XSR900に’80年代のGPマシンをオマージュしたスポーツヘリテイジモデルをラインナップ
新時代の“MT”シリーズとして開発された“MT-09”。水冷3気筒、846cc、DOHC4バルブF.I.エンジンを搭載する「ネイキッドとスーパーモタードの異種交配造形による個性的なデザイン」を持つマシンとして販売が開始されたのは2014年4月。ヤマハらしい先進的なデザインもさることながら、新世代MTのエンジンは、MotoGPマシン“YZR-M1”のヒューマンフレンドリーなハイテク技術“クロスプレーン・コンセプト”に基づいて開発されるなど、メカニズム面でも“ストーリー”を持つことで根強いファンを惹きつけている。
このMT-09シリーズに2015年2月、兄弟車のMT-09 TRACER ABSが登場している。
MT-09と基本部分を共有する車体は、アルミダイキャスト製ダイヤモンドタイプフレームに、外側締結リアアームの採用など最新テクノロジーを引き継ぎ、市街地での楽しい走りを狙いとしたもので、YCC-T(ヤマハ電子制御スロットル)およびD-MODE、マスの集中化に貢献する一体成型のエキゾーストパイプ&サイレンサー、アルミテーパーハンドル、ラジアルマウント式フロントブレーキキャリパー、アルミ鍛造ブレーキ&シフトペダルなどを採用。
MT-09 TRACER ABS独自の特徴としては、レイヤー構造を取り入れたフロントカウルの採用があり、ロングツーリング指向のオンオフ寄りのイメージをさらに強めたデザインを採用していた。標準装備のハンドルカバーの造形などとともにツーリング時の快適性の向上を図っている。好みによりハンドル、シート、フロントスクリーンの調整が可能で、視認性の高い多機能メーターパネルや、十分な配光特性を備えたフルLEDヘッドライト、そしてトラクションコントロールの採用などなど、快適な“アドベンチャーツーリング”性能を備えたモデルだ。
ちなみに、このMT-09 TRACERは、ヤマハが2013年から進めている“中期経営計画”のなかで、二輪車事業の新たな取り組みとして“基本プラットフォームをベースにしたバリエーション展開の拡大”を狙ったモデルの第一弾でもあった。
そして2016年4月に、そのバリエーション展開の拡大をはかる計画の第二弾として発売されたのがXSR900だ。
開発コンセプトは“The Performance Retro-ster”。味わいのあるレトロな外観と、先進技術によるハイパフォーマンスを合わせもつモデル、と説明されていた。基本はMT-09で、水冷直列3気筒エンジンをダイヤモンドフレームに搭載。TCS(トラクションコントロールシステム)やA&S(アシスト&スリッパー)クラッチを新たに装備。車体は“CMFG(カラー、マテリアル、フィニッシュ、グラフィックの略称)”と呼ばれるデザイン手法を取り入れ、多彩な加工法による金属素材感を表現したものとしているという。
また、発売に合わせて、XSR900をベースに“スピードブロック”グラフィックを採用したアルミ製タンクカバー、ゴールド仕上げのフォークアウターチューブ、ブラック塗装のヘッドライトケース、イエローのコイルスプリングを採用したリアサスペンション、そして専用エンブレムが取り付けられ、ヤマハの創業60周年を記念した“60th Anniversary仕様車も、2月23日から9月末日までの受注期間限定で販売された。
2016年12月には、XSR900 ABS本体に「ブラックメタリックX」の新色が追加設定され、従来からの「マットグレーメタリック」、「グレーイッシュブルーメタリック4」の2色(「ライトレディッシュイエローソリッド1」はラインナップから外れた)と合わせて3色のカラーバリエーション展開に。さらに2019年3月には、新色の「ダルパープリッシュブルーメタリック X」を加えて、「マットグレーメタリック 3」「ブラックメタリック X」2色の継続色と合わせて3色のラインアップとなっていた。
2020年2月には、「ラジカルホワイト」をベースに塗装の塗り分けによるレッドとブラックの鮮やかなラインをあしらい、’80年代に人気を博したスポーツモデルのイメージを再現したニューカラーを追加するとともに、ヘッドランプにポジションランプを追加する改良が行われている。2色のラインナップのうち“マットグレー”はカラーリングを継続して販売とされた。
2022年6月、XSR900のモデルチェンジにあたってヤマハスポーツヘリテイジの基本コンセプトはそのままに、新たに“The Expert of Equestrain(伝統馬術のエキスパート)”のコンセプトを導入、開発を行ったという。
