ピンと緊張感の張り詰めた一対一の真っ向勝負、という意味では、近年でも屈指のバトルだったといっていいだろう。第13戦アラゴンGPの決勝レースは、フランチェスコ・〈ペコ〉・バニャイア(Ducati Lenovo Team)とマルク・マルケス(Repsol Honda Team)の両名が序盤から抜け出して後続を引き離し、早々に対決モードの地盤を築きあげた。
終始トップを走行するバニャイアに対して、その後方にピタリとつけながら淡々と周回を重ねてゆくマルケス。この中盤までの展開は、互いに真剣を抜いて向き合ったまま微動だにしない、野仕合の静謐な探り合いのようにも見えた。
終盤のラスト3周で、マルケスが動いた。この瞬間に、静かな緊迫はダイナミックな攻防へと相変化を起こし、激しいバトルは最終ラップまで続いた。マルケスが勝負を仕掛けるたびに、バニャイアは即座に前を奪い返した。最終ラップのセクター2までに、マルケスは6回のアタックを行い、バニャイアがすぐさま反応して抜き返す。ここまでに、ふたりがトップを入れ替えた回数は12回。
「考えたのは、ひとつのコーナーでもやりたいようにはやらせないでおこう、ということ。タイヤが消耗しているので、(抜かれてしまうと)ふたたびオーバーテイクするのがさらに厳しくなるから」
レース後に、バニャイアはこのときの心境をそんなふうに振り返っている。
マルケスは、最終ラップの12コーナーで、バニャイアに対して7回目のアタックを仕掛ける。しかし、ここでラインがはらみ、勝負が決した。
「アタックは1コーナーや5コーナーで仕掛け、7コーナーでも(註:9コーナーのことか)攻めようと思っていた。右コーナーでは思いどおりに(イン側に)入れなかったので、つねに左コーナーで攻めるようにした。15コーナーでも攻めようと思ったけど、ペコが先にラインを取ってきれいにターンインしていったので状況をコントロールできなかった。12コーナーでは1回だけトライしたけどミスしやすい場所で、じっさいにミスをしてしまった。ブレーキで踏ん張るとリアが耐えられずに流れてゆき、それでラインに残れなかった」
マルケスは、最後の攻防に敗れたときの様子をそう述懐している。
結局、息をつく暇もない緊密な駆け引きと激しいバトルの対決は、バニャイアが制し、MotoGPクラス初優勝を達成した。マルケスとの真っ向勝負に真っ正面から臨み、互角以上の力で抑えこんだのだから、まさに〈威風堂々〉ともいうべき勝利である。
「感無量。とてもうれしい。優勝へあと少しのところまで何度も来ていたけど、そのたびにいつも何かが起こっていた。このコースで、マルクの前をずっと走るのは容易なことじゃなかった」
レース直後にそう述べるのも当然で、モーターランドアラゴンは、マルケスが過去のレースでもっとも強さを発揮してきた会場のひとつである。ザクセンリンクサーキットやフィリップアイランド、サーキット・オブ・ジ・アメリカズなどと同様に左周りのコースで、2013年から2019年まで(2020年は負傷欠場)の7戦で5勝を挙げている。とくに2016年からは4連勝を続けてきた。
「マルクの体調はまだ100パーセントじゃないかもしれないけど、今日はとても勝ちたかっただろうし、じっさいにすごく乗れていた。だから、自分もとにかく全力で走った」
バニャイアが指摘するように、たしかにマルケスの右腕はまだ100パーセントの状態ではないのだろう。それはマルケス自身も認めている。たとえば土曜午前のFP3では、右コーナーでフロントが切れ込む形での転倒も喫しているが、以前の彼なら、右肘でセーブして体勢を立て直しているところだ。しかし、このときは肘を張ることをせず、そのまま素直に重力に屈する格好でバイクとともに路面を滑走していった。
とはいえ、肘と肩の状態が完調ではないことをマルケス自身は負けた理由にしていない。
「肩の状態は許容範囲内。今日は、ペコが自分よりも速かっただけ。肩はうまくマネージできていた」
「終盤は全力で勝負をしたけど、ペコはブレーキが遅くてしっかりとめていたし、立ち上がりの加速がとてもよかった。最終ラップは自分が前に出たとしても抜かれるだろうと思ったけど、全力でトライした。ペコを祝福したい」
