SUZUKI Hayabusa 車両解説
スズキの“ウルティメットスポーツ”「Hayabusa」が国内でも販売開始されたのは2014年2月。1,339cm3、水冷4ストローク直列4気筒エンジンは、輸出モデルとまったく同じ最高出力145kW(197PS)、最大トルク155N・m(15.8kgf・m)のスペックをもっての登場だった。
年配のライダーならご記憶されているだろう、’70年代後半から’80年代へかけての一大バイクブームが巻き起こり、そしてそれを背景にした事故多発をうけて、国内で発売されるバイクはクラスごとに一定の最大馬力値内におさめるように規制が行われることになってしまったことを。ちなみに、50ccが7.2馬力、125ccが22馬力、250ccが45馬力、400ccが59馬力、750ccが77馬力、1000cc超が100馬力以下というもので、この規制は、国内メーカーによる団体である日本自動車工業界によって定められたことから“馬力自主規制”と呼ばれ、以来、国内のスポーツモデルユーザーにとっては“不完全燃焼”の状態が長らく続くことになった。
しかしその後、1996年9月の大型自動二輪免許制度の導入により、教習所で誰もが比較的簡単に大型バイクに乗れる免許が取れるようになったことや、販売体制の確立により輸入モデルの購入が簡単になったこと、などから国内モデルのみに課していた“馬力自主規制”の存在意義そのものが薄れ、2007年7月、ついにこのバイクの“馬力自主規制”は廃止されることになった。
ただ、だからといって国内二輪メーカー各社がすぐに、いわゆるフルパワーモデルを国内発売したわけではないのはご存じの通り。“馬力自主規制”の撤廃によりできた余裕は、国内の厳しい排ガス規制や騒音規制に対処するために回されたのだ。ちなみに“馬力自主規制”撤廃後に登場した国内仕様での最大馬力モデルは、ヤマハのVMAXで、111kW(151PS)/7,500rpmというものだったが、これは極めて特殊な例といえるだろう。メーカー自体もビッグバイク、ハイパワーモデルは逆輸入車で対応できている、という姿勢だったからだ。
こういった背景の中で「Hayabusa」の国内仕様は発売された。具体的な海外仕様との違いは、ETC車載器の標準装備と、メーター内でETCの動作状況の確認が可能できるインジケーターが設置されたこと、そしてスピードリミッター程度で、「Hayabusa 1300」の数々の“ウルティメット”な部分はそっくり引き継がれていた。
2015年に2月に、車体色の設定が変更された2015年モデルが発売され、2016年2月にもメカニズム、主要諸元等に変更がなく、赤×銀の新色の追加とデカール色が変更され、前後ホイールにピンストライプテープが追加されて2016年モデルとなっている。メーカー希望小売価格にも変更無し。
2021年4月に3代目となった(初代は1999年に登場)新型Hayabusaだが、すでに2021年2月末より欧州・北米市場で先行発売されており、国内仕様としての変更点はツーリング時の必需品となったETC2.0車載器が標準で装備されたことぐらいだった。
3代目「Hayabusa」の主な装備を取り上げておくと「S.I.R.S.」(スズキインテリジェントライドシステム)の名のもとに装備される数々のコントロールシステムが特徴と言えば特徴だろう。
それは「SDMS-α」(スズキドライブモードセレクターアルファ)をはじめ、トラクション制御を選択可能な「モーショントラックトラクションコントロールシステム」、出力特性を選択可能な「パワーモードセレクター」、クラッチやスロットル操作をせずにシフトアップ/ダウンが可能な「双方向クイックシフトシステム」、加速時にフロントホイールがリフトするのを防ぎ安定した加速をサポートする「アンチリフトコントロールシステム」、エンジンブレーキの効果を選択可能な「エンジンブレーキコントロールシステム」、発進時にフロントホイールがリフトするのを防ぎ最適な発進をサポートする「ローンチコントロールシステム」、設定した速度を超えないようにする「アクティブスピードリミッター」、スロットルを回さずに、設定した一定速度で走行を可能とする「クルーズコントロールシステム」、前後のブレーキを連動させる「コンビネーションブレーキシステム」、コーナリング時に車体のバンク角に応じてABSを制御する「モーショントラックブレーキシステム」、下り勾配に応じてABSの制御を最適化する「スロープディペンデントコントロールシステム」、上り坂で停止後の発進時に車両後退を抑制する「ヒルホールドコントロールシステム」、約55km/h以上で走行中に急ブレーキを検知すると、前後ターンシグナルが自動で高速点滅し、後続車に急ブレーキを知らせる「エマージェンシーストップシグナル」、ワンプッシュでエンジン始動が可能な「スズキイージースタートシステム」、スムーズな発進を補助してくれる「ローRPMアシスト」、などなどまさにフラグシップマシンにふさわしハイテクシステム満載のモデルとなっている。
