HONDA GB350/GB350 S 車両解説
ベテランライダーにとっては“懐かしい”、若者ライダーにとっては“レトロ新しい”ニューモデルが発売される。
ホンダによれば、『GB350は、「日常から遠出まで~The Honda Basic Roadster」をコンセプトに、日常的な扱いやすさはもとより、未体験の道や景色と出会うツーリングでの感動まで、ライダーの経験やスキルを問わず、「自由」であることの楽しさや豊かな体験を提供するモーターサイクルを目指し、車体、パワーユニットともに新設計したロードスポーツモデルです』。早い話がロードスター版の“Rebel”と言ったら分かりやすいだろう。ベースとされるアジア市場向けモデルの存在もあるにはあるが、あくまで国内の若者ユーザー(気軽にロードスポーツに乗りたいベテランも)をターゲットとして再開発されている。
一応“GB”のヒストリーがあるのでざっと取り上げておくと、スタートは、1983年12月に発売開始されたGB250クラブマンが始まりとなっている。
RFVC(Radial Four Valve Combustion Chambcr=放射状4バルブ方式燃焼室)という当時のホンダ最新のDOHC4バルブ単気筒技術で開発されたユニークなエンジンを搭載する“ロードスポーツモデル”がGB250クラブマンだった。1996年12月発売のカラーチェンジモデルまで販売が継続されたが一応ここで区切りとなっている。
この250版に続き1985年6月発売で兄貴分のGB400/GB500という新設計の空冷4サイクル単気筒エンジンを搭載、大口径のシングル・キャブレターの採用などとあいまって、中・低速域での力強い加速感を実現したモデルが発売された。1960年代に英国で人気を呼んだロードレース“ツーリストトロフィー”のイメージを纏った”レプリカ”だった。ただこちらは残念ながら1988年7月にマイナーチェンジを受けたのみで一世代でラインアップから消えてしまっている。
Rebelの人気ぶりを見ても多様性を背景にしたレトロブームの今こそ“GB”シリーズも受け入れられる素地が整ったといえるだろう。
★ホンダ ニュースリリースより (2021年3月30日)
新型ロードスポーツモデル「GB350」「GB350 S」を発売
Hondaは、空冷・4ストローク・OHC・単気筒348ccエンジンの心地よい鼓動感と、シンプルでありながら存在感際立つスタイリングが魅力の新型ロードスポーツモデル「GB350」を4月22日(木)に、「GB350 S」を7月15日(木)にHonda Dreamより発売します。
GB350は、「日常から遠出まで~The Honda Basic Roadster」をコンセプトに、日常的な扱いやすさはもとより、未体験の道や景色と出会うツーリングでの感動まで、ライダーの経験やスキルを問わず、「自由」であることの楽しさや豊かな体験を提供するモーターサイクルを目指し、車体、パワーユニットともに新設計したロードスポーツモデルです。
車体は、スチールのしなやかさを引き出しながら、縦、横、ねじれ剛性をバランスさせたセミダブルクレードル形式のフレームを採用。ライダーとモーターサイクルの一体感を見据えたライディングポジションとあいまって、取り回しやすくゆったりとした操縦フィールを追求しています。
パワーユニットは、力強いトルク感と味わいを実現する、存在感のある直立シリンダーの空冷・単気筒エンジンを搭載。内径70mm・行程90.5mmのロングストロークをはじめとした各部の諸元設定、ワイドレシオのトランスミッションや、質量の大きなフライホイールの採用など、一回ごとの燃焼まで感じられるようなクリアな鼓動とともに、粘り強さを感じさせる特性を持たせています。また、ライダーをサポートする電子制御技術として、路面状況に応じてエンジントルクを制御するHonda セレクタブル トルク コントロール(HSTC)※1を採用しています。
スタイリングは、フューエルタンクをはじめ、スチール製の前後フェンダーやサイドカバーなどの深く絞られた形状と、クランクケースカバーやシリンダーヘッドなどの高品位な造りがもたらす、落ち着きと抑揚が調和したトラディショナルな外観としています。
GB350 Sは、GB350をベースに、よりワイドなリアタイヤを装着するとともに、バンク角をより深める形状のマフラー、軽量化に寄与するショートタイプの樹脂製前後フェンダー、シャープな面構成としたサイドカバーを採用。さらに、フロントフォークブーツを標準装備した他、ハンドル位置とメインステップ位置を変更するなど、より積極的な走りをイメージさせるスポーティーなスタイルとしています。
※1Honda セレクタブル トルク コントロールはスリップをなくすためのシステムではありません。あくまでもライダーのアクセル操作を補助するシステムです。したがってHonda セレクタブル トルク コントロールを装備していない車両と同様に、無理な運転までは対応できません
- ●販売計画台数(国内・年間)
- シリーズ合計 4,500台
- ●メーカー希望小売価格(消費税10%込み)
- GB350 550,000円(消費税抜き本体価格 500,000円)
- GB350 S 594,000円(消費税抜き本体価格 540,000円)
- ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません。
- =GB350シリーズの主な特徴=
- ●車体
- ・新設計のフレームは、最新のCAE解析と、Honda独自のシミュレーションにより、各入力に対する各部の変形過渡特性を総合的にコントロール。穏やかで快適なライディングフィールを追求しています。
- ・フロントフォークは、より大型のモーターサイクルと同等の大径インナーパイプを採用し、剛性を高めることで路面からの外力によるしなりを低減。リアサスペンションはダンパー内部に窒素ガスを加圧封入することで、応答性の高いダンピング性能を獲得しています。
- ・前後ブレーキには大径のディスクブレーキを採用するとともに、前後独立制御ABS※2を標準装備しています。
