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試乗・解説

タイ生まれのGPX、 ミニ・サーキットでイッキ乗り!
2007年にタイで産声を上げたブランド、GPX。そのモデル達は、GPXジャパンを通じて4メーカーが本拠を置くここ日本にも上陸している。今回はそのGPXの乗り味がどうなのか。桶川スポーツランドに集まったGPXの5モデルを走らせ、味わってみることにした。アジアを中心に世界に打って出るモデル達は荒削りな部分はありつつも、走るほどにライダーを悦楽の世界に引き込む魅力を持っていたのである。
■試乗・文:松井 勉 ■写真:GPX JAPAN ■協力:GPX JAPAN https://www.gpxjapan.co.jp/ ■ウエア協力:アライヘルメット https://www.arai.co.jp/jpn/top.html、RSタイチ https://www.rs-taichi.com/products/






 題するなら「トラックテスト一本勝負」となる。今回登場するモデルの詳報はパート1をご覧頂くとして、今回はミニサーキットで走らせた印象をお届けする(『Part1、GPXとは?』はコチラhttps://mr-bike.jp/mb/archives/22607 )。テストしたのはレトロモダン系ストリートネイキッドモデルの「レジェンド」シリーズから、空冷単気筒エンジンを搭載するレジェンド150 FI、空冷並列2気筒エンジンを搭載するレジェンドツイン1とレジェンドツイン2、そしてスポーツバイクセグメントからデーモンGR200R、さらにデーモンGR200Rのワンメイクレース仕様の5台。では順にその印象をお伝えします。

LEGEND 150FI

150空冷単気筒、想像以上にFUN大盛り。

 パドックに並ぶこの日のラインナップの中ではひときわコンパクトなレジェンド150FI。しかしそれは排気量からそう思うだけだった。その楽しさ、面白さは完全にその第一印象を越えていたのである。
 イメージよりボリューミーな燃料タンクの存在感、そして跨がってみてもソフト過ぎないサスのお陰で大男な僕が乗ってもリアサスが沈み込み過ぎない。シート高はその分高い印象ながら実際には780mm。シートが細身で足をストンと真下に落とせる感じも悪くない。なによりそこは車体の軽さでカバーする。
 跨がり第一印象としては、150だからといって250に引け目を感じないのがいい。
 

 
 メーター類はLCDのデジタル感。それにワイドなハンドルバーの恩恵でゆったりしたポジションもグッド。そうはいっても150だし単気筒だし、そこまで期待もせず発進した。あれ? 力強いぞ。150というより、200くらいありそうなトルク感。人が乗れば200㎏を軽くオーバーするのにまったく力負けしていない。ポンポンポンとシフトアップしてもアクセル一つでトトトトトと加速をする。一緒にコースを走っているレジェンド250ツインの加速に身軽さで追従するかのようだ。

 もちろん、タイトなミニサーキットではなく、直線が続く高速道路では余裕の差はあるだろうが、一般道で走る分にはまったく不足がないのでは、という印象だ。このバイクとはほんの数周ですっかり友達になれた。ハンドリングはナチュラル。サスペンションとタイヤからのインフォメーションはちょっとキメが整っていないが、それは桶川スポーツランドの荒れた路面にも一因があるし、バリュー・フォー・マネーを重視するならこれはこれ。
 併せてブレーキのタッチも合格ラインながらそこそこな印象。これは多くのアジアンモデル、あるいはアジア生産のブランドモデルと同等なもの。逆にGPXが主戦場とするアジア各国の道路事情にしっかりミートしているのかもしれない。確かに前後サスは強めに感じるスプリングレートと、長めのストロークを持っている。
 

 
 ペースが上がるとコーナリングが楽しい反面、左コーナーではステップ周りが意外に早く路面にタッチしてバンク角の余裕がないことが解る。それでも旋回性はまだまだ余裕があるから、こうした部分は少しメーカーのほうでアップデイトして欲しい。良路が多い日本なら前後17インチのホイールにグリップとハンドリングが美味しくなるタイヤを履いた時にさらに楽しめるはず。