今回の変更は、カラーチェンジがメインで、外装色の組み合わせや前後ホイールのカラーを選択できる“カラーオーダープラン”の設定が注目ポイントだ。
★スズキ ニュースリリースより (2022年6月1日)
フラッグシップの大型二輪車「Hayabusa(ハヤブサ)」を
カラーリング変更して発売
スズキ株式会社は、フラッグシップの大型二輪車「Hayabusa(ハヤブサ)」をカラーリング変更して6月28日より全国のスズキ「ETC2.0車載器 標準搭載車 取扱店」で発売する※1。
「Hayabusa」は、1999年に初代モデル、2007年に2代目モデル、2021年4月に3代目として全面改良して発売。初代から続く開発コンセプト「Ultimate Sport(究極のスポーツバイク)」のもと、高い空力特性を持つ独特のデザインや優れた走行性能で世界中のお客様からご好評いただいているスズキのフラッグシップモデルである。
一目で「Hayabusa」とわかるデザインは、流麗なフォルムに大胆な面使いと前傾姿勢でシャープかつエッジの効いたスタイリングを採用した。ボディーカラーはフロントフェイス左右にある吸気口、ボディー側面、リヤまわりに車体色とは異なるアクセントカラーを用いたツートーンカラーとした。
また、吸気口の縁にはポジションライト組込型ターンシグナルを採用。1,339cm3直列4気筒エンジンは、電子制御スロットルの採用や吸排気の機構変更などにより、低中速域における出力とトルクを向上しながら、空力特性の追求によって高速性能を落とすことなく、平成32年(令和2年)国内排出ガス規制に対応。電子制御システムS.I.R.S.(スズキインテリジェントライドシステム)には、出力特性、トラクションコントロール、エンジンブレーキコントロールなど5つの制御レベルを選択できるSDMS-α(スズキドライブモードセレクターアルファ)を採用したほか、設定速度を超えないようにするアクティブスピードリミッターを採用した。各種の電子制御のモード数を多く設定することで、街乗りやツーリングなど様々な走行シーンやユーザーの好み、技量に対応できるようにした。日本専用装備としてツーリング時の利便性を高めるETC2.0 車載器を標準装備した。
また、お客様の好みに応じて外装色の組み合わせや前後ホイールのカラーを選択できる「カラーオーダープラン」※2を設定した。「カラーオーダープラン」では、外装カウル3色、外装アクセントカラー3色、ホイール3色を組み合わせることができ、標準車体色3色を含む全21パターンの組み合わせの画像をスズキホームページ内の「Hayabusa カラーオーダープラン」サイトで確認することができるようにした。
※1 スズキ「ETC2.0車載器 標準搭載車 取扱店」は(株)スズキ二輪と契約している全国のスズキバイクショップ店694店。
(2022年5月31日時点)
※2 標準車体色以外の「カラーオーダープラン」は受注生産。一部取り扱いをしていない販売店があります。
「Hayabusa WEB カタログ」 https://www1.suzuki.co.jp/motor/lineup/gsx1300rrqm3/
「Hayabusa スペシャルサイト」 https://www1.suzuki.co.jp/motor/hayabusa-sp/
「Hayabusa カラーオーダープラン」 https://www1.suzuki.co.jp/motor/hayabusa-colorplan/
- ●主な変更点
- カラーリング変更
- ・標準車体色:3色 灰×/赤 「サンダーグレーメタリック×キャンディダーリングレッド 」(CJH)
- 黒×マット黒「グラススパークルブラック/マット ブラックメタリックNo.2」(KGL)
- 白×青 「ブリリアントホワイト/パールビガーブルー」(JWN)
- ・カラーオーダー色:18色
- ベースボディカラー:サンダーグレーメタリック 6色
- グラススパークルブラック 6色
- ブリリアントホワイト 6色
- 商品名
- Hayabusa (ハヤブサ)(GSX1300RRQM3)
- メーカー希望小売価格(消費税10%込)
- 2,156,000円(消費税抜き1,960,000円
- 商品名
- Hayabusa (ハヤブサ)カラーオーダープラン
(GSX1300RRQKM3) - メーカー希望小売価格(消費税10%込)
- 2,211,000円(消費税抜き2,010,000円)
- 発売日
- 2022年6月28日