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試乗・解説

ストリート・スポーツ・クルーザーの 新スタンダード誕生。 Rebel 1100に会ってきた!ストリート・スポーツ・クルーザーの 新スタンダード誕生。 Rebel 1100に会ってきた!
2017年に登場以来、Rebel 250/500はそのスタイルと走りの楽しさで、Rebelという新しい価値観を提示してきた。枠にとらわれない新しいスタイルを含め多くのファンに愛されているのはご存じの通り。2021年、そのレブルシリーズに新たに加わるのが、拡大した排気量のRebel 1100で、ホンダのキラーコンテンツであるDCTモデルもラインナップされる。よりダイナミックな走りと、長距離快適性などを手に入れたことになる。これまで250、500でも提示された求めやすい価格はこの1100にも受け継がれ、110万円、そしてDCTが121万円というプライスを含め新たなファンを獲得しそうな予感なのだ。
■解説:松井 勉 ■撮影:松川 忍 ■協力:ホンダモーターサイクルジャパン https://www.honda.co.jp/motor/






 人気のレブルシリーズに1100が加わった。レブル1100も、レブル250、500と同様、スキニーボディーに小ぶりなタンク、そして低いシートというスタリイを踏襲する。シルエットで見比べたら、この三兄弟、見分けがつかないのでは、というほど似ている。

 しかし、レブル1100は高い質感も備えている。それは、コーティングされダークブルーになったフロントフォークのインナーチューブ、リアサスもリザバータンク付きのショックユニットだ。なによりドライブチェーンを含め、エンジン、車体の構成パーツがダークトーンで統一され、ギュッと引き締まって見える。また、ボディ同色にペイントされたフロントフェンダーなど細部のコーディネイトも含め、上級モデルを静かに語っているようだ。
 

 
 他にもある。排気量相応サイズの大きなマフラー、また250、500では150/80-16という同サイズだったリアタイヤが、1100では180/65-16というワイド化されるなど、所々にやっぱりデカイ! と思わせるディテールが潜んでいたりする。

 でもそれくらいだろうか。250と500が共通のボディサイズを持つのに対し、1100は全長で35mm、全幅で30mm、全高25mmサイズアップしている。しかし、デザイン上の特徴でもあり、抜群の足着き性を持つシート高は、レブル250、500から10mmアップの700mmにとどめている。

 車重に関してはさすが1100。250の170㎏、500の190㎏に対し1100のそれはマニュアルミッション車が223㎏、DCTモデルが233㎏とそれぞれ43㎏、53㎏の重量が増している。それだけに跨がってサイドスタンドから起こしたり、向きを変えるために押してみてもさすがに重量を感じるが、いわゆる1100のバイクとして考えたら平均的な重さ感だろう。
 

 
 搭載されるエンジンは、CRF1100Lアフリカツインに搭載されるものと同型の水冷直列2気筒、クランクシャフトに90度の位相角をつけた不等間隔爆発エンジンだ。90度V型2気筒エンジンと同等の爆発間隔を持つエンジンだけに、エンジンのパルス感はクルーザーにマッチするもの。

 エンジン特性はアフリカツイン用ユニットよりも低中速トルク型に振られていると想像できる。レブル用ユニットは、最高出力64kW/7000rpm、最大トルク98N.m/4750rpmを発揮する。アフリカツイン用は、75kW/7500rpm、105N.m/6250rpmで、レブル1100用ユニットよりもさらに高い回転域でそれを生み出すことが予想の根拠だ。つまり、常用域でアフリカツインのそれを上回るパンチがあのだろう。

 60km/h定地走行燃費値がほぼ同等なのに対し、WMTCカテゴリー3-2の燃費データがアフリカツインの21.3km/lなのに対し、レブル1100のそれが18.7km/lとなっているのもそれを裏付けるのではないか、と想像する。

 WMTCはそもそも排出ガスの環境テストのためのテストサイクルで、市街地、郊外路、高速道などをシミュレーションした走行サイクルをシャーシダイナモ上で再現。一定の気温下という整えた室内で計測する。
 

 
 そしてシャーシダイナモ上で同じ時間、同じ距離で走行シミュレーションをするのだ。その時に排出された排ガス成分から逆算して燃費を算出している。つまり、燃費が悪い→燃料を多く使う→トルクを多く出している、という点からも、レブル1100の常用域で持つ加速力への期待に胸が高鳴る。

 補足で言えば、WMTCカテゴリー3-2では、高速モード測定時に130km/h程度までを上限に高速燃費モードでも加減速が頻繁に行われるため、一般的な使い方よりは燃費が悪い傾向が多い。一般道を流すペースで走れば、レブル1100もWMTC値が示す値よりだいぶ良い燃費になるはずだ。アクセルをガバッと開ける必要があるWMTCテスト。そこではじき出された燃費データから、レブルのエンジン特性を占ってみた、というものでした。

 とにかく、レブル1100のミッドステップと相対的にアップライトになるライディングポジションから想像すれば、腹筋とシート後部のバケット形状のところに相当な加速Gを楽しめるハズだ。

 装備面からしても、クルーズコントロール、ETC2.0、グリップヒーター、シート下にはUSBソケットなどを装備するだけに、MTモデルで110万円(税込み)、DCTモデルで121万円(税込み)という価格は魅力的。

 クルーザーというカテゴリーとなるレブル1100だが、レブル250が表現したように、このバイクは、レブルという存在自体がニュースクールなパッケージだ。ワインディングや市街地をヒラヒラ走るファンバイクとしてレブル1100がどんなユーザーにコネクトするのか。今から楽しみだ。
(解説:松井 勉)
 

ライダーの身長は185cm。(写真の上でクリックすると両足着き時の状態が見られます)

 