 サイズといいパワーのバランスといい充分に楽しめるコンパクトなネイキッド。それでいてスタイルはしっかりと今風なカスタムテイストを取り込んでいるので、最初の一歩をこれで刻むもよし、ビッグバイクと並べてガレージにしまい、このクラスではないと楽しめない走りを味わうのもよし。
 意外に裾野の広いバイクだと感じた、それがレジェンド150FIだ。125では利用できない自動車専用道路も走れる権も付帯しているし。
 

●LEGEND 150FI 主要諸元
■型式:GPLG150A ■エンジン種類:空冷4ストローク単気筒SOHC ■総排気量:149cm3 ■ボア×ストローク:–×–mm ■圧縮比:9.2 ■最高出力:10.5kw/8,000rpm ■最大トルク:13.5N・m/6,500 rpm ■全長×全幅×全高:2,025 × 785 × 1,100mm ■ホイールベース:1,315mm ■シート高:780mm ■車両重量:143kg ■燃料タンク容量:12L ■変速機形式: 6段リターン ■タイヤサイズ前・後:110/90 R17・ 120/90 R17 ■ブレーキ(前/後):シングルディスク/ドラム ■車体色:ブラック、マットブラック、グレー ■メーカー希望小売価格(消費税込み):349,800円

LEGEND 250TWIN1 / 250TWIN2
250、2気筒の魅力。

 レジェンドツイン1、レジェンドツイン2。この2台は空冷並列2気筒エンジンを搭載したレトロモダンモデルだ。レジェンドファミリーのフラッグシップであり、GPXの中でもアッパークラスの匂いをだしている。アジア圏では250クラスがプレミアムクラスとして人気が高いと聞くが、なるほどそんなオーラを発している。

 まず丸形ライトとレジェンドシリーズに通じるボリューム感がある燃料タンク、ダブルシートが作るシンプルにレトロモダンさを追求している。それでいて、タンクの造形はどこかブリティッシュビンテージ風だし、シートは2トーンとすることで、カフェレーサー的シングルシート風味も持っている。LEDを使ったヘッドライト、テールライト。さらにカラーLCDモニターを使用したメーターが今風だ。足周りをみても、フロントは倒立フォーク。リアはYSS製の2本ショックを採用して、走りをイメージさせることも忘れない。ただただ80年代初期までのバイクをカバーしたのではない、と主張する。
 

 
 ツイン2は、ピギーバックタイプのサブタンクを持つ2本ショックやハンドル形状を変えたモデルで、イメージとしてはよりカスタムテイストを持たせた印象だ。

 レジェンドツイン1、2ともに搭載されるエンジンは234㏄空冷並列2気筒エンジンで、360度クランクを採用している。

 バイクのサイズ感は250クラスとしては大柄な印象だ。それはボリューミーなタンクやすらっと伸びたシートからだけではなく、フロントにダブルディスクを装備するなど、ビッグバイク的風格と品格を与えているからで、150FIと比べたらレジェンドツインには明確なクラス感が存在する。
 跨がりの印象は、レジェンド150FI同様、リアサスのストローク感がもう少しあれば足着きに厳しい目を持つライダーにも優しくなるのでは、と感じた。ポジションに関しては、ステップの位置が共通でハンドルバーの形状が異なる2台。上体の前傾姿勢がより強いツイン1、それよりもアップライトなツイン2。その姿勢の好みと、ミラーがバーエンドにあるツイン1、コンベンショナルなツイン2、とその後のカスタムプランで決めていいと感じた。

 レジェンド1、レジェンド2の車重も154㎏と156㎏とスペックにあるからクラスでも重たいほうではない。それにボトムトルクがしっかりあり、比較的ローギアードなギアレシオなこともありよく走る。
 

 
 排気音は、ブリブリブリっとした360度クランク的なものかと思ったが、どこか整った高音が特徴で、一瞬、4気筒??と思わせるようなサウンドなのだ。それに気持ち良くなりながらアクセルをガンと開けてゆく。エンジン特性は低回転から高回転まで盛り上がりの演出を持たせた様子はなく、感覚的にとてもわかりやすく掴みやすいもの。それでいてしっかり加速感が伝わるからここでも速度計を見なければ250クラスとは思えないリッチな加速感を味わえる。