具体的には、エンジンを845cm3から888cm3へと排気量アップ、最新の鋳造技術を駆使した軽量新フレームと軽量ホイールの採用、IMU(Inertial Measurement Unit)を活用し運転操作を支援する各種制御の導入、新丸型LEDヘッドランプやフルカラーTFTメーターの採用などが注目ポイントだ。
そして今回、1980年代のファクトリーGPマシン「YZR500」を彷彿させるスタイリングにまとめたスポーツヘリテージモデル「XSR900 GP」が5月20日に発売される。
このXSR900 GPは、“The Embodiment of Yamaha Racing History (ヤマハレースヒストリーの体現者)”のコンセプトのもと、XSR900をベースに、ロードレースの世界最高峰でのYAMAHAの足跡とスピリッツを表現したという。
XSR900からの追加装備、変更点は、
1)80年代のファクトリーGPマシン「YZR500」をオマージュした新外装、
2)セパレートハンドル採用とライディングポジションの見直し、
3)車体剛性チューニング、
4)専用開発の前後サスペンション、コントロール性を高めたブレーキホース、
5)YRC(ヤマハライドコントロール)や第3世代クイックシフターなどのライディングアシストテクノロジー、
6)スマホと”つながる”機能を備え、ナビ画面※3としても活用可能な5インチフルカラーTFTメーターやType-CのUSBソケット、操作性を向上させた新設計ハンドルスイッチ、新機能を搭載したフラッシャーなどの便利な機能など。
★ヤマハ ニュースリリースより (2024年4月19日)
スポーツヘリテージモデル「XSR900 GP」新発売
~1980年代のヤマハGPファクトリーマシン”YZR500″をオマージュ~
ヤマハ発動機販売株式会社は、”クロスプレーン・コンセプト※1″に基づく水冷・4ストローク・DOHC・直列3気筒888cm3エンジンをCFアルミダイキャストフレームに搭載し、1980年代のGPファクトリーマシン「YZR500」を彷彿させるスタイリングにまとめたスポーツヘリテージモデル「XSR900 GP」を5月20日に発売※2します。
「XSR900 GP」は、”The Embodiment of Yamaha Racing History (ヤマハレースヒストリーの体現者)”をコンセプトのもと、「XSR900」をベースに開発、ロードレース世界最高峰でのYAMAHAの足跡とスピリッツを表現しています。ワインディングロードを心地よく駆け抜けることができる性能と、スポーティなハンドリングが特徴です。
「XSR900」からの追加装備・変更点は、1)80年代のGPファクトリーマシン「YZR500」をオマージュした新外装、2)セパレートハンドル採用とライディングポジションの見直し、3)車体剛性チューニング、4)専用開発の前後サスペンション、コントロール性を高めたブレーキホース、5)YRC(ヤマハライドコントロール)や第3世代クイックシフターなどのライディングアシストテクノロジー、6)スマホと”つながる”機能を備え、ナビ画面※3としても活用可能な5インチフルカラーTFTメーターやType-CのUSBソケット、操作性を向上させた新設計ハンドルスイッチ、新機能を搭載したフラッシャーなどの便利な機能です。
※1 クロスプレーン・コンセプトは、慣性トルクが少なく、燃焼室のみで生み出される燃焼トルクだけを効率良く引き出す設計思想
※2 本モデルは、YSPおよびアドバンスディーラーのみで販売する「ヤマハモーターサイクル エクスクルーシブモデル」です。ご購入については下記Webサイト掲載の取扱店までお問い合せください
■「ヤマハモーターサイクル エクスクルーシブモデル」取扱店 https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/lineup/xsr900gp/
※3 専用アプリをスマートフォンにインストールし、車両とペアリングする必要があります
- 名称
- XSR900 GP ABS
- カラー
- ・シルキーホワイト(ホワイト/新色)
- ・パステルダークグレー(グレー/新色)
- 発売日
- 2024年5月20日
- メーカー希望小売価格
- 1,430,000円(本体価格 1,300,000円/消費税 130,000円)
- 販売計画
- 1,000台(年間、国内)
※メーカー希望小売価格(リサイクル費用含む)には、保険料、税金(除く消費税)、登録などに伴う諸費用は含まれていません。
※本モデルはカタログの製作を行っておりません。製品情報は下記Webサイトよりご確認ください。
XSR900 GP製品サイト: https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/lineup/xsr900gp/
- 【「XSR900」からの追加装備・変更点】
