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試乗・解説

もしかして 史上最強の 125スポーツです。 SUZUKI GSX-S125/R125
近頃人気の125ccギアつきスポーツの中でも
いちばんスポーツバイクを目指しているのが
スズキGSX-R/S125!
水冷4ストDOHC4バルブ単気筒エンジンなんて
125ccに必要か? 必要なんです!
■試乗・文:中村浩史 ■撮影:赤松 孝、南 孝幸 ■協力:スズキ https://www1.suzuki.co.jp/motor/




ふとした時に「GSX-R」ハンドリング

 スペックばかりを語るわけじゃないけれど、4ストロークエンジンのいちばんポピュラーでハイスペックな形式といえば「水冷DOHC4バルブ」エンジン。5バルブや8バルブだってあるけれど、それはあくまでも特殊な例だ。
 それを、125ccの排気量で実現したモデルがある。スズキのギアつき125ccスポーツのGSX-R125/GSX-S125だ。カウル付きがR125、ネイキッドがS125──125ccスポーツカテゴリーの元気よさを象徴するようなハイスペックモデルである。
 このハイスペックエンジンは、アセアン向けのスポーツアンダーボーンモデルFU150/サトリアF150のユニットをベースにショートストローク化したもので、単気筒125ccエンジンにDOHC4バルブヘッドを積むのは、技術的にはそう難しくはない、たぶん。
 たとえば、かつての4気筒250ccエンジンは、80年代のGSX-R250Rなんか、ボア49mmにバルブを4本詰め込んでいたけれど、150ccのF150と125ccのGSX-R/S125ならば62mm。技術的には可能だった、けれど125ccには要らないでしょ?って技術を、あえて「やる」ことがスゴいのだ、GSX-R/S125は!
 

 
 現在の125ccモデルのパワーといえば、MAX15ps。国産モデルではGSX-R/Sが、外国車モデルではKTMの125DUKEがフルパワー15ps、ホンダのフルサイズ125ccスポーツCB125Rが13psをマークしているが、パワー面ではGSX-R/Sが別格。低回転トルクはSOHC2バルブのCB125Rがやや力強いものの、GSX-R/Sは回転上昇が早く、すぐにパワフルな回転域に持って行くことができる。
 このパワフルな域も、DUKEがフラットトルクで回転が上がっていくのに対し、GSX-R/Sは回転域による盛り上がりがあって力強い。125ccでこんなに力があるのか!って驚かされる。特に、僕はつい最近までCB125Rに乗っていたから、このGSX-R/Sのパワフルさを実感するのだ。
 

 
 今回は、そのネイキッドバージョンGSX-S125に試乗。パワーフィーリングはGSX-Rも同じだけれど、125cc=ストリートバイクと考えると、やはりネイキッド+アップハンドルの方が街乗りへの適正は高いように思う。
 走り出すと、やはりエンジンのシャープさ、レスポンスのよさが際立つ。アイドリングすぐ上から使いやすいトルクがあって、7000rpmあたりからグンとパワーが持ち上がって10000rpmオーバーまで回ろうとする水冷DOHC4バルブエンジン。DOHC4バルブ、しかも125ccというと、低回転トルクに乏しく高回転まで回さないと──と思いがちだがそうではない。2000rpmあたりのクラッチミート域でも、車体を前に進める力がグンとあるのだ。
 車体周りも、ガチガチな高剛性でカチッとしているという動きよりも、サスペンションストロークがあって、ソフトに動くタイプ。動きのいい車体で、さらに車重が軽いって、本当に正義だと思う。スリムすぎるボディが頼りなさすぎるほどで、これはビギナーも不安なく、バイク慣れしている人ならば思いのままに動かすことができる。
 少しスポーツランをしてみると、この動きのいいサスペンションがうまく車体の前後方向への荷重移動を作ってくれて、進入スピードを上げたり、強めにブレーキングしたり、な負荷をかけていくと、グングン曲がってくれる。スーッと進入しての穏やかなコーナリングではそれなりに、ペースを上げていくと旋回力が強くなる、そういうスポーツバイク的性格なのだ。
 すこし強引に結びつけると、スピードやマスの差はあれど、これはGSX-R1000R的な性格と言えなくもない。バイク任せに走ったらそれなりに、ペースを上げてしっかりサスペンションに仕事をさせるような走りをすると、とたんに旋回力を増す。これは、1000ccスーパースポーツのライバルたちの中で、GSX-Rの際立つキャラクターのひとつだと思うのだ。
 