 切り返し、タイトターンが多い桶川スポーツランドでは150FI同様バンク角が浅い印象で、攻めると意外に早くその限界がおとずれる。レザースーツを着てサーキットをガンガン攻めるバイクではないので、それはそれだが走りが楽しいのは間違いない。

 レジェンドツイン1、ツイン2のライディングポジションと走りの違いは、ステップ位置が同じこともあり、極端な違いは感じなかった。ブレーキがダブルディスクになっているが、強烈な制動性能を誇示するようなこともなくむしろ初期タッチからマイルドなタイプで、市街地、荒れた路面、濡れた路面でも臆することなく使えるタイプだ。

 また、リアショックのグレードもツイン2のほうがサブタンク付きとなるが、それがコーナリング性能や乗り心地に決定的な違いがあるか、と言われたらそこまでの大きな違いは感じなかった。

 レジェンドツインシリーズは、扱いやすいエンジン、タイヤ、サスペンション、フレームなどが作る走りの世界は2台もと同様に乗りやすい。きめ細やかな走りまで探求したバイクに乗り慣れたジャーナリストとして見れば荒削りに見える部分もあるが、短期間で成長したGPXだ。今後の進化の速度も速いに違いない。
 

 
 ステアリングヘッドに対してフロントフォークのオフセットをしっかり取っているため、旋回初期のレスポンスはしっかりありつつ、その先が重厚感に変わって行くあたり、ネオレトロなスタイルとマッチしていた味付けはなかなかだと思った。

 結論を言えば、どこから開けてもブーンと加速感を楽しませるエンジンと、整ったスタイル。色や好みの違いで選ぶべきライフスタイル物としてズバリいい線行っていると思う。それがレジェンドツイン1、2だ。
 

 

ライダーの身長は183cm。写真の上でクリックすると両足着き時の状態が見られます。

 
 

●LEGEND 250TWIN1 主要諸元
■型式:GPLG250A ■エンジン種類:空冷4ストローク並列2気筒SOHC ■総排気量:234cm3 ■ボア×ストローク:53.0×53.0mm ■圧縮比:9.2 ■最高出力:12kw/8,000rpm ■最大トルク:15N・m/6,500rpm ■全長×全幅×全高:2,040 × 800 × 1,040mm ■ホイールベース:1,340mm ■シート高:790mm ■車両重量:154kg ■燃料タンク容量:14.5L ■変速機形式:6段リターン ■タイヤサイズ前・後:110/90 R17・130/90 R17 ■ブレーキ(前/後):ダブルディスク/シングルディスク■車体色:レッド、ブラック ■メーカー希望小売価格(消費税込み):459,800円

 

 

ライダーの身長は183cm。写真の上でクリックすると両足着き時の状態が見られます。

 
 

●LEGEND 250TWIN2 主要諸元
■型式:GPLG250A ■エンジン種類:空冷4ストローク並列2気筒SOHC ■総排気量:234cm3 ■ボア×ストローク:53.0×53.0mm ■圧縮比:9.2 ■最高出力:12kw/8,000rpm ■最大トルク:15N・m/6,500rpm ■全長×全幅×全高:2,040 × 785 × 1,120mm ■ホイールベース:1,340mm ■シート高:790mm ■車両重量:156kg ■燃料タンク容量:14.5L ■変速機形式:6段リターン ■タイヤサイズ前・後:110/90 R17・130/90 R17 ■ブレーキ(前/後):ダブルディスク/シングルディスク■車体色:グレー ■メーカー希望小売価格(消費税込み):487,300円

 

DEMON GR200R
200レプリカという選択肢。
ライバルはスズキ軍団か!?

 価格はスペックだ! これは僕のバイク仲間が昔言い放った「名言」だ。スキになったバイクが欲しいバイクというスタンスの自分にとって価格は二の次。そんな自分のために世界にはローンがある! という立場で一貫している自分としてはその視点が欠けているのも事実。そこで価格で見るGPXデーモンGR200Rという考察も含め展開しよう。

 まずデーモンGR200Rの価格は47万円と飛んで800円。国産で200㏄エンジンを搭載する同等モデルがないので、250クラスまで含めると、スズキのGIXXER SF250が48万1800円で近く、250㏄2気筒勢は50万円台後半から80万円台と大きく開きが出る。カウルを持たないネイキッドで唯一GIXXER250が44万8800円と下回るが、その他のブランドでデーモンGR200Rと比肩するプライスタグを持つバイクはない。
 

 
 デーモンGR200Rは走りを意識したモデルだ。レジェンドシリーズがクレードルタイプのフレームだったのに対し、スチールトレリスフレームに198㏄水冷単気筒エンジンを吊り下げるように搭載する。フレームの剛性と理想的な位置にエンジンを搭載しやすいレイアウトであり、世のスーパーバイク系と同じ方向性を向いているパッケージだ。フロントには倒立フォーク、リアにはプリロード調整が可能なリンク式モノショックサスを採用。リアはYSS製を採用する。

 前後のタイヤは、フロントに100/80R17、リアは140/70R17とともにビーラバー製ラジアルを装着。ブレーキは前φ276mm、後φ220mmのプレートを与えている。足周りからも走りへの思いが感じとれる仕様だ。

 ボディーワークもコーナリングを意識したもので、深いバンク角でライダーがしっかりバイクとコンタクト出来るような必要な部分にはエッジを効かせたデザインになっている。フロントカウルもヘッドライトが左右に分かれた位置にレイアウトするなど、一見するとレーサーカウル?と思わせる仕掛けを入れているのも特徴だ。

 ポジションはトップブリッジ下側に装着されたセパハン、後退した位置に見えるステップから想像するよりアップライト。シートの前後長もあり体格を問わずポジションの自由度がありそうだ。
 

 
 コースへと走りだす。GR200Rの単気筒エンジンは、パワー曲線が滑らかかつ一定にトップエンドへと続くもので扱いやすい。200㏄だから臆するようなパワーとトルクはないが、車体の特性もあってコーナリングが楽しい。サスペンションは比較的ストロークが取られていること、自分の体重だともう少しリアサスのイニシャルプリロードを掛けて前後の荷重と姿勢をならしたい、などいくつかコースとライダーと走り方にミスマッチを感じたが、それを補正しつつベターを探して走るのが楽しい。

 タイヤが持つ旋回性やグリップも尖った性格ではなくスポーツバイクとしてはマイルド。ストリートでの使い勝手は良さそうだ。攻め始めるとバンク角が先に音を上げたが、それでもレジェンド系モデルよりはスイスイ走る印象でツーリング先のワインディングなどが楽しみなタイプ。ブレーキ性能にも不満はなく制動時に感じる車体の剛性感を含め走りのバランスは取れているよう思えた。

 もし自分がこのバイクを手に入れたら好みのタイヤにスイッチするだろうが、せいぜいそれぐらいだった。デーモンGR200Rは狙い通り、抑えたプライスで走りとスタイルその双方を楽しめるバイクだと言える。
 

ライダーの身長は183cm。写真の上でクリックすると両足着き時の状態が見られます。

 

●DEMON GR200R 主要諸元
■型式:GPGR200A ■エンジン種類:水冷4ストローク単気筒SOHC ■総排気量:198cm3 ■ボア×ストローク:–×–mm ■圧縮比:11.0 ■最高出力:13kw/8,000rpm ■最大トルク:17.2N・m/6,500 rpm ■全長×全幅×全高:2,020 × 747 × 1,145mm ■ホイールベース:1,350mm ■シート高:815mm ■車両重量:155kg ■燃料タンク容量:11L ■変速機形式: 6段リターン ■タイヤサイズ前・後:100/80 R17・ 140/70 R17 ■ブレーキ(前/後):シングルディスク/シングルディスク■車体色:レッド、ブラック、グレー ■メーカー希望小売価格(消費税込み):470,800円

 

DEMON GR200R RACER
たった数カ所の変更で別物に。
レーサーでサーキット、は、やはり楽しい!