- 1)80年代のグランプリマシン「YZR500」をオマージュした新外装
- 80年代中盤から後半にかけてWGPシーンを席巻した「YZR500」のイメージを現代に昇華させた新外装を採用。ライダーが乗車時に目にするコクピット周りのビューにも注力し開発しました。またカウルの装着により、エアロダイナミクスが向上。さらにスクリーンとナックルバイザーは、高さ、幅、面などに配慮し空力と防風性のバランスを図っています。フレームにはデルタボックスのアルミ地をイメージしたシルバー塗装を施しています。
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空力と防風性のバランスを図ったラウンドタイプの大型クリアスクリーンと別体式ナックルバイザーを装備。フロントマスクは、GP500ccクラスを示す「イエロー」ゼッケンプレートがモチーフ
アッパーカウルの上端部とフレームを繋ぐステーは丸パイプで構成。またメーターステーには肉抜き加工を施し、軽量化とシリアスな雰囲気を実現した
アッパーカウル上部には、TZR250R(1991年型Vツイン)で実績のあるナット構造を採用。公道走行用の市販車としてはヤマハ初となるベータピンで留めている - 2)セパレートハンドルの採用とライディングポジションの一新
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レーシーなセパレートハンドルを採用。トップブリッジ上面部分など、コックピット周りのボルトもデザインし、質感の向上を図っています。またセパレートハンドルに対応するため、エアクリーナーボックスカバーを変更。エアクリーナーボックスの形状も見直し、吸気効率の最適化を図っています。
さらにスポーティな乗車感とツーリングや街乗りの快適性を両立させるため、ライディングポジションを一新。「XSR900」比で前傾とし、フットレストもわずかに高目で後方に設定。ハンドルの垂れ角や絞り角の調整、および新作シートとヒップポイントのバランスを整えました。これらの効果で過度な前傾姿勢がなく、身体の一部への負担集中を防ぎ、快適性を確保しています。
なお、フットペグには専用のラバーを装着しました。 - 3)車体剛性のチューニング
- ライディングポジション一新とのバランスを図るため、車体全体の剛性を見直しました。リアフレームを新作するほか、ヘッドパイプまわり、エンジン懸架、ピボット部の締結剛性調整を中心に、ねじり剛性を強化。主に旋回中の安定感向上を図っています。また、ステムシャフトをアルミ化(CP3エンジン搭載車では本モデルのみ)することで、フロント荷重に対するハンドリングをリセッティングしています。
- 4)専用開発した前後サスペンション、コントロール性を高めたブレーキホース
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スポーティな走行を想定し専用開発した KYB製フルアジャスタブルサスペンションを前後に装備。高荷重にも対応するセッティングを施すほか、調整幅も増大。圧側減衰は高速と低速の2系統でのセッティングが可能です。
また、フロントのブレーキホースを変更しました。レバーを握り込んだ時のストローク量を最適化し、長時間走行・高負荷走行における良好なコントロールフィーリングを実現しています。 - 5)YRC(ヤマハライドコントロール)など走行支援テクノロジー搭載
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ライダーが自身の好みや路面状況にあわせて、エンジンの出力特性や各種電子デバイスの介入度を選択できる機能「YRC(Yamaha Ride Control)」を搭載。あらかじめプリセットされた3種のパターン(SPORT/STREET/RAIN)と2種のカスタマイズ枠(CUSTOM1と2)から、シーンに応じてモード選択が可能です。
なおクイックシフターは、加速中のシフトアップと減速中のシフトダウンに加え、加速中のシフトダウン、または減速中のシフトアップにも対応する「第3世代QSS(クイックシフトシステム)」を採用しています。 - 6)ナビ画面に対応する5インチフルカラーTFTメーター搭載
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5インチTFTメーターを採用しました。表示パターンは、専用のアナログ風タコメーターを含む4種から選択可能です。速度やエンジン回転数の他、燃料計、平均燃費、水温計、気温計、シフトインジケーターなどを表示。各種テーマの切替と選択は、ハンドルスイッチの操作で行うことができます。
