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試乗・解説

Honda CB125R フルサイズWARS勃発か!!
ホンダのピンクナンバーといえばハンターカブやモンキー/グロムが注目されているが、17インチホイールを持つフルサイズのスポーツモデル「CB125R」がなんとエンジンをDOHC化させるという大きなモデルチェンジを果たして登場。発売は4月22日だ。
■解説:ノア セレン ■撮影:松川 忍 ■協力:ホンダモーターサイクルジャパン https://www.honda.co.jp/motor/




「ワンツーファイブ」復権か!?

 近年のモデルチェンジの中で、SOHCエンジンがDOHCエンジンに進化するようなビッグチェンジはちょっと記憶にない。グロムが5速化したこともしっかりとコストをかけて根本的な部分を良くしてきたと感じ大歓迎したが、ヘッドそのものを変えてくるとは……少なくともより大きな排気量のバイクではなかなか見られないほど力の入ったモデルチェンジだと思う。それだけホンダはこのクラスの将来性を見込んだのだろう。

 遥か昔は、ホンダのMBX125FやヤマハのRZ125など、2ストロークの125ccスポーツ車が各社からラインナップされ、ワインディングではその軽さを活かして元気な走りで若者を魅了していた。近年を振り返ってもKTMの125DUKE及びRC125が起爆剤となり125スポーツが盛り上がってきた感がある。舞台は峠道からサーキットへと移ったが、スズキのGSX-R125という魅力的で高い実力を持つ商品も登場している。
 これにホンダのCB125RがDOHC化して真っ向勝負するというのだから、まさにかつてライダーに一目置かれた「ワンツーファイブ」なるクラスが、4ストロークで復活したようなイメージではないか。

 歴史を見ると、バイクのカテゴリーは各社が直接対決を避けてライバルと同じカテゴリーなのにちょっとだけ違うアングルのものを作るともう一つ盛り上がらない。真っ向からライバルに直接対決を挑んでこそ、お互いがさらに上を行こうと突き詰めていき、そのカテゴリーがどんどん盛り上がるようなのだ。そんなことを考えると、DOHCエンジンを採用し125ccでは初となるSFF-BPフォークも投入した新型CB125Rにはおのずと期待が高まると共に、このカテゴリーの更なる盛り上がりを予知しているようでもある。
 

 

15馬力達成の他にも

 DOHC化というビッグニュースがどうしても目につくが、出力の数値を見てもかつての13馬力から15馬力へと確かに向上。同時にトルクの数値も向上しているのだが、注目したいのはその発生回転数がSOHCであった先代と同じであるということ。125ccという排気量でDOHCを使った高回転型となると常用回転域の使いやすさが犠牲になっていないかと気になるところだが、どうやらそこは心配することなさそうだ。

 この数字を実現できているのは、ロングストローク化されたボア×ストロークによるところも大きいだろう。ロングストローク化は最近のトレンドであり、このCB125Rもこれにならいわずかだがストロークを延ばしている。ヘッドのDOHC化と合わせて、かなり根本的にエンジンに手を入れているというわけだ。トルクフルかつモアパワーになった新型DOHCエンジンはかなり楽しみなユニットである。
 

CB1000Rと“ほぼ”同仕様のフォークを採用

 もう一つのトピックは、フロントフォークにCB1000RやCB650Rにも使っているセパレート・ファンクション・フォーク・ビッグピストンタイプ(SFF-BP)を新採用したこと。より軽量であると共に優れた路面追従性を発揮するというこのフォークだが、撮影現場で跨っただけでもその動きの良さは感じることができた。
 リア周りに大きな変更はなく、分離加圧式サスペンションと高張力鋼板製のスイングアームを引き続き採用。
 外観としてはフロントフェンダーを車体と同色にし、また継続展開となるレッドの他にブラックとグレーの2色を追加。先代ではフォークがシルバー、ホイールがブラックだったが、新型ではブラウン系に統一して上質感を追求している。
 

この内容で約25000円アップ

 エンジンには根本的に手が入り足周りもグレードアップ、ルックスも確かに上質になったが価格は24800円のアップに留めているのも注目ポイント。473000円というプライスタグは125ccとしては確かに高級路線かもしれないが、その内容を考えると適価にも思える。なおオプションでグリップヒーターを設定するなど、スポーツだけでなく日常的な使用での快適性もサポートする。

 CB125Rは「SPORTS ROADSTER Prologueバイク本来の乗る楽しさを」というコンセプトで開発された。新型になってもブレずに「本来の乗る楽しさ」の追求が引き継がれているとみて間違いない。
(レポート:ノア セレン)
 

スペック上のサイズは先代から継承。またがった感じも変らず、腰高でワイドハンドルのファイターポジションだ。とはいえシート高は抑えられていて、車体のスリムさも手伝って足着きは良好。フロントフォークの作動の良さは跨って押しただけでわかるほど進化している。(ライダーの身長は185cm。写真の上でクリックすると両足着き時の状態が見られます)

 

DOHC化したことが大きなトピックだが、実は同時にロングストローク化も果たしており、15馬力へと向上した最高出力(及び最大トルク)の発生回転数は先代のSOHCモデルと同じ。常用域を犠牲としないパワーアップを果たしているだろう。
兄弟車であるCB1000RやCB650Rと同じ構造を持つSFF-BPフォークを新たに採用したフロント周り。ラジアルタイヤやラジアルマウントのキャリパー、ABSなどは先代から引き継ぐ。

 

●CB125R 主要諸元
■型式:ホンダ・8BJ-JC91 ■エンジン種類:水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ ■総排気量:124cm3 ■ボア×ストローク:57.3×48.4mm ■圧縮比:11.3 ■最高出力:11kw(15PS)/10,000rpm ■最大トルク:12N・m(1.2kgf・m)/8,000rpm ■全長×全幅×全高:2,040×820×1,055mm ■ホイールベース:1,345mm ■最低地上高:140mm ■シート高:815mm ■車両重量:130kg ■燃料タンク容量:10L ■変速機形式:6段リターン ■タイヤ(前・後):110/70R 17M/C 54H・150/60R 17M/C 66H ■ブレーキ(前/後):油圧式ディスク/油圧式ディスク ■懸架方式(前・後):テレスコピック式(倒立サス)・スイングアーム式 ■車体色:マットガンパウダーブラックメタリック、キャンディクロモスフィアレッド、パールスモーキーグレー ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):473,000円

 



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2021/03/29掲載