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試乗・解説

アドベンチャー×ATスポーツ。 X-ADVのシーズン2始まる。
2021年、ホンダのニューカマーとして発売が待たれていたX-ADVの新型がついに発表された。3月25日からホンダドリーム店を通じてユーザーの手に渡る。その新型をまずは写真で紹介したい。先代が作った独自のポジションをさらに昇華するようなキープコンセプトながらエンジン、フレームにも手が入りパワーアップも果たした新型X-ADVのシーズン2はどんな走りなのだろうか。
■解説:松井 勉 ■撮影:松川 忍 ■協力:ホンダモーターサイクルジャパン https://www.honda.co.jp/motor/






 2017年、NCシリーズのコンポーネントから生まれた新しいキャラクター、X-ADV。コミューターとアドベンチャーバイクを融合したスタイルは注目を集め、世界で大ヒット作に。見た目スクーター的ながら、むしろNC750を下敷きにX-ADVの外皮を載せたようなもの。フロントに17インチ、リア15インチというタイヤサイズで街乗りからオフロードまで本気のアドベンチャーバイクの末席に名を連ねる作り込みはさすがだった。

 その2代目、新型X-ADVの進化を紹介しよう。
 まず、エンジン。ピストンの軽量化とそれに合わせたクランクウエイブのマスの最適化などエンジン単体で1.4㎏のダイエットを敢行。ムービングパーツの軽量化は、レスポンスや振動の低減にも反映しているハズ。さらに吸排気系もしっかりと見直された。まずエアクリーナー吸気ダクトの断面積を拡大。それにより吸入時の吸気抵抗を低減。さらにボックス内に設けた導風板によりエアフローをよりスムーズに。また、吸気ボックス内でエアクリーナーフィルターを透過したクリーンエアサイドの容積を拡大したことでアクセルを開けた時のレスポンスとリニアリティーを向上させている。

 また、スロットルボディーの吸気ボアをφ36mm→38mmへと拡大。排気系でもエクゾーストチャンバー内部の形状を最適化。排気の整流効果も上げたことなど、全体のチューニングにより出力で3kW、トルクで1N.mアップを達成している。もともとトルク自慢のユニットだったから、レスポンスアップや伸びの良さで新たなフィーリングを楽しめるに違いない。
 

 
 そして、触媒に高効率貴金属を使い、小型化しながら環境規制もクリア。軽量化も達成している。ギアボックスでは1~3速は先代同様のギア比としながらも、4~6速をロングに振ることでクルージング時の燃費を向上させている。60km/h定地燃費値では40km/lから42.5km/lへ。WMTC(クラス3~2)では従来の27km/lから27.7km/lへと数値を伸ばしている。

 その他、フレームも各部肉厚などを最適化を行い重量を低減。ラゲッジボックスも容積を1リッター増量している。また、シート形状はフラットダートまでも視野に入れた形状へと見直し、さらにアドベンチャーバイクらしさを身につけた。

 こうしてみると熟成アップグレード、という印象ながら、メーターパネルなどはTFT5インチモニターとしたほか、Bluetooth接続で車体とスマホを繋ぐホンダ・スマートフォン・ボイス・コントロール・システムを搭載するなど、今となっては欠かせない装備も搭載。走りを含めX-ADVのセカンドシーズンをより楽しく彩るカタチで準備を整えている。
(解説:松井 勉)
 

NCシリーズと共用するパワーユニットは、その搭載位置、前傾したシリンダーなどスポーツバイクとコミューターを上手く繋げる素質をもっている。車体のセンターに重たいエンジンがあるので、いわゆるユニットスイングのスクーターとは異なり、理想的な前後重量配分となる。その分、センタートンネルとステップの広さなどスクーターに譲る部分もあるが、走ってみればX-ADVの魅力は解るはず。DCT専用機種でもある。
フロントフォークはφ41mmのインナーチューブの倒立フォークを採用。X-ADVのスタイルアイコンのような骨太感をもたらす足周りだ。ステンレス製のスポークとアルミリムのホイールはチューブレス仕様。ラジアルマウントされた対向4ピストンキャリパーを備えるブレーキまわりはアドベンチャーバイク、アフリカツインと同等のモノを使う。フロントは17インチタイヤを装着。

 

可動式のスクリーンはより操作しやすいよう改善された。スクリーン越しの風景は極めてゆがみの少ないのが印象的だった。

 

アルミダイキャスト製スイングアームを持つ。リアサスペンションはプロリンクを介してマウントされる。これも先代同様、走りとラゲッジスペースなどの利便性を考えたレイアウトと言える。全体に質感が高いのもX-ADVの特徴の一つ。

 

タンデムステップ周りのデザイン処理もさすが。ボディーラインとピタリと合うところなどBMWのC650シリーズ、TMAXなど世界の市場でライバルとするプレミアムクラスのスクーターと渡り合っているだけのことはある。
急角度で立ち上がるマフラー。こうしたディテールもどこかオフロードをイメージさせる。並列2気筒、位相角90度のクランクを持つエンジンから吐き出される音は、90度Vツインエンジンと同等のもの。パルス感があり心地よい音だと言える。

 

テールランプ周りも一新。サイドリフレクターもテールランプから一連で伸びるようなデザイン処理に。グラブバーの存在をうまくテール回りに馴染ませ、実用とスタイルを両立している。
デイタイムランニングライト(DRL)を採用したヘッドライト周り。照度センサーによりトンネルや暗くなった場合自動的にヘッドライトを点灯させる。ヘッドライトはLEDを採用する。

 

ハンドルスイッチ周りのデザインも一新。新たに左スイッチボックスには十字キーが。モードスイッチもこちら側に。シフトパドルも比較的小ぶりなものとなっている。右側はDCTのシフトスイッチ、スターターなどが備わる。パーキングブレーキのレバーが右側に移り、新しいカタチになった。

 

メーターパネルは5インチのTFTモニターを採用。グラフィックも好みに合わせ4パターンに変更が可能になった。ハンドルバーはアルミテーパータイプを引き続き採用する。
グラベルからストリート、750㏄ツインの加速に対応したシート形状を採用。ライダーシートの前方を絞り込み足着き性も考慮している。

 

●X-ADV 主要諸元
■型式:ホンダ・8BL-RH10 ■エンジン種類:水冷4ストローク直列2気筒OHC4バルブ ■総排気量:745cm3 ■ボア×ストローク:77.0×80.0mm ■圧縮比:10.7 ■最高出力:43kw(58PS)/6,750rpm ■最大トルク:69N・m(7.0kgf・m)/4,750rpm ■全長×全幅×全高:2,200×940×1,340mm ■ホイールベース:1,580mm ■最低地上高:135mm ■シート高:790mm ■車両重量:236kg ■燃料タンク容量:13L ■変速機形式:電子式6段変速(DCT) ■タイヤ(前・後):120/70R 15M/C 58H・160/60R 15M/C 67H ■ブレーキ(前/後):油圧式ダブルディスク/油圧式ディスク ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■車体色:パールディープマットグレー、グラファイトブラック ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):1,320,000円

 



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2021/03/15掲載