全国でバイク販売店を展開する『バイク館』は、アジア各国で製造および販売されている“ジャパンオフィスや日本に輸入元が存在しない”アジア生まれの二輪車ブランドや、日本および欧州メーカーがアジア市場に展開する“日本未発売モデルたち”を日本に輸入し、販売している。日本とは比べものにならないほどの市場規模を持つアジアで走っているバイクにはどんなモデルがあるのか。そのなかからインド最大のブランド/Hero Moto Corp(ヒーロー・モト・コープ)のアドベンチャーモデル「HERO X-PULSE200 4V(ヒーロー エックス・パルス)」を紹介する。
200ccという排気量ながら低回転域でのトルクが力強く、高いギアを維持したまま、シフトダウンせずとも低速でも粘り強く加速していく。それにフロント21インチホイールは反応が落ち着いていて、オフロードでの走破性の高さはもちろんだが、渋滞するクルマの後をノロノロと走ったり、ハンドルを大きく切り返しながら細い裏路地を走ったり、そんな走りが求められる都市部にもフィットしている。それに油冷エンジン故のスリムな車体は、ライダーの体格やキャリアも選ばないフレンドリーなものだ。なかなか、良いなぁ。それがHERO X-PULSEに乗った第一印象だった。
いま世界中でアドベンチャーバイク需要が高まっているが、そのトレンドは排気量の小さなエンジンへと移行している。なかでも日本を含めたアジア市場はカラダの小さなライダーが多く、さらに排気量を小さくした250ccクラスのアドベンチャーモデル人気が高まっている。そのなかにあってこのX-PULSEはさらにコンパクトな車体と油冷エンジンという、ミニマムなパッケージで車体を仕上げ、オンロードでもオフロードでもライダーにメリットを提供する軽快な車体を造り込んでいると感じた。これならば初心者はもちろん、ベテランライダーも満足できる。そう正直に感じることができた。
このX-PULSEを展開するHero Moto Corp社は、年間2000万台が新車登録される世界最大の二輪市場を持つインドで、販売台数ナンバー1を維持するブランドだ。かつてホンダと提携して技術力を高め、独立後は小中排気量モデルを中心に販売台数を伸ばしている。独自に開発した排気量450ccラリーマシンでダカールラリーにも参戦。2022年に初のステージ優勝を飾り、2023年シーズンは2つのステージで勝利するなど、その実力を高めている。インド市場は排気量150cc以下のバイクやスクーターが中心であり、排気量199.6ccの油冷4ストロークOHC4バルブ単気筒エンジンを搭載するX-PULSEは、インド市場におけるHeroのフラッグシップモデルとなる。
いま国内外のブランドがインド市場に進出しているが、そこで展開する車両は、インドではハイパフォーマンス→日本ではスタンダードと、カテゴリーは変わるが、各国での販売台数が見込めることから各メーカーが気合いを入れて車両を開発している。そしてX-PULSEに乗れば、Hero Moto Corpの気合いを感じることができるだろう。
(試乗・文:河野正士)
■エンジン形式:油冷4ストロークOHC4バルブ単気筒 ■排気量:199.6cc ■最高出力14kw(19.8PS)/8,500rpm ■全長×全幅×全高:2,222×850×1,258mm ■シート高:825mm ■タンク容量:13L■タイヤサイズ(前・後): 90/90-21・120/80-18 ■車両重量:158kg ■製造国:インド■年式:2021年 ■車体色:マットネクサスブルー、ポールスターブルー、スポーツレッド ■車両価格(消費税込):369,000円
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