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第6回 80ccボアアップ+100ヘッドエンジン、無事始動しました!

 たかだかボアアップキットを組むという作業のレポートを、4回にまで引き延ばしているツボ8です。単に結果、つまり排気量増加分だけ力が増すことだけ求めるのであれば、ボアアップキットを作ったメーカー(今回はメーカー不明ですけど)を信じて、交換する部品だけを入れ替える作業を粛々と進めればいいので、急がずにやっても1日あれば完成するメニュー。しかし自分の場合は、エンジンをいじるという行為自体を楽しむことが主な目的となるため、結果的に余計な(?)ことがてんこ盛りとなってしまい、組み上げるまでにのべ5日もの日数が掛かってます。その5日間でやったことを区切りのいい部分で分割してレポートしていたら、今回で4回目となってしまいました。

 これだけの時間を掛けたのに、エンジンが掛からず……とか、エンジンは掛かったけど、すぐに焼き付いた……とか、そんなオチを期待していた方がいらっしゃるかもしれませんが、残念ながらご期待に応えることはできず、メーカー不明の80ccボアアップキット+エイプ100ヘッド仕様のエンジンは無事に(?)掛かってくれました。

 「無事に」の後に「(?)」を入れたのは、エンジン再始動させると、正常とはほど遠いガチャガチャという派手な異音を響かせたからです(下の方に動画があるので、それを観てみて下さい)。「ヤベッ! 何かヤラカしちゃった?(汗)」と始動直後は焦りましたが、冷静になって確認するとチェーンテンショナーとタペットクリアランスの調整をしていなかっただけで、それぞれを調整してやることで異音はなくなり、きれいにアイドリングするようになりました。ご近所迷惑にならない程度にプリッピングしても、特に不具合を感じることなくエンジンは一定の鼓動を打って回ってくれています。

 さて、ボアアップが完了したことで、エイプ50エンジン搭載のXLR80R改50(XLR50R?)が、XLR80R改50改80となったわけです(ややこしい!)。エンジンを組んだ自分としては、本来のXLR80Rのエンジンと比べてどう違うのかが気になるところ。比較対称としてこのXLR80Rに元々搭載されていた80ccエンジンを搭載する、ピンキー大統領所有の通称「ベンアペ」があるにはあるのですが、残念ながら現在休眠中のようです。「ベンアペ」が再びG2連邦の公用車に登用してもらえるよう、整備管理局委託長官として大統領に働きかけたいと考えております(笑)。 





バルブスプリングコンプレッサー
ヘッドのバルブを脱着するには、バルブスプリングコンプレッサーなる専用工具が必要です。昔は高価なモノしかなくて、DIYでエンジンをいじる際のハードルのひとつであったりしましたが、現在ではなんと2000円以下という商品もあり、バルブの脱着は身近な作業になりました。ちなみに自分が昔から使っているバルブスプリングコンプレッサーはKTC製なので、小売参考価格は3万1400円もいたします。
バルブをヘッドから抜き取る
バルブとリテーナーを固定しているコッターを抜き取って、バルブスプリングなどをヘッドから外し、バルブをヘッドから抜き取ろうとしたところで問題が発覚。なんとインテークバルブが写真の位置で引っかかり抜き取ることできないのです。作業をしていた時には原因不明だったのですが、後に詳しい方から原因を聞いたところ、オーバーレブさせてしまうとバルブステムの頭が変形し、こんなことが起こるそうです。

ワイヤーブラシを使って除去
インテークバルブは抜き取ることを諦め、エキゾーストバルブのみ電動ドリルに装着して、傘やステム部についたカーボンをワイヤーブラシを使って除去してやりました。ついでにバルブ本体の軽量化や、表面を研磨するといった加工をしようかとも考えましたが、そんな技術も設備もないので、今回は余計(?)なことはせずクリーニングのみを施しています。
バルブの擦り合わせ
とはいえ、せっかくなのでバルブの擦り合わせは行いました。タコ棒、バルブコンパウンド、それから光明丹という赤色顔料が擦り合わせで必要となります。作業的には、バルブのバルブシートとの合わせ面にバルブコンパウンドを塗布してタコ棒を装着。その状態でバルブをバルブシートに回転させながら擦りつけたり、打ちつけたりすることで、当たり面が整えられます。

