Facebookページ
Twitter
Youtube

レース・イベント



●文:西村 章 ●写真:Ducati/KTM/Gresini Racing/GASGAS/Yamaha/Honda/MotoGP.com

 MotoGPの開幕戦といえばカタール、カタールといえばナイトレース。昨年はサーキットの路面再舗装や施設改修のため、恒例のシーズンオープナーではなく、変則的に秋の終盤開催というスケジュールだったが、今年は通常カレンダーに戻ってシーズン第1戦の開催である。

 てなわけでいよいよスタートした2024年の大きな注目事項をまずは簡単にまとめてみると……、

① 2年連続王者のペコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)は今季もシーズンを牽引し、ドゥカティの優勢はこのまま続いてゆくのか(ちなみに、開幕戦の週末スケジュールが始まる前の3月5日(火)にバニャイアとドゥカティは2年契約更改を発表し、2026年まで同陣営から参戦することが明らかになっている)。

②そのドゥカティ陣営に移籍したマルク・マルケス(Gresini Racing MotoGP)は、はたしてかつてのような無類の強さと速さを取り戻すのか。

③超弩級ルーキーの呼び声高いペドロ・アコスタ(Red Bull GASGAS Tech3)は、いったいどれほどの才能を発揮するのか。

④そしてlast but not least、果てしない苦戦が続く日本メーカーは、今年こそ浮上のきっかけをつかんで欧州陣営と互角に戦えるレベルまで戦闘力を回復できるのか。あるいは、少なくともなんらかの兆しを見せることができるのか。

 ……というような4項目にざっくりとまとめることができるだろうか。では、週末の推移を見ながら、これらの各要素について見ていくことにいたしましょう。

#第1戦カタールGP
※以下、写真をクリックすると大きく、または違う写真を見ることができます。

 ルサイルインターナショナルサーキットはカタールの首都ドーハから車で約30分の距離にあり、周囲を砂漠に囲まれているのは周知のとおりだ。だが、そんな乾燥地帯でも雨は降る。今年は金曜のMoto3クラス2回目走行の終了直前に雨が降り始め、続くMoto2とMotoGPはウェットセッションになった。

 えーっ、まさか砂漠で雨なんて……、と珍しく思う人もいるかもしれないが、当地の降雨は、じつはけっしてないことではない。古参ファンの諸兄諸姉ならご記憶だろうが、2009年(わ、なんともう15年も前になるのか……)には125ccクラスの決勝がスタート直後に大雨に見舞われて4周で赤旗中断。再開できずにそのままレースが終了したため、レギュレーションの規定に基づきチャンピオンシップポイントは本来の半分となり、優勝者が12.5ポイント、15位の選手は0.5ポイントという形で付与されることになった。

 やがて雨は上がって、250ccクラスは通常どおりの周回数でレースが行われたものの、MotoGPの決勝レースが始まる直前、全員がグリッドについているときにふたたび大雨で進行が中断。これいったいどうするんだ、と関係者の長い長いミーティングが深夜まで続いて、結論はというと翌日の月曜に改めてレースを仕切り直す、という事態になった(いや、このときはホント、航空券の再手配とかホテルの延泊手続きとかレンタカー延長などなど、ホントにもうてんてこ舞いでありました……)。

 その後も、たしか2010年代中頃か後半のプレシーズンテストだったと思うけれども、一日のセッションが終わる頃になって嵐のような豪雨がサーキット一帯を襲い、プレスルームで作業をしていた我々も夜中の12時過ぎまで外へ出られなくなる、というような事態もあった。たしかドーハの街中もあちこちで冠水していたように記憶している。そういえばSBKでも、たしかカタール大会が始まった初期の時代にゲートとパドックを繋ぐトンネルが水没して、一日のセッションが文字どおりお流れになってしまうという椿事があったように記憶している。記憶違いならごめんなさい。

 閑話休題。

 何の話でしたっけ……、そうそう。ペコとドゥカティは今年も優勢を維持するのかどうか、ということですね。その前振りとして、まずは土曜スプリントから振り返ってみることにしましょう。