また、専用アプリ「Y-connect(Yamaha Motorcycle Connect)」をインストールしたスマートフォンと車両を接続し、手元でYRCのセッティングを行ったり、さまざまな情報や画像をメーターに表示できます。これにより車両の管理、電話やメールの着信通知など、多様なコンテンツが利用できます。
さらに「Garmin StreetCross」アプリをスマートフォンにインストールし、車両とペアリングすることによって、メーター画面上でナビゲーション機能も使用できます。 - 7)便利な機能・装備
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以下のような機能・装備を新たに採用しています。
・ 優れた照射性を維持しつつ、車両との一体感を演出した小径LEDヘッドランプ
・ 直感的に操作可能なハンドルスイッチ
・ 従来からの左右方向指示とハザード時の点滅機能に加え、「二段階フラッシャー機能」「エマージェンシー機能」「消し忘れ機能」を搭載したフラッシャー
・ アジャスター機構を追加したクラッチレバー
・ メーター右下のパネルコンソールの中にUSB Type-Cソケット設置
主要諸元
車名型式 | 8BL-RN96J | |
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XSR900 GP ABS | ||
発売日 | 2024年5月20日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.160×0.690×1.180 | |
軸距(m) | 1.500 | |
最低地上高(m) | 0.145 | |
シート高(m) | 0.835 | |
車両重量(kg) | 200 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※1 |
31.6
(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)※2 |
|
21.1(WMTCモード値 クラス3 サブクラス3-2 1名乗車時)※3 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転小半径(m) | – | |
エンジン型式 | N722E | |
水冷4ストローク直列3気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 888 | |
内径×行程(mm) | 78.0×62.0 | |
圧縮比 | 11.5 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 88[120]/10,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 93[9.5]/7,000 | |
燃料供給装置形式 | フューエルインジェクション | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式 | TCI(トランジスタ式) | |
潤滑油方式 | ウェットサンプ式 | |
潤滑油容量(L) | 3.50 | |
燃料タンク容量(L) | 14 | |
クラッチ形式 | 湿式多板 | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
変速比 | 1速 | 2.571 |
2速 | 1.947 | |
3速 | 1.619 | |
4速 | 1.380 | |
5速 | 1.190 | |
6速 | 1.037 | |
減速比1次/2次 | 1.680/2.812 | |
キャスター(度) | 25°20′ | |
トレール(mm) | 110 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17M/C 58W |
後 | 180/55ZR17M/C 73W | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ダブルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | スイングアーム(リンク式) | |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
※1:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。
※2:定地燃費値は、車速一定で走行した実測の燃料消費率です。
※3:WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。