光明丹
当たり面が整えられたかどうかを確認するのに使用するのが光明丹。バルブの傘の部分にグルっとオイルで溶いた光明丹を塗った状態で、バルブをバルブシートに打ち付けます。こうするとバルブがバルブシートに密着した部分に光明丹が付着し、合わせ面の状態を確認できるわけです。付着した光明丹が均一の幅できれいな円を描いていれば、しっかり擦り合わせができていることなります。
擦り合わせ
取り外すことができなかったインテークバルブですが、その状態でも擦り合わせは出来るので(やりづらいですけど……)、同様に行ってます。光明丹で当たり面をチェックすると、こちらも特に問題はないようです。ちなみに当たり面が荒れていると、圧縮圧力がそこから逃げてしまうので、漏れが少なくてもパワーダウン、たくさん漏れていればエンジンが掛からないなんてことになります。

穴の位置がズレ
メーカー不明ボアアップキットのシリンダーですが、修正する部分がまだありました。クランクケースとの合わせ面に掘られたオイル通路がそれで、ボアアップキットに付いていたガスケットを合わせてみると、ご覧のように穴の位置がズレてしまっています。ちなみにクランクケース側にガスケットを合わせると穴位置が合うので、シリンダー側の溝位置にズレがあるということになります。
オイル通路を修正
ガスケットに合わせてオイル通路を修正します。ガスケットを型紙にしてケガキを入れて、それに合わせて電動リューターを使いシリンダー側を削りました。リューターの刃が暴れて削る部分以外に傷を付けてしまわないように注意して作業したものの、ガムテープなどで養生しないまま作業したので、ちょっとだけ合わせ面に傷が入ってしまい、オイルストーンで面修正するハメに……。

穴の位置がズレ
オイル通路の溝を修正後にガスケットを合わせてみると、元の状態よりはガスケットの穴から無理なくオイルが流れてくれるようになった……はずです。これで今回組み付けるパーツのお手入れ(?)が完了したので、組み付ける全てのパーツを、携行缶の中で長期間熟成されて(笑)クルマやバイクでは使えなくなったガソリンでしっかりと洗浄して、いよいよ組み付け作業となります。
修正後
組付け時には、ピストンクリアランスに狭い部分があるので、焼き付き防止の願いも込めてマイクロロンのペーストを使います。この組み付けペースト、部品を熱した状態で塗布する必要があるため、ヒートガンで部品を熱してから塗布しました。どれぐらい効果があるのかは不明ですが、これまで組んだエンジンに一度も焼き付きが発生していないので、きっと効果があるのではないでしょうか?

穴の位置がズレ
いきなりですが組み上がりです。組み付け中は手がガソリン&オイルまみれ、さらには久々にエンジン組み付けをやったので心に余裕がなく(笑)、写真を撮ることなどすっかり忘れておりました(笑)。ちなみにヘッドは100用を使ってますが、カムはナラシ運転がしやすいように中低速トルク型といえる50純正カムを組み付けています。またバルブスプリングも強化品ではなく純正のままです。
ツボ8
ツボ8(戸籍上は坪内英樹):主に四輪誌などで活躍中のフリー・ライター。月刊四輪誌「ジェイズ・ティーポ」(現在休刊)在籍時代には510ブルーバードや240Zのレストア&日本一周の企画を大成功させた立役者。二輪免許は小型限定しか持っていないという筋金入りのG2(原付二種)フリーク。趣味はスクリューマウントのスーパータクマ―レンズを装着したEOS20Dでの写真撮影。

エンジンを組み上げてしまえば、掛けたくなるのが人情というもの(笑)。サクサクッと車体に積み込んでエンジンを始動させた直後の動画となります。ガチャガチャと大きなメカニカルノイズを発していたので、「やらかしちゃった?(汗)」と焦りましたが、チェーンテンショナーとタペットの調整をやり忘れていただけで、調整した後は、普通のエンジン音となってれくました。

こちらで見られない場合は直接You Tubehttps://youtu.be/vVc3_g-4-Y4でどうぞ


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2020/08/03掲載