 今年のスプリントで優勝したのはホルヘ・マルティン(Prima Pramac Racing)。2位がブラッド・ビンダー(Red Bull KTM Factory Racing)で3位はアレイシ・エスパルガロ(Aprilia Racing)。4位以下はバニャイア、M・マルケス、エネア・バスティアニーニ(Ducati Lenovo Team)、アレックス・マルケス(Gresinig Racing MotoGP)、アコスタ、マーヴェリック ・ヴィニャーレス(Apriria Racing)と、ここまでがポイントを獲得。

#89
#89

 ドゥカティ5台、KTM2台、アプリリア2台、と欧州メーカーが占拠しているのもさることながら、このスプリントを終えて、勝利したマルティンと4位のバニャイアがリアからのチャタリングを訴えていたことは、ドゥカティ勢にとって微妙な暗雲のようなものも感じられた。

「(リアのチャタは)レース序盤からあった。あまりその問題に深入りしたくはないが、それもあって完璧には乗れなかった。明日に向けてアイディアはあるけれども、ウォームアップですぐレースなので、時間がかなりタイト。厳しいレースになるかもしれない」(マルティン)

「(スプリントレースの)3~4周目くらいから振動を感じるようになった。テストのときにはまったく問題がなかった。ソフトタイヤで8周連続して走って、ラップタイムは今日と同じで振動もなかった。これは風の影響かもしれないし、昨日の雨のせいかもしれない。そもそも普通の条件でも、自分はここでいつも苦労するので、バイクのバランスを少し変更したほうがいいのかどうかは考えどころだけれども、明日の決勝は落ち着いて走れると思う」(バニャイア)

 というような懸念を若干ながら見せる反面では、

「ピットでも現状の把握と明日の対策についてしっかり打ち合わせして理解を進めたので、いい方向で解決できると思う」

 とも述べていた。

 そして日曜の決勝レースでは、バニャイアが堂々の優勝。ホールショットはポールポジションスタートのマルティンが奪ったものの、即座に前を奪ったバニャイアは、その後誰にも前を譲らず、また、後続の選手たちに隙を見せることもなくトップでチェッカーフラッグを受けた。

#1

#1
#1

「昨日から戦略を少し変えて走り、序盤から攻めて前を取ることができれば、あとはギャップをうまくコントロールできるだろうと思った。昨日のスプリントが作戦を変えるいい教訓になって、新型バイクのパフォーマンスをうまく引き出すことができたので、とてもハッピーだ」

 チャタリングの解決策については、こう述べている。

「乗り方を少し変えてみて、その違う方法が振動にうまく効くとわかった」

 ごくさりげないコメントのようだけれども、これを発見して実行ができるライダーとチームは、じつは多くない。というよりも、大半の選手とチームはこのちょっとした(ように見えておそらくそう簡単ではない)解決策を見つけることができないからこそ、苦労を強いられるわけだ。逆に言えば、それを見つけることができるライダーでありチームであるからこそ、レースになると安定した強さを発揮できる、ともいえるだろう。

 決勝レース2位はビンダーで、土日ともに2着という結果。今年のKTMは昨年よりもさらにポテンシャルアップを果たしていることを実感させる、力強いリザルトだ。

「僕たちは(ドゥカティに対して)すごく近づいているものの、まだそれを実証できてはいない。自分自身も100パーセントでいつも攻めているけれども、ドゥカティは数パーセントの余力をポケットの中に隠していて、いざというときにそれを取り出すことができる。最後のひと押しの力を得られるように皆でがんばって、挑戦していきたい」(ビンダー)

#33
#33

 数パーセントの余力をポケットに隠している、というのは、レースで追いつきそうになりながらもあと一歩が届かない彼らの歯がゆさを、じつによく表現している喩えだ。

 3位にはマルティンが入り、開幕戦のスプリントと決勝レースを終えて獲得したポイントはバニャイア(31pt)、ビンダー(29pt)、マルティン(28pt)となった。

 そして、彼ら3名に続き、がM・マルケスが18ポイントで4番手につけている。それもそのはずで、マルケスはドゥカティ初レースとなった土曜のスプリントでは5位、日曜の決勝レースは4位で終えている。土曜のスプリントはドゥカティ勢でマルティン、バニャイアに次ぐ3番手。日曜の決勝では、レース終盤まで表彰台圏内を伺う位置で走り続けた。

