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試乗・解説

Honda GYRO CANOPY e: ホンダe:ビジネスバイクシリーズの3機種が揃う
2020年4月の「ベンリィ e:」、2021年3月の「ジャイロ e:」に続き、大型ルーフを備えた3輪モデル「ジャイロ キャノピー e:」がついに10月29日に登場する。これでビジネス用電動車シリーズが出揃うことになった。
■取材・撮影:青山義明 ■協力:ホンダモーターサイクルジャパン https://www.honda.co.jp/motor/




交換式バッテリーも進化

「ジャイロ キャノピー(ガソリンエンジンモデル)」は、1982年に登場したジャイロXのバリエーションモデルとして1990年に登場した。その後モデルチェンジを重ねながら販売を続ける現行モデル。今回登場する「ジャイロ キャノピー e:」は、大型のウインドスクリーンとルーフ、そしてデッキタイプの荷台を継承したその電動化モデル(原付一種)となる。

 その駆動ユニットなどは基本的にHonda e:ビジネスバイクシリーズ共通の電圧48Vの充電池2個を直列に接続させた96V系のシステムで駆動する。モーターはジャイロ e:と同じものを使用し、モーター出力軸から減速ギアを介し2本の後輪へ駆動を伝える。その同軸にディファレンシャルギアを採用し、旋回時の左右の回転差を収束することとしている。
 左ハンドル部にはリバーススイッチも備え、スタータースイッチとの同時押しで後進をアシストしてくれる機能も「ジャイロe:」に引き続いて、用意されている。
 
 車体はガソリン車よりもコンパクトにまとめられているが、基本的な装備はほぼ同じ。ダブルリンク式ワイパーを備えた大型のウインドスクリーンに、スイング機構と後輪を同時にロックするパーキングロック機構を採用。
 車体前部、そして後ろ2輪との接合部にはスイング機構を設けており、旋回時には車体がスイングしながらしっかり接地する安定感のある走りを実現。ヘッドライトはこのe:ビジネスバイクシリーズ共通の六角形のLEDライトとし、メーターパネルも同様の丸形のものを採用。ただし、メーターパネル自体はステアリングコラム上ではなく、キャノピー側に配置。小物類を入れることのできるインナーポケットや携帯などの充電にもぴったりなアクセサリーソケットも用意されている。荷台となるデッキ部分には荷掛けフックを採用。ちなみに荷台の位置はライダーの後ろ側となる。ジャイロe:は荷台が車体後部に備えられていたが、キャノピーe:では車体前部側に備えられており、車体と同じようにスイングすることとなる( https://mr-bike.jp/mb/archives/21080?from=mr-bike 参照)。

 カラーラインナップは、ロスホワイトとファイティングレッドの2色を用意。価格は71万5000円(税込)としている。ちなみにこのモデルも他のe:ビジネスバイクシリーズ同様、法人向け販売のみとなり、
購入もしくはリースでの使用となる。このe:ビジネスバイクシリーズへは、一般社団法人次世代自動車振興センターのCEV補助金が一律6万円、それとは別に東京都からは地球温暖化防止活動推進センター「クール・ネット東京」からも助成金が下りる。
 

 
 また、このキャノピーモデルの登場と同時に発表されたのが、新しいバッテリーパックである。その名称は、これまでの「ベンリィ e:」や「ジャイロ e:」に使用されてきた「モバイルパワーパック」ではなく、「Honda Mobile Power Pack e:」となった。
 これまでの「モバイルパワーパック」と互換性のあるモデルであり、基本的なサイズは変わらないものの、こちらはバッテリー容量で1.3倍を達成。さらに「手の大きな方でも持てるように」とグリップ形状を変更し、1個当たり600gの軽量化も実現している。
 この新型バッテリーパックを使用することで、30km/h定地走行モードで「ジャイロ e:」は72kmから85kmへ、今回登場した「ジャイロ キャノピー e:」は65kmから77kmへと航続距離が伸びた。またこのバッテリー1個当たりのゼロから満充電までの充電時間はこれまでのものより1時間近く多く、約5時間となる。
 使用する際は2個ともに従来モデルもしくは新型モデルに統一する必要がある。混在して使用することはNGとなっている。

 これでビジネス領域での電動バイクシリーズが揃い踏みとなったわけだが、ホンダでは原付一種ビジネスATモデルでのEV化率を2025年には70%達成を目指すとしている。すべてのバイクが電動化することはないが、ホンダのビジネスMTモデルであるスーパーカブと、このe:ビジネスバイクシリーズがともに地球環境に配慮しながら日本はもとより世界のスモールビジネスを支えていくことに期待したい。
(文:青山義明)
 

サイズとしては同じだが、実際に持ってみるとその軽量化はしっかりと実感できる。容量も増加し、航続距離も1.2倍に伸びた。開発者は「中身は相当変わっている」と表現するほどの進化だ。

 

手の大きな人でも取り出しやすいようハンドル形状を変更した「Honda Mobile Power Pack e:」はシート下に横並びで搭載される。1回のハンドル操作で2個のパックを同時に固定と解除する構造となっている。

 

右ハンドルのスタータースイッチと左ハンドルにあるリバーススイッチの同時押しが後進操作となる。ボタンを押すことで一定の速度で後進され、スロットルを回す必要はない。

 

「ジャイロキャノピー」よりも進化した部分としては、ボディサイドに張り出すレッグディフレクターを追加。これにより防風・防雨性能が向上している。
ルーフを支えるピラーの形状にも配慮し、ヘルメット周りの居住性を向上。さらにリア側にはピラーカバーを追加して風の巻き込みも抑えている。

 
 

●ジャイロ e: 主要諸元
■型式:ホンダ・ZAD-EF14 ■原動機形式・種類:EF13M・交流同期電動機 ■定格出力:0.58kw ■最高出力:3.2kw(4.4PS)/5,800rpm ■最大トルク:13N・m(1.3kgf・m)/2,300rpm ■全長×全幅×全高:1,870×700×1,710mm ■ホイールベース:1,360mm ■最低地上高:95mm ■シート高:715mm ■最小回転半径:1.9m ■車両重量:168kg ■タイヤ(前・後):90/90-12 44J・130/70-8 42L ■ブレーキ(前/後):機械式リーディング・トレーリング/機械式リーディング・トレーリング ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・ユニットスイング式 ■車体色:ロスホワイト、ファイティングレッド ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):715,000円


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2021/10/28掲載