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 2019年シーズンのMotoGPで最も高い注目を集めているのは、まちがいなくスーパールーキーのファビオ・クアルタラロだ。彼が所属するPetronas Yamaha SRTは今年から最高峰クラスに挑戦を開始したばかりの新興組織だが、全インディペンデントチームでもトップに立つ活躍を見せている。その中心にいるのが、マレーシア人のラズラン・ラザリ。チームプリンシパルにして、第18戦マレーシアGPの開催地セパンインターナショナルサーキットのCEOも勤める重要人物だ。そう、彼らのチーム名に関されたSRTとは、Sepang Racing Teamの頭文字の略称なのである。そのラザリ氏に、選手の活躍とチーム運営、そしてセパンサーキットとマレーシアの将来に向けたビジョンや、アジア戦略等々に至るまで、たっぷりと話を伺ってきた。いやホント、じつに充実した面白い質疑応答でした。 というわけで早速、その会話の一部始終を省略なしですべてお届けしましょう。では、どうぞ。
■インタビュー・文:西村 章 ■撮影:後藤 純 ■写真:KTM/Sepang Racing Team
新興チーム成功の秘訣、選手育成、セパン8耐などなど、GP史上初のマレーシア人チーム・プリンシパルかつサーキットCEOに、ジャーナリスト・西村 章が訊く ラズラン・ラザリという男

*   *   *   *   *
 

-「昨年にチームを組織したとき、ファビオがこれほど速いと想像できましたか」という質問は、おそらくこれまで何度もされてきたのではないかと思います。何回くらいこの質問をされたか、憶えていますか?
「毎週ですよ! 『どうやって彼を獲得したんですか』とか『あれほどのハイパフォーマンスを披露するなんて、予想できましたか』とか、レースウィークのたびに質問されます。もう何度この質問を受けたことか(笑)」
-クアルタラロ選手は日本GPで今年のルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得しました。また、Petronas Yamaha SRTはLCRやプラマックという経験豊富なチームを抑えて全インディペンデントチームのトップに立っています。この成功の秘訣は、どこにあるのでしょう?
「もちろん、いちばん重要な要素はライダーです。ライダーが頑張ってくれるからこそ、我々はインディペンデント勢の首位に立っているのですから。そのライダーを支えるために、私たちはいつもチームとしてよりよい環境づくりを心がけています。仕事も、ものごとはすべてシンプルにして、煩雑にならないようにしています。ライダーを支える側のマネージャーやクルーチーフ、スタッフたちも有能な人材ばかりですが、彼らもお互い同士助け合いながら仕事に取り組んでいます。それがしっかりと噛み合っているからこそ、ライダーが実力を発揮して、チームも今のポジションにつけることができているのでしょう」
-今シーズンはフランコ・モルビデッリ選手のマシンが〈Aスペック〉、クアルタラロ選手は〈Bスペック〉で開幕を迎えました。来年は両選手ともAスペックになるのでしょうか?
