高山さんのバイク承前啓後 第59回 「2輪感覚。」の広告に見るライダーへのいざない その1 SS50、CB50、CB90編
バイクに興味を持つようになったきっかけは、人によってさまざまだと思います。友人の影響とか、テレビや映画に登場したシーン、書店で何気なく手に取ったバイクの本、そして街角の販売店で見かけた気になったバイクなど、挙げるときりがないと思います。
1970年代、二輪メーカーの広告・宣伝展開は、出版物の広告がメインでした。バイクファンが読む専門誌には、性能の高さやメカニズムを強調する広告が並びました。ここで紹介させていただくのは、専門誌ではなく週刊誌に掲載されたホンダの広告です。
テーマは「2輪感覚。」
たった1枚の写真と短いコピーの組み合わせは、2輪の魅力をまだ知らないひとたちにもアプローチして、興味を喚起し2輪の魅力を伝えるのにふさわしい内容だと思います。日本の四季のうつろいを五感で感じ取れるのは、ライダーの特権のような表現にも思えます。広告は、ホンダの二輪製品の広告やカタログの制作に長く携わっている東京グラフィックデザイナーズ社の協力をいただきました。忘れかけていた2輪感覚を呼び覚まされるかもしれません。
ベンリイSS50は、1970年に発売された50ccのスポーツモデルです。鳥のように自由な乗り物を表現したのでしょうか。それともフェリーの旅で海原を突き進んでいく様子を表したものなのでしょうか。小さな50ccのバイクでも広い世界を見られる、ということを表現したものだと思います。
ベンリイSS50は、1971年にCB50へと進化。鋼管パイプダイヤモンドフレームに直立タイプの新型エンジンを搭載したロードスポーツモデルです。大都会の真夏の夜なのでしょうか。広告を見る人、見る季節によってとらえ方は違うと思いますが、CB50で小さな冒険をするとこんな光景に出会えるのだと思います。
ベンリイCB90 JX は、1972年に発売されました。フロントにディスクブレーキを採用した若者に人気のロードスポーツモデルです。山のふもとを走っている時に見た虹が、夏へとつながる橋に感じたようです。バイクにとっては、心躍る季節です。
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