#ドゥカティ
#93

 土曜のスプリントを終えて、「ホンダを去ったのは正解だと思うか?」という問いにはイエス、と即答している。

「今年の目標はトップ6を狙うこと。なぜなら、そこを狙えるということは、自分は充分に戦闘力が高いと実感できるレベルということだから。世界チャンピオンになるためには、様々な点で完璧でなければならない。でも、少なくともトップ5やトップ6を狙うのであれば、自分が戦えるレベルにあると実感できるし、週末の時間が経つのも早く、気持ちをラクにして過ごすことができる。なによりストレスがない。ここ数年、カタールは悪夢のようだったけれども、今年は楽しく走っているし、単独でQ2に入ることもできた。最初のタイムアタック(FP1)からトップ4に入ることができて、すごく気分がいい」

 決勝レース後は、安定して堅実に走ることができたと振り返った。

「残り8周になってアタックしたけれども、攻めすぎてフロントタイヤが終わってしまった。さらに3ポイント狙いに行ってムリをするよりは、着実に4位で終えるほうを選んだ」

 長年乗り続けていたホンダのクセがまだ完璧には抜けない、といいながらも、ドゥカティ初レースでこの結果である。チャンピオン争いをするかどうかについてはまだ予測できないが、このレースを観戦していた世界中の多くの人々が、「きっとあと数戦もすれば、確実に表彰台に登壇する」と確信したのではないだろうか。

 ご記憶の方も多いだろうが、マルケスは最高峰クラスデビュー戦(2013年カタールGP)で3位表彰台を獲得し、翌戦のアメリカズGPで優勝、史上最年少記録を更新(20歳63日)している。その記録を更新するのではないかと大きな注目を集めているルーキーが、世界デビューの2021年にMoto3を制し、2023年Moto2王座を獲得したアコスタだ。アコスタは2004年5月25日生まれなので、今年のドイツGP(7月7日決勝:アコスタの20歳誕生日から43日目)までに優勝を達成すれば、マルケスが11年前に塗り替えた記録をさらに更新することになる。

 マルケスが2013年のアメリカズGPで度肝を抜く記録を達成(それ以前の記録はF・スペンサーが1982年に樹立した20歳196日)したときは、それをさらに更新する人物は今後20~30年くらい出てこないのではないか、などとCOTAのプレスルームでポップコーンをむさぼり食いながらぼんやり思っていたのだが、まさか10年ちょっとでその記録を破る可能性を大いに秘めたライダーが登場してくるとは、あのときはホントに想像もできなかった。

 マルケス自身は、アコスタの可能性についてこんなふうに話している。

「Moto3とMoto2時代に、ものすごい才能の持ち主であることををすでに証明しているし、セパンテストとカタールテストでも能力を発揮していた。すごい才能の持ち主は、バイクに乗るといきなり速い。過去には、たくさんのルーキーたちが表彰台に登壇して優勝を飾ってきた。だから、ペドロはもちろん最年少優勝記録を更新する可能性がある。彼は、これからのMotoGPを背負っていくライダーなのだから」

 その言葉を裏付けるように、この週末でアコスタは予選Q2にダイレクト進出。土曜のスプリントは8位でいきなりポイント獲得。日曜の決勝レースはマルケスと競り合って表彰台圏内を伺う走りを見せたが(このときは〈新旧天才対決〉という使い古された言葉が久しぶりに脳裏をよぎりましたよね)、最後はタイヤを消耗して順位を下げ、9位でチェッカーフラッグ。

#31

「タイヤのマネージメントが完璧ではなかった。10コーナーでスモークが上がっていたのはリプレイでも映っていたみたいで、テレビ的にはいいのかもしれないけど(笑)。まあ、そう深刻な事態ではないし、そんなミスがあったとしても総じてハッピーだと思う。次のポルティマオに向けてデータを得ることもできたわけだし、昨日のスプリントでは11周でたくさんミスをしたけれども、今日の決勝では倍の周回で1、2回しかミスをしなかった」