このように述べ、潔く勝負に負けたことを認めている。
また、今回のふたりの戦いで印象深かったことのひとつに、あれだけ長年曲がらないと言われ続けてきたドゥカティのデスモセディチを、バニャイアがじつに巧みに旋回させていたことが挙げられる。
「(バニャイアは)どこが速くてどこが弱点なのかを分析しようとしたけれども、弱点はなくて、どこも速かった」
そう振り返るマルケスの
「いままでに何回もドヴィツィオーゾとはバトルをしてきた。ペコはドビと同じだけど、コーナースピードがもっとある」
ということばは、最大級の賛辞といってもいいだろう。
「どこで抜けるか探ったけど、見つからなかった。ブレーキングは自分より遅かったし、しっかり止めていたし加速も良い。右コーナーでは苦労したけど、左コーナーでわずかに自分のほうが速い場所があった。そこでトライはしてみたものの、そのたびにラインがはらんでしまい、ペコがいいスピードで挽回していった。今日のレースはファンの人たちも楽しんでくれたと思う。自分は楽しむというよりもむしろ大変だったけど。夜にピザを食べつつレースを見返したい。そんなレースだった」
クールダウンラップでは、最後まで戦い続けたマルケスやチームメイトのジャック・ミラーをはじめ、多くの選手がバニャイアの初優勝を祝福した。VR46アカデミーの師匠であるバレンティーノ・ロッシ(Petronas Yamaha SRT)は、スロー走行するバイク越しに肩を抱擁し、愛弟子の優勝を喜んだ。
バニャイアがMotoGPクラスにステップアップしてから3年。2年目の2020年シーズンから頭角を現し始めながらも、負傷に悩まされた。ファクトリーのシートを獲得した今シーズンは、速さを見せる場面は何度もあったものの、なかなか頂点まではたどり着けなかった。
今回のレースは、予選でマルケスの保持していたオールタイムラップレコードを塗り替えてポールポジションを獲得し、そのマルケスと決勝レースで真っ向勝負を制する、という最高の形での優勝である。
「(これまでのレースのなかで)最高の勝利。ベストだと思う」
そう述べるのも当然だろう。
「子供のころはバレやペドロサ、ロレンソのバトルを見て育ち、自分が世界選手権に来てからも、マルク、ドビ、バレ、ロレンソたちのバトルを目の当たりにしてきた。夢はMotoGPで勝つことだったし、その世界で何度もタイトルを獲得してきた選手と戦って勝てたことは、本当にうれしい」
この勝利により、バニャイアはランキング2位に浮上した。ランキング首位のファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP)が8位で終わって8ポイントの加算に終わったため、クアルタラロの214ポイントに対してバニャイアは161ポイントで53点差。シーズンは残り5戦、ということを勘案すると、ちょっとなんともいいようのない微妙なポイント差ではある。
一方、ディフェンディングチャンピオンのジョアン・ミル(Team SUZUKI ECSTER)は、優勝争いの2名から引き離されたものの、単独3位でゴール。16ポイントを加算して計157点。バニャイアからは4ポイント、クアルタラロとは57ポイント差のランキング3位になった。今回のレースは、表彰台を獲得したとはいえ、ミル自身はもう少し良いリザルトを狙えそうな手応えもあった、と述べた。それだけに、充分に満足、とはいいきれない内容と結果だった模様。
「今週はペースがよく、優勝できるだけのものがあったので、もっといい結果を得られると思っていた。レースは序盤が厳しく、ジャック(ミラー)とアレイシ(エスパルガロ/Aprilia Racing Team Gresini)の後ろでがんばったけれども、抜きにくくて苦労した。その後、なんとか抜いたころには、すでに前が離れていた。ペースは同じくらいで走れていたと思うけれども、かなり大きな距離が開いていた。勝てなかったのが満足できない理由だけど、でも、表彰台は表彰台」