ブラックフィニッシュとなったエンジン。OHC4バルブ水冷直列2気筒のエンジンは、アフリカツインにも積まれる名機。写真はDCTモデルのエンジン。DCTを示すブラッククローム調のエンブレムがついている。エクゾーストもブラックサテン調仕上げ。イグニッションキーはエンジン左側とフレームの間にある。

 

フロントフォークはφ43mmのインナーチューブをもつ。暗色のコーティングがされているのが解る。アルミ鋳造のアクスルホルダー(ボトムケース)と、スライダー本体はアルミ製として素材を変えたフォークボトム。これらも車体全体にマッチするよう暗色、黒系フィニッシュだ。フロントフェンダーは肉厚1mmの鋼板を加工して作ったもの。フォークボトムへの取り付けはアルミダイキャスト製のブラケットを介して行うなどクルーザーらしさとスポーツバイクの手法をコンバインドした印象だ。フロントブレーキはφ330mmのディスクプレートとラジアルマウントの4ピストンキャリパーを組み合わせる。また、前後ホイールはキャスト製。Y字型スポークをもち、ハンドリングの良さを引き出すためホイールそのものの剛性バランスをしっかりと取っている。レブル1100のPVでも走りの良さをアピールしている。

 

パイプワークで前進させミッドフォワードに位置するステップ。ステップペグの造りも1100用は質感を持たせたもの。バンク角もしっかり考慮されたそうで、ワインディングを走ると、すぐに接地するのがクルーザーの玉に瑕、という常套句はレブル1100には通用しないのかもしれない。

 

グレーや暗色を使い色調を整えたリアショックユニット。分離加圧式サブタンクを備えたものを採用。ロードバイク的に赤や黄色のスプリング、サブタンクに輝くアノダイズドカラーを使ったら見栄えはまるで異なるものになっただろう。デザイナーや走りを司るエンジニア達の意図がここにも表現されている。リアショックのアッパーマウントから、ダイレクトに加速や路面コンディションがライダーのヒップを刺激するに違いない。

 

レブル1100のマフラーはスイングアームピボット後部でキックアップ。縦長の薄いオーバル形状で、ステンレスのエンドピースが装着される。これも市街地、ワインディングでの走りを担保するものなのだろう。リアブレーキはφ256mmのディスクプレートとシングルピストンのキャリパーを組み合わせる。
テールランプ、ウインカーもLED光源を使う。リアシートはボルトオンでリアフェンダー上に設置されている。180サイズのリアタイヤを覆うリアフェンダーもワイドだ。

 

レブル1100オシャレ! と思ったのはブラックプレートを使ったドライブチェーンを見た時。丸パイプ形状のスイングアームは、250、500と共通するレブルファミリーの特徴。ライダーのシート前端部分がぐっとえぐられ、跨ぎ感の細さと足着き性の良さに貢献するフレームレイアウトは250、500同様だ。

 

LEDを丸形ライトケースに収めたヘッドライト。濃紺のインナーチューブと、左右2本のフォークが作るワイドスタンスのフォークの間に収まったその姿はレブル一族を象徴する顔でもある。ウインカーもLEDだ。
ニーグリップするくぼみに淡い濃淡でタンク本体色よりも濃いカラーを採用するレブル1100。クローム、明解なコントラストの明るい色などで表現するクルーザーとは異なる手法は現在のトレンドの一つ。

 

250、500で提示されたシンプルなスタイル。レブル1100のライダー、パッセンジャーシートもそのスタイルを踏襲する。ロングディスタンスツーリングをも得意とする乗り味らしく、オプションパーツにはフェアリングやサドルバッグなども用意される。
メーターパネルは250、500とイメージを同じにしながら表示項目を増やした専用のものを採用する。ライディングモードによるエンジンパワーデリバリー、エンジンブレーキ、HSTC(トラクションコントロール)などのパラメータも表示される。写真はDCTモデルのハンドル周り。左スイッチボックスのメーター側にはパーキングブレーキも備わる。

 

DCTモデルの右スイッチボックスには、DCTのセレクターを装備。N、Dはシフトスイッチ。黒いシフトスイッチの左中央はAT、MTモードの切り替えスイッチ。グリップ下側に見えるのはクルーズコントロールのメインスイッチと、速度設定スイッチ。左スイッチボックスには、ホーン、ウインカー、ロー・ハイ切り替えスイッチの他、MODEスイッチ、メーターに表示させたアイテムのセレクトを行うスイッチが備わる。スイッチボックスのメーター側にあるレバーはパーキングブレーキ。

 

●Rebel 1100 / Rebel 1100 DCT 主要諸元
■型式:ホンダ・8BL-SC83 ■エンジン種類:水冷4ストローク直列2気筒OHC4バルブ ■総排気量:1,082cm3 ■ボア×ストローク:92.0×81.4mm ■圧縮比:10.1■最高出力:64kw(87PS)/7,000rpm ■最大トルク:98N・m(10.0kgf・m)/4,750rpm ■燃料消費率:国土交通省届出値、定地燃費値31.5km/L〈60km/h、2名乗車時〉 WMTCモード値18.7km/L(クラス 3-2)〈1名乗車時〉■全長×全幅×全高:2,240×850[830]×1,115mm ■ホイールベース:1,520mm ■最低地上高:120mm ■シート高:700mm ■車両重量:223[233]kg ■燃料タンク容量:13L ■変速機形式:常時噛合式6段リターン[電子式6段変速(DCT)] ■タイヤ(前・後):130/70B 18M/C 63H・180/65B 16M/C 81H ■ブレーキ(前/後):油圧式ダブルディスク/油圧式ディスク ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■車体色:ガンメタルブラックメタリック、ボルドーレッドメタリック ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):1,100,000円[1,210,000円] ※[ ] はDCT

 



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2021/01/22掲載