 学んだことと反省点については、こんなことも話している。

「今日のレースはとても勉強になった。特にこれ、ということは言えないけれども、メンタル面がやはり彼らは違う。すごくスムーズに乗って、無茶をしてタイヤを消耗することもなく最後までじっくり機を窺い、それでいて速く走って上位争いをしている。僕は最後まで彼らについていくペースを維持できなかったし、タイヤも早く消耗してしまった。序盤から彼らと戦うためには、スタートがもっとうまくならなければならないし、もうちょっとリラックスして走ることも必要だろう。でも、総じていい一日になった」

 これだけ落ち着いて冷静なコメントを話しながら、まだ19歳である。ドイツGPは第10戦。最年少優勝記録の更新まで、これから9回もレースを経験できるわけだ。その間に彼がどれだけのものを吸収していくのか、ちょっと底が知れないようなコワさすら感じさせる。

#10
#10

 さて、冒頭に挙げたポイントの第4点目、日本メーカー勢である。いやあ、なんというか……。ねえ。

 今年からホンダとヤマハはコンセッション(優遇措置)が適用されているとはいえ、開幕戦から即座にその効果を発揮できるというようなものでもないだろう。コンセッションを活用する彼らがどれほどの性能改善を見せるのかは、今後数戦の結果をしばらく見てみないとわからない。

 ……という防波堤のように前置きを置いておいて、開幕戦の結果を見てみましょう。日本メーカー勢最上位がファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP)の11位。12位はヨハン・ザルコ(CASTROL Honda LCR)、13位にジョアン・ミル(Repsol Honda Team)。アレックス・リンス(Monster Energy Yamaha MotoGP)が16位、中上貴晶(IDEMITSU Honda LCR)は19位、ルカ・マリーニ(Repsol Honda Team)が20位。という結果。

 これが現在の戦闘力を反映する現実の姿ではあるのだが、なかでも見ていて辛いのは、昨年のカタールGPではスプリント・決勝ともに3位表彰台を獲得したルカ・マリーニが優勝選手から42秒遅れのこの順位でゴールしているあたり、いろんな意味で衝撃的だ。

 決勝を終えたマリーニは厳しい週末だったと振り返ながらも、このレースで得たものは大きかった、とつとめて明るく語った。

「レースでは課題を抱えていたので、ペースがとても遅かった。その課題がなかったとしても、今日はチームメイトのようにいいポジションで争うことは難しかっただろうけど、今回は多くのことを学べたと思う。決勝中にはサインボードで後ろから誰かが追い上げてきていると表示されたので『え、なんで??』と思ったら、(序盤に転倒した)ジャックだった。KTMは去年からさらに良くなっているので、ムリをせずに彼に追い抜かせて後ろについて、自分たちが改善しなけばいけないことをあれこれ観察できた」

「まだ最初のレースだから、落ち着いて現実的にならなければならない。ジョアンやヨハンはいいレースをしていた。僕たちのスターティングポイントはかなり後ろのほうにあるのが現実で、皆がさらに開発を進めてプッシュしている。それをわきまえたうえで、トップにふたたび返り咲くのは容易なことではないから時間もかかるし、一歩一歩落ち着いて進めていかなければならない。今回のレースではいろんなことを理解できた。それが重要なところだ。16位で終えて何もわからないままより(20位で理解が進むほうが)、ずっといい」

#10
#36

 マリーニのチームメイト、ミルは、走行が始まる前の木曜に「今年は安定してトップテン入りを狙いたい」と話していたが、彼もまた、レースを終えて今回の収穫は大きかったとコメントしている。

「17番手からのスタートだったけれども、序盤に順位を上げていくことができた。前を走る選手たちにも迫っていくことができた。ラスト5周で余力があると思ったので、前にいたファビオを抜いて差を開こうとしたが、そこでタイヤを使ってしまった。それでラスト2周がボロボロになった。それでも〈日本メーカー杯〉の中でバトルもできたし、その〈日本メーカー杯〉で前を走ることもできた。ラスト5周で楽観的になりすぎて、あんなにタイヤ性能が落ちるとは思っていなかった」

「それでもわかったことがいくつかあるし、いいデータを獲得できた。次のレースではテストのときにリクエストしていた新しいモノが上がってくると思うし、コースがここよりも自分たちに合っていれば、さらにもう一歩前進することもできるだろう。今回の走行が始まる前に言っていたとおり、今の状態でトップテンに近いところに行けるのなら、最悪とまでは言わないのだから」