「もちろん。今季のファビオの活躍を見れば、来シーズンの彼がフランキーやバレンティーノ、マーヴェリックたちと同じ仕様で走れないのは筋が通りませんよ。数ヶ月前からヤマハと交渉を開始しましたが、来年はうちの両選手とも同じ仕様で走れるという承諾をすでに得ています」
ラズラン・ラザリ
ラズラン・ラザリ
-契約ということでいえば、2020年末で契約更改を迎える選手が多く、来シーズンは彼らの動向に大きな注目が集まります。あなたのチームは、再来年以降もクアルタラロ選手をキープできそうですか。
「ファビオはヤマハファミリーの中にいてほしいと思っています。ファクトリーであろうが、我々のチームであろうがね。能力のある選手がファクトリーへ進んでゆくのは、いつの時代も自然な流れです。それがライダー自身の目標でもあるのですから。我々とヤマハは、ファビオがヤマハブランドの中にいてくれると固く信じていますよ」
ファビオ・クアルタラロ
ファビオ・クアルタラロ
ファビオ・クアルタラロ
-一方、フランコ・モルビデッリ選手は、どうしてもクアルタラロ選手の活躍の陰に隠れてしまいがちですが、安定した良い走りを披露しています。彼のパフォーマンスはどんなふうに見ていますか?
「フランキーはいいパフォーマンスを発揮してくれています。今季はランキングでトップシックスに入ることを目標にしていたとはいえ、ね。たしかにおっしゃるとおり、フランキーはファビオの陰に隠れがちですが、近いうちに本来の高い能力を見せてくれますよ。ファビオは何もかも未知の状態でMotoGPへやってきました。フランキーの場合は、昨年にホンダで走ったという経験があり、今年の彼はそのシーズンよりも良くなっています。来年は強さを発揮して、高い戦闘力を見せてくれるはずです」
-来年のモルビデッリ選手は、どれくらい行けそうですか?
「来シーズンのフランキーは、ファビオとともにチャンピオン争いをしてくれると思います。両選手とも、トップファイブには入ってほしいですね。ふたりとも能力のあるライダーであることは、我々が誰よりもよく知っています。今季はファビオが大きく成長してくれました。来年は、フランキーがさらに飛躍して、きっと揃ってトップファイブやトップシックスに入ってくれるでしょう」
フランコ・モルビデッリ
フランコ・モルビデッリ
フランコ・モルビデッリ
-Moto2クラスは、来年からライダーが2人体制になりますね。
「そうですね」
―Moto2も2人になることにより、MotoGP、Moto2、Moto3の全クラスが完璧なチーム体制になりました。あなたがMoto3チームを最初に発足させたのは、4年前でしたね。
「2015年ですね」
―2015年にMoto3のプロジェクトを開始してから現在に至るまで、予定通りに体制拡大が進んできたのですか。あるいは、思っていたよりも早い進捗だったのでしょうか?
「そもそも、今季のMotoGPは計画していなかったのです。もちろん私自身、いつかMotoGPチームを持ちたい、という夢は持っていました。しかし、それがこんなに早く実現するとは想像もしていませんでした。2015年にMoto3を発足させてからたった4年でここまで来たのは、信じられない思いです。しかも、チームとしてのルーキーイヤーにファビオとフランキーがこれだけの走りを見せてくれるなんて、まるでウソみたいですよ。本当に、まったく想像すらしていませんでした。

