バイクと出会って半世紀。子供の頃、バイクのカタログ集めに夢中になった山形の少年は、学校を卒業すると念願だったホンダに入社。1994年からは二輪広報を担当し、2020年定年退職するまで四半世紀、一貫して広報活動に従事した。バイクブームのあの時代からの裏も表も知り尽くした高山さんの視点でふりかえる、バイク温故知新の四方山話。それが「バイク・承前啓後(しょうぜんけいご)」。
第23回カフェカブパーティーin関西に参加 =琵琶湖まで往復1000キロの旅=
5月29日(日)、滋賀県大津市の「大津湖岸なぎさ公園 市民プラザ」で第17回カフェカブパーティーin関西が3年ぶりに開催されました。2019年までは、ホンダの出張業務としてお手伝いをしてきました。今回は、初めてカフェカブパーティーに正式エントリーしてスーパーカブ110で駆けつけました。
前日の28日(土)、日の出とともに埼玉県所沢を出発したカブ号は、静岡県から愛知県で猛烈な向かい風と戦いながら琵琶湖を目指しました。スロットル全開で走行しましたので、燃費は60キロ程度と苦戦。四日市から大津までの最短経路を走行しますが、トラックの後ろに付いていたため標識を見落とし、あらぬ方向に行ってしまいました。大きく回り道をしながら530キロを走り無事大津にたどり着きました。私にとって、スーパーカブで一日で走った距離としては最長です。
イベント当日は、雲一つない快晴です。琵琶湖の湖畔道路をトコトコと会場に向かいますと、受付の1時間前ですが結構集まっています。皆さん笑顔です。
この列の先に受付があります。待っている間も景色がいいので退屈しません。
係員の誘導で所定の位置に停めます。私のカブはノーマルですから、場合によっては目立つこともあるのです。
今年は、スーパーカブをメインにスーパーカブ系の水平エンジンを搭載した個性豊かな車両378台と411名が参加しました。私のカブはその中の1台になりました。
本部テントでは、コーヒーなどのフリードリンクサービスが盛況。コーヒーを片手にカブ談義に花を咲かせてほしいという主宰者の思い入れがあります。
4月に発売された新型のスーパーカブ110とクロスカブ110。ホンダモーターサイクルジャパンの協力により、またがり自由の展示でした。
今回は、参加者兼フォーラムのゲストの一人でもありました。フォーラムでは、新型スーパーカブに試乗した話を紹介させていただきました。そして、私が選ぶ賞がありましたので鈴鹿市から参加されたC100のオーナーさんに記念品を贈呈しました。
選定理由は、鈴鹿市制80周年と鈴鹿サーキット開業60周年を記念して、鈴鹿市役所には鈴鹿製作所で生産されたスーパーカブの第一号機が展示されているのです。そのスーパーカブを見学に翌日鈴鹿市役所に行きますので、そのような縁から選びました。
鈴鹿市から参加したオーナーとC100。「高山賞」の表彰です。
では、会場で気になった車両を紹介いたします(ほんの一部で申し訳ありません)。
長く使い込まれた車両に新しい? ダブルシートが妙に似合います。
カブラ2台です。どちらもシングルシート風にして決まっています。
働くバイク「CD」の2台。奥はノーマルを大事に、手前はセンスの良いツートーンのタンクやメガホンマフラーでドレスアップ。
受付番号1番は、60周年記念車。パラソルをあしらって独自の世界を演出。隣に邪魔にならない1番だけに許された特権かもしれません。
ジョルカブです。ドライブチェーンが見える不思議なカブ系スクーターです。
通称松葉スタンド。重い荷物を積むときに力を発揮するのだとか。当時は純正品として販売されていたとのことです。松葉杖に似ていることから、そう呼ばれたようです。正式名称は確認していません。
CT110をよく見ると、「小説スーパーカブ」のストーリーそのままに、山梨県北杜市から鹿児島県佐多岬まで1600キロを走破したツーリングレポートがありました。聖地詣でをはるかに超えた世界がありました。
さて、カフェカブパーティー恒例の特別賞と人気投票を少し紹介いたします。
レディース賞 リトルカブと牛乳シャンプーのロゴは何故か似合います。
タンデム賞 原2仕様のリトルカブで参加した親子が授賞しました。
参加者による人気投票2位を授賞したオーナーとスーパーカブ。
人気投票1位のスーパーカブC125とオーナー。おめでとう。
イベントのエンディングは、恒例のじゃんけん大会です。「皆さん。安全運転でお帰りください。カフェカブ最高! そして来年もこの場所でお会いしましょう」
30日(月)は、鈴鹿市役所に寄って、里帰りした鈴鹿製作所生産第1号機を見学。今年の9月30日まで展示しています。
2泊3日、走行距離は約1,000キロと少し。一番心配していたお尻の痛さは全くなし。カフェカブパーティー主宰者で、カブ工房のご主人中島さんによる「魔法のシート」を装着していたのです。体力の衰えを見事にカバーしてくれました。これなら、カフェカブパーティー北海道も九州も行けそうな気がします。
これからもスーパーカブとの旅は続きます。
帰り道に立ち寄りした由比漁港。カブだと寄り道も苦になりません。。
高山正之(たかやま まさゆき)
1955年山形県庄内地方生まれ。1974年本田技研工業入社。狭山工場で四輪車組立に従事した後、本社のモーターレクリエーション推進本部ではトライアルの普及活動などに携わる。1994年から2020年の退職まで二輪車広報活動に従事。中でもスーパーカブやモータースポーツの歴史をPRする業務は25年間に及ぶ。二輪業界でお世話になった人は数知れず。現在は趣味の高山農園で汗を流し、文筆活動もいそしむ晴耕雨読の日々。愛車はホーネット250とスーパーカブ110、リードのホンダ党。
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