ちなみに、今回のレースでミルはリア用のライドハイトデバイスを使用せずにレースに臨んでいる。一方、チームメイトのリンちゃんことアレックス・リンスは、ライドハイトデバイスを使用。リンちゃんは予選で失敗して20番手という低位からのスタートを強いられ、決勝レースは12位。去年のアラゴン2連戦では優勝と2位、という結果だっただけに、残念そうな表情は隠しきれなかった。
「フロントタイヤに違和感が出て、最後はブレーキしにくくなった。でも、このフロントの違和感は、ライドハイトデバイスとは関係ないと思う。20番手スタートから12位は悪くないけれども、去年はダブルポディウムだったのでがっかりの結果」
トップスリーに続き、4位はアレイシ・エスパルガロ。序盤は表彰台圏内を争ったものの、少しずつ離れてゆき、最後は3位と5.358秒差でゴール。2戦連続表彰台、とはいかなかったものの、このリザルトはけっして悪くない。兄エスパルガロ自身も、なかなかの手応えを感じたようである。
「路面は昨日よりも少しすべりやすい状態だったから、キツいレースをトップ4で終わることができたのはとても誇らしいと思う。大切なことは、いつも表彰台を狙いつづける、ということ。まだまだ、改善の余地はある」
さて、兄エスパルガロといえば、前戦の第12戦シルバーストーンでアプリリアのライドハイトデバイスが「オートマチック」であることを明かし、一部でちょっとした話題になった。
この「オートマチック」ということの意味について、少し考察をしてみたい。以下、ややテクニカルな話になるので、興味のない人はこのくだりを一気にすっ飛ばしてください。
リア用のライドハイトデバイスは、2020年のセパンプレシーズンテストの際にドゥカティが先鞭をつけたことで注目を集め、以後、各陣営がそれぞれ独自の方式を導入していった。遅れをとっていたスズキも、8月のオーストリア・レッドブルリンク2連戦で使用を開始したことにより、ようやく全メーカーがこの機構を備えることになった。
操作方法や機構はメーカーごとにそれぞれ異なるのだろうが、基本的にはライダーがハンドルバー近辺の操作機器から入力してリアサスペンションの高さを変えることにより、コーナー立ち上がりでのウィリー抑制や加速性向上を図るための装置だ。
サスペンションは、レギュレーションで電子的な制御が禁止されており、あくまで機械的操作が前提となっているため、「オートマチック」ということばを聞くと、ひょっとしたら不審に感じる向きもあるかもしれない。
眉をひそめる前に、まずはテクニカルレギュレーションでサスペンションの動作についてどのような規制をしているか、ということについて少し見ておこう。
2.4.4.4 Suspensions and Dampers
Electric/electronic controlled suspension, ride height and steering damper systems are not allowed. Adjustments to the suspension and steering damper systems may only be made by manual human inputs and mechanical/hydraulic adjusters, or passively determined by forces/displacements directly transmitted by mechanical/hydraulic connections (e.g. suspension position, load, acceleration, pitch… may be used as mechanical triggers of a passive adjustment).
For example, according to the above, ride height systems that operate on collapsible elements that collapse/extend under the load they are subjected to, and are locked/unlocked by the rider and/or by mechanically-triggered locks are allowed.
