8月26日(土)27日(日)の2日間、静岡県・富士スピードウェイでハーレーダビッドソン ジャパンが「ブルースカイヘブン2023」を開催した。通称“ブルスカ”はハーレーダビッドソン ジャパン主催でありながら、メーカーはもちろんバイク乗りに限定することなく、音楽やグルメ、ショッピングやキャンプを複合的に絡めた“フェス”へと進化を図り続けてきた。COVID-19の蔓延などのイレギュラーを乗り越えたこのイベントは今年、昨年を上回る9500人の来場者を集め、さらなる進化を遂げていた。
ライダーも、キャンパーも、フェスファンも
日本全国から富士スピードウェイに集結
ブルースカイヘブンは、ずっとバイクイベントの枠を飛び越えようと画策を続けてきた。キャンプイベントをミックスさせるのはもちろん、会場である富士スピードウェイ内でのキャンプ泊を実現したことで、バイクで来場しても宿泊者にアルコール類の提供も可能にした。また提供するフード類のクオリティも高めることで、会場に留まることの楽しさを提供し続けてきたのだ。今年はフリー区画のキャンプチケットのほか、アウトドアブランド/コールマンとコラボした「手ぶらキャンプ泊チケット」なども発売。テントや灯火類、宿泊用アイテムが専用キャンプ場に用意された、まさに手ぶらでキャンプ泊ができる、それによってブルースカイヘブンを気軽に頼むことができるプログラムも用意されていた。
また音楽も欠かせなかった。バンドやパフォーマーが会場を賑わせ、楽器メーカーとのコラボレーションなども実現させた。そして近年は、屋外音楽フェスの人気の高まりに合わせ、ライブステージを充実。人気アーティストがキャスティングされ、話題となった。今年は、FMラジオ局J-WAVEの後援を得て、音楽フェスとしてのクオリティ&注目度のUPとともに、プロモーション活動にもチカラを入れた。
その音楽やフード、さらにはアメリカンカルチャーで紐付いたファッションブランドのショッピングエリアが集結した、富士スピードウェイのイベント広場を使ったライフスタイルゾーン『BLUE SKY OASIS』とは別に、レーシングコースのパドックを使った、ハーレーダビッドソンを中心とした、バイクの魅力をたっぷりと詰め込んだ『BLUE SKY PADDOCK』にも新しい試みが見られた。
『BLUE SKY OASIS』と『BLUE SKY PADDOCK』を結ぶ地下通路は、ハーレーダビッドソン誕生120周年を記念したタイムトンネルと題して、歴史的モデルを展示。単なる移動区間にも、華やかさをくわえた。
またレーシングコースで行われていた、ドラッグマシンのデモランや、ビンテージマシンによる走行会などはなくし、新型車の試乗会やミニコースのタイムトライアル/バトルトラックスなどを充実させた。ハーレーダビッドソンをサーキットで試乗することに最初は疑問を感じていたが、車重400kgを越える巨体を混雑した街中で試乗することを考えれば、走行条件が整ったサーキットでの試乗会は、ハーレーダビッドソン初心者にとっては大きなメリットがある。しかも手練れの試乗会運営スタッフによって、低速走行時の簡単なアドバイスとサポートを受けることで、もっとも心配な立ちゴケのリスクを減らすこともできる。こういった、ベテランだけでなく、新規ユーザーへのサポートのノウハウは、公式/非公式を問わず、多くのイベントを開催してきたハーレーダビッドソンの強みと言えるだろう。
そして恒例の、HOG(ハーレー・オーナーズ・グループ)による「H.O.G. CHAPTER PARADE」も開催。日本全国に散らばるHOGメンバー約1000台が、富士スピードウェイを走る姿は、圧巻だった。
昨年ハーレーダビッドソンは、久しぶりに国内販売台数で1万台を超えた。また今年はブランド創立120年の記念年だ。そういった大きな話題性を背後につけ、充実を図ったブルースカイヘブン2023。その規模の大きさやファンと運営者の熱量に、ハーレーダビッドソンの勢いを感じたのだった。
(レポート・写真、河野正士)