YAMAHA XSR700 ABS 車両解説
「ネイキッドとスーパーモタードの異種交配造形による個性的なデザイン」を持つマシンとして、2014年8月、MT-09の弟分といえるMT-07シリーズが発売された。3気筒、846cm3のMT-09に対して、MT-07は、689cm3の排気量を持つ水冷直列2気筒エンジンを搭載する“スポーツパッション&スマート”をコンセプトとしたモデルだった。
2気筒と3気筒という違いはあるが、クロスプレーン・コンセプトの設計思想により開発されたエンジンなど、MT-09との共通項は多い。日常の使用領域でパワフルながら扱いやすいエンジンを、軽量、コンパクトでスタイリッシュな車体に搭載する、というモデルだった。
このMT-07、MT-09同様“基本プラットフォームをベースにバリエーション展開の拡大”を狙うというヤマハの“中期経営計画”を実現する戦略モデルの第二弾と思われたのだが、MT-09ほどシリーズ化は順調には進まず、2017年11月になってやっとXSR版が登場することになった。しかもこのモデルは一足先に欧州おいてすでに発表されていたモデルで、北米仕様の発売がスタートするのに合わせて国内仕様もやっと発表された、という感がなきにしもあらずだったといえよう。ここら辺、順調にグローバル路線を展開するMT-09一族との温度差がちょっと気になってしまうところだが、やはりそこら辺は日本ローカルといえるナナハンクラスのマシンの宿命なのかもしれない。
それはともかく、MT-07一族モデル初の兄弟誕生は素直に受け入れられたといえる。XSR700 ABSの概要は、XSR900のケースと同様、MT-07のコンポーネントをベースに、オーセンティックな外観とオールラウンドな性能をバランスよくまとめ上げた“Neo Retro”ロードスポーツというところ。手ごろなパワーや扱い易さはさすが“ナナハンクラス”ならではのまとまり具合といっていい。
2019年3月の時点では、XSR700 ABSに「マットダークパープリッシュブルーメタリック」という新色が追加発売され、継続色2色と合わせて計3色のラインアップとなっていた。
2020年モデルは、新たに「ラジカルホワイト」をベースカラーに鮮やかなレッドを塗分け、ブラックのラインをあしらった新色と、タンクカバーにバフ掛け処理を行いクリア塗装を施したマットグレーの新色を合わせて設定。同時にヘッドランプにポジションランプを追加するマイナーチェンジも行われた。
2022年モデルは、平成32年排出ガス規制適合化をメインに、快適性とスポーツ性能を兼ね備えた新タイヤの採用、フロントブレーキディスクの大径化、ヘッドランプ、ポジションランプ、フラッシャーランプのLED化、ネガポジ反転LCDメ―タ―採用などが行われた。また特に目を引く特徴として、往年のヤマハスポーツバイクを想起させるグラフィック&カラーも採用される。新色のラジカルホワイトとブラックメタリックはXはRZシリーズなどでおなじみだったの特徴的なタンクカラー&ラインが懐かしい。
今回は好評のグラフィックは継承しつつカラーを変更。レッドのグラフィックのラジカルホワイトと、ブルーグラフィックのディープパープリッシュブルーメタリックCに一新した。
★ヤマハ ニュースリリースより (2025年7月8日)
スポーツヘリテージ「XSR700 ABS」の新色を発売~幅広い層に支持される”ホワイト”とヤマハレーシングイメージの”ブルー”~~
ヤマハ発動機販売株式会社は、水冷・4ストローク・DOHC・直列2気筒・4バルブ・688cm³エンジンを搭載するスポーツヘリテージモデル「XSR700 ABS」のカラーリングを変更し、8月8日に発売します。
新色は”ホワイト”と”ブルー”です。”ホワイト”は、往年のヤマハスポーツバイクを想起させるグラフィックを継承しライン色を従来のブルー系からレッド系に変更。シンプルなホワイトのボディにブラックホイールを組み合わせ、幅広い層に支持されるカラーリングに仕上げています。”ブルー”は、ヤマハレーシングイメージあふれるカラー「ディープパープリッシュブルーメタリックC」をXSRシリーズとして初めて採用。”Neo Retro”*スタイルにスポーティさを加味しました。
「XSR700 ABS」は、オーセンティックな外観やリラックスして乗れる扱いやすさ、カスタマイズの可能性を想起させるボディワークを調和させ、カジュアルに末長くバイクライフを楽しんでいただくことを目指して開発したモデルです。
※ Neo Retro:「スーパースポーツ」「ネイキッド」といった従来のカテゴリーを超え、レトロな外観やその背景の物語性を秘めながらも、先進技術に基づくエキサイティングな走りを楽しめるモデルのカテゴリー
- <名称>
- 「XSR700 ABS」
- <発売日>
- 20252年8月8日
- <メーカー希望小売価格>
- 1,001,000円(本体 910,000円/消費税 91,000円)
- ※メーカー希望小売価格(リサイクル費用含む)には、保険料、税金(除く消費税)、登録などに伴う諸費用は含まれません。
- <販売計画>
- 200台(年間、国内)
- <カラーリング>
- ・ラジカルホワイト(ホワイト/新色)
- ・ディープパープリッシュブルーメタリックC(ブラック/新色)
主要諸元
車名型式 | 8BL-RM41J | |
---|---|---|
XSR700 ABS | ||
発売日 | 2025年8月8日 | |
全長×全幅×全高(mm) | 2,075×820×1,130 | |
軸間距離(mm) | 1,405 | |
最低地上高(mm) | 140 | |
シート高(mm) | 835 | |
車両重量(kg) | 188 | |
乾燥重量(kg) | – | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費消費率(km/L)※1 | 40.0(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)※2 | |
26.4(WMTCモード値 クラス3 サブクラス3-2 1名乗車時)※3 | ||
登坂能力(tanθ) | – | |
最小回転半径(m) | – | |
エンジン型式 | M419E | |
水冷4ストローク直列2気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 688 | |
内径×行程(mm) | 80.0×68.5 | |
圧縮比 | 11.5 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 54[73]/8,750 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 67[6.8]/6,500 | |
燃料供給装置形式 | フューエルインジェクション | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式 | TCI(トランジスタ式)式 | |
潤滑油方式 | ウェットサンプ | |
潤滑油容量(L) | 3.0 | |
燃料タンク容量(L) | 13 | |
クラッチ形式 | 湿式多板 | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
変速比 | 1速 | 2.846 |
2速 | 2.125 | |
3速 | 1.631 | |
4速 | 1.300 | |
5速 | 1.090 | |
6速 | 0.964 | |
減速比1次/2次 | 1.925(77/40)/2.687(43/16) | |
キャスター(度) | 24°30′ | |
トレール(mm) | 90 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17M/C 58W |
後 | 180/55ZR17M/C 73M | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ダブルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | スイングアーム(リンク式) | |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
※1:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。
※2:定地燃費値は、車速一定で走行した実測の燃料消費率です。
※3:WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。
WMTCモード値については、日本自動車工業会ホームページ(http://www.jama.or.jp/motorcycle/new window)もご参照ください。