2.4.4.4 サスペンションおよびダンパー
電気的/電子制御的コントロールによるサスペンション、ライドハイトデバイス、およびステアリングダンパーシステムは許可されない。サスペンションおよびステアリングダンパーシステムの調整は、マニュアル操作による入力および機械的/油圧調整機構、 もしくは、機械的/油圧連結で直接に伝達される重力/変位による外的作用(例:サスペンションの位置、加重、加速、ピッチング……等は外的調整のトリガーとして使用できる)によってなされたもののみを許容する。
たとえば、上記に従えば、加重によって伸縮する機構の圧縮要素を操作する機構、および、ライダーおよび/または機械的なトリガーで固定/解除するライドハイトデバイスは使用を許可される。
(翻訳・西村)
(※太字部分は今年から追加修正が加わった字句)
ルールだけになんとも込みいったしちめんどくさい言い回しだが、要するに、人間がレバーやボタンを操作して機械的にサスペンションを伸縮させるか、あらかじめ人間がスイッチを入れておき、荷重変化などの外的状況を検知することで機械的にロックが動作/解除する機構ならOK、ということだ。
つまり、簡単にいえば、リアデバイスのオン/オフをライダーが毎回ボタンやレバー等の操作でコントロールするものが「マニュアル」。そして、コーナー進入時などにあらかじめ入力しておき、コーナー立ち上がりの荷重変化などでバイクがそれを検知して機械的に動作するシステムが「オートマチック」ということになるだろう。
少なくともドゥカティとアプリリアは、現在、この「オートマチック」機構を備えているのではないか、ともいわれていて、アプリリアの場合は図らずも兄エスパルガロが述べたようにオートマチック機構であることが明らかになったわけだが、まずは左側がオートマチックになり、次に右もオートマチック化して〈フル〉オートマチック仕様になった、という経緯のようだ。
しかし、このオートマチック化機構は、必ずしもマニュアル操作よりも優れているというわけでもないようだ。兄エスパルガロによると、レッドブルリンクではオートマチックを使用したものの、次のシルバーストーンではマニュアル操作に切り替え、今回のアラゴンでもマニュアル操作を搭載して走行したという。
「たとえば、シケインで切り返すような場所だと、オートマチックは作動しにくいので、プッシュとリムーブを手動を操作するほうがいい。自分としては、マニュアル操作のほうが好み」
というのが兄エスパルガロの弁。おそらく、自分が「ここ!」と効かせたいときに効果を発揮できるマニュアル操作のほうが、痒いところに手が届く、ということなのだろう。
それにしても、いまどきのMotoGPライダーは走行中にやることが多そうで、大変である。
アプリリアの話題が出たので、当然この人にも触れないわけにはいかないだろう。8月のレッドブルリンクでヤマハから〈停学処分〉を受けてすったもんだした結果、即時契約解除となり、今回のアラゴンGPからアプリリア陣営のライダーとして参戦することになったマーヴェリック・ヴィニャーレスである。
土曜の予選で獲得したグリッドは、7列目19番手。決勝レースは18位でチェッカー。
金曜のフリープラクティスと土曜の予選を終えたときは、両日ともにポジティブな手応えを強調し、「エンジン特性がかなり違うので、学ぶことがたくさんある」「今の自分のブレーキングを変えて、しっかり倒して曲げ、加速に繋げていく方法を身につけたい」と謙虚に学習する意欲を見せた。
初めてのアプリリアでのレースを終えた結果は、上記のとおり18位。
ヤマハ時代にこの結果なら、おそらく怒髪天を衝いて憤懣やるかたないコメントになっていたのだろうが(そんなことはいままでに何度もあった)、今はまだ新たな挑戦のスタート地点に立ったばかりで、彼自身もチームも周囲も、いきなり高い結果などは求めてはいない。
「レースはとてもポジティブだった。たくさんのことを理解できたし、今後ももっと勉強をしていきたい」
そう話す口調もじつに滑らかである。チームメイトの、兄エスパルガロとの差は17.859秒。
「1周あたり約1秒の差、ということなので、さらに学んでいきたい。これからステップバイステップで進んでいく。今日のここが、まず最初の第一歩」
月日が進み、来年になったときに、はたしてヴィニャーレスは自分で狙っていたような学習と成長を遂げることができるのかどうか。あるいは、思ったように自分が進捗を示せない、もしくは開発が進んでいかないと感じたときなどに、自分自身とチーム、開発陣などに対してどのような姿勢で臨み、対応していくのか。おそらくそこらあたりが、彼のアプリリアライダーとしての試金石といっていい期間になるのかもしれない。
順位が少し前後するが、日本人選手の中上貴晶は、日曜の決勝レースで日本人最多となる200戦を迎えた。参考までに2位以下の記録を調べてみたところ、青山博一(175)、中野真矢(167)、青木宣篤(167)、上田昇(160)、原田哲也(145)、阿部典史(144)、高橋裕紀(137)、宇井陽一(133)、青木治親(129)、宇川徹(127)、坂田和人(126)、岡田忠之(116)、東雅雄(110)、ということのようである[当社調べ]。
中上の節目となった今回の200戦目決勝レースの結果は、10位。
「バスティアニーニ選手のうしろでかなり苦労をしました。彼の後ろになったら、いきなりフロントタイヤの感覚がなくなってきて、安定してブレーキできなくなりました。残り3周になって、バスティアニーニ選手が前に行き、クアルタラロ選手の後ろになると、フロントの感覚が戻ってきたのですが、時すでに遅し、でした。ドゥカティの後ろにつけるとフロントのフィーリングがおかしくなって、ヤマハの背後だとなぜ感覚が戻ってきたのか、よくわからないのですが、朝のウォームアップは気持ちよく走れていたので、表彰台は無理としても6~7位は狙いたかったですね。だから、ちょっと残念な結果です。コーナーからの立ち上がりが良くなったことは、ポジティブな要素です。そんなにハッピーな結果じゃないけど、これもレースなので次に向けてがんばります」
今回の中上は、昨年のアラゴンでポールポジションを獲得した際のセットアップを試みて、それがいい方向に作用した、ともレース後に述べた。今後もどうやらその方向で進んでいくようなので、彼にとって重要なレースである次戦のサンマリノGPでは、ぜひともその方向性がよい結果をもたらしてほしいものである。
日本人選手ではもうひとり。Moto3クラスで、佐々木歩夢(Red Bull KTM Tech3)が3位に入り、今季初表彰台を獲得した。
「今年は、これまでとても厳しいシーズンになっていました。開幕前はもっと高い結果を期待していて、シーズン序盤はいいレースだったのですが、なかなか表彰台を獲れませんでした。その後、ケガをして数戦欠場し、復帰後のオーストリアとシルバーストーンも厳しいレースになりました。今回も金曜土曜と厳しかったけれども、諦めずにがんばって、最後に表彰台を獲れました。シーズンは残り5戦で、やっといまごろ表彰台、というのはちょっと遅いけど、残りのレースで全戦表彰台に上がり、さらに強さを発揮して来年に備えたいと思います」
今年の佐々木は、上記で彼自身が話しているとおり、シーズン序盤から水準の高さを見せながらも表彰台にはいま一歩届かないレースが続いた。そして、初夏のイタリアGPでセッション中のアクシデントに絡み、以後の数戦を欠場する、という精神的にも肉体的にも辛い時期を過ごすことになった。今回の表彰台は、その期間をくぐり抜けたという意味でも、非常に意義のある3位になったのではないだろうか。その手応えについて、レースを終えた佐々木に訊ねてみた。
「自分のケガだけじゃなくて、ムジェロでは素晴らしいライダーを喪うことになってしまいました。今年はいろんなことがあって、なにもかもが辛かったです。自分の人生でも最も辛く苛酷なできごとでした。でも、強くあれと自分に言い聞かせ、ここに戻ってきて3位表彰台を獲得できました。だから、この表彰台はうれしいというよりも、むしろほっとした気持ちのほうが強いです。自分自身を強く保ち、表彰台に戻ってくることができたことを、なにより誇らしく思います」
この3位表彰台は、佐々木にとってなにものにも代えがたいほど重く、価値の高いものとなったことはまちがいないだろう。
というわけで、雑駁な内容になりましたが今回はここまで。第14戦はさっそく今週末の開催で戦いの舞台をイタリア・ミザノに移して、サンマリノGP。次も、よいレースになりますように。
【西村 章】
web Sportivaやmotorsport.com日本版、さらにはSLICK、motomatters.comなど海外誌にもMotoGP関連記事を寄稿する他、書籍やDVD字幕などの訳も手掛けるジャーナリスト。「第17回 小学館ノンフィクション大賞優秀賞」「2011年ミズノスポーツライター賞」優秀賞受賞。書き下ろしノンフィクション「再起せよースズキMotoGPの一七五二日」と最新刊「MotoGP 最速ライダーの肖像」は絶賛発売中!
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