YAMAHA YZ450FX/YZ250FX/YZ250X/YZ125X 車両解説
2014年12月に国内発売されたヤマハの4ストロークエンジン搭載エンデューロレーサー、YZ250FX。そして1年遅れの2015年11月には、YZ450Fをベースに開発されたエンデューロレーサー、YZ450FXが満を持して登場した。
エンデューロ・レースファンにとって待望のモデルといえるこのYZ-FXシリーズ、“モトクロッサーYZのDNAを引き継ぐ次世代エンデューロレーサー”をコンセプトに開発された。最大の特徴としては、エンデューロレースでの使用環境に合わせてセルフスターターが装備された点だろう。その他にもエンデューロレース向けに数々の仕様変更が行われている。メインスイッチレスシステムを採用したセルフスターターの採用のほか、国内専用ECUおよび専用クラッチ、専用変速比を持つワイドレシオミッション、前後エンデューロタイア、アルミ製サイドスタンド、樹脂製エンジンガード、そしてラジエターファンの追加などなど。
2017年8月には、カラー&グラフィックの変更のみで2018年モデルに、また2ストロークモトクロッサーをベースとしたエンデューロマシン、YZ250X、YZ125Xも同時にカラー&グラフィック変更で2018年モデルとなっていた。
2018年8月発売の2019年モデルでは、フラッグシップといえるYZ450FXが、前年フルモデルチェンジを受けたYZ450Fをベースにした新型へと生まれ変わった。エンデューロ向けとした足周りや専用セッティングのエンジン、スマートフォンでセッティングができる“新パワーチューナー”、手元でエンジン特性を変えられる“モードスイッチ”などを搭載。容量8.2リッターの樹脂製燃料タンクの採用など。YZ450FX以外のYZ250FX、YZ250X、YZ125Xは2019カラー&グラフィックへの変更のみ。
2019年8月のモデルチェンジは、YZ250FXが進化を果たす番で、エンデューロに最適化を図った新設計エンジンを剛性バランスを見直した新フレームに搭載された。YZ450FX、YZ250X、YZ125Xの各車はYZシリーズの新グラフィックに統一。
今回のモデルチェンジは、YZ450FXの番ということで、よりエンデューロレースに最適化された新エンジンを、これまたよりエンデューロレース向けにチューニングされたフレーム、専用設定の足廻りなどと組み合わされることになった。
★ヤマハ ニュースリリースより (2020年7月30日)
エンデューロ競技用「YZ シリーズ」2021年モデルを発売
~「YZ450FX」はパワフルな新エンジンを軽量な新フレームに搭載~
ヤマハ発動機株式会社は、排気量124cm3~449cm3のクロスカントリー・エンデューロ向け競技用の2021年モデル4機種を10月9日および30日に発売※します。
マイナーチェンジを行う「YZ450FX」は、1)エンデューロレースに最適化した4ストローク449cm3 エンジン、2)走破性に貢献するFX専用チューニングのフレーム、3)FX専用セッティングを施した前後サスペンション、4)制動力とコントロール性を向上させたブレーキ、5)推奨マップを更新し利便性を向上させたパワーチューナーなどにより、いっそう戦闘力を高めました。
また、YZシリーズ共通コンセプトの新カラー&グラフィックを採用しました。
※「YZ450FX」については2020年7月30日から12月27日まで、その他のモデルについては2020年7月30日から2021年1月29日までの期間限定で「ヤマハオフロードコンペティションモデル正規取扱店」にて予約の受付を行います。
- <名称>
- 「YZ450FX」
- <車両本体販売価格>
- 1,122,000円(本体価格1,020,000円、消費税102,000円)
- カラー<名称>
- ディープパープリッシュブルーソリッドE(ブルー)
- 発売日
- 2020年10月30日
- <名称>
- 「YZ250FX」
- <車両本体販売価格>
- 935,000円(本体価格850,000円、消費税85,000円)
- カラー<名称>
- ディープパープリッシュブルーソリッドE(ブルー)
- 発売日
- 2020年10月30日
- <名称>
- 「YZ250X」
- <車両本体販売価格>
- 748,000円(本体価格680,000円、消費税68,000円)
- カラー<名称>
- ディープパープリッシュブルーソリッドE(ブルー)
- 発売日
- 2020年10月9日
- <名称>
- 「YZ125X」
- <車両本体販売価格>
- 638,000円(本体価格580,000円、消費税58,000円)
- カラー<名称>
- ディープパープリッシュブルーソリッドE(ブルー)
- 発売日
- 2020年10月9日
- <販売計画>
- 400台(シリーズ合計/国内)
- ※YZシリーズ各モデルは、国土交通省の認定を受けていませんので、ナンバープレートを取得できません。また道路を走行できません。道路を走行すると道路交通法及び道路運送車両法の違反となります。私道、寺の境内、海辺、堤防上、農道、林道など道路の形態を整えていないところでも人や車が自由に出入りできるところは道路とみなされます
- ※保証(クレーム)の対象外製品となります。
- 【YZ450FXの主な特徴】
- 1)エンデューロレースに最適化した4 ストローク449cm3エンジン
- Ⅰ高圧縮比の新エンジンと吸排気・点火系セッティングの最適化
- モトクロス競技用ハイエンドモデル「YZ450F」のエンジンをクロスカントリー・エンデューロレースに最適化して搭載しました。アルミ鍛造ピストン、シリンダーヘッドを新設計し、燃焼室をコンパクト化することで13.0:1の高圧縮比を実現。さらに吸気・排気系とフューエルインジェクション、点火マップに「YZ450FX」専用セッティングを施すことで、レースに必要な扱いやすさと高回転域での力強さ、伸びのあるプリングパワーを両立します。
- Ⅱヘッド周りの軽量・コンパクト設計によるマス集中化
- エンジンのヘッド周りを新設計したことにより、従来比約300gの軽量化を実現。さらに走行性能向上のために、カム軸とクランク軸の間隔を短縮してマス集中化を図りました。