 
 かつて125ccクラスのモデルというのは、上級クラスのお下がりだったりスケールダウンだったりで、コストダウンが激しく、安かろう悪かろう、でも125だから我慢しとくか、なんてモデルが多かったように思う。
 それが、原付一種にある30km/h規制や2段階右折などの規制がないことや、250ccよりも安い維持費、燃費のよさや任意保険を自家用車とセットで安くかけられるなど、125cc特有のメリットが見直されてきたことと、125ccモデルの完成度が上がったことで、おそらく排気量ごとの販売状況の「伸び方」ではナンバー1。
 GSX-R/S125は、その中でも史上最強のスポーツ125ccかもしれないのだ。
(試乗・文/中村浩史)
 

 

ライダーの身長は178cm。GSX-S125と、カウルのあるGSX-R125ではこんな感じでポジションが違う。

 

史上最強の呼び声高い6速ミッションの水冷単気筒DOHC4バルブエンジン。低回転からきちんと使えるトルクがあって、高回転も伸びる! 10000rpmオーバーまでオーバーレブなく力が続く。ボアストロークはショートストローク寄りで、メッキシリンダーを採用。O2/水温/吸気温/スロットルポジション/吸気圧/クランクポジションをセンシングして最適な燃料を吐出するインジェクションを装備する。

 

スチール製角パイプスイングアームを採用。マフラーエンドはGIXXERにも見られるデュアルテールエンドで、ステップバーはラバーなしのスポーツバイク式。ホイールはY字6本スポークのキャストホイールで、タイヤはダンロップ製バイアスのD102を採用する。

 

フロントブレーキはφ290mmのペタルタイプ。インナーディスクなしでローターをリジッドマウントすることで剛性を確保し、フロントの切削跡をそのままリアディスクに使用。
GSX-Rはフルカウル、GSX-Sはヘッドライトカウルつき。ヘッドライト&ポジションランプはLEDで、前後ウィンカーはオレンジバルブ+クリアレンズの組み合わせ。

 

市販125ccクラス最大の11L容量を誇るフューエルタンク。今回の試乗では、約40km/Lの燃費をマークしたから、1回満タン500km走行チャレンジが可能かも。
通常のバルブ式テールランプにオレンジバルブウィンカー。ナンバープレートランプはLEDで、GSX250RやVストローム250のような特徴的な面発光テールランプが欲しい!

 

スポーツバイクらしく、前後セパレートのシート。ライダーシートの両サイドは角が削られていて足が降ろしやすいのはスズキの美点。リアシート下に若干の小物入れスペースが。

 

フルデジタルメーターはGSX-R125/S125とも共通。時刻を常時表示して、バーグラフ式タコメーターにデジタルスピード、ギアポジションインジケーターつき。時刻表示の右隣がギアポジション(写真では0表示)で、その下にオド&ツイントリップ、平均燃費も表示する。

 

セルボタンはワンプッシュでエンジン始動まで自動で回ってくれるイージースタートシステムを採用。慣れるとかなり便利! 右スイッチには125ccモデルで唯一ハザードを装備。

 

 

●SUZUKI GSX-S125 ABS [GSX-R125 ABS] 主要諸元
■型式:2BJ-DL32B[ 2BJ-DL33B]■エンジン種類:エンジン(CFA1):水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ ■総排気量:124cm3 ■ボア×ストローク:62.0×41.2mm ■圧縮比:11.0■最高出力:11kw(15PS)/10,000rpm ■最大トルク:11N・m(1.1kgf・m)/8,000rpm ■全長×全幅×全高:2,000×745[700]×1,035[1,070]mm ■ホイールベース:1,300mm ■最低地上高:165[160]mm ■シート高:785mm ■車両重量:133kg[134] ■燃料タンク容量:11L ■変速機形式:6段リターン ■タイヤ(前・後):90/80-17M/C 46S・130/70-17M/C 62S ■ブレーキ(前/後):油圧式シングルディスクABS/油圧式ディスクABS ■車体色:トリトンブルーメタリック、タイタンブラック[トリトンブルーメタリック、ストロンガーレッド×タイタンブラック、タイタンブラック]■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):382,800円[415,800円] ※[ ]はR125仕様

 



| 2018年型GSX-S125の試乗インプレッション記事はコチラ(旧PCサイトに移動します) |


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| GSX-R125の新車詳細 |


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2021/03/23掲載