125cc=原付2種人気が相変わらず続いている。
スーパーカブ、DAXやGSX-R/S125はギアつきで
それより前に人気だったのが原2スクーターだ。
125ccのメリット、スクーターのイージーさを合わせて
やっぱり原2スクーターは最強の便利生活の友だった!
125ccのメリット、スクーターのイージーさを合わせて
久しぶりにピンスクに乗ったら
何度かWEBミスター・バイクにも書いているのでご存知頂いている人もいるかもしれないけれど、僕はいまDAX125オーナー。ここんところ10年ほど125ccモデルにハマっていて、最初に125DUKE、次にCB125R、モンキー125を経て、いまDAX125に乗っています。
125ccモデルにハマったのは、便利なだけじゃなくて走っていて楽しいから。
便利さっていうのは、まず50ccの30km/h速度制限というばかばかしい規制がないこと、2段階右折も要らないし、必要とあらばタンデムだってできる。50ccにはない「バイク扱い」してくれるのが心地いいんです。
楽しさっていうのは、125ccという小さな排気量で、ミッションを駆使してスピードを乗せていく楽しみのこと。ほんの10psとか15psの出力で、街中をすいすい。これ、絶対スピードではなく、街中を50~60km/hで走るのが楽しいんです。幹線道路を60km/hで走ったら、50ccだと「30km/hオーバー」で切符切られちゃうからね。
特に125ccモデルに乗り始めてからは、トバさない、っていうかトバせない(笑)。のーんびり走るのが、まったく苦にならなくなりました。これ、一緒に持っている大型モデルで走ってるときは、ついついもう少しペースも上がっちゃう。のんびり走りが苦にならない──これ125ccモデルのあるあるだと思います。
125ccモデルは、ギア付モデルよりもっと早く、スクーターの方が人気になりました。
80年代始め、50ccスクーターが爆発的に売れて、50ccに対する理不尽な規制にみんな気づいたことがありました。びくびくと30km/hちょいくらいで走っている快速スクーター、JOG(83年発売)やDJ-1(85年発売)の横を、悠々と抜いていくリード80やジェンマクエスト90。あぁ、いいなぁ50ccじゃなければ30km/hじゃなくていいんだなー、って思った少年は多かった。それから50ccサイズに125ccエンジンを積んだ初のスクーターは、85年に登場したスペイシー125だったと思います。
原2スクーターはその後、ピンクナンバーのスクーターってことで「ピンスク」なんて呼ばれるようになって、91年登場のアドレスV100→4スト化されたV125や、台湾ヤマハの輸入車時代のマジェスティ125(03年発売)、シグナスXなんかがピンスクの人気モデルになりました。
50ccの理不尽規制がなく、80や90の原2黄色ナンバー組よりもパワフルで機動力のあるのがピンスク。2000年代に入ってからは「ストリート最強」がピンスク。都市部では、朝の通勤ラッシュの時間帯で、信号待ちにズラッとピンスクが並ぶ光景が珍しくなくなりました。
ギア付き125ccよりもイージーで、250ccスクーターより軽量コンパクトで機動力が高い──それがピンスク。そこが今も昔も変わらない原2スクーターの魅力なんでしょう。ちなみに自動車工業会調べの生産台数データでいうと、85年は50ccが約200万台/51~125ccは約137万台だったのに対し、2020年は50ccが12万2000台/51~125ccは3万8000台……数字にするとスゴいですねぇ。
閑話休題。いつも前置きが長くてすみません。
アドレスV125というピンスクキングを送り出したスズキの最新ピンスクは、バーグマンストリート125。スズキはここへきてイッキにアドレス125とアヴェニス125をモデルチェンジ、さらにニューモデルとして、バーグマンストリート125EXを発売しました。
3モデルの区別化には、アドレスが丸っこいクラシックテイストなモデルで、アナログメーターのベーシックモデル。アヴェニスはフル液晶メーターを採用し、エッジの効いたデザインのモデルで、バーグマンストリートは3モデルの中で唯一の前後12インチホイールを採用(他2モデルは前12/後10インチ)した、最新装備のモデル。バーグマンストリートは、ちょっと上質なオトナのスクーター、というポジショニングなんですね。
そのバーグマン、走りは「静かで速い」って印象です。かつてのキング、アドレスV125のような「うぉ、速い!」ってパンチ力はありませんが、その分ジェントル、のんびり走ってもイイし、キビキビ走りたい時はスロットルを大きく開ければOK。年々厳しくなる排出ガス規制で、V125のような快速スクーターは、もう現れないのかもしれませんね。
バーグマンは、スタートダッシュが鋭く、60km/hまで速度を出したら一定スロットルで、振動なくジェントルに走るといったタイプ。メーターパネルに「ECO」ランプが点灯、自然とスロットルを開けすぎてこのランプが消えちゃわないように気をつけることになります。
信号待ちで止まるとアイドリングストップ。アイドリングストップ機構はスズキ車では初めての採用で、エンジンが暖まっている時、1回でも10km/hを越えた時、セルボタンでエンジン始動した時、という条件を満たせばアイドリングが止まります。ずいぶん前に、スズキ車のアクセサリーを販売していたオートリメッサで社外アイドリングストップキットがありましたね。アイドリングストップは、もちろん燃費向上と排出ガス低減の効果がある、まさに現代のメカニズムなんですね。ちなみにキック始動すると、アイドリングストップは作動しません。
バーグマンを始め、スズキのスクーターにはエンジン始動用キックアームが標準装備されています。あれ? なんで今さらと思ったけれど、これは万一バッテリー上がりの時もエンジン始動できるように、というスズキのスクーターに対する安全装備です。
アイドリングストップ状態から、発進しようとスロットルを開ければエンジンは自動再始動します。面白いのは、エンジン始動に、通常のセルモーターを使っているのではなく、ジェネレーターを使用していること。始動時に一瞬でもセルモーターが「キュルキュルキュル」って言わないので、スズキではこれをサイレントスタートと呼んでいます。始動時にモーター音がしないからって別に──と思ったけれど、信号待ちのたびにアイドリングストップ→再始動を繰り返すと、セルモーター音をせわしなく感じますからね、メリットは小さくないと思います。
走りは前後12インチホイールを使用しているからと言って、アドレスやアヴェニスと大きく違うことはありませんが、直進安定性が落ち着いた感はありました。ちなみにアドレスやアヴェニスよりホイールベースは2.5cm長く、車両重量はアドレスより7kg、アヴェニスより5kg重いです。この差は体験できるものではないんですが、走りの直進安定性は感じ取りやすかったですね。
走っている最中は姿勢がラクで、フラットフロアが広く、シートも前後に長い印象。スクーターで超ロングランをする、ってケースは少ないかもしれないけれど、足元も座り位置も自由度が高くて疲れは少ないと思います。
どっしりというより、しっとり。パワフルというよりトルクフル。キビキビというより落ち着いて走れるのがバーグマン。やはりライバルはアドレスやアヴェニス、それにホンダはPCXやリード、ヤマハはNMAXやシグナスグリファスでしょうけれど、これはもう性能差というより、スタイリングの好みとか、使い勝手。
ちなみに今回の取材の燃費は57.1km/Lと、ほぼカタログWMTC燃費値=56km/Lとピタリ。上のライバルより燃費が良く、販売価格も安いんです。これはピンスクユーザーには大事な条件ですね!
(試乗・文:中村浩史、撮影:島村栄二)
■型式:8BJ-EA23M ■エンジン種類:空冷4ストローク単気筒SOHC 2バルブ ■総排気量:124cm3 ■最高出力:6.1kw(8.3PS)/6,500rpm ■最大トルク:10.0N・m(1.0kgf・m)/5,500rpm ■全長×全幅×全高:1,905×700×1,140mm ■ホイールベース:1,290mm ■最低地上高:160mm ■シート高:780mm ■車両重量:112kg ■燃料タンク容量:5.5L ■変速機形式:Vベルト無段変速 ■タイヤ(前・後):90/90-12 44J・100/80-12 56J ■ブレーキ(前・後):油圧式シングルディスク/機械式リーディングトレーリング ■車体色:パールムーンストーングレー、パールミラージュホワイト、マットブラックメタリックNo.2 ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):317,900円
| 『Address 125試乗インプレッション記事』へ |
| 『Address 125、Avenis 125詳細解説』へ |
| 新車詳報へ |
| SUZUKIのWebサイトへ |