 我々は、ライダーが成長したときに次のステップへ進む、というルールを作っています。だから、2018年シーズンに向けてハフィス・シャーリンでMoto2チームを構成する計画を立てました。ところが、ハフィスにTech3からMotoGPへ参戦するチャンスが降ってわいたため、我々のMoto2チームはちょっとした問題に直面することになってしまいました。そこで、我々はライダーを育成することにしたというわけです。

 ライダーを小排気量からMotoGPまで育成することを考えたとき、各カテゴリーで完璧に2人体制を揃えて、最終的にMotoGPに至る道筋を整えておくのはとても重要です」

ハフィス・シャーリン
ハフィス・シャーリン
ハフィス・シャーリン
-あなたはシャーリン選手のマネージメントもしているのですよね?
「お手伝い、ですね」
-シャーリン選手は来年、Moto2へ復帰しますね。
「そうですね」
-2020年のあなたのMoto2チームには、アスパーからジェイク・ディクソン選手が加入します。一方、シャーリン選手はアスパーからMoto2へ参戦します。バーター取り引きのように見えなくもないのですが……。
「ハフィスに関する話は、ちょっと込みいっているんです。来年はハフィスを我々のところで走らせることができないので、彼が行ける場所を捜したところ、最良の選択がアスパーチームだったのです。そこで向こうのチームと話し合った結果、我々はジェイクを受け入れてハフィスがアスパーに行くことになった、というわけです。来年、ハフィスがいいパフォーマンスを発揮すれば、2021年には我々のMoto2かMotoGPチームに復帰できるかもしれません。すべては彼のパフォーマンス次第ですね」
-MotoGPチームなら、申し分ないですね。
「もちろんですよ。最高の形は、ハフィスが我々のMotoGPチームに復帰してくれることです。そのためにも、来年はMoto2でいい成績を残さなければなりません。トップファイブは必須条件です。それを達成できれば、そうですね、2021年には彼を大歓迎で迎え入れたいですね。それが我々にとっても、マレーシアのレースファンにとっても、ヤマハにとってもいい形だと思います」
ラズラン・ラザリ
-Moto3はジョン・マクフィー選手が残留し、KIP(カイルール・イダム・パウィ)がMoto2からMoto3へ移ってきます。
「来年のジョンは、さらに活躍してくれると期待しています。2020年シーズンは今年以上の走りを見せてくれるでしょうし、タイトル争いにも加わってほしいですね。KIPには2021年にMoto2へ復帰するステップとして、Moto3でもう一度高いレベルの成績を収めてほしいです。今年の彼は負傷に苦しんだシーズンだったので、その治癒と回復を考えると、来季に彼をMoto2に残しておくのは我々にとってもリスクが高かったのです。したがって、もう一度Moto3へ戻ってなすべきことをしっかり果たしてもらおう、というのが我々の考えです。KIPはMoto3の初年度に2勝を挙げましたが、Moto2へステップアップするのは少し早すぎたのかもしれません。あのままMoto3に残っていれば、2年目は素晴らしい成績を残していたと思います。だから、来年はKIPに使命をしっかり果たしてもらいたい、と我々は考えているのです」
ジョン・マクフィー
ジョン・マクフィー
カイルール・イダム・パウィ(KIP
カイルール・イダム・パウィ(KIP)
-使命、とは?
「最低でもトップテンを争うこと。11月のポストシーズンテスト次第ですが、彼の過去の成績を考えれば、チャンピオン争いはしてほしいと思っています」
-アダム・ノロディン選手は、CEV(FIM CEV レプソル選手権)に残留するのですか?
「そうですね。アダムは現在、KIPの代役で頑張ってくれていますし、Moto2で4~5戦走っていい経験になっています。ホームレースのマレーシアGPに向けて、心身ともに充実しているでしょう。サンマリノGP以降のレースで代役参戦してきた経験が、来年のCEVに向けてもいい準備になっていますよ。CEVは来シーズンからトライアンフエンジンになるらしいと聞いているので、準備万端ですね」
-ところで、このチームはグランプリ史上初の、全クラスに参戦するマレーシアチームですね。マレーシアのレースファンにとっては、まさにフラッグシップ的な存在なのでしょうか?
「もちろんそうですよ。私は、このマレーシアチームのことをとても誇らしく思っていますし、それはマレーシアのファンにとっても同様だと思います。マレーシアGPのチケット販売が非常に好調なことが、なによりそれを如実に示しています。ここ最近は、毎年ソールドアウト状態で、マレーシアのレースファンからの熱い応援をひしひしと感じていますよ。彼らファンがいなければ、マレーシアの現在のMotoGPがあり得なかったことは間違いありません。ファンのありがたさを本当に身に滲みて痛感していますし、私はファンのニーズや動向に対して常に敏感であるように心がけています。
 我々はMotoGP初のマレーシアチームであり、そして私は3クラスすべてに参戦するチームのチームプリンシパルです。モータースポーツという面でも、我々は東南アジアのモータースポーツのフラッグシップであると自負しています」
-今回の取材前に、マレーシアGPの観客数の推移を調べてみました。10年前の2009年は、「たった」10万人でしたが、毎年5000人、1万人と動員数が増え続け、去年の観客数は17万人でした。この成功の秘訣は何なのですか?
ラズラン・ラザリ
「秘訣なんてないですよ。なにも難しい話じゃありません。世界選手権に地元選手が参戦しているからです。マレーシアGPは1991年から毎年行われています。最初はシャーアラムで、1999年にセパンへ移ってかれこれ20年になります。F1もマレーシアGPが行われていましたが、マレーシア人選手がいないので、観客はやがて飽きて離れていってしまいました。マレーシア人は他の諸国と同様に、とても愛国心が強いんです。世界選手権でも、やっぱり自国の選手を応援したい。要するに、そこなんですよ。だから、私たちは2009年と2010年にファーミ(ズルファミ・カイルディン)をワイルドカードで参戦させました。それ以降毎年、マレーシアGPには必ずマレーシア人選手が参戦しています。マレーシア人ファンが世界選手権でマレーシア人アスリートの活躍を観たいと思うのは、当然のことです。