#ドゥカティ
#36

 ここで〈日本メーカー杯〉と上位の差を、今回のリザルトから具体的に見てみよう。

 〈日本メーカー杯〉の最上位、クアルタラロ(11位)の平均ラップタイムは1分53秒931(レース中ベストタイム:1’53.468:LAP2)。一方、優勝したバニャイアの平均タイムは1分53秒089(レース中ベストタイム:1’52.667:LAP9)である。雑な言い方をすれば、1周当たり0.85秒ずつ引き離されていた計算だ。

 また、総レースタイムで見た場合、クアルタラロはバニャイアの17.701秒後にゴールしているが、この差だと、今年のタイヤ内圧規定ルールに仮にバニャイアが違反したとしても(16秒加算、スプリントの場合は8秒)、バニャイアのリザルトはそれでもなお日本メーカー勢の上位につけていることになる。

 決勝レースを終えたクアルタラロの言葉は以下のとおり。

「去年よりもさらに差が開いている。ぼくらも少し良くなっているけれども、彼らはずっとよくなって去年より速さも増しているので、ヨーロッパメーカーとの差は大きくなっている。ホンダと比べても、ぼくらのほうが苦労している。ホンダも苦戦はしているけれども、今日はぼくらのほうがはるかにダメだった」

#20
#20

 開幕戦から一気に改善して一朝一夕に戦闘能力が向上する、なんてことは夢物語にすぎない以上、〈日本メーカー杯〉勢がヨーロッパ勢に肉薄するまでには、まだ多少の時間が必要だろう。「アキレスと亀」のパラドックスではないけれども、後ろにいる者がどれほど肉薄しようと奮闘したところで、前にいる者はその時間の分だけさらに距離を進めて前へ行っているわけだから。

 さて、ここで少し気分を変えて中小排気量クラスの話題を少々。

 2024年のMoto2クラスに参戦する日本人選手は、小椋藍(MT Helmets – MSI)と佐々木歩夢(Yamaha VR46 Master Camp Team)。小椋は5列目13番グリッドからのスタートだったが、1周目で7番手へ浮上。その後も着々と順位を上げて表彰台圏内を狙い続けるものの、最後は4位でゴール。本人は悔しかったでしょうが、なかなかの追い上げで、今シーズンの活躍を充分に期待させる好内容のレースでありました。佐々木は残念ながら7周目に転倒リタイア。

 Moto3は古里太陽(Honda Team Asia)、鈴木竜生(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)、山中琉聖(MT Helmets MSI)の3名。トップグループ後方につけていた山中はラスト2周で転倒、鈴木も順位を上下させながら、終盤に粘りを見せて7位でゴール。そして白眉は18番手スタートの古里。序盤からいいペースでぐいぐい順位を上げてトップ集団に追いつき、熾烈な優勝争いを経て最後は3位でチェッカー。いやあ、よくがんばりました。いいものを見せてもらいました。次戦のポルティマオも引き続き健闘を期待します。

#72
#3

 というわけで今回は以上。ではでは。

(●文:西村 章 ●写真:Ducati/KTM/Gresini Racing/GASGAS/Yamaha/Honda/MotoGP.com)


#MotoGPでメシを喰う
【西村 章】
web Sportivaやmotorsport.com日本版、さらにはSLICK、motomatters.comなど海外誌にもMotoGP関連記事を寄稿する他、書籍やDVD字幕などの訳も手掛けるジャーナリスト。「第17回 小学館ノンフィクション大賞優秀賞」「2011年ミズノスポーツライター賞」優秀賞受賞。書き下ろしノンフィクション「再起せよースズキMotoGPの一七五二日」と「MotoGP 最速ライダーの肖像」、レーサーズ ノンフィクション第3巻となるインタビュー集「MotoGPでメシを喰う」、そして最新刊「スポーツウォッシング なぜ<勇気と感動>は利用されるのか」(集英社)は絶賛発売中!


[MotoGPはいらんかね? 2023 マレーシア・プレシーズンテスト|第1戦カタールGP|第2戦ポルトガルGP]

[MotoGPはいらんかね目次へ]

2024/03/12掲載