- 2)高い走破性に貢献するFX 専用チューニングのフレーム
- フレームは、「YZ450F」と同一のバイラテラルビームフレームを採用。FX専用チューニングを施した前後懸架ブラケットで剛性バランスを調整し、良好な接地感と軽快なハンドリング、ギャップ走行時の安定性を実現しています。
- 3)FX 専用セッティングを施した前後サスペンション
- フロントサスペンションは、高い応答性を発揮する倒立式フロントサスペンション(KYB製スプリングタイプ)を採用。エンデューロ専用セッティングを施したリアサスペンション(KYB製)とともに、走破性向上に貢献します。
- 4)制動力とコントロール性を向上させたブレーキ
- フロントブレーキはキャリパーのピストンサイズを大径化し剛性を30%向上。新作パッドとディスクローターを採用し優れた制動力とコントロール性を両立しています。リアブレーキはキャリパーとディスクの形状を変更するとともに熱容量バランスの最適化を施し、従来比120gの軽量化と制動力の安定性向上を達成しました。
- 5)推奨マップを更新し利便性を向上させたパワーチューナー
- スマートフォンでエンジンを設定するアプリケーション「パワーチューナー」はデフォルト設定している推奨マップを変更。新たなマップ「Hard Terrain for MAP2」は新エンジンの出力特性に合わせテクニカルなコースでもパワーを効果的に引き出す設定です。また、各推奨マップが得意とする領域の差を広げつつ、バリエーション数を統合。推奨マップ変更によるキャラクターの変化を体
感しやすくしたことで、状況や好みに合わせてより選びやすい構成としました。 - ■その他の変更
- エンジン関連
- シリンダーボディ、コンロッド長、トップリングの仕様変更、放熱性の高いロングリーチプラグ採用、パワー感、排気音向上に貢献するφ41mmエキゾーストパイプ※、FX専用サイレンサー採用、パワーチューナー推奨マップのバリエーションを変更
- 車体関連:
- クロームモリブデン鋼のフットレスト、ショートクラッチレバー、軽量フロントアクスル※、軽量ハンドルクラウン※、軽量ハンドルホルダー※、ハンドルポジション※
※ YZ450Fの2020年モデルと同一
- 2021年モデル「YZ450FX」の新フィーチャー
- ・剛性バランスを整えたハンドルクラウン
- ・握りやすい形状のショートクラッチレバー
- ・軽量ハンドルホルダー
- ・・専用セッティングの前後サスペンション
- ・軽量アクスル
- ・剛性アップしたキャリパー
- ・大径φ25.4mmピストン採用ブレーキ
- ・パッドとの接触面を16%拡げたローター
- ・新形状/素材のブレーキパッド
- ・エンジン懸架ブラケット最適設計
- ・軽量449cm3 FIエンジン(現行比で約300gダウン)
- ・専用セッティングのECU
- ・コンパクト設計のヘッド周り(カムシャフト配置変更)
- ・頂面形状をチューニングしたピストン
- ・アルミ製バイラテラルビームフレーム
- ・FX専用サイレンサー
- ・軽量リアブレーキ
- ・18インチリアタイヤ
- ・軽量クロームモリブデン鋼のフットレスト
- ・高圧縮比の燃焼室(12.8→13.0:1)
- ・18インチ軽量DID製リム
- ・最適化した吸気ポート形状
- ・狭⾓化した吸気/排気のバルブ挟み⾓(14.5°)
主要諸元
車名型式 | – | |
---|---|---|
YZ450FX(BEX4) | ||
発売日 | 2019年10月30日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.175×0.825×1.280 | |
軸距(m) | 1.480 | |
最低地上高(m) | 0.320 | |
シート高(m) | 0.955 | |
車両重量(kg) | 115 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 1 | |
燃費(km/L) | -(60km/h定地走行テスト値) | |
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転半径(m) | – | |
エンジン型式 | J349E | |
水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 449 | |
内径×行程(mm) | 97.0×60.8 | |
圧縮比 | 13.0 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | -[-]/- | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | -[-]/- | |
燃料供給装置形式 | フューエルインジェクション | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式 | TCI(トランジスタ式) | |
潤滑油方式 | ウェットサンプ | |
潤滑油容量(L) | 0.90 | |
燃料タンク容量(L) | 8.2 | |
クラッチ形式 | 湿式多板 | |
変速機形式 | 常時噛合式5段リターン | |
変速比 | 1速 | 2.416 |
2速 | 1.733 | |
3速 | 1.312 | |
4速 | 1.050 | |
5速 | 0.840 | |
減速比1次/2次 | 2.608/3.846 | |
キャスター(度) | 27°10′ | |
トレール(mm) | 116 | |
タイヤサイズ | 前 | 80/100-21 51M |
後 | 110/90-18 65M | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式シングルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | スイングアーム(リンク式) | |
フレーム形式 | セミダブルクレードル |