 そしてその最高峰に位置するのが、MotoGPクラス。F1よりも、もっとエキサイティングなモータースポーツです。MotoGPクラスと同様に、Moto2とMoto3も魅力的でエキサイティングなカテゴリーですよね。そこに我々のライダーが走っている。これがマレーシアのファンにとってものすごく魅力的なイベントなのは、当然の話です」

-では、今年はさらに大勢の観客数が見込めそうですね。20万人に到達するでしょうか?
「そうですね。そこが我々の目標です。最初は18万人を見込んでいたのですが、さらにがんばって20万人の観客動員を達成したいと今は思っています」
-ペトロナスは、じつにいい投資先を見つけたことになりますね。
「ペトロナスは、マレーシアとアジアにおける二輪マーケットの重要性を非常に良く理解しています。ペトロナスはF1マレーシアGPの大会スポンサーでしたが、F1がなくなった現在、彼らはF1に代わる投資先のプラットフォームが必要だったのです。だから、私は彼らをこちらのほうに振り向かせるだけでよかった。ペトロナスはDORNAともいろんな面で協業しているので、二輪(モータースポーツ)に大きな関心を向けるのは必然でしたし、これは我々マレーシア人にとっても非常にハッピーな展開です。マレーシアやアジアの二輪市場は規模が大きいですからね。それを彼らは充分に認識しており、大きく関与することで市場のさらなる活性化を狙っているのです」
ラズラン・ラザリ
-アジア市場について言うならば、モータースポーツと二輪産業全体にとって、アジアは非常に重要な市場ですね。
「そうですね」
-今後はMotoGPでも、アジアのレースがさらに増えそうな気配です。インドネシアの開催はほぼ確実で、ベトナムも将来の候補に上がっているといいます。あなたのチームにとっても、アジア市場は非常に重要な存在ですね。
「昨年、タイがカレンダーに加わるまでは、我々が唯一の東南アジア開催地でした。タイがカレンダーに加わると知ったときは少し心配もしましたが、現在ではそれも杞憂だったとわかりました。大きなイベントの成否を握るカギは、地元ファンと国内市場からの支援が最も重要な要素だからです。地元ファンの強い支持があれば、必ずや大きな観客動員を見込めます。もちろん、外国からの観客も大切です。外国のファンにとっても、マレーシアは非常に魅力的な観戦地だと思います。アジアのレースが増えるのは、その意味ではチャンピオンシップ全体にとって良いことでしょうね。マレーシアの人々から我々がしっかりと応援してもらえるのであれば、アジアのレースが増えることに異存はありません」
-アジア諸国やアジア市場へ向けた具体的な戦略はあるのですか?
「年間カレンダーのなかでマレーシアGPがいつ開催されるのか、ということですね。DORNAと協議しているのは、我々は必ず最後からひとつ前のレースとして開催したい、ということであり、そこから動くことは望んでいません。アジアを転戦する〈フライアウェイ〉シリーズの最後のレースである、ということが重要なのです。マレーシア人はたとえば、タイヤインドネシアやベトナムにも観戦に行くことができます。そしてそれらの締めくくりとしてマレーシアのレースを楽しめるのです。外国人にとっても同様です。タイ、インドネシア、ベトナム、マレーシアという観戦ツアーを組めるのですから。この諸国でフライアウェイシリーズが組まれるのであれば、開催地各国の熱心なファンは、自国以外に3つのレースを見に行くことができるのです。だから、アジア全体として見れば、非常に良いことだといえるでしょうね。ヨーロッパからの観戦客にとっても、たとえば3週連続のMotoGPを各国で観戦できるのですから、きっと楽しいと思いますよ」
-さらにセパンサーキットは、2021年シーズンで唯一のプレシーズンテスト開催地になることも、さきごろ決定しました。
「そうですね。セパンがMotoGPのチームや各メーカーのプレシーズンテストで今後も非常に重要な役割を果たせることを非常に誇らしく、かつうれしく思っています。これは本当に、我々にとっても朗報でした」
セパン・サーキット(マレーシア)
セパン・サーキット(マレーシア)
-セパン8時間耐久についても少し質問させてください。この12月にセパン8時間耐久レースが開催されますが、あなたのチームはマイケル・ファン・デル・マーク選手、フランコ・モルビデッリ選手、そしてハフィス・シャーリン選手というラインナップで参戦しますね。しかもバイクナンバーは21。ヤマハの21番は、ファクトリーが使用する番号です。これはつまり、ファクトリーの分厚いサポートがあるということなのでしょうか?
「YART(Yamaha Austria Racing Team)が我々のサポートをしてくれます。耐久のプロフェッショナルですから、心強いですよ。ヤマハを象徴する21番を使用できるのは非常に光栄なことなので、私たちのチームはなんとしてでもセパン8時間を勝ち上がって、来年の鈴鹿8耐に向けた参戦資格を勝ち取らなければなりませんね」
-鈴鹿8耐に参戦するときは、21番は使用できませんね。
「そうですね。この21番はあくまでセパン8時間用のバイクナンバーで、鈴鹿ではヤマハファクトリーが21番をつけますからね。来年の鈴鹿8耐ではバイクナンバーと同様にライダーのラインナップも異なる顔ぶれになりますが、そのためにもまずはセパンで鈴鹿の参戦資格を勝ち取らなければいけません」
ラズラン・ラザリ
-つまり、あなたはセパン8時間ではふたつの使命があるわけですね。ひとつは、あなたのチームが鈴鹿8耐へ勝ち上がること。そしてもうひとつは、セパンサーキットのCEOとしてこのレースを成功させること。
「セパン8時間は、F1に代わる興業になると私は考えています。二輪と四輪のレースを連続開催する、非常にユニークな試みです。FIAにとってもFIMにとっても、これが一年間の最後のレースになるのです。EWC(ロードレース世界耐久選手権)とWTCR(世界ツーリングカーカップ)の双方にも、それぞれ目標設定が据えられています。たとえばEWCでは、セパン8時間は鈴鹿8耐の予選としても位置づけられています。したがって、鈴鹿参戦を狙うアジアのチームはすべて、まずセパン8耐で鈴鹿8耐の参戦資格を勝ち取る必要があるわけです。ユーロスポーツの関係者から聞いたところ、セパン8時間にはすでに55チームの参戦が決定しているそうです。そしてセパン8時間の後に、一年間の最後のレースとしてWTCRのレースが行われます。マレーシアでチャンピオンの行方が決まるわけですから、これもエキサイティングなイベントになるでしょうね」
-あなたのチームを自己採点するとしたら10点満点で何点ですか?
「これ以上のものは望めないくらい、最高のチームを作ることができたと思っています。我々は、パドックの中でハッキリとした存在感をアピールできており、プロフェッショナルとしての品格を持ち、そしてMotoGPチームの名に恥じない社交性と行動を保っています。これは独自のMotoGPチームであるべく、私たちが自らに課した規範でもあるのです。我々らしい仕事のしかた、我々らしいファンとの交流、我々らしいスポンサーやクライアントとの連携。そして、それを毎年向上させていくこと。パドックの中で存在感をアピールし続けるには、これが重要なのだと考えています。その意味では、我々のチームは文句なく10点満点です。

 パフォーマンスについては、そうですねえ……、9.5点でしょうか。初勝利はまだ達成していませんから」

-最後に、ラズラン・ラザリの究極の目標を聞かせてください。
「ふむ……。常に挑戦者であり続けること。そして、意外な伏兵としてチャンピオン争いを狙うこと。新参のサテライトチームとしては、それが最善の戦略でしょう。来年の我々はもはやルーキーチームではありませんが、若手ライダーを擁する新興サテライトチームであることは変わりません。だから、今後もそれが自分たちの位置取りと戦い方になるでしょうね」
ラズラン・ラザリ
【西村 章】
web Sportivaやmotorsport.com日本版、さらにはMotosprintなど海外誌にもMotoGP関連記事を寄稿する他、書籍やDVD字幕などの訳も手掛けるジャーナリスト。「第17回 小学館ノンフィクション大賞優秀賞」「2011年ミズノスポーツライター賞」受賞。

[西村章がジョアン・ミルに訊くへ]

[第12回 バレンティーノ・ロッシに訊くへ]

2019/11/01掲載