- ・GB350のホイールは、アルミGDC(重力金型鋳造)によるフロント19インチ、リア18インチを採用。しなやかなフレームの特性に対し、ホイール細部の剛性バランスを最適化しています。また、GB350Sでは、リアホイールを17インチに小径化し、積極的な走りに応じたグリップ特性と高い安定感を両立する、よりワイドなラジアルタイヤを採用しています。
- ※2ABSはライダーのブレーキ操作を補助するシステムです。ABSを装備していない車両と同様に、コーナー等の手前では十分な減速が必要であり、無理な運転までは対応できません。ABS作動時は、キックバック(揺り戻し)によってシステム作動を知らせます
- ●パワーユニット
- ・心地よい鼓動感の最大化と不快な微振動の最小化を図るため、バランサー軸に加えてメインシャフト軸上にもバランサーを追加し、ロングストロークエンジンの鼓動をクリアに伝えるエンジンフィールを実現しています。
- ・ピストンとシリンダー内壁の摺動抵抗を低減させるオフセットシリンダーと、コンロッドとシリンダー下端内壁の干渉を避けるための非対称コンロッドを採用し、フリクション低減と良好な燃費に寄与しています。
- ・吸気経路は低速から力強いトルクを生み出せる管長の確保と、ストレート化による吸気抵抗低減を図り、低回転からの力強さと鼓動感あるクルージングの両立に寄与させています。
- ・マフラー内部の排気管長を後端部まで確保することで、低回転域でのトルクフルな走りに寄与させた上で、大径テールパイプの採用によるマフラー容量とのバランスの最適化を図り、力強いパルス感を作り出しています。
- ・アシストスリッパークラッチを採用し、クラッチレバー操作荷重の軽減と、シフトダウン時の急激なエンジンブレーキによる不快なショックを緩和させています。
- ●制御/電装
- ・Honda セレクタブル トルク コントロール(HSTC)を採用。路面状況に応じてエンジントルクを制御し、ライダーのスロットル操作に起因する後輪のスリップを緩和します。
- ・全灯火器に省電力で長寿命のLEDを採用しています。
- ●カラーバリエーション
- ・GB350のカラーリングは、シンプルで落ち着いた印象のマットジーンズブルーメタリック、上質感を追求したキャンディークロモスフィアレッド、力強さを感じさせるマットパールモリオンブラックの計3色を設定しています。
- ・GB350Sのカラーリングは、モダンな印象のパールディープマッドグレー、力強く精悍な印象のガンメタルブラックメタリックの計2色を設定しています。
主要諸元
車名型式 | 2BL-NC59 | |
---|---|---|
GB350〈GB350 S〉 | ||
発売日 | 2021年4月22日〈7月15日〉 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.180×0.800×1.105〈2.175×800×1,100〉 | |
軸距(m) | 1.440 | |
最低地上高(m)★ | 0.166〈0.168〉 | |
シート高(m)★ | 0.800 | |
車両重量(kg) | 180〈178〉 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※3 | 49.5〈47.5〉(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)※4 | |
41.0(WMTCモード値 クラス3-2 1名乗車時)★※5 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転小半径(m) | 2.3 | |
エンジン型式 | NC59E | |
空冷4ストローク単気筒OHC2バルブ | ||
総排気量(cm3) | 348 | |
内径×行程(mm) | 70.0×90.5 | |
圧縮比★ | 9.5 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 15[20]/5,500 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 29[3.0]/3,000 | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置[PGM-FI] | |
始動方式★ | セルフ式 | |
点火方式★ | フルトランジスタ式バッテリー点火 | |
潤滑油方式★ | 圧送飛沫併用式 | |
潤滑油容量(L) | – | |
燃料タンク容量(L) | 15 | |
クラッチ形式★ | 湿式多板コイルスプリング式 | |
変速機形式 | 常時噛合式5段リターン | |
変速比 | 1速 | 3.071 |
2速 | 1.947 | |
3速 | 1.407 | |
4速 | 1.100 | |
5速 | 0.900 | |
減速比1次★/2次 | 2.095×2.500 | |
キャスター(度)★ | 27°30′ | |
トレール(mm)★ | 120 | |
タイヤサイズ | 前 | 130/70-16M/C 63H |
後 | 150/70R17M/C 69H | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式シングルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | スイングアーム式 | |
フレーム形式 | セミダブルクレードル |
■道路運送車両法による型式指定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)
■製造事業者/本田技研工業株式会社
※3 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります※4 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です
※5 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます