面もあった。
TN45の参戦発表では、MiniGPファイナルの優勝者には、アジアタレントカップへの参戦権という特典があり、国立は2026年参戦を目指す。2025年は全日本ロードレース選手権J-GP3に参戦する。知識は全日本の若手育成「GP3チャレンジクラス」に挑戦する。チャレンジクラス最上位かつ、ライディングスキルがJ-GP3クラスの上位選手と同等と認められた1名にアジアタレントカップの年間参戦資格を与えられる。それを目指す。
ということで、ふたりとも今年2025年は全日本J-GP3でライバル関係として切磋琢磨することとなる。隼和の姉の可穏もJ-GP3参戦を目指す。
また、MiniGPの先輩である中谷健心は、全日本J-GP3継続参戦し「2025年はチャンピオンを目指す」と語った。ST600参戦の藤田哲弥も継続参戦する。池上聖竜、松山遥希はアジアタレントカップ参戦権利を得て2025年の参戦が決まった。
長島哲太監督は「ライダーたちの成長を感じることのできた2024年でした。知識はダイエットまでして勝利を目指して努力したからこそ、ファイナルで勝てなかったことの悔しさがすごく分かります。チームとしてもライダーたちのスキルアップを、これからも目指しサポートして行きます。自分も、まだ現役でライダーとして走り、速さを見せることでアドバイスの信頼性を保ちたい。根底には、Moto2では勝つまでのライダーにはなれたが、MotoGPタイトルまで届くことが出来なかった。そこを目指す若手たちの手伝いがしたい。無駄な遠回りをさせたくないと始まったMiniGPでありチームです。こらからも変らぬ声援をお願いします」と挨拶した。
2025年も長島哲太、尾野弘樹、渡辺一馬、藤井謙太と世界を知る豪華な指導陣の元でMiniGPジャパンが開催される。
(文・写真:佐藤洋美、写真提供:DORNA)
MiniGPジャパン
https://www.minigp.jp/
2025 FIM MiniGP Japan Series 年間 全5戦/10レース 暫定スケジュール
第1戦 4月 6日 (日) 筑波サーキット コース1000
第2戦 5月 18日 (日) MotoUP桶川スポーツランド
第3戦 6月 29日 (日) 筑波サーキット コース1000
第4戦 7月 27日 (日) 近畿スポーツランド
第5戦 9月 7日 (日) MotoUP桶川スポーツランド