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レース・イベント

SDGsを推進する相模原市とタッグを組み パラモトライダーの輩出をさらに後押し
バイクの事故などによって障がいを負い、バイクに乗れなくなってしまったライダーに再びバイクに乗る機会を提供している『パラモトライダー体験走行会』は、2023年最初の体験会を開催した。今回は、なんと相模原市との共同開催というカタチで『さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト』にて行われた。
■文・写真:青山義明 ■協力:一般社団法人サイドスタンドプロジェクト






 青木三兄弟の、三男・治親と長男・宣篤が立ち上げた一般社団法人サイドスタンドプロジェクト(SSP)が展開している『パラモトライダー体験走行会』は2020年6月の初開催から3年半、2023年初の体験会を開催した。今回は、神奈川県相模原市にある『さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト』の第1駐車場での開催となった。ミスターバイクBGのガレージセールでお世話になっていた場所でもある。

『パラモトライダー体験走行会』はこれまでも紹介しているとおり、サーキットや休校日の自動車教習所などのクローズされた空間を使い、バイクの体験会を行うというもの。バイク事故などによってバイクを降りることになってしまった方から先天性や後天性など各種障がいによってバイクに乗る機会がなかった方まで、その対象となる。
 体験会ということで、ライディングギアはSSPが貸し出し、バイクはそれぞれの障がいに合わせて運転ができるように改造している。そして、バイクの発進と停止という一番不安定なタイミングでは、ボランティアスタッフがこれを支えることでバイクに乗ることができるというものだ。
 これまで数多くのパラモトライダーを輩出してきたわけだが、昨年は、体験走行会の域を出て、箱根ターンパイクを貸し切りで占有しての一般公道ツーリング、また健常者と同時にコースを走行するサーキット走行会等も行ってきた。また、SSPが主催というわけではないが自主的にパラモトライダー同士だけでミニバイクの耐久レースに出場する等、その活動は広がりを見せている。
 

 
 そんな中、今回はSSPがある相模原市での開催となった。以前から地元での開催を模索していたところ、今回相模原市との共同での開催となったのである。SSPはSDGs(持続可能な17の開発目標)のうちの10番目のゴールである「人や国の不平等をなくそう」、そして17番目のゴールである「パートナーシップで目標を達成しよう」の実現を目指している団体として、2021年6月18日に相模原市が推進している『さがみはらSDGsパートナー』への登録を済ませている。
 その相模原市『みんなのSDGs推進課』がSDGsパートナー751団体への働きかけも行ったということで、『さがみはらSDGsパートナー』のひとつであるさがみ湖リゾートの協力を得て、相模原市との共同開催が実現したのである。
 

今回は、相模原市との共同開催となった「パラモトライダー体験走行会」。相模原市のみんなのSDGs推進課からの4名もボランティアスタッフとしてこれに参加。さらに相模原市の公用車(燃料電池車)からの電源供給なども積極的に行っていた。

 
 今回参加した2名のパラモトライダーはともに初参加。当初はもう1名の参加を予定していたが、SSP専任の理学療法士の体調チェックで「今回は見合わせましょう」という提案の結果、2名のみの参加となった。今回使用する車両は転倒を防止できるアウトリガーを装着したKTMデューク250から使用することとなっていた。
 当日は史上最強の寒波がやってくるという予報もあり、天候にも不安があったものの、朝方まで残っていた雨もスタッフが会場に集合するころには上がり、陽射しのある好天の下で開催となった。ただ、そのKTMデュークにトラブルが発生してしまい、予定よりも大幅に時間がずれ込むこととなってしまったが、それでもその多くがライダーであるボランティアスタッフの懸命で迅速な連携作業で修理をすることができ、無事に体験走行ができた。
 2023年を迎え、この活動も4年目となるわけだが、今年も箱根ターンパイクでのツーリングをはじめ、さらにさまざまな計画が進められているようで、今後もSSPの活動に注目していきたい。
(文・写真:青山義明 協力:一般社団法人サイドスタンドプロジェクト)
 

16歳からバイクに乗ってきていた山辺 学さん。2016年に倒れ、右半身麻痺の障がいが残ったが、通っているリハビリデイサービスの場でこのSSPの活動を知って、コンタクトを取り、今回の参加となった。乗車前から「フロントブレーキがきちんと掛けられるか不安だ」と口にしていたとおり、障がいが残る右手は、特に寒い時期はうまく動かない状態だという。何回かの走行の中で徐々にブレーキがしっかり掛けられなくなったようだが、「7年ぶりのバイクは楽しかったですね。もっと暖かい時期にもう一度挑戦したいと思います」と。

 

5歳の時に、SJS(スティーブンス・ジョンソン症候群)という薬害で、視覚障がいを負ってしまった岡部孝雄さん。バイク自体はよくわかっていないということだが、他人が乗るバイクの後ろに乗ったことがあり、その開放感を自分で体験したいということで今回の参加につながった。青木宣篤が岡部さんをバイクの横まで連れて行き、実際にまたがった状態で丁寧にバイクについて説明を行った。アクセル操作もクラッチ操作もブレーキ操作も、簡略な説明だったが、それでも実際に走りだせば、徐々にアクセルを開けていきながらバイクに慣れていった。「初めてのバイクは楽しかったです。これからもっともっと乗りたいという気になれました」。

 



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2023/02/03掲載