 ワンメイクレース仕様のデーモンGR200Rにも試乗が出来た。桶川スポーツランド、鈴鹿ツインサーキット、SPA直入で開催されるGPX デーモンGR200Rを使ったワンメイクレース仕様は、基本改造範囲が限られ、ステップ、マフラー、サブコンなどを装着。保安部品を取り外し、タイヤも指定のダンロップ製のバイアスタイヤの中でもグリップ、ハンドリング性能の高いTT900GPを履く。コンプリート車は、ベビーフェイス製のレーシングバックステップを装着、また月木レーシング製専用マフラーとサブコンで燃調も調整出来る仕様になっている。それらを含み車両代金が54万450円という一瞬、え? と聞き返してしまうレベルに抑えられている。

 これも発売元がモータースポーツの入り口を拡げたい、若いライダーにもっと楽しんでもらいたいという心意気から。車体を購入して別売のパーツを買うより、コンプリート車を買う方が断然リーズナブル。エントリー層を増やしたいが、売れば売るほど赤字がでるのでは、とこちらが心配になる価格なのだ。

 さらに、まずは味見を、というライダーにはレンタル車両も用意される。レンタルフィーは2万円。デポジットの5万円が必要になるのだが、こちらは無事返却が出来たら返金されるからご安心を(ただし、補修費5万円以上の場合は相応の負担が発生する)。
 

 
 いずれにしても、スタートアップには、レース用ヘルメット、グローブ、ブーツ、レーシングスーツや公道走行ができない車両を運ぶためのトランスポーターも必須になるから、サーキット走行やレースをするにはイニシャルコストが必要だ。それでも車両部分でのハードルはかなり低い。経験者にとっては、200クラスのワンメイクをミニバイクレース以下の初期投資で始められる!として過言ではないはず。

 レース仕様のGR200Rに跨がる。もう先ほどのストリートフレンドリーなポジションではなく、大きく下がり、上げられたステップ位置にハンドルバーを通じてしっかりとフロント荷重が乗るのが解る。同時に、体幹を使ってそれが不要な時は腕から力を抜く必要もある。んー、スパルタン! そしてレーシングマフラーが吐き出す単気筒の音。パパパパとさらに歯切れが良くウォームアップしているだけでこちらのアドレナリンがあふれ出すのが解る。ブレーキなどはストックのまま。走りはどうなのだろう。

 ピットロードを走り出す。排気音が大きく耳に届く。特性はスタンダードの良さをそのまま受け継いでいる。開けやすい。まずはポジションになれるのに数周する。ビーラバーのタイヤに対してダンロップのTT900GPは曲がろうと思っただけでスイっとフロントが入り、アクセルを開け始めるタイミングがワンテンポ以上早い。クルっと回るそのハンドリング。それに気を良くしてペースが上がる。ブレーキはストックのままだから制動距離が短くなるワケではないが、フロントに荷重がかかっている分、フロントフォークの初期荷重がかかっているせいとタイヤのグリップの恩恵でブレーキまでワンランク上の性能を持っているような印象になった。
 

 
 攻めだすとこれが面白い。手の内に入るパワーだし、ツッコミ過ぎればラインはワイドになって立ち上がり加速が散漫になる。はやる気持ちを抑えてしっかりボトムスピードを取って、クリップへ。そこから加速してレブる前にシフトアップ。そのポイントが前のラップより手前なら成功だし、奥になったら開けるタイミングを早める……。そんな自分とのやりとりを続けながらもこのバイクの楽しさだ。桶川スポーツランドはタイトターンと切り返しが多く、リズムを掴むのは容易ではない。

 まるでもてぎや鈴鹿をフルサイズのバイクを全開で攻めるのに等しい面白さと難しさが共存している。ああ、これはスポーツだわ。ラップ毎の成功率は自分評価で2割程度。どこかで必ず失敗するから、次のラップはそこと気をひきしめつつ走る……。この楽しい対話をしていたらあっという間に走行時間は終了したのでした。GR200Rベースのレーサー、ああ面白かった。
(試乗・文:松井 勉)
 

 



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2021/08/09掲載