HONDA Dunk 車両解説
2013年の第43回東京モーターショーに参考出品されて注目を集めたモデル「Dunk(ダンク)」が市販されたのは翌2014年の2月。新開発の“eSP”による高い経済性や環境性能をベースとして、幅広いユーザー層に受け入れられる上質なスクーターを目指し、“プレミアムスニーカー”をコンセプトとして開発が行われた。長期凋落傾向にあった国内の50ccのスクータークラスだったが、なによりもまずは若者にバイクに回帰してもらうべく、原付から改革を進めようという機運に、ホンダが投入した“戦略モデル”でもあった。
スマートフォンなどが充電できるアクセサリーソケットや、大容量ラゲッジボックス、時計を標準で装備、給油頻度の少ない低燃費性能、リラックスした乗車姿勢で、上体を起こしてゆったり乗れるライディングポジション、足を前に投げ出すスタイルでもしっくりする快適な居住性、快適な走りを支える動力性能など、2002年7月発売のトゥデイ以来、実に12年ぶりの原付スクーターのニューモデル(ボディからエンジンまで新規に開発したモデル)として開発陣の力の入ったモデルだった。
メカニズム面では、ホンダの戦略エンジンとなったeSP(enhanced Smart Power)技術をベースに国内専用の50cc版として開発。アイドリングストップ・システムも標準装備し、トップクラスの低燃費を実現。セルモーターは発電機能も兼ね備えた電子制御式ACGスターターを採用、従来のセルモーターや始動系ギアなどを廃したことで軽量化にも貢献している。カムとの摺動面をローラー化し、摺動抵抗を低減したローラーロッカーアーム採用により動弁系のフリクションを低下。燃焼エネルギーを効率的にクランクシャフトに伝えるオフセットシリンダーの採用。ラジエターの冷却効率を高めることでラジエター背面にあるクーリングファンを小型化し、空気攪拌抵抗を低減。ミッション内部の軸受け部3ヵ所にボールベアリングを採用し、各軸の転がり抵抗を低減している。
フレームは燃料タンクをフロア下に配置するため、これまでのシングル・アンダーボーンからダブル・アンダーボーンとしながら各部のパイプサイズ、板厚を最適化することで従来モデルと同等のフレーム重量におさめている。サスでは上位モデルに採用されている油圧式フロントフォークを採用。ブレーキはホンダ独自の連動ブレーキシステム“コンビブレーキ”だ。
2016年2月に、カラーバリエーションの変更が行われ、同時に従来ベトナムで生産されていたDunkがこのマイナーチェンジを機に、日本の熊本製作所で生産されることになった(ちなみに、2月12日発売のタクトシリーズも熊本製作所に移管されている)。
2017年7月にも同様にカラーバリエーションの変更が行われた。「マットガンパウダーブラックメタリック」と「マットビュレットシルバー」の新色2色と、継続色の4色と合わせて6色のカラーバリエーションとしている。
2019年3月のモデルチェンジもカラーバリエーションの変更のみで新色「マットアルタイルシルバーメタリック」と「イオンブルーメタリック」の2色と継続色の4色を合わせて計6色のランナップとなっていた。
今回、兄弟(兄妹?)モデルのジョルノと同時にカラーバリエーションの変更を受けた。カラーラインナップは、「マットジーンズブルーメタリック」「パールディープマッドグレー」「マットバリスティックブラックメタリック」の3色に。
★ホンダ ニュースリリースより (2022年1月7日)
原付一種スクーター「ジョルノ」「Dunk」のカラーバリエーションを変更し発売
Hondaは、原付一種スクーターの「ジョルノ」「Dunk」のカラーバリエーションを変更し、1月20日(木)に発売します。
ジョルノおよびDunkのカラーバリエーション
ジョルノ
・バージンベージュ
・プコブルー
・パールディープマッドグレー
・マットアーマードグリーンメタリック
・サマーピンク
Dunk
・マットジーンズブルーメタリック
・パールディープマッドグレー
・マットバリスティックブラックメタリック
ジョルノは、おしゃれで親しみやすいデザインにより、幅広い年齢のお客様にご好評をいただいているモデルです。今回、フロントエンブレムのデザインを統一するとともに、愛らしく個性的なスタイリングをより際立たせる計5色のカラーバリエーションを設定しています※1。
Dunkは、上質感のあるモダンなデザインにより、男性を中心とした幅広い年齢のお客様にご好評をいただいているモデルです。今回、上質な印象をより引き立てる計3色のカラーバリエーションを設定。それぞれ、リアサスペンションスプリングのカラーをレッド、シートのカラーをブラック、ブレーキキャリパーのカラーをブラックとしています。
※1 ジョルノ・デラックスは廃止。ジョルノ・くまモン バージョンは継続販売予定
- ●販売計画台数(国内・年間)
- ジョルノ 10,500台
- Dunk 3,400台
- ●メーカー希望小売価格(消費税8%込み)
- ジョルノ 209,000円(消費税抜き本体価格190,000円)
- Dunk 229,000円(消費税抜き本体価格209,000円)
- ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません
主要諸元
車名型式 | 2BH-AF78 | |
---|---|---|
Dunk | ||
発売日 | 2022年1月20日 | |
全長×全幅×全高(m) | 1.675×0.700×1.040 | |
軸距(m) | 1.180 | |
最低地上高(m)★ | 0.110 | |
シート高(m)★ | 0.730 | |
車両重量(kg) | 81 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 1 | |
燃費消費率(km/L)※3 | 75.3(国交省届出値 定地燃費値※4 30km/h 1名乗車時) | |
58.4(WMTCモード値★ クラス1 1名乗車時)※5 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転小半径(m) | 1.8 | |
エンジン型式 | AF74E | |
水冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ | ||
総排気量(cm3) | 49 | |
内径×行程(mm) | 39.5×40.2 | |
圧縮比★ | 12.0 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 3.3[4.5]/8,000 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 4.1[0.42]/6,000 | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置[PGM-FI] | |
始動方式 | セルフ式(キック併用) | |
点火方式 | フルトランジスタ式バッテリー点火 | |
潤滑油方式 | 圧送飛沫併用式 | |
潤滑油容量(L) | – | |
燃料タンク容量(L) | 4.5 | |
クラッチ形式 | 乾式多板シュー式自動遠心式 | |
変速機形式 | 無段変速(Vマチック) | |
変速比 | 1速 | 2.850~0.860 |
キャスター(度) | – | |
トレール(mm) | – | |
タイヤサイズ | 前 | 90/90-10 50J |
後 | 90/90-10 50J | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ディスク |
後 | 機械式リーディングトレーリング | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | ユニットスイング式 | |
フレーム形式 | アンダーボーン |
■道路運送車両法による型式認定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)
■製造事業者/本田技研工業株式会社
※3 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
※4 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
※5 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果に基づいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます