Facebookページ
Twitter
Youtube

レース・イベント

■文・写真:楠堂亜希

 コロナ禍により3年ぶりに開催された「ホンダレーシングサンクスデー」はモビリティリゾートもてぎにて快晴のなか大勢のホンダファンで賑わいました。ホンダ4輪ファンにとっての目玉はF-1ドライバーの来日になりますが、2輪のプログラムも、元MotoGPチャンピオンでマルク・マルケス選手はもちろんのこと、Moto2クラスランキング2位を獲得した小椋藍選手、チャントラ選手、Moto3の古里太陽選手、BSBに参戦した高橋巧選手、水野涼選手、鈴鹿8耐ウィナーでテストライダーの長島哲太選手がロードコースのデモ走行など(中上貴晶選手、名越哲平選手は療養中により走行はナシ) 充実していました。

水野涼
BSBに2年参戦した水野涼選手も久々の日本での走行。
対抗リレー
対抗リレー中。高橋巧選手に腕章をまく水野涼選手。

長島哲太
ピットアウトするマルケス選手の後方から長島哲太選手もスタート。
ウィリー
対抗レース中なのですが「オレとチャントラは立ち上がりウィリーするからね」と。

MotoGPマシン
MotoGPマシン同士の負けられない戦い。
お互いを称え合うマルケスと長島哲太
お互いを称え合うマルケス選手と長島哲太選手。

GPを終えたばかりの小椋藍選手とチャントラ選手も楽しんでいました
GPを終えたばかりの小椋藍選手とチャントラ選手も楽しんでいました。
ただ歩いてくるだけで絵になるライダーたち
ただ歩いてくるだけで絵になるライダーたち。

F-1マシンに見入るロードレースライダーの社会見学
F-1マシンに見入るロードレースライダーの社会見学。
デモ走行のあとは、この距離で世界選手と触れ合うことが出来ます!サンクスデーならでは
デモ走行のあとは、この距離で世界選手と触れ合うことが出来ます! サンクスデーならでは。

カートイベント
毎年行われるカートイベントは2輪4輪のトップ選手がハチャメチャなレースで楽しませてくれます。開門から場所取りに並ぶほどの人気コンテンツ。
ドライビングスーツを着たレーサーたち
アルパインスターズのドライビングスーツを着たレーサーたち。

大城魁之輔選手
アメリカで生活していた大城魁之輔選手は英語がペラペラ、海外選手たちに丁寧にルールの説明をしています。
優勝はマルケスチーム
優勝はマルケスチーム、よく見るとそうそうたる面々です。

 また従来のサーキットでのパフォーマンスプログラムに加えてオフロードコンテンツも充実。ダートトラックコースに大量の土を運び込んで作られた特設コースでは、MXGPチャンピオン、ティム・ガイザー選手、ダカール・ラリーのチャンピオン、リッキー・ブラベック選手、今シーズンよりホンダに加入したエイドリアン・ファン・べヘレン選手、全日本モトクロスライダーの大城魁之輔選手、大倉由揮選手らが走りを披露、なかでも観客の目の前に作られたビッグジャンプをラリーマシンが飛びきる光景はオフロードファンなら息をのむほどの圧巻でした。

MXGPチャンピオン、ティム・ガイザー
MXGPチャンピオン、ティム・ガイザー選手
ラリー、モトクロスデモの面々
ティム・ガイザー、リッキー・ブラベック、エイドリアン・ファン・べヘレン、大城魁之輔、大倉由揮。ラリー、モトクロスデモの選手たち。

本物のラリーマシンとモトクロッサーが間近で見られます
本物のラリーマシンとモトクロッサーが間近で見られます。
全日本モトクロスの大城魁之輔、と大倉由揮
全日本モトクロスの大城魁之輔選手と大倉由揮選手。

ワールドな3人
ワールドな3選手。ティム・ガイザー、リッキー・ブラベック、エイドリアン・ファン・べヘレン。
ラリーマシンが宙を飛ぶ
ラリーマシンが宙を飛ぶ!!! このために前日は念入りにコース整備が行われました! 関係者も驚きの高さと飛距離をみせました。

 さて本題に入りますが……ホンダレーシングサンクスデー、トライアルファン最大のお楽しみコンテンツであるトライアルのデモ。この2年、世界選手権トライアルの日本ラウンドは中止となり王者トニー・ボウ選手の走りを見るのも3年ぶり、ガブリエル・マルセリ選手と、全日本V12チャンピオンの小川友幸選手と今季初優勝した氏川政哉選手が参加。そして2021年を最後に引退したフジガスこと藤波貴久選手が、日本のファンの前で、トライアル選手としては最後となるパフォーマンスを披露しました。
 現在、レプソルチームの監督として活動しているフジガス、「全然バイク乗ってない!」と言いつつも、もてぎの難セクションの壁を目の前にすると負けず嫌いが発動! 現役と変わらない走りを見せ、会場を沸かせました。トニー選手や小川選手とも息の合ったジャンプを見せ、2回目のデモではマイクをとり会場に集まったファンに「直接会って言いたかった」とトライアル会場に集まった大勢のファンに、これまでの感謝と、これからも監督としての立場でトライアルに携わっていこうとを報告。大きな拍手に包まれました。

デモ待機中
デモ待機中
デモ待機中の選手たち。

トニーと2人息の合ったエアターンを決める
トニー選手と2人息の合ったエアターンを決める。
エアターンが決まってハイタッチのフジガスとトニー
エアターンが決まってハイタッチのフジガスとトニー。

トライアルデモ
トライアルデモは演者のみなさんも常に楽しそうです。
トライ
どれだけすごいところにトライしているかは、背後の選手たちの顔をみてお察しください。

氏川選手
サンクスデーのデモは初めての氏川選手、あわや?!
ガッチさん
ガッチさんは何をしても美しいライディングです。

午後のデモ
午後のデモ、意外と時間が余ってしまい、突如MCの小林直樹さんを生贄にし始めた選手たち。
ガッチさん
トニー選手とマルセリ選手もニコニコ顔。マルセリ選手は初来日の初デモだそう。

対抗レース
対抗レース
対抗レースは、ホームコースに設置されたセクションにて2人でタイムトライアル。

デモ待機中
デモ待機中
トライアルデモ後のファンサービス。多分来年も、藤波監督のサインにファンは行列することでしょう。

 藤波選手が、引退に際し行われた合同インタビューでは今の率直な気持ちを語ってくれました。

藤波選手
藤波選手

トライアルGP日本グランプリ
日本で最後のレースとなった2019年のトライアルGP日本グランプリ。土日の両日ともに3位表彰台を獲得しました。


「正直26年間もこの世界で戦うなんて思ってもみませんでした。昨年、引退のシーズンでも優勝することができ、悔いの残らないかたちで満足してシーズンを終えました。
 たくさんの思い出がありますが、日本グランプリが開催されたのが2000年。その頃はランキング2位になっていて、チャンピオンをどうしても取りたい思いが強く、それでもなかなか獲れないシーズンでした。それでも2004年のもてぎ大会で土曜、日曜と2レース優勝し、2004年に世界チャンピオンを獲れたことは一番の思い出です。
 そして今シーズンは、僕が所属していたチームでそのまま監督になることができました。ライダーではない仕事の部分で大変だったりしましたが、チーム一丸となってトニー・ボウがチャンピオンになり、新しく加入したマルセリ選手も頑張ってくれて、僕にとっても最高のチームになったと思います」

藤波選手
藤波選手
96年デビュー、21年引退はバレと一緒ですが、ロッシの引退がきっかけになったのでは? との質問に「21年シーズンがはじまったときに引退をすると決めていて、優勝して現役を終えるのも僕にとっても最高のシーズンだと思えたので、たまたまバレンティーノも同じ時期になったのですが、バレンティーノよりはランキングも上で終えられたので勝ったのかなと思っています!」


「チャンピオンを目指して世界選手権を戦い、ランキングも3位や5位を経験して、僕の中ではまだまだ勝てると思って続けてきましたが、トニーと練習していて、ふと僕の中でチャンピオンにはなれないのかな?と、彼にはかなわないと実感したのが引退の決め手だったと思います。トニーの凄さは5年も10年も前から分かっていたけど、それでも勝ちたいという気持ちがあった。2年くらい前に、彼には心底勝てないなと思ったことが決め手になりました」

藤波選手
藤波選手
長く参戦してこられた秘訣について聞かれて「凄く長い期間戦って来たなと思いますが、毎年毎年、一日一日を大事に走ってきたので、トータルでいうと26年になりますが日々楽しくバイクに乗れていたことが、長く続けてこれた秘訣だと思っています」


「今後はライダーからは退きます。自分の中でももう切り替えが出来ています。今後は教える立場として、ライダーの考えていること、僕の経験したことを色んなカテゴリーのライダーにも共有できたらと思いますし、目先の目標としては、トニー・ボウとマルセリ選手のワンツー(表彰台)が一番最初の目標。アスリートとして他のカテゴリーで走ることは全く考えていないです」

「来年度はモンテッサタレントチームを作り、若手ライダーを入れて世界選手権に参戦させようと計画を立てています、そこに日本人選手が入る可能性もあります」

「自分の参戦経験として、ホンダに助けて頂いていましたが、ほとんどが個人活動で、ファミリーで世界転戦をしていくことで大変な思いをしました。若手にはそれ以上に練習に集中できる環境を作って助けてあげたい。自分の経験を生かして若手育成をしていきたい、自分にはそれができると思っています」

 この育成チームには、自分の甥っ子である氏川政哉が入る可能性はあるかという問いには「完全に実力!」との答え。

 コロナ禍により、現役最後のレースが日本で見ることが適わなかったのは本当に残念でなりませんが、フジガスはすでに意識を切り替え、1シーズンを監督として過ごしていて、新たな目標に向かって進んでいる真っ最中です。

藤波選手
監督として指導中の若手、元ライバル、兄貴であり大親友、甥っ子、そして集まってくれたトライアルファンという最高の1枚。

 イベントのフィナーレに差し掛かった頃、本コースでも引退セレモニーが行われました。

藤波選手
引退セレモニー
マルケス選手らゲストライダーに囲まれて、これほど盛大な引退セレモニーはなかなかないですね。

 地上へ続く地下の階段から飛び出し、グランドスタンドの観客の前に作られたセクションを軽々と越え、ホームストレートに集まったホンダライダーに囲まれ祝福されるという、サンクスデーでしか実現しえない豪華なセレモニーとなりました。

引退セレモニー
引退セレモニーでは奈落から飛び出す、思いのほか凄い高さのジャンプにラストランの気合を感じました。

 来シーズンは6月にもてぎで世界選手権トライアルが開催される予定です。トニー・ボウとマルセリに激を飛ばす監督に自然と注目がいくことでしょう。フジガス監督率いるレプソルチームの活躍をお楽しみに。

*日本グランプリは5/20〜21 モビリティリゾートもてぎで開催!

引退セレモニー
ゼッケン3は、日本ラウンドが開催された2019年のシリーズランキング。このゼッケンでもってもてぎを走るフジガスが見られるのは今回限り、貴重なイベント大切な時間でした